人ではない。《獣》は直感で理解した。
植物でなく、獣でなく、虫やその他の生き物とも違う。唯一近しいのはいつも周りを飛び回る目障りな
殺してみよう。《獣》はそう思った。
初めて見る獲物。何をするのだろう。
「◾️◾️◾️───!」
自分は最強だ。この一撃で獲物は死ぬだろう。
「うお!あっぶね!」
「グァ!?」
ありえない。弾き飛ばされた。
これは、なんだ?
「お前───」
この、自分に勝った者は───
「───儂の眷属になれ」
老人に連れられて『オラリオ』という都市まで来た。この老人は『神』で、下界で恩恵を与え、滅びに備えているらしい。
神、神か。俺に勝った者。俺が負けた者。
一体、あれはどうやって───?
「あれはただの『技』じゃ。お前ならいずれ出来るようになるじゃろ」
『技』。それが俺に足りないもの。俺が負けたもの。老人が勝った理由。ならば、それを身につけよう。二度と負けないために。
「ジジイ。俺は『技』が欲しい。どうにかしろ」
「安心せい。先人は大勢おる。まずは顔合わせじゃな」
「で、このガキは?」
「拾った。儂の息子じゃ」
「相変わらず適当だな。おいガキ、入団試験だ。
なんだこいつ。弱いくせにムカつくな。
「で、どうするんだ?」
「まあ誰かと戦うとかだな。手の空いてるやつが適当に───」
「誰でもいいよ。どうせ勝てる」
見た感じジジイみたいな『技』を持ってるやつもいなさそうだし、結構楽勝だな。
「───へえ。言うじゃない」
偉そうな女が現れた。
「じゃあ私と勝負、しましょう?」
「なになに?なんの祭り?」
「ゼウスの新入りが『女帝』に喧嘩売ったってよ!」
「命知らずにも程があるでしょ」
観衆が集まってきた。
あちらも準備ができたようだ。
「勝負は一対一のタイマン。戦闘不能になったりギブアップをしたら負け。武器や魔法の使用は無し。ハンデは───」
「片手だ。片手だけ使う」
「それでいいの?」
「ああ。片手で十分だ」
「それじゃあザルド。合図」
「わかった。おいガキ。やばいと思ったら辞めるのも手だぞ」
「いいから早く始めろ」
「はいはい。───始め」
「フッ───」
女が走る。かなり速い。今まで見た中では最速だろう。その勢いのまま拳を振りかぶって────
「たしか、こうだったか」
女は弾き飛ばされる。片手での『技』の再現は不完全だったが、女は油断していて、俺は老人より力が強かった。
「片手だけでも出来るんだな。流石俺」
これで他の奴らも俺が強いと分かっただろう。
「勝ったぞジジイ。『技』をよこせ」
「マジ?儂の息子強すぎ············」