筋肉の化身   作:アーっr

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息子として、父として。


自分の『正義』

 

 

 冒険者達は、苦戦していた。

 

 「◾️◾️◾️ーーーー!!」

 

 『大最悪』は深層の階層主に匹敵する強いモンスターである。

 

 「ウウウオオオオオオオ!!」

 

 「ガレス!気をつけろ!」

 

 レベル5のドワーフを筆頭に前衛が戦うが、足りない。

 モンスターは、それだけでは無い。

 

 「◾️◾️◾️ーーーーーー!!!」

 

 黒い、ミノタウロス。

 3mを超える体格、大槍のような角。

 その威容はまさに『怪物』。

 

 「くそ、あの竜だけでもヤベェのに!」

 

 「ライラ!アストレア様を守るわよ!」

 

 

 

 

 黒いモンスター。

 ダンジョンが生み出した階層主に匹敵する怪物であり、神々に対するカウンター(・・・・・・・・・・・)

 本能で、神を狙う性質がある。

 

 

 

 

 

 「◾️◾️◾️ーーーーーー!!!」

 

 「アストレア様!」

 

 ミノタウロスが女神に近づき、その巨岩のような拳を振り上げ───

 

 「フン!!!」

 

 「◾️◾️◾️ーーーーーー!?!?」

 

 男に、殴り飛ばされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「アルケイデス········」

 

 女神は、男の名を呼ぶ。

 強く、なっている。間違いなく、ダンジョンに入る前より強くなっている。

 

 「アストレア様。お願いが、あります」

 

 男は、口を開いた。

 

 「········どうしたの?」

 

 「今、この時だけは。『正義』としてではなく、この身の『熱』のままに、戦いたいのです」

 

 「『神』としてではなく、『慈悲』ではなく」

 

 「()は、『家族』のために戦いたいです」

 

 「それを、お許しください」

 

 それは男の願い。今まで遊びや暇つぶしで行ってきた『正義』ではなく、『息子』として、『父』として、男は戦いたかった。

 

 「········『正義(デズマ)』を、私に」

 

 「················」

 

 男は女神に自らの()を渡す。

 

 「········貴方の『正義』を、成しなさい。世界が求める『正義』ではなく、貴方が決めた『正義』を」

 

 「もはや『正義()』は無く、貴方を縛るものはありません。でもね、アルケイデス。これだけは覚えていてほしいわ」

 

 「貴方は、私の息子よ。何があっても」

 

 「アストレア、様··············」

 

 「恩恵の更新をしましょう!今ならステイタスが伸びているかもしれないわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 女神の血が、男の背中に垂らされる。

 

 「(ランクアップが、出来る··············!)」

 

 神でありながら成長をするという『偉業』が、男のランクアップを可能にした。

 

 「魔法が発現したわ。時間がないから、口頭だけど··············」

 

 「··············なるほど。ありがとうございます」

 

 女神は、更新したステイタスを説明し────

 

 「じゃあ、アルケイデス··········行ってらっしゃい」

 

 「······アストレア様。実は言わなければいけない事が··············」

 

 「············?どうしたの?」

 

 「──娘が、できました」

 

 「────え?」

 

 「それでは、行ってきます」

 

 「ま、待ってアルケイデス!待ちなさい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『怪物』は、怒っていた。

 獲物(女神)を殺す直前に、殴られた。

 あと、少しだったのに············!

 

 「◾️◾️◾️ーーーーーー!!!」

 

 吠える。吠える。怒りのままに。

 そして見据える。『敵』を。

 

 それは、()だった。

 

 「【我が名を讃えよ】。───【光、在れ】」

 

 「───行くぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『怪物』と『光』が戦う。

 それはまるで、天の星座のようで───

 

 「◾️◾️◾️ーーーーーー!!!」

 

 「――ゥゥウウウォォオオオ――!!」

 

 殴る、殴る、殴る、殴る───!

 防御を考えない殴り合い。

 『怪物』が殴られる。傷が付き、『光』で熱され、それを無理矢理治す。

 『光』が殴られる。『怪物』を超える硬さと、『光』が齎す圧倒的な熱量でダメージが入らない。

 

 「───うおおおおお!ヤバいヤバい!どんな戦いだよ!」

 

 「さっすがアル!私の弟ね!」

 

 「自慢げにしている場合ではないアリーゼ!私たちまで一緒に灼かれてしまう!」

 

 その余波は、周りで戦っている冒険者や───

 

 「◾️◾️◾️ーーーーーー!?!?」

 

 「『大最悪』が!」

 

 「『光』に、灼かれて········!」

 

 モンスターに大きく影響を与えている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 『怪物』は怒る。勝てない、勝てない············!

 こんなこと、許せない!

 この目障りな『光』を、消したい!

 

 「◾️◾️◾️ーーーーーー!!!」

 

 「───!」

 

 怒りが本能を後押しした。

 『怪物』の、大きな槍のような角が、光る(・・)

 

 「これは───」

 

 バチッ、という音がした。角が、帯電している。

 雷は強さを増す。

 離れていても体は痺れ、雷鳴が聞こえる。

 

 「◾️◾️◾️ーーーーーー!!!」

 

 『雷』のように、『怪物』は『光』に向かって突進した。

 

 

 

 

 

 

 「【我が名を讃えよ】。───【光、在れ】」

 

 『光』が、溢れる。

 男は『光』を掲げる。

 まさに極光。太陽の光よりも明るく、下界の未来すら照らすような、温かく、強い『光』。

 

 男は、拳を握る。

 身体から溢れ、辺りを照らしていた『光』が、男の拳に吸い込まれる。

 あんなに強かった『光』が、全てを照らし出す『光』が、今では男の拳に閉じ込められている。

 

 「◾️◾️◾️ーーーーーー!!!」

 

 『雷』を伴った『怪物』が迫る。

 『大最悪』の砲撃すら超える超威力。まさしく『怪物的』であり──

 

 「雄々々々々々――――圧々々々々々々々――――ッッッ!!」

 

 その『光』は、『英雄的』だった。

 

 




ハッピーバースデー、アルケイデス(英雄)
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