筋肉の化身   作:アーっr

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それは、どちらの··········


決戦前

 

 

 

 冒険者達が最後の戦いのために準備をしている。

 

 「まだ気にしてんのか?」

 

 「········ライラさん」

 

 『正義』は、考えていた。

 

 「確かにお前らしくなかったが、誰にだってそういうことはあるもんだ。あんま気にすんなよ」

 

 「········はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 『絶対悪』と対峙し『正義』を答えた後、再び『最強』達は戦った。

 

 「【福音(ゴスペル)──サタナスヴェーリオン】」

 

 「――――ウゥゥウオオオオォォォッッッ!!」

 

 「──ふっ!」

 

 魔法、力、技。どれをとっても下界最高峰といえる戦いだった。

 その中で。

 

 「【(ゴスペ)……ごふっ」

 

 「───ぁ」

 

 女が血を吐いた。

 『正義』は、咄嗟に(・・・)手を伸ばして───

 

 「【レーア・アムブロシア】!」

 

 「───くっ」

 

 黒い戦士の一撃が『正義』に届いた。

 

 「····················」

 

 『正義』は顔にかかった女の血を触り、自身の手を見る。その間に、『最強』達は何処かへ行ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 咄嗟に、手を伸ばした。咄嗟に(・・・)

 いつもは、『神』としての演技がある。『正義の従属神』として、人を助けている。

 時折、《獣》が現れる。《獣》は他者を気にしない。人を助けようとしない。

 

 あの時、『正義』として戦っていた。間違いなく、人の為に戦っていた。

 だが、『正義』ならば血を吐いた隙に無力化したはずだ。殺さずとも、気絶させられたはずだ。

 なら、咄嗟に手を伸ばしたのは。

 あれは、どちらだったのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 「迷っているのね、アルケイデス」

 

 「アストレア様··········」

 

 『正義の従属神』の母であり、《獣》に血を与えた女神は子供の苦悩を察知していた。

 

 「正直に言うと、私は嬉しいわ」

 

 「嬉しい、ですか?」

 

 「貴方が『正義』についてここまで真面目に考えていることが、とても嬉しいのよ」

 

 『正義』の女神は子供の努力を喜ぶ。

 

 「··········わかっているでしょう。()は··········」

 

 「私は貴方の母親よ。『正義』が演技だったことも当然わかっているわ」

 

 「··········なら」

 

 「それでも(・・・・)。貴方は『正義』になろうと努力した」

 

 「───!」

 

 「演技だったとしても、貴方は『正義』を為した。それは紛れもない事実よ」

 

 『正義』の女神は、『正義』を認める。

 女神(母親)は、息子の努力を知っている。

 

 「アストレア様··········」

 

 「貴方の苦悩は分かります。これは貴方の心の問題。私が決めることではないわ」

 

 「だけどね、アルケイデス。これだけは知って欲しいの」

 

 「どちらの貴方も、私の息子よ」

 

 

 

 「··········ありがとう、ございます」

 

 

 

 

 




母は偉大。
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