夢を見ている。
「ガアアアアァァァ!!」
「フン!」
ぶつかる。力で大きく差があるわけではない。なのに、なのに。
「······ァァァァアアアアアア!!!」
「───フッ」
足りない、足りない、足りない。
どうして、こんな。俺が、負ける?
許せない。
こんなことが、あっていいはずがない。
俺は、最強で───
「───終わりだ」
「·········ぁ」
負けた。あともう少しだった。そこまで大きな差はなかった。
「·········ァァァァ」
『技』だ。あの『技』が、勝負を分けた。
「ァァァァアアアアアア!」
認めなければいけない。俺はまた、『技』に負けたのだ。
『技』を手に入れて満足していた。最早自分に敵が無いと思った。
だが、負けた。『技』が足りなかった。故に·········
「『もっと』だ。もっと先へ進まなくては。あの『英雄』を超えるほどに。勝つために、全てを利用しなければ」
「というわけで、手伝え」
「何がというわけなんじゃい。てか、何を手伝うんじゃ?」
何を言っているんだ、
「言っただろう。『技』をよこせ」
「まず儂の言うことは絶対じゃ。良いな?」
「いいからさっさとしろ」
コイツマジでクソガキじゃな。
「じゃあまずは手本じゃ。ほら、手を出せ」
「えー。触りたくねえんだけど」
「儂だってもっと可愛い娘と手を繋ぎたいわい!わがまま言うな!」
「はいはい」
最初から素直に言う通りにせい!
「ガアアアアァァァ!!」
「バッカお前力で解決すんな!技の修行っつったじゃん!」
「性に!合わない!」
「誇れることじゃないじゃろ!」
「───お」
「おっしゃああああ!!!ようやく技を習得したぞおおお!!儂の苦労が報われたああ!!」
「くっそオオオオッ!負けたぁぁぁ!!
と言うわけでもっと技をよこせ」
「なんだよ、もおおおお!またかよおお!」
「あのジジイ逃げやがった。どうしたもんか」
技は間違いなく習得出来ている。その上でまだ『足りない』。
技以外の、何かが───
「───あ」
「『福音』」
「で、魔法ってどうすればいいんだ?」
「なぜ私に聞く。他にも魔法を使う者がいるだろう」
「お前が一番巧かった」
「……それで、私になんの得がある?」
「そうだな。うーん。……。あ。
願いを言え。なんでも願いを叶えてやろう」
「……『なんでも』だと?」
「そう言った。二言はない」
「────私の妹を、助けろ」
「わかった。助けてやるよ。じゃあまず俺に魔法の使い方を教えろ」
「……チッ。いいだろう。魔法は才能だ。自力で発現しなければ魔導書を使うしか無い。自分でどんな魔法を使うかは選べない。
しかし本人に合った魔法が発現する事が多い。経験や思想などである程度決まると言われている。
発現した後は使えば使うほど魔法の練度が上がり強くなる。……これくらいだ。あとは魔法の種類によって違う」
「オッケー、つまり気持ち次第ってことね。じゃあ願いを叶えてやろう」