異世界セカイ   作:龍狐

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 なにもしてなかった時間、いろいろやってました。
 それで気になったゲームやってたら、そのキャラがとてもかわいかったので…。

 多分あのゲーム知らない人の方が多いとは思いますけど、気軽に見てってください。


1 俺は異世界エクスハバマルで4年間冒険してたんだ

 2016年の1月。当時12歳だった一つ上の兄がトラックにはねられるという悲劇的な事故が起きた。幸い、なんとか命は繋がったようだがそれからというものの兄は昏睡状態に陥り、ずっと目覚めずにいた。

 

 そしてあれから4年経った2020年の夏―――病院から兄が目覚めたという連絡があった。私たちは病室に向かうと、そこで目にした兄は――。

 

 

兄「イレルラーズ エクスハバマル ヨ ガルトエバ リレクス」

 

一歌「―――」

 

両親「「―――」」

 

 

頭がおかしくなっていた

 

 

一歌「えっ…と…あの、お兄、ちゃん?」

 

兄「……あっ、日本語。異世界エクスハバマルに4年間いたがようやく帰って来たぞ、だ!あ~~ごめんな!ハハハハハッ!!」

 

3人「「「――――」」」

 

 

 ……うん。無理ないよね。4年間も寝たきりだったもんね。どこか頭に異常を来していてもおかしくないよね。

 実際お兄ちゃんの体は4年間チューブだけで栄養を取り続けていたせいか、やせ細っているし顔も老けてる。これで17歳だと言われても信じられないくらいだ。

 静寂が病室を包む中、扉が開いて看護師さんが入ってくる。 

 

 

看護師「検診でーす」

 

兄「ザルベ マディーラ コルストナム コルストナム!!」

 

看護師「あはは!はーい」

 

3人「―――」

 

兄「デル ストーバ ヨ ラベルト ガル」

 

看護師「そうですねー。では、失礼しまーす」

 

 

 見事なスルースキルを駆使して検診を済ませた後、私たちに一礼して看護師さんは退室した。

 そして流石に話が進まないと感じたのか、お父さんとお母さんが会話を切り出した。

 

 

父「じゃ、じゃあ、俺たちは病院の人たちと話しをしてくるからな」

 

母「一歌、お兄ちゃんのこと、お願いね」

 

一歌「うん分かった……って、え」

 

 

 反射的に返事をしてしまったが、慌てて振り替えると両親は既に病室から出ていってしまった。……押し付けられた。

 まぁ無理もない。久しぶりにあった息子の頭がおかしくなっていたら、ああなるか。事実私も今この場から猛烈に逃げ出したい。

 

 しかし返事をしてしまった手前、逃げ出すこともできない。私は覚悟を決めてお兄ちゃんと対面する。

 

 

兄「……一歌。大きくなったな。4年前はあんなに小さかったのに、今じゃこんな立派な美人さんになって」

 

一歌「……うん。ありがとう…」

 

兄「誇っていいぞ。4年間美男美女だらけの異世界にいたからな。お前はそんな異世界人たちと比較できるほどの美少女だ!俺が保証する」

 

一歌「―――」

 

 

 どうしよう。この場合、なんて返せばいいのだろうか。ありがとうと先ほどは言ったが、これにすら肯定してしまえばただの自意識過剰者になってしまいそうな気がする。それは普通に嫌だ。

 

 

兄「……よし、異世界にいた証拠を見せよう」

 

一歌「いやいいから」

 

兄「『疾風運搬ワーグレント・セルド』!あれ?『疾風操作ワーグレント・マグナ』!『疾風上昇ワーグレント・ヒルド』!」

 

一歌「お、お兄ちゃん?無理しなくていいから…さ?きっと、夢でも見てたんだよ。異世界なんて、本当にあるわけないし――」

 

 

 と、ここで私はとどまった。いや待って。異世界はなくてもとんでもない人たちはいたよね…?

 

 私がそこで思い出したのは約一月前の出来事。突如として私たちのバンドとミクたちの空間に侵入はいってきた9本の尻尾を持つ狐とその飼い主の少年。その少年は狐の正体を“錬金術”によって創られた人工生命体だと言っていた。

 彼らは私たちの歌を披露して狐をカードの中に入れるという不可思議現象を目の当たりにしたあと、一足先に帰ったがまさかの校門前でまた会うことになるとは思わなかった。そしてその隣には物凄く長い髪が空に向かって一直線に伸びている非常識過ぎる人が立っていた。ちなみにその人は2メートル越えの身長なのに少年と同い年の13歳で分身が使えて(A)の方らしく(B)と(C)がフェニランの方にいて(D)が宇宙にいたらしい。普通に訳が分からなかった。

 その人は少年を担ぐとあり得ないジャンプ力でフェニランの方に跳んでいって、その数分後にフェニラン上空からか○はめ波みたいな極太光線が放たれてたけど…。

 

 

一歌(アレ、錬金術とか分身とかできる人がいるなら、魔法があってもおかしく―――)

 

兄「風よッ!!」

 

 

 お兄ちゃんが叫んだ瞬間、タンスの上に置いてあった水入りのグラスが宙に浮き始めた。

 

 

一歌「―――えっ!?」

 

兄「風よ戻せ。こっちじゃ日本語なんだな」

 

 

 再びお兄ちゃんが言葉を発すると、グラスを浮かべていた風は収まり、タンスの上に綺麗に着地した。

 

 

一歌「(魔法……本当にあったんだ…!!)お兄ちゃん。それって…もしかして…」

 

兄「魔法だよ。火よ

 

 

 今度はお兄ちゃんの人差し指を起点に、ライターのような火が噴き出し始めた。

 

 

兄「あっ、それよりさ。あれから4年経ったわけだけど、星のカー○ィシリーズって今どこまで進んでる?

