筋肉の化身   作:アーっr

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『正義』は未だ不殺である。


開戦

 

 

 

 「ナイフを捨てて!! 戦っちゃダメだ!! 君みたいな子に武器をもたせる大人の言うことなんか、聞いちゃいけない!!」

 

 青い髪をした少女が『闇派閥』の子供を説得している。たとえ敵同士でも、子供を戦いに使う所業に『正義』は怒る。

 

 「私は君を傷つけたりしないよ? さあ、こっちへ───」

 

 「·······かみさま。お母さんのところに───」

 

 子供が、何かをしようとして───

 

 「───ふっ」

 

 『正義』が、間に合った。

 

 

 

 

 

 

 「クソガキィ!テメエ、ダンジョンに行ったんじゃなかったのか!」

 

 『闇派閥』の幹部、ヴァレッタが怒りに満ちた声で問う。

 

 「ええ。確かにダンジョンに行きました。リヴェラの街に着いた辺りで“地上に力を貸すべき”と思ったので、作戦を中止しました」

 

 「クソが!せっかく内通者を利用したのによぉ!」

 

 ギルドの内通者からの情報では、アルケイデスはダンジョンの警備を任されていた筈だった。

 予定とは違う行動にヴァレッタは怒る。

 

 「───だが、自爆兵はまだまだいる!お優しい『正義』サマじゃコイツらを殺すことなんて出来ないよなぁ?」

 

 「なぜ殺す必要があるのですか?」

 

 「·······は?」

 

 思いもよらぬ答えにヴァレッタは止まる。

 

 「先程やったように、魔石装置だけを攻撃すれば自爆は出来ません。殺す必要などないのです」

 

 「··············ッハ!とんだあまちゃんだな!自爆兵がどんだけいると思ってる?お前が装置を攻撃するより、自爆するほうが早───」

 

 「───ふっ!」

 

 目にも止まらぬ速さで『正義(デズマ)』が振るわれた。

 

 「───は?」

 

 その一瞬で、自爆兵が持っていた魔石装置は壊され、兵そのものも気絶させられていた。

 

 「───バケモンがぁ!」

 

 それが、彼女が気絶する前の言葉だった。

 

 

 

 

 

 「アル!お姉ちゃんを助けに来てくれたのね!」

 

 「いえ、アーディさんは私の姉では·······」

 

 「細かい事はいいの!助けてくれてありがとう!」

 

 「·······それより、『闇派閥』の動きが妙です。おそらく、奇襲を仕掛けてくるでしょう」

 

 「それは大変ね!」

 

 「いや、大変ってレベルじゃないだろ·······」

 

 「なので、民衆を中央広場に避難させたいのです。手伝って、くれますか?」

 

 「当然よ!だって私は超絶美少女、アリーゼ!そして、貴方のお姉ちゃんなんだから!」

 

 「·······姉ではないですが、助かります。

支える者(ヴォイビアー)』達も地上にいます。避難は彼らに任せるので、民衆の護衛をお願いします」

 

 

 

 

 

 

 『支える者(ヴォイビアー)

 

 それはアルケイデスを頂点とする、サポーター達によって構成される集団である。

 

 「魔剣が必要なら言ってくれ!」

 

 「怪我をしていないか?ポーションならあるぞ!」

 

 彼らの中には、冒険者にはなったが戦いに向かなかった。しかしダンジョンに潜らなければならない事情がある『弱者』が大勢いる。

 彼らはオラリオのいつの時代にもいた『弱者』。誰も手を差し伸べない影の存在。

 『正義』は、そんな彼らに力を貸した。

 

 「戦えなくてもいいのです。私は貴方達を必要とします」

 

 それが、始まりだった。

 時間が経つにつれて一人、また一人と増えていった。

 

 「サポーターとは、荷物持ちではありません」

 

 『正義』に言わせれば、サポーターとは支える者。時にモンスターに攻撃し、時に仲間を癒し、支える者だ。

 

 「俺たちだって、何か出来る筈だ!」

 

 「あの人は俺みたいなのを信じてくれたんだ!」

 

 「なら、やろう!支える為に!」

 

 




『正義』に同調する者がいる。
『正義』に狂わされた者もいる。
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