『不正』を司るアパテーと『不止』を司るアレクトの二柱は、計画を実行した。
あまりにも強い『最強派閥』であるゼウス・ファミリアとヘラ・ファミリア。
これらがいる限り、闇の時代は、悪は訪れない。
故に、計画を立てた。邪魔な冒険者を、オラリオを滅亡させる計画を。
それは『不正』。下界ではあり得ない『神の力』の行使。反則を使い、『最強』に勝つ計画を。
まず、地上、ダンジョンの区別なく『闇派閥』が暴れる。
混乱の最中、アパテーとアレクトはダンジョンで『神威』を解放し、『黒いモンスター』をダンジョンに生ませる。
そして、その身を捧げる。
計画は、成功した。
「ガァァァァァァァァァ!」
それは、烏だった。
『夜』を削ったような黒い体。夜の鳥が、二柱の女神を取り込んだ。
『夜』が、産声を上げる。
「な、なんだぁ!?」
「モンスターが、黒く··········!」
「気をつけろ!明らかに強さが増している!」
「レベル・ブーストってとこか?」
ダンジョンで戦っていたゼウス・ファミリア達は『黒く染まった』モンスターに苦戦していた。
『黒く染まった』モンスター達は適正レベルが1〜3程上昇している。油断すれば命取りになる過酷な状況だった。
「フン!」
「セイッ!」
しかし『最強派閥』は伊達ではない。
この『未知』でも彼らは屈しない。
『英傑』が、『暴食』が、それ以外の冒険者達が、『未知』に打ち勝って前へ進む。
「このまま下へ行く!この『夜』をどうにかするぞ!」
更なる進軍を決定し───
「ガァ」
『夜』が溢れた。
『夜』は形のない存在。
その身に宿る『夜』を解放し、昼を塗り潰した。
このまま下界を『夜』で飲み込み───
「フンッ!」
「ガァァァァァァァァァ!!」
───『夜』を切り裂く『矢』が、飛来した。
「───!」
最初に気づいたのは『狩人』だった。
「はぁ!?何が、何で!?」
「嘘でしょ!?今昼だったのに!」
次々と周りも理解した。『夜』が来たのだ、と。
「ゼウス、これは!」
「間違いない。『神の力』じゃ!」
『神』は同族の力を感知した。この状況に大神は心当たりがあった。
『狩人』が踏み潰した先ほどの『蠍』のような、『黒いモンスター』が神を取り込んだのだ。
勝機があるとするなら、アルケイデスの魔法。それによって齎されるスキル
『神の力』の操作ならば神を取り込んだモンスターにも対抗できるだろう。
「どうする、アルケイデス。··········?おい、アルケイデス?何をして··········」
『狩人』が弓を引く。『狩人』には観える。
数千m先、オラリオの上空に『夜』が飛んでいる。『神の力』による無形。
自由に空を泳ぐ烏に向けて───
「フンッ!」
『夜』を切り裂く『矢』を放った。