愛が《獣》を人にする。
「ゼウス。出て来い。ステイタスの更新だ」
えー。信じられん。どうせまた技をよこせとか言うんじゃろ。
「魔法が発現する、と思う。やってみたい」
「マジ?やってみるか」
魔法は、才能。経験。思想。
つまり、全てを備える俺にとっては気持ち次第ということだ。
俺に必要な魔法。それは───
「俺には技が必要だ。つまり、技を成長させる魔法を発現させればいい」
「そんな簡単に行くかの」
「出来るはずだ。俺なら出来る。気持ちが大事なんだよ」
「じゃあ更新するぞい」
技を成長させる魔法とは、具体的にどういうものなのだろう。
技。俺にとっての技。それはあの時、俺の一撃に打ち勝ったジジイのもの。
ああ、これが───
「魔法が発現しとったぞ。ほれ」
「マジ?今やってみようぜ。
《余は人ならざるもの。全知全能なりし神々の王。全ての父、天空を統べる者。すなわち、至高なる神である》
「マジで儂じゃん。儂のこと好きすぎじゃろ。おっしゃ、このまま覗きに行くぞ!」
「────
「うお、急に正論。儂の真面目な頃にそっくりじゃな。ヘラが見たらなんて言うんじゃろ」
「余はこれから食事を摂る。
「────ゼウス?」
「どうした、
「いえ、ゼウスだけどゼウスじゃない。貴方、誰?」
「何?どうしたのだ
すなわち、
「あ、やっべ」
「ゼウス!これはどういうこと!」
「どういうことと言われても、余は
「貴方じゃない方のゼウスに言ったの!」
「コイツは魔法で変神したアルケイデスじゃ。思い込みの力で魔法を発現させおった」
「───は?」
「おー。混乱しとるの」
「食事は終わった。これより契約に従い準備を始める」
『妹を救う』を病を癒す事と仮定。
病についての情報を取得。アルフィアにも同様の病を検知。参考にする。
病に効果があると予想されるものを複数検知。
最も可能性の高いものから順に入手することに決定。
行動開始。
飛び出した。それは風よりも早く、嵐よりも強烈で、爆発するかのように突然だった。
「第一目標
神の技と下界最高の肉体。二つが合わさり下界最速となったアルケイデスが進む。
『火』の壁を突破。
そのまま『火』の中へ入った。
「
そのままの勢いでまた走り出す。
「第一目標達成。第二目標『生命の泉』の入手のためベルテーンへ移動。また、
動く、動く、動く。
機械のように正確に、精密に動く。人々に悪影響を及ぼすものを雷で、焔で焼く。
そのまま……
「
ベルテーンの人々を数百年苦しめた『沼の王』を片手間に討伐した。
「蒸発した『水』を検知。
まだ止まらない。嵐を引き連れて進む。
「第一、第二目標達成。最終目標『霊薬実』の入手を開始」
『精霊郷』に実る『霊薬実』。それは精霊の力の結晶であり──
「
精霊は彼の眷族である。これにて全ての材料が揃った。そして、彼はあの言葉を口にした。
「きゅっぴー3分メイキング〜!」
まず、材料を用意しましょう。
『雷霆』
『天上の神焔』 浄化済み
『生命の泉』の『雨』 あるだけ
『霊薬実』 あるだけ
神に匹敵する調合の才能
どれも入手困難なものばかりです。頑張って集めましょう。誰かに頼むのも手です。
まず、『霊薬実』を『天上の神焔』で焼き、溶かします。この時、周囲に引火しないように気をつけましょう。
次に温度が上がり溶けた『霊薬実』と『雨』を混ぜます。『雷霆』を利用しましょう。『雷霆』を持っていなければ物理法則を無視するほどの握力でも代用可能です。
これら全てを神に匹敵する調合の天才にやってもらいます。
いなければ神の理を超越する『英雄』に頼みましょう。何故か知らんけどなんとかなります。
今回は
「人の子よ。契約に従いお前を助けよう。さあ、薬を飲め」
「は、はい?わ、分かりました?」
「すごい、体が、軽い……!」
「メーテリア!大丈夫なのか!?」
「ええ、姉さん!私、生き返ったみたい!」
「良かった……!本当に良かった……!」
「姉さん。私、いろんなものを見てみたい。いろんな人に会ってみたい。もっと、もっと、姉さんと一緒に」
「ああ、ああ!もっと、一緒に生きていこう……!お前を、愛している……!」
『愛』を、見た。美しき愛を。
『英雄』も持っていた、『愛』を。
俺も、それが欲しい。俺にも。
ああ、アルフィア。灰の女。
お前を
ああ、メーテリア。白の女。
お前に
俺は、どうすればいいのだろう。
ゼウス。俺が憧れた者よ。教えてくれ。