異世界セカイ   作:龍狐

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14 「未来は自分で掴み取る」俺の座右の銘だ

 土曜日のとある日。私は音楽ショップへと足を運んでいた。

 

 

一歌「あ、この曲、気になってたやつだ…」

 

 

 バイトでのお給料が入って財布の中身が暖かくなった私はしゃがんで、気になっていたバンドのCDを手に取ってパッケージを見る。

 そんなとき、私の体が別の人間の影に覆われた。

 

 

??「久しぶりだな」

 

 

 そう言われて、振り向くとそこには―――

 

 

一歌「……どちらさま、ですか?」

 

 

 まったく知らない女の人がいた。黒と金色を基調とした薄着に半ズボンと言うラフな格好をした、綺麗な女の人。でも、全く知らない。

 そんな私の返答に、女の人はキョトンとした表情になった。

 

 

??「……え、それ、マジで言ってる?」

 

一歌「……はい」

 

??「えーそんなはず……あ。やっべそうだったわ…。こんがらがってた…」

 

一歌「えっと、あの、あなたは…?」

 

 

 頭を抑えてため息を吐く女の人に、恐る恐る声を掛けた。なんだろう、この人。初対面のはずなのに、なんだか既視感があるような…。

 頭を掻きむしった女の人は、その瞳――左目が黒、右目が金色と言う世にも珍しいオッドアイ――をこちらに向けてきた。

 

 

??→琴音「初めまして。俺の名前は【黒竹琴音ことね】。お前のよく知る“二ヤリ”の関係者で、キミの兄貴の職場の先輩だ。よろしくな」

 

???『コーン』

 

一歌「え、えええええぇええええ!!!」

 

 

 黒竹琴音――そう名乗った女性が袖を肘までまくってある黒いパーカーのポケットから()()()()()()()()()()()()を取り出して、金と黒の狐の絵が動いて鳴いた。

 その光景に、私は人目もはばからずに大声で叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

* * * * * * * *

 

 

 

 

 

 

琴音「どーも。はじめましてー」

 

??「コーン」

 

 

 今日の夕方。セカイで集合したあと、私は琴音さんと金狐の子――ムース君を紹介した。

 ムース君の姿はクロス君の色違いであり、青色の部分がそのまま金色に置き換わっている。そしてクロス君と二ヤリ君同様、不思議な力で私たちのセカイへと琴音さんとともに足を踏み入れた。これも錬金術の力なのかな?でも二ヤリ君も全然理解してなかったけど…。

 

 

咲希「初めまして!【天馬咲希】です!それと…可愛いー!触らせてー!」

 

 

 咲希は自己紹介を済ませた直後に琴音さんの横にお座り状態のムース君に飛びつくけど――、

 

 

ムース「コンッ」

 

咲希「あー!逃げないでー!」

 

 

 それを避けて琴音さんの後ろに隠れてしまった。人見知りなのかな…?

 

 

志保「咲希…はしたないからやめなって…」

 

琴音「悪いな。コイツは認めた相手にしか触れられたくないシャイなヤツでな。すまんが諦めてくれ」

 

咲希「そんな~…」

 

 

 ムース君を触れなくて咲希がしょんぼりと肩を落とした。気持ちも分かるからなにも言えないな…。

 

 

志保「咲希がごめんなさい。私は【日野森志保】。よろしくお願いします」

 

穂波「【望月穂波】です。よろしくお願いします」

 

琴音「天馬さんに日野森さんに望月さんね。もちろん知ってる。いやぁ、懐かしいなぁ」

 

志保「……懐かしい?」

 

穂波「私たち、お会いしたことありましたっけ…?」

 

 

 咲希たちのことを見て「懐かしい」と言い出した琴音さん。そう言えば初対面の時も私に対して「久しぶり」って言ってたし、もしかして本当にどこかであったことがあるんじゃ――、

 

 

琴音「まぁあるな。なにせ俺と二ヤリは“一心同体”だからな!」

 

 

 と、高らかに宣言する琴音さん。どういう理屈なんだろう。でも琴音さんの発言の意図は分かった気がする。二ヤリくんの体験全てを自分のもののように語ってるのは、二ヤリくんと一心同体だから…って言いたいんだろう。

 琴音さんがセカイのことを知ってるのも、二ヤリ君から聞いたからかな…。そう言えば、誰にも言わないでって言うの忘れてた…。でも秘密にしてほしかったな…。いや、二ヤリ君たちからすればこういう非現実は日常だから感覚がバグってるのかも…。なんか二人目のお兄ちゃんを見てる気分だ。

 

 

琴音「まぁつまり、二ヤリの知っていること、経験していることはある程度俺も知ってるってわけだ」

 

志保「プレイバシーもなにもないですね、それ」

 

琴音「仕方ないだろそういう感じなんだから」

 

 

 トンデモ発言の直後に志保がツッコミを入れると、琴音さんは不服そうに頭を掻きながら言った。本人も意図せずのところで知っちゃうのかな…?

