筋肉の化身   作:アーっr

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面白いふざけた話はロマン、あるいは理想という。


不殺の正義(デズマ)

 

 

 

 「じゃあ、まずは訓練から!」

 

 「よろしくお願いします」

 

 『星屑の庭』の訓練場で赤い少女と黒い少年が向かい合っている。

 

 「ルールは簡単。先に相手に剣を当てた方が勝ち。怪我をさせちゃダメよ」

 

 「分かりました」

 

 互いに刃のない訓練用の剣を持っている。

 

 「準備はいい?よーい、スタート!」

 

 剣を振るう。少女は今まで積み上げてきた冒険者としての経験がある。

 

 「はぁーー!!」

 

 「────」

 

 しかし、相手は下界の住民でありながら天にその力を届かせる化物。

 決着は、すぐだった。

 

 「·······え、えーー!?」

 

 少女·······アリーゼが持っていた訓練用の剣が、

少年·······アルケイデスの剣によって斬られて(・・・・)いた。

 

 「すみません。ファミリアの備品を、こんなことに·······」

 

 「すっごい!どうやったの!?」

 

 「いや、そうはならないだろ」

 

 「ええ··········」

 

 観戦していた他のアストレア・ファミリアの団員達も驚く。

 

 「────決めたわ!」

 

 「うわ」

 

 「絶対変な事言うぞ」

 

 アリーゼが声を上げた。

 

 「───アルのために剣を買いましょう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 槌の音が響く。金属を歪ませるほどの熱がそこにはある。

 

 「───なんの用だ」

 

 老人が聞く。

 

 「剣を、作ってください」

 

 「·················」

 

 155cほど。筋肉はかなりある。大剣や長槍であっても容易く扱えるだろう。

 

 「何も斬れない鈍を、作ってください」

 

 「·················」

 

 鈍。鍛冶屋に鈍を作れと、そう言った。

 ······ふざけた話だ。

 

 「何者も壊せない枷を、作ってください」

 

 「·················」

 

 戦いの邪魔になる武器を作れと、そう言った。

 ······ふざけた話だ。

 

 「───何故、求める」

 

 「········私は、強いです。だからこそ、私が欲しいのは更なる力ではなく『守る』ための武器なのです」

 

 ·······耳障りの良い言葉を並べただけでは無いようだ。少なくとも、覚悟はある。

 

 「········二週間後、取りに来い」

 

 この男の『先』を、見てみたい。

 

 「········ありがとうございます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「···············これが········」

 

 真っ白な刀身は、何者の汚れも許さない神聖さを感じさせる。

 

 「不壊属性(デュランダル)、『正義(デズマ)』。意味は········『枷』」

 

 「········『枷』」

 

 刃が、無い。刃を潰したわけではなく、そもそも全てが峰なのだ。

 何も斬れない鈍。何者も壊せない枷。

 戦いに使えるとは思えない、ともすれば装飾品とも思えるその剣を見て········

 

 「───ありがとうございます。貴方に任せて良かった」

 

 「········その剣で、何を為す」

 

 最後の問い。不殺の剣を持って何を思い、どこへ進むのか、聞きたかった。

 

 「───『正義』を」

 

 「·······フッ」

 

 鍛治の神(熱い男)は、笑った。

 

 




剣を取ったのなら、理想を体現してみせろ。
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