 

一歌「エッ、星の?カー……え?今?」

 

 

 確かにお兄ちゃんはカー○ィシリーズが大好きで実況動画を漁ったり、お年玉とか誕生日プレゼント、クリスマスプレゼントでゲームとかゲームハードを頼んでイベントや専門店に行くくらい好きだったけど――今それ聞く?

 

 

兄「重要なことだ。星のカー○ィシリーズどこまで進んだ?

 

一歌「えっ、えっと…」

 

 

 私はスマホを取り出して星のカー○ィの歴史を検索して読み上げる。

 

 

一歌「えっと、主なものだと2018年にはNi○tendо S○itchで――」

 

兄「えっ、Ni○tendо S○itchってなに?」

 

一歌「え、えっと……2017年に任○堂が新しく作ったゲーム機だけど…」

 

兄「マジかよ任○堂!W○iUが発売から5年後にまた…スゲェ!」

 

一歌「うん。すごいね…」

 

 

 今私はなにをしているのだろうか。本来なら4年ぶりに目覚めた兄と色々話がしたかったのに、何故任○堂のゲーム機の歴史を語っているのだろうか。

 

 

兄「で、続きお願い」

 

一歌「あ、うん。で、Ni○tendо S○itchで【星のカー○ィ スター○ライズ】が発売されて…他にもいろいろ発売されてるけど、一端ここで区切ろっか」

 

兄「えっ、なんで?」

 

一歌「いや、私も色々話したいことあったし…」

 

兄「あっ、そうか。俺が一方的に話すのもよくないな。すまん、一歌」

 

 

 なんとかここでカー○ィの話を区切ることができたけど、どうしよう。いろいろ衝撃的過ぎてなにを話そうと思っていたのか完全に忘れてしまった。

 沈黙が続く中、またお兄ちゃんが口を開いた。

 

 

兄「そういえば…俺のYo○Tubeアカウントって今どうなってる?再生数、今より伸びてるかな?」

 

一歌「えっ、アレのこと?アレは……」

 

 

 お兄ちゃんが星のカー○ィのことが大好きなように、私も【初音ミク】が大好きだ。互いに違うもの同士が好きだった私たちだったが、兄の方が私や両親に感化されたらしく、兄の将来の夢は

 

 

「俺、将来H○L研究所で音楽の仕事やりたい」

 

 

 だった。

 お兄ちゃんの第二の趣味として、Yo○Tubeで星のカー○ィシリーズのゲームの実況動画も投稿してた※。

 

※もちろん投稿前に両親の目を通している

 

 そして中学生になる少し前――お兄ちゃんが事故に遇った時期――からお兄ちゃんは本格的に入門レベルの資料や機材に手を出し始めて、機材をお年玉やお小遣いを貯めミクの声で【歌ってみた】動画を投稿する、と言う挑戦をしようとし始めた矢先のことだった。お兄ちゃんが事故に遇ったのは。

 

 たけど――。

 

 

「高校生になったらバイトして、もっとレベルの高い機材買うぞー!」

 

 

 と意気込んでいたあの頃が懐かしく感じる。

 でも、だけど、アカウントアレはもう――。

 

 

一歌「お兄ちゃん。言い辛いんだけど…あのアカウント、乗っ取られて垢BANされたよ

 

兄「―――――ッ!!!」

 

 

 衝撃の事実を口にした私が見たお兄ちゃんは今まで見たこともないくらいの、苦虫を嚙み潰したような顔をした。

 お兄ちゃんは無言のまま右手の手の平を天井に向けると突如として何もない空間に穴が空いた。そこから使い古された手帳とペンが出てきて、黙々と記入をし始めた。そして最後には…

 

 

兄「イキュラス・キュオラ……」

 

 

 自分の頭に手を当てて、なにかの呪文を唱え始めた。

 

 

一歌(何もないところに穴が……これも魔法なのかな?)……お兄ちゃん、それって?」

 

兄「えっ、なにが?」

 

一歌「あの、イキュラスなんとかって…」

 

兄「あぁ…記憶消去の魔法だよ。耐え難いことがあると使うんだ」

 

 

 YouT○beアカウントの件、そんなに辛いことだったんだ…。ていうか記憶消去ってそんなことまでできるの?

 

 

兄「……見るか?異世界では辛いことが多くてな。一応今まで消した記憶もメモってるからさ」

 

一歌「えっ、うん。じゃあ…」

 

 

 お兄ちゃんから手帳を受け取って、最初の一ページを見た。

 

 

一歌「―――ッ!!?」

 

 

 それを見た瞬間、私は目の前の文字を疑った。非現実で、衝撃的過ぎて、私は口を咄嗟に抑えた。

 

 

一歌「エッ、嘘でしょ…!?こんなことってあるの…!?」

 

兄「残念ながら、そこに書いてあるのは全部事実だ。まぁ全部消したから覚えてないけど…」

 

一歌「は、はい。コレ…」

 

 

 私は震える手でお兄ちゃんに手帳を返した。お兄ちゃんはそれを受け取ると、再びあの空間の穴へと戻した。

 その間、私の全身はプルプルと震えていて、先ほどの内容を頭の中で反芻していた。辛すぎる――!!

 

 

一歌「あの、お兄ちゃん…」

 

兄「どうした?」

 

一歌「今読んだ記憶……消して…」

 

兄「……だよなぁ。記憶の精霊よ。忘却の彼方かなたへ――

 

 

 お兄ちゃんにとって、 YouT○beアカウントの件がこのレベルだとは、思いもしなかった。

 

 

 

 




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