 

 

ミク「お待たせ」

 

ルカ「お客さんが来てるって聞いたんだけれど…」

 

メイコ「あら、あなたがお客さん?」

 

 

 すると、教室にミクとルカ、メイコが入ってくる。

 

 

琴音「お、久しぶり――じゃなくて初めまして。【黒竹琴音】です」

 

ミク「黒竹……?それって……」

 

ルカ「あの子の親族…?」

 

メイコ「それって、この前話してた男の子のこと?あら、よく見ればあの子…可愛い狐さんね」

 

 

 メイコが琴音さんの後ろに隠れているムース君に目線を向ける。しかしムースくんは琴音さんの後ろに隠れたッきりだ。そして、ムース君が突如光の玉に姿を変えると、そのまま琴音さんの胸辺りに吸い込まれてしまった。

 

 

琴音「全く…人慣れしないな、お前は」

 

ムース『コーン』

 

 

 琴音さんが上着の内ポケットに手を入れると、一枚のカードを取り出してそういった。そしてそのカードからムース君の鳴き声が聞こえる。カードの中に戻っちゃったのか…。

 

 

琴音「ところで、陽介のやつはどうした?アイツに用があるんだが」

 

一歌「お兄ちゃんですか?そろそろ来るはずですけど…」

 

兄「お待たせー」

 

 

 噂をすればなんとやら。お兄ちゃんが教室に入って来た。

 

 

兄「あ、琴音さん。お久しぶりです。来ていると聞いてビックリしましたよ」

 

琴音「本来お前に用があったんだけどな。でも偶然一歌さんのこと見つけて懐かしくなってな。ついでだからまた会って行こうかなって思ってさ」

 

 

 琴音さんがお兄ちゃんが就職した場所の先輩であるということは聞いたけれど、まさか既に面識があったなんて…。ていうか、

 

 

一歌「琴音さん…懐かしいって…私たち初対面ですよ?最初のときも同じ間違いしてましたし…」

 

琴音「あぁごめん…。二ヤリの記憶と混濁してな…。アイツの体験が時折自分のものに感じるからさ」

 

穂波「それって大丈夫なんですか?」

 

 

 他の人の記憶が混濁するってなに?あり得ないことを聞いたけど、お兄ちゃんの魔法は記憶を再生できたり記憶を消したりできるからそんなことがあっても不思議に感じなくなってきた。

 

 

琴音「大丈夫だ。初期ぐらいまでだから…。で、だ。陽介、コッチでの生活はどうだ?」

 

兄「そりゃあもう最高ですよ!なにせ再びカー○ィと再会できたんですから!!テレビの電源入れるのもゲームの電源入れるのもコントローラー握るのも何もかも新鮮で!!自分の部屋でカー○ィのゲームパッケージを見ただけで過呼吸になるくらいには感動しましたね!パッケージを開ける音からカセットを取り出す音まで凛々しく感じられて3○Sにカセットを入れるカチッって音が心に響きまして!あ、コッチに戻ってやったのはやっぱり【星のカー○ィW○i】でですね!W○iの起動音って心が安らぐんですよね!W○iリモコン動かしてアイコン選択の音も懐かしくて!まぁやっぱりカー○ィと言えばコ○ー能力なわけでしてウ○トラソードの快感をまさかもう一度味わえるなんて――」

 

琴音「あぁうんそうだな。お前はカー○ィ大好きだもんな」

 

 

 お兄ちゃんのマシンガントークを強制中断した琴音さんはため息を吐きながら椅子にもたれかかった。本当にうちの兄がすみません…。 

 

 

咲希「と、ところでなんですけど!お兄さんと琴音さんって面識あるんですか?」

 

ルカ「確かにそうね。いくら職場の先輩とはいえ日も浅いはずなのに…」

 

兄「あぁ。喫茶どんぶらのことは話しただろ?俺が異世界にいる間、どんぶらに行った際に出会ってな…。そこでお世話になった」

 

 

 ちなみにミクたちにも転移ボーナスの件や喫茶どんぶらのことは通達済みだ。まぁ案の定宇宙を背負っていたけど…。

 

 

穂波「そうだったんですね…」

 

琴音「そうだお前、どんぶらで二ヤリに会ったんだって?アイツから話聞いたぞ」

 

兄「二ヤリさんから?あ、そういえば二ヤリさんと琴音さんってロ○ロとラ○ラみたいな関係でしたよね」

 

琴音「あーうん。まぁそうだな…」

 

 

 ロ○ロとラ○ラってなに?カー○ィで例えられても全然分からないんだけど

 

 

琴音「アイツからはいろいろ聞いた……って、こんな話はどうでもいい。お前への用は、2つ。まずはこれ」

 

 

 琴音さんがポケットを漁って中身を取り出すと――それはスマホだった。

 

 

琴音「これ、連絡用のスマホな。普段使いしても全然かまわないだとよ」

 

兄「へぇ~ありがとうございます。でも別にスマホなんて使わなくても精霊にお願いすればいいし…」

 

琴音「それじゃお前の言葉が伝わらないだろうが。いいから持っとけ」

 

兄「はい…」

 

 

 お兄ちゃんがスマホを受け取って収納魔法にしまうと、そのまま目線を琴音さんに戻した

 

 

琴音「それで、2つ目の要件はお前の初仕事に関することだな」

 

兄「お、ついにですか!!」

 

琴音「そこでお前の万能話手ワイルドトーカーが必要でな。だからこうして直接話を通したくてな」

 

咲希「…『万能話手ワイルドトーカー』って、なんですか?」

 

