筋肉の化身   作:アーっr

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この筋肉……何か、変……。


アストレアIF
『正義』の化身


 

 

 英雄の生まれる都市 『オラリオ』

 

 かつて栄華を誇ったこの都市は今では闇に包まれ、外を出歩くのも危険だ。

『闇派閥』と呼ばれる者たちは『最強派閥(ゼウス・ヘラ)』の消滅とともに勢いを増し、現在のオラリオでは対処しきれていない。

 しかし、そんなオラリオでも正義を成さんをする者たちは闇派閥との熾烈な戦いを繰り広げていた。

 

 これは、『正義』の物語。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「アリーゼ!三番倉庫押さえた!」

 

 「そのまま四番まで制圧!イスカとマリューに指示!ライラは先の区画、押さえて!!」

 

 「輝夜、リオン!敵の本命、任せた!」

 

 「本当に、人使いの荒い団長さん。乗り遅れないようにしてくださいませ、エルフ様?」

 

 「抜かすな、輝夜。

 ───行きます」

 

 「お、お前たち、まさか!」

 

 「あら、自己紹介が必要?それなら正々堂々たっぷりしてあげるわ!」

 

 「弱きを助け強きを挫く!たまにどっちも懲らしめる!

 差別も区別もしない自由平等、全ては正なる天秤が示すまま!」

 

 「願うは秩序、想うは笑顔!

 その背に宿すは正義の剣と正義の翼!」

 

 「私たちが、『アストレア・ファミリア』よ!」

 

 

 

 

 

 『星屑の庭』

 

 アストレア・ファミリアのホームであるその場所に、女神と眷属がいた。

 

 「───それで、どうだった?」

 

 『正義』の女神が聞く。

 

 「魔石産業に用いられる激鉄装置が盗まれていました。おそらく、魔石で何か武器などを作るのではないかと」

 

 『正義の眷属』である“アルケイデス”は答えた。

 アルケイデスは160cほどの、6歳という幼さから考えればかなりの巨体である。

 

 「……そう。疲れたでしょう。休んでいく?」

 

 女神は少年を労る。

 

 「いえ。これからダンジョンへ赴きます」

 

 「もしかして、いつもの(・・・・)?」

 

 「はい。最近はダンジョンの中でも『闇派閥』の動きがありますので」

 

 少年はまだ働く。彼の限界は人の限界とは違う。

 常人が人生を賭けて行動する目標を、少年は落とし物を拾うような気軽さで実現出来る。

 

 「……いつも、ありがとう。アルケイデス」

 

 「……勿体無きお言葉です」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「う、うわー!!」

 

 「やめろ!来るなぁー!!」

 

 冒険者がモンスターに襲われている。このままではその体は引き裂かれ、地上に戻ることはできないだろう。

 

 「───ふっ!」

 

 だが、ここに『正義』がいる。

 

 「アストレア・ファミリア!?」

 

 「た、助かったぁ!」

 

 剣の一振りでモンスター達は斃される。

 その剣は、白い刀身をしていた。否、刀身とは言えないだろう。

 その剣に刃はなく、全てが峰となっていた。

 

 『不殺』を体現した剣、銘を『正義(デズマ)』。

 

 そんな剣でありながら、彼は神懸かり的な技術でモンスターを切り裂いた。 

 まさに圧倒的強者、『正義』の化身。

 

 「『救命者(セーバー)』が通りかかってくれなければ死んでいた!」

 

 「ありがとう!」

 

 助けられた冒険者達は口々に感謝を述べる。

 

 「いいえ。異なる神に恩恵を受けたとはいえ私たちは仲間、助け合うべき存在です。このまま地上まで護衛しましょう」

 

 「おお!」

 

 「まさに聖人、神の如き愛!」

 

 「恩に着るぜ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 アルケイデス

 

『Lv1』

 力: I 0

 耐久: I 0

 器用: I 0

 敏捷: I 0

 魔力∶ I 0

 

 

《魔法》

 

なし

 

《スキル》

 

なし

 

 

 

 「··················」

 

 一年。アルケイデスが恩恵を受けてから一年が経った。

 その圧倒的な強さから世界最速のレベルアップを期待されているこの6歳の少年は、未だステイタスを1上げることすら出来ていない。

 その理由を、女神は知っている。

 

 「······今日も、変わっていなかったわ」

 

 ステイタスが上がらない理由。それは───

 

 「やはり、『神』に与えられた恩恵を操作することは出来ないようですね」

 

 「······ええ」

 

 少年が、『不変』である『神』だからである。

 

 

 

 

 

 

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