夜はしっかり暖かくして早く寝ましょう。
『三大冒険者依頼』
『陸の王者』、『海の覇王』、『隻眼の黒竜』の三体のモンスターの討伐クエスト。
これは下界の悲願であり、これを成し遂げなければ下界は滅びる。
『毒』の嵐を超えても、そこから本体に攻撃しなければならない。
更に本体には高い回復能力もあり、持久戦は期待できない。
これを倒すには『史上最強』とまで言われるゼウス・ファミリアが総力を上げてやっとだろう。
『陸の王者』を
「とうとうここまで来たか。お前のぶっ飛び具合も相変わらずじゃのう」
「まだまだだ。この程度では『英雄』には勝てない」
「ふぁー。ほんとに上しか見てないような生き方じゃの。もっと楽しめ」
「全部終わったら楽しむ。それまでの辛抱だ」
「ふう。今日の特訓はここくらいかな」
「アルケイデス。その…………」
「ああ、報酬ね。
「……ああ」
「じゃあ夜にまた会おう」
深夜。草木も眠るような時間に、女が男の部屋を訪れていた。
「にしても、こんなのでいいのか?」
「ああ、これで良い」
牽制にもなるしな、と女は心の中で言う。
二人は同じベッドで向かい合うように横になっている。この二人の関係を知らぬ者が見れば、恋仲だと思うだろう。
きっかけは、男の言葉だった。
「あー疲れた」
「……お前、眠らなかったのか?」
「いや、数分は寝た。『夢』のせいですぐに飛び起きたんだ。最近は『夢』の難易度が跳ね上がってあまり良い結果が出ていないが」
「…………」
朝から疲れを感じている男。このままでは昼のパフォーマンスも低下していくだろう。
それは、つまらない。
「……アルケイデス。報酬だ」
「ああ、特訓の?なんでも良いよ」
「私と、その……添い寝をしろ」
「わかった」
「寒くないか?」
「あ、ああ」
男女が同じ布団に包まっている。
互いに身を寄せ合い、他者の熱が伝わる。
(勢いで添い寝などと言ってしまった……!)
女は今更自分の発言を後悔し始めていた。
「アルフィア」
「……なんだ」
「ありがとな」
「なんだ急に気持ち悪い」
男は突然女に感謝する。
「俺が眠れてないって言ったから、こんなこと言い出したんだろ。ありがとな」
「…………」
後悔、していた。感謝をされるなら、いいか。
「おやすみ、アルフィア」
「……おやすみ、アルケイデス」
朝。アルフィアは何かを察知して起きた。
「――ガッ……ッ、グ……」
男が苦しそうな声を上げている。『夢』の中で戦っているのだろう。
手を、握る。
「───ぁ」
少し、苦しみが和らいだような気がした。
「──────」
そんな寝顔を見つめる女は、そっと耳に髪をかけ、顔を近付けた。
「くっそ!」
「なんかまた強くなってない?」
「───ハハハハハ!!絶好調だ!!」
『英傑』と『女帝』の二人を手加減しながら余裕で勝利した男は、自身のコンディションの好調を理解していた。
「アルフィアありがとー!!」