 

 急に聞き慣れない言葉が出てきて首を傾げていると、咲希が質問をした。

 

 

琴音「ん、あぁ。コイツが適当な神からもらった『翻訳』の能力を知ってるか?」

 

志保「あぁ、あの中国語の…」

 

琴音「知ってるなら話は早いな。その『翻訳』能力の正式名称を決めようってなってな。ちなみに『万能話手ワイルドトーカー』の命名はマスターだな。万能話手って書いてワイルドトーカーだ」

 

メイコ「良い名前ね…。センスあるわ」

 

琴音「あぁほんとに…。………陽介、ちょっとあの時のこと映してくんねぇか?」

 

兄「あ、いいですよ。記憶再生イキュラス・エルラン

 

 

 お兄ちゃんが記憶再生の魔法を使うと、全員でその魔法に目線を向かわせる。

 記憶映像の始まりは喫茶どんぶらからだった。カウンター席に座っているお兄ちゃんと琴音さん、そしてカウンター越しにいるマスターさんだ。

 

 

兄「これは16歳の時に俺の翻訳能力が発覚したあとの話だな」

 

 

兄(16歳)『えー、厳選なる抽選の結果…俺の異世界転移ボーナス…『翻訳対話スキル』の正式名称は…ワイルドトーカーに決定しましたー!マスターの案でーす!いえーい!』

 

 

 カンペを持ったお兄ちゃんがキメ顔で二人に向けて宣言していた。『万能話手ワイルドトーカー』と書かれたその下には『マルチリンガル』と書かれた別の案があった。さらにその下にもなにか書かれているみたいだったけど、映像が途中で途切れていて全く読めない。

 

 

琴音「ちなみに『マルチリンガル』は俺の案だな。で、その下にあるのが、コイツの案だ」

 

 

琴音(過去)『よ、よかったな…』

 

マスター『――――』

 

 

 映像の琴音さんが歯切れの悪い誉め言葉が映像の静観などんぶらの中で響く。なんか二人とも気まずそうにしてるけど、なんでだろう…。すると、映像が下に移動してお兄ちゃんの案が露わになった

 

 

The Supre SHABERI™

 

 

一歌(なにあれ!?)

 

志保(だッッッさい……!!)

 

咲希(お兄さんの案はなんか絶対嫌だ…!)

 

穂波(妙に凝ってるのが…)

 

ミク(お兄さんの案回避されてよかった…!本当によかった…!)

 

ルカ(™ってなに…?)

 

メイコ(見てると心が締め付けられる…関係ないのに…)

 

 

 マスターさんの案が採用されて本当に良かった。あんな果てしなくダサイの究極系みたいな名前を呼びたくない。

 だから琴音さん歯切れ悪かったんだ…。

 

 

兄「でも、『万能話手ワイルドトーカー』は発動条件があるし、ちゃんと使えるかどうかは…」

 

ミク「発動条件?」

 

兄「うん。発動条件は、『直接対話』と『必死さ』かな。だから、英語の勉強教えてほしいとか言われても無理だから」

 

志保「二か月前まで異世界にいた人にそんなこと求めませんよ…」

 

 

 なんでも『翻訳』できるってわけじゃないんだ…。それとそんなこと流石に頼まないよ。

 

 

兄「ていうか、能力とは関係ないんだけど…2~3年間ほぼ毎回英語の授業受けたのに話せも聞き取れもしない英語の授業って一体なんなんだろうな…」

 

メイコ「本当に関係ないわね…」

 

穂波「小学校の頃の英語の授業は、子供向けのものだから少しぐらいは覚えられるはずなんですけどね…」

 

琴音「―――まぁともかく。コイツが願った力は“言葉が通じて分かり合える能力”だからな…。そう言う条件がついてんだよな」

 

ルカ「……じゃあ、こっちに戻って来た直後に日本の精霊と対話できたのも、それだけ必死だったってことかしら?」

 

 

 …確かに。『翻訳』の能力の発動条件が『直接対話』と『必死さ』ならあの時も相当必死だったはず。対話相手の精霊はどこにでもいるから『直接対話』の条件はクリアしていたし、だとしたらなにがお兄ちゃんをそんなに駆り立てて――

 

 

兄「あぁ…。あの時はほら。一歌の“可哀想なモノを見る目”に耐えられなくて…」

 

 

 その瞬間、全員の視線が私に集中する。いや、ちょっと待って。

 

 

一歌「それは……うん。4年ぶりの対面での言葉が異世界語だったし、急に魔法だとかなんとか言われても混乱するし…」

 

ミク「まぁ…そうだよね…」

 

志保「いきなりそんなこと言われても信じられないしね…」

 

琴音「……いや、でも『万能話手ワイルドトーカー』の発動条件にしてはちょっと弱すぎるな。もっと、心の底から必死にならないと駄目だったはずだが…」

 

 

 あ、理由これじゃないんだ…。

 心の底からの必死さ…。過去、お兄ちゃんが異世界で『翻訳』能力を発動した時、あの時は…。…傭兵の人たちにボコボコにされて死にかけた時…あれは必死にならざる負えない。牢屋で一週間放置されたときも……あぁしてないと心が壊れただろうから必死だったんだよ、うん。

 

 

