「フンッ!」
「そうだ!その調子だ!」
「いけいけ〜!」
「ゼウス!貴方も働きなさい!」
先日まで怒りのままに暴れていた《獣》とは思えないほどアルケイデスの弓術は優れていた。
怒りが消えたわけではない。ただ理解したのだ。
怒りとはただ撒き散らすものではなく、何かにぶつけるものだ、と。
ただ抑えるのではなく、貯めて、貯めて、一つにぶつける。その考えがアルケイデスに新たな力をもたらした。
「セイッ!!」
矢があり得ない方向に曲がり、モンスターに命中した。『狩り』を教えられてから数時間で彼は
『神の力』にすら届きかけていた。
「私が教えたとはいえ、これ程とは·········」
『狩猟』の女神は瞠目した。そして·········
「───まだまだ下界の子に負けるわけにはいきませんね」
持ち前の負けず嫌いを発揮し、アルケイデスに負けぬように『狩り』を始めた。
逃げる、逃げる、逃げる───
『狩られる側』だと理解しているモンスター達は『狩人』から逃れる為に離れる。
「───クハッ」
「───フフッ」
『狩人』達は、楽しんでいる。新たな道との出会いを。自分に並び立つ者との勝負を。
5m、10m、50m、100m。
『狩人』達の周りから次々と狩られる。
木々を盾に逃げた。
木々の隙間から矢が飛んできた。
山を越えて逃げた。
距離を嘲笑うように矢が飛んできた。
中には、『狩人』達に襲いかかったモンスターもいた。
「キシャーーーーー!!」
「フン!」
しかし、『狩人』に踏み潰された。
「あの男───!私にあれだけ言い寄っておきながら、ヘラ!?ヘラに手を出しただと!?」
アルフィアは怒りを隠そうともせず、襲い掛かってくる『闇派閥』を撃退している。
「怒ってるわね、アルフィア。そんなに彼の事が好きなのかしら」
「貴様───『女帝』!私が、何だと!!」
「あら、違うの?それは良かった」
『女帝』が揶揄うように言う。
「良かった?何が良かったのだ『女帝』!」
「だって私、アルケイデスの事が好きだもの」
「───」
突然の告白にアルフィアは固まる。
「あの時。彼に一撃で叩きのめされた時、思い知ったわ!
私、私より強い男が好きだったのよ!」
『女帝』はまるで乙女のように話を続ける。
「だから私、良かったわ。彼が好きなのは貴方だもの。貴方が彼の事を好きじゃないのなら、私が結ばれる確率が上がるわ」
「───は?」
アルフィアは怒る。
ヘラばかりか、『女帝』すら··········
「───負けてたまるか」
「うっわ。バチバチにやり合ってる。こっわ」
「あっち見るな。俺たちまで巻き込まれるぞ」
突如として暴れ出した『闇派閥』。地上で、ダンジョンで。場所を問わず暴れている。
「アルケイデスの不在を狙ったな」
一部の者は何故今『闇派閥』が暴れ出したのかに当たりをつけた。
『闇派閥』は火をつけ、壊し、殺した。当然、
冒険者達はファミリアの枠を超えて対抗する。
「【ウィン・フィンブルヴェトル】!」
「オオオオオオォォォォォォッ!」
次々と『闇派閥』を倒し··········
「───これは」
「嘘だろ?こんなのありか?」
他ならぬ神々がそれに気づく。
「あり得ない!何故送還されない!?」
「ウラノス、これは───」
「ああ。『祈祷』が届かなくなった。
これは───」
ダンジョンから『夜』が溢れた。