琴音「なんか他に心当たりないのか?」

 

兄「……。あの、そんなことより仕事内容もっと知りたいなって、あはは…」

 

琴音「……お前なんか隠してるだろ」

 

兄「ヴェヴェヴェヴェヴェツに!?」

 

ルカ「動揺しすぎでしょ」

 

 

 あからさまな話題転換に琴音さんがメスを入れると、お兄ちゃんが分かりやすく動揺した。絶対なにか隠してるでしょこれ。

 

 

琴音「ほら、吐いちまえよ。心の底から必死だったんだから相当な理由なんだろ?お前が隠すなんて、余計気になるだろうがよ」

 

兄「いやその、マジで勘弁してください。えーと、えっと、その、ヤバイので」

 

琴音「しゃらくせぇな。とっとと見せろ!」

 

 

 しびれを切らした琴音さんが、一瞬でお兄ちゃんの後ろに詰め寄ってお兄ちゃんの頭を叩いた。み、見えなかった…。今どうやってお兄ちゃんの後ろまで…。

 って、お兄ちゃんの目の前にとても見慣れた画面が――、

 

 

兄「き、記憶再生の魔法…!?ま、まさか!」

 

琴音「フフフ。マスターから購入してたのさ、“記憶再生の呪符”をな!」

 

兄「あ、悪魔…!」

 

琴音「悪魔ですがなにかぁ?」

 

 

 そこには、記憶再生のホログラム映像があった。

 さっき琴音さんがお兄ちゃんの頭を叩いたときに貼り付けたんだ…!

 

 困惑しながらも、私は記憶映像に視線を送っていた。

 

 

琴音「さぁ、お前が何を隠しているのか、赤裸々にしてや―――」

 

 

 

琴音(酔っ払い)『お前さ~帰還した後もヤバイんじゃね?』

 

兄(17歳)『え、急になにを…』

 

琴音(酔っ払い)『いやよくよく考えてみろよ~。帰ったところでお前の経歴あれよ?満足に小卒とも言い張れない勃○不全ならぬ学歴不全だぞ?』

 

兄(17歳)『ぼ、ぼ…?』

 

マスター『琴音、上手いこと言ってるつもりだろうけど、滑ってるよ』

 

琴音(酔っ払い)『うるへー!!とにゃかく、お前還っても最悪捨てられて死ぬんじゃね?今のうちに家族に媚び売る言葉でも考えとけよ~』

 

兄(17歳)『いや、俺の家族はそんなことしな――』

 

琴音(酔っ払い)『人生何起きるかわっかんねぇんだよ!マスターの知り合いだってなぁ!昏睡から目覚めた後初めて会った親族は殺気の籠った役所の書類持った甥っ子だったんだぞ!お前だってそうなるかもしんねぇんだぞ!』

 

マスター『さりげなく嶋嵜しばざきくんのことディするのやめようか』

 

琴音(酔っ払い)『まぁ捨てられたら捨てられたでウチに来ればいいんじゃね?お前だったらあのイカレキチガイどもとやっていけるだろ!ハハハハハ!!』

 

 

一歌・咲希・穂波・志保・ミク・ルカ・メイコ

「「「「「「「――――」」」」」」」

 

兄「――――」(うつむき)

 

琴音「――――」(汗だく顔逸らし)

 

 

 衝撃の真実に誰もが口を閉じた。

 セカイに沈黙が訪れる。お兄ちゃん、黙ってたのって琴音さんの名誉のためだったんだ…。そしてそれをよりにもよって本人にぶち破られるという…。 

 

 

一歌「……琴音さん?」

 

琴音「―――」

 

一歌「お兄ちゃんが必死だった理由、完全に琴音さんが理由でしたよね」

 

琴音「……いや、でも、ほら。そのおかげでアイツが必死になれてコッチでも魔法使えるようになったんだし、結果オーライじゃね?」

 

一歌「……そういえばお兄ちゃんさ。目覚めたあと私のこと“美少女”とかべた褒めしてたのアレ…お世辞だったの?」

 

兄「……いや、それは本心だぞ?本当に可愛くなったと思ってるよ。うん」

 

 

全員「「「「「「「「「――――」」」」」」」」」

 

 

 再び沈黙がセカイを支配する。

 これ、どう収集つければいいんだろう…。

 

 

琴音「じゃあ俺、今夜は飲み歩いて帰るよ」

 

一歌「この空気で?ていうか、琴音さんって成人してるんですか…?」

 

琴音「とっくにしてるわ。酒はなぁ、嫌なことすっきり忘れさせてくれるんだよ!」

 

兄「忘れたいなら忘却魔法の方が手っ取り早いですよ?やります?」

 

琴音「却下だ!」

 

 

 お兄ちゃんが忘却魔法を提案してきたけど琴音さんは即座に却下した。まぁ当然の反応だけど、あからさまに逃げようとしてるよね、この空気から。

 

 

琴音「あ、そうだ。せっかくだからよ、陽介。お前も一緒に飲むか!?よし行こうぜ!」

 

一歌「あの、ウチの兄を非行に走らせるのはやめてください…」

 

咲希「琴音さん!お酒は二十歳になってからですよ!」

 

メイコ「未成年を飲みに誘っちゃだめよ、琴音さん…」

 

琴音「えっ、あっ、そうだった…。いろいろこんがらがるな…。でもコイツ、アッチじゃそれなりに飲んでたぞ?」

 

 

 琴音さんの言葉に、私たちの視線が一点に集中する。え、お兄ちゃんお酒飲んでたの…?

 

 

兄「あぁ、異世界だと成人は15歳からなんだ。だから、15歳の越冬祭の時に初めて酒を飲んでな…。ぶっちゃけ変な味だった」

 

一歌「そうなんだ…」

 

穂波「世界が違うと、常識も違うんですね…」

 

琴音「あっそうだお前!お前が酒初めて飲んだシーン見せてみろよ!こんな気分なんて吹っ飛ぶからさ!」

 

兄「えっ、いいですけど……記憶再生イキュラス・エルラン

 

 

 琴音さんの露骨な話題転換に真顔になりながらも、私たちはその記憶映像に視線を向けた。

 

 

兄(15歳)『ゴキュゴキュ…。…ウッエ。後味が…。父さん、よくこんなの飲んでたな…』

 

 

 映像のお兄ちゃんが、お酒を飲んで疼いている。お酒ってそんなに美味しくないのか…。

 すると、周りが急にざわついた。

 

 画面の視点が切り替わると、お兄ちゃんの背中側からドレスを来た女性――エルミリアさんが歩いてきた。

 それはもう、すっごく綺麗だった。今までの剣呑な空気なんて全部吹っ飛んじゃうくらいに“美しい”の言葉が似あっていて、ドレスが少し透けて下着も見えてるけど、それもプラス要素として働いている。美男美女だらけの異世界人たちも、エルミリアさんに釘付けだった。

 

 

ミク「綺麗…」

 

兄「あ、コイツもいたのか…。ん?いたっけ?次の日の朝は会った気がするけどどうも記憶が…」

 

ルカ「まぁ二年前だものね…」

 

 

エルミリア『……奇遇ね』

 

兄(15歳)『……席、他にも空いて――』

 

エルミリア『この前のアレは何!?』

 

兄(15歳)『――ッ!』ビクッ!

 

エルミリア『封印都市ルバルドラムの結界を張り直したでしょ?どうやったのよあんた』

 

 

 エルミリアさんの問いにお兄ちゃんが固まる。この前その話題でヴィヴィさんたちの記憶消しちゃったけど、もしかしてお兄ちゃん、エルミリアさんの記憶も…。

 すると、お兄ちゃんはお皿の肉団子を大きい爪楊枝で刺してエルミリアさんの口に近づけた。

 

 

兄(15歳)『あの、これどうぞ…』

 

 

 エルミリアさんは戸惑いながらもその肉団子を口にした。

 

 

エルミリア『なによ、美味しいじゃない…』

 

兄(15歳)『他にもあるから、結界壊したの黙ってもらえると…その、助かる…』

 

エルミリア『は?』

 

兄(15歳)『あ、助かります…』

 

エルミリア『??』

 

 

 エルミリアさんに対してペコペコしてるし…お兄ちゃん強請ゆすられてると思ってるな…。

 

 

エルミリア『……ねぇ、オーク顔はどうして魔法なんてものが使えるの?』

 

兄(15歳)『えっ?』

 

 

 エルミリアさんの問いに、お兄ちゃんが顔を上げる。まぁ誰だって気になることだよね。でもこの頃のお兄ちゃんは15歳。16歳の時にボーナス云々のことを知らないはずだし…、ていうか。

 

 

一歌「お兄ちゃん、自分が魔法使える理由気にする余裕なかったって言ってなかったっけ…?」

 

咲希「エルミリアさんに質問されてたし、この時に気にならなかったんですか?」

 

兄「あ~…多分、酒に酔って覚えてなかったんだな…」

 

志保「だからノーカン扱いに…」

 

 

兄(15歳)『精霊から力を借りてるんだ。話すと結構楽しいぞ』

 

エルミリア『精霊ってそんな訳の分からないものを……いいえ。ふー。じゃあ、あれ?3年前初めて会ったとき、明らかに訓練も何も受けてない身体で憂鬱竜を倒したじゃない…あれも魔法の力?ほんと、魔法様々ね』

 

兄(15歳)『あれ憂鬱竜って言うのか』

 

エルミリア『!?そうよ!!この間の【傲慢竜】プライドドラゴンと同等の【怠惰竜】スロウスドラゴンから生まれた“人類の負の遺産”【憂鬱竜】メランコリードラゴン!知らないで装備も訓練も無しで挑んだの!?普通死ぬわよ!バカ!オーク脳!!』

 

兄(15歳)『お前を助けたいと思ったんだからしょうがないだろ…』

 

 

 お兄ちゃんのその言葉に、エルミリアさんが顔を赤らめた。お酒が入っているとはいえ、こういうこと言えるのすごいな…。

 

 

琴音「こいつのこういうところって本当にすごいよな」

 

一歌「そうですね…」

 

 

エルミリア『はぁ…そうやってほかの子も助けてはかどわかしてるんじゃないでしょうね…』

 

兄(15歳)『?【暴食竜】を倒したときはとても感謝されたが…』

 

 

 その言葉に、エルミリアさんが飲んでいたお酒を噴き出した。

 

 

エルミリア『あ、あの凍神剣とうしんけんで!?じゃああの“氷の一族”から後継者と認められたの!?』

 

 

 いいえ、それどころか無視して直行して倒してました。

 

 

兄(15歳)『いや、剣なしでも頑張って工夫したら倒せたぞ』

 

エルミリア『嘘よ!!【暴食竜】グラトニードラゴンはあらゆる攻撃を無効にする暴炎うろこに覆われているから凍結封印するしか倒す術はないって…』

 

兄(15歳)『違うんだなぁ』

 

エルミリア『!?』

 

兄(15歳)『炎には炎。暴食竜の暴炎食らって焼かれてる間だけは物理剣でちょっとだけダメージ通るんだ。そこが分かってからはまぁパターンだな』

 

エルミリア『…!?……じゃあどうやってそれを…?』

 

兄(15歳)『何度も頑張って工夫して…』

 

エルミリア『―――ッ!!』

 

 

 エルミリアさんが顔を抑えて肘を机に着ける。まぁ当然の反応だよね…。ていうかあの時の映像お兄ちゃん、あれわざと焼かれたんだ…。一体なにをどうしたら焼かれることを前提に攻撃しようって言う発想に至るんだろう。控え目に言って狂ってるよね、ほんと。いくら火炎耐性付与する魔法があるとはいえ…。

 

 

琴音(こういうところがイカれてるから、ウチの適正ありまくりなんだよなぁ…コイツ)

 

 

 すると、映像のお兄ちゃんが収納魔法に手を入れて何かを取り出した。

 

 

兄(15歳)『信じてないのか?戦利品の【暴食竜】の暴炎を封じた瓶詰めだ。これでどうだ』

 

エルミリア『それ、外に出したら復活するわよ。【暴食竜】』

 

兄(15歳)『マジで!?』

 

 

 暴炎の瓶、出したら駄目なやつだった。

 

 

エルミリア『関係ないじゃない。また倒しなさいよ。恐れ知らずのオーク様なんでしょ?』

 

兄(15歳)『……それは違う。【憂鬱竜】の時もそうだが、最初から無理って決めつけてるからお前は勝てないだけだ』

 

エルミリア『な、なんですって?』

 

兄(15歳)『“未来は自分で掴み取る”。俺の座右の銘だ』

 

 

一歌・咲希・穂波・志保・ミク・ルカ・メイコ

「「「「「「「―――!」」」」」」」

 

琴音「いい言葉だな、やっぱ」

 

兄「でしょ?」

 

 

兄(15歳)『どんな危機的状況に陥っても活路を見出し望んだ結末を掴み取る…。だからどんなときでもどんな相手でも諦めずに挑み続けるのが大事なんだ』

 

 

兄「この際だから、みんなにも言っとこうかな。皆もきっと、この先いろんな壁にぶち当たるだろうけど、皆がいればきっと、望む結末に辿り着くことができる…。だからどんな逆境でも、どれだけ無様でも、最後まであがき続けることが大事なんだ。だから俺は今、こうやって一歌たちと楽しく話ができるんだ」

 

一歌「お兄ちゃん…」

 

ミク「流石。異世界帰りの人が言うと説得力が違うね」

 

琴音「ふふっ…。さ~てと、こっからだな…。俺はこの後見れてなかったから、この後どうなるのか知らないんだ…」

 

 

 お兄ちゃんの座右の銘に感銘を受けていると、映像の方でも動きがあったので目線を移す。

 

 

エルミリア『オーク顔のくせに。誰の言葉よ』

 

兄(15歳)『占い師のメ○ベルの言葉だ。と言っても、彼女の言葉を元にして俺なりに解釈したのが、俺の座右の銘なんだけどな』

 

エルミリア『占い師ねぇ…。私は知らないけど、有名なの?』

 

兄(15歳)『アニメ星のカー○ィの登場人物だ』

 

 

一歌・咲希・穂波・志保・ミク・ルカ・メイコ・琴音

「「「「「「「「――――」」」」」」」」

 

 

 

―――は?

 

 

エルミリア『アニ…?』

 

兄(15歳)『アニメ星のカー○ィ62話【たかが占い、されど占い】でデ○デに頼まれて『メー○ルの今日の運勢』というコーナーをやっていたんだが、ブ○達のイタズラで占いが100%当たるようになってな。だがそれらの占いは人生と同じで、いつどこで起きてもおかしくない不幸なんだ。元々の言葉は「占いは未来を当てるのではなく、相手の悩みを聞くカウンセラーのような仕事」と言っているんだが俺はこれを製作人たちのメッセージだと受け取って――』

 

 

 お兄ちゃん……!!カー○ィから人生を学んでたの…!?

 

 

兄「コレちなみにな。カー○ィの座右の銘である“あしたはあしたのかぜがふく”の意味も入ってるんだ。意味は「未来の事は誰にも分からないから、成り行きに任せて生きるとよい」って言う意味なんだけどさ…やっぱり“あした”を決めるのは自分だよなぁ」

 

琴音「……あ、うん……」

 

兄「ふふっ…ちょっと見たくなってきたな…。まだYo○Tubeで見れるかな?アニカビ。琴音さん、このスマホってYo○Tubeも観れます?」

 

琴音「あぁ。最初から入ってるから好きにしろ…」

 

兄「あ、みんなも観る?」

 

 

 その問いに、私たちは全員で首を横に振った。

 

 

兄「そうか。飽きたら呼んで」

 

 

 そうしてお兄ちゃんは教室の隅に椅子を持って行ってスマホを操作し始めた。

 この記憶喋ってばっかりだからもう飽きたんだな、お兄ちゃん…。

 

 

兄(15歳)『ふー…』

 

エルミリア『どうしたの?』

 

兄(15歳)『なぁ、これから暇か?宿屋に部屋を取ってあるんだが…来ないか?』

 

 

 ………え?

 え、は、え?何言ってんのこの人。ちょ、直球に誘って……え?

 

 ほら、エルミリアさんだってキョトンとしてるし…

 

 

エルミリア『は、はぁ!?そんなこと言われてのこのこ付いて行くわけないじゃない!ついにオークの本性表して――』

 

 

 お兄ちゃんが、エルミリアさんの手首を掴んで…。

 その時、エルミリアさんが厳しい目をお兄ちゃんに向けて…

 

 

エルミリア『手を放――』

 

 

 が、それが言い終わる前にお兄ちゃんはエルミリアさんの腰に手を回して体を密着させた。その突然の行動にエルミリアさんも顔を赤らめて困惑しだした。

 

 

エルミリア『え、あの、なんで…』

 

兄(15歳)『行くぞ』

 

エルミリア『うん…。あ、ちょ、今のは…』

 

 

 ―――――。

 

 

メイコ「お兄さんって、酔うと肉食系なのね…」

 

咲希「え…いやいやいや!!ちょっと待って!こんな展開忘れるってあり得る!?」

 

穂波「もしかして、記憶消去の魔法を使って…?」

 

志保「あり得るかも。それで不都合な記憶とか消して精神の安定を図ってたみたいだし…」

 

ルカ「ここから先の過ちを消している可能性があるわけね…」

 

琴音「急に燃える展開になってきたな!早く!!続き!!」

 

一歌「ちょ、あの!家族のそういうところなんて見たくないんですけど!?」

 

ミク「とんでもない公開処刑が…」

 

 

兄「いや、その日は記憶魔法使ってないはずだぞ。それよりアニk――」

 

 

琴音「いいから黙って見てろ!こっちは今忙しいんだよぉ!」

 

兄「あ、すみません…」

 

 

 琴音さんの恫喝で一瞬で黙り込んだお兄ちゃんはスマホの画面に視線を戻してた。手慣れてるな、この人…。

 ていうかどんどん雰囲気がそれっぽくなっていってるし…!!

 

 

エルミリア『ちょっと…しっかり歩きなさい!』

 

兄(15歳)『……ありがとうな』

 

エルミリア『えっ』

 

 

 お兄ちゃんが、エルミリアさんに感謝を…!?

 

 

兄(15歳)『辛い中お前がいてくれて…本当によかった』

 

エルミリア『にゃ!?今までは本当は辛かったの?』

 

兄(15歳)『はは…実はかなりな…でもお前がいたから…』

 

 

 すごい…。普段のお兄ちゃんなら絶対に言わないような弱音を吐いてる…。これもお酒の効果なの…!?

 3年間の異世界での鬱憤がお酒で開放されたのかな…それで、嫌いだけどずっと自分の話し相手になってくれているエルミリアさんに感謝してて、その部分がお酒で全面に押し出されたとか、そんな感じだったりするのかな?

 

 

琴音「コイツ墜ちた!完全に墜ちたぞ!これはもう朝チュンパターンだろ!」

 

ルカ「琴音さん、子供達の前でその発言はやめてください」

 

琴音「何言ってんだよルカさん!「お前がいたから」って名台詞、墜ちるに決まってんだろ!俺が女だったら確実に墜ちてるね!」

 

メイコ「いやあなた女性でしょ…」

 

 

 琴音さんの訳の分からない言葉を受け流しながら、私の目線は映像に釘付けだ。こんなの見たくないのに、目が離せない…。

 

 

兄(15歳)『そこの二階だ…』

 

エルミリア『うん……。私がそんなに心の支えに…』

 

兄(15歳)『ここだ。鍵は…』

 

エルミリア『だ…だらしないわね!いいわ!仕方ないからこの先もずっと…ず~っと支えてあげるわよ!』

 

兄(15歳)『いや、ここまでで十分だ』

 

エルミリア『―――?』

 

 

―――は?

 

 

兄(15歳+酔っ払い)『たしゅかった~!!本当に酔ってて辛かったんら!ここまで支えてくれてありがとう!!じゃあにゃ!!』

 

 

バタンッ ガチガチャッ

 

兄(15歳)『グ~~スヤ~~』

 

 

エルミリア『……え?』

 

 

一歌・咲希・穂波・志保・ミク・ルカ・メイコ・琴音

「「「「「「「「――――」」」」」」」」

 

 

 

―――!!!

 支えるって物理的にって意味で…!?辛いって異世界生活じゃなくて酔ってて…!?

 

 

兄「あっれ~……どこ探してもアニカビが出てこない…。あ、寝たのか。な?別になにもなかっただろう?

 

一歌「うん…」

 

咲希「はい…」

 

穂波「ですね…」

 

志保「本当に…」

 

兄「えっと、翌朝は…」

 

 

 映像が翌朝に切り替わる。

 そこには……あっ!

 

 

兄(15歳)『頭痛ェ…。なんでお前がここに…?』

 

エルミリア『オーク顔!ねぼすけ!今日はどうするの!?』

 

 

琴音「あぁ良かった!知ってたけど本当にタフだ!」

 

一歌「…待って琴音さん」

 

琴音「え?」

 

一歌「目元」

 

琴音「目元って―――あっ!?

 

 

 目元をよく見ると、そこには黒い隈が…。絶対枕を濡らしてたよね…涙で。

 

 

一歌・咲希・穂波・志保・ミク・ルカ・メイコ・琴音

「「「「「「「「――――」」」」」」」」

 

兄「まぁ特になにもなし、だな…。にしてもなんでYo○Tubeにアニカビがないんだ…?昔は見れたのに…」

 

 

 こちらに背を向けてスマホをスワイプするお兄ちゃんを誰もが凝視していた。この兄……いや女の敵をどう処すべきか、実の兄に対して抱いてはならないであろう感情を抱いていると――

 

 

ギーツバスターQB9

 

 

 突如そんな機械音が鳴り響き、私たちはその音が鳴った方向に視線を向けると――琴音さんの右手が金色の炎に包まれ、その炎が肥大化してやがて消えると、その右手にはとても重厚感のある黄金の剣が握られていた

 突然の光景に私達が言葉を失っていると、琴音さんはその剣のお尻の部分、リボルバー部分を引いた。

 

 

BOOST CHARGE

 

 

 それと同時に剣に黄金の炎が纏われて、それを大きく振り上げて――、

 

 

一歌「琴音さんストップ!!」

 

ミク「これ以上は駄目だよ!!」

 

志保「気持ちは!!気持ちはすっごい分かりますけど落ち着いてください!!」

 

ルカ「手を汚しちゃ駄目よ!!」

 

琴音「うるせぇええ!!離せぇえええ!!」

 

兄「―――?どうしたんですか琴音さん、武器なんて取り出して必殺待機状態にして。蚊でもいました?殺気振り撒いてますけど、アイツらって本当に面倒ですよね~。この時期は特に」

 

 

 いやセカイに蚊なんていないから!こっちは全員でなんとか琴音さんを抑えてるんだからさ!!元凶がスマホ弄ってないでさっさとこっちに意識向けて!!

 必死に琴音さんを抑えていると、突如として力が緩んだ。

 

 

咲希「あれ…?」

 

琴音「……ふーふー。……サンキューな、ムース。……あーもう……」

 

 

 全員で琴音さんから離れると、琴音さんは剣を持った手を降ろしてその手を離した。すると剣は黄金の炎に包まれて消えていった。本当に摩訶不思議だ…。

 

 

兄「あっれ~……本当になんでないんだ、アニカビ…」

 

琴音「フーフー…。それ、お前が見てたのって海賊版だろどう考えても…」

 

兄「海賊版?」

 

琴音「簡単にいやぁ違法アップロードされた動画…。そういうのは大抵運営が対応して消されるんだよ」

 

兄「マジかよ…。じゃあもうアニカビ見れないのか…。どうすれば…」

 

琴音「素直にBlu-rayかDVD買えよ…。これから仕事始まるんだから給料で買えばいいだろ」

 

兄「あ、それもそうですね」

 

 

 琴音さんの言葉に納得したのか、お兄ちゃんはスマホをポケットにしまった。

 

 

兄「……にしても、Yo○Tube…。昔かなりお世話になったんだが…。あれ、他にもなんか大事なものがあった気が…」

 

 

 あれ、なんだか急に雲行きが怪しく…。ていうかそれ以上は不味――、

 

 

琴音「アレお前キッズYo○Tuberやってるって言ってなかったっけ?」

 

一歌「ちょ琴音さんそれは―――!!」

 

 

 慌てて琴音さんを止めても、既に遅かった。

 私はすぐさま琴音さんからお兄ちゃんに視線を移した。その時、私の視界に映ったのは――、

 

 

 

兄「――――」

 

 

 

 鼻血を垂らした、兄の姿だった。

 

 

 

 

 




 黒竹琴音

 PROJECT NIYARIに登場予定の人物。
 性別:生物学上“女”
 一人称:俺
 種族:??
 容姿:【ホロライブ】の【黒上フブキ】の赤色を金色に置き換えただけ。左目が黒、右目が金色のオッドアイ。
 ちなみに【逢魔時王と一人と歌姫の従者】と【PROJECT NIYARI】のコラボ話にて登場した未来の二ヤリは左目が青竹色、右目が黒と対比になっている。
 【黒上フブキ】同様狐耳と尻尾も存在しているが、普段は隠しているため普通の人間にしか見えていない。
 年齢:二ヤリと同い年

 ムース(ドゥームズギーツケミー)

 PROJECT NIYARIに登場予定のキャラクター
 仮面ライダーガッチャードにおける“錬金術”によって造られた人口生命体の一体。

 原典:仮面ライダーガッチャード&仮面ライダーギーツ
 容姿:黒と金色の九尾の狐

 名前の由来
 ドゥームズ→ドームズ→トームス→ムス→ムース



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