スペファン 作:プレイヤー
ある日、窓を開けると遥か頭上に宇宙ステーションが見えた。
大騒ぎである。
ニュース画面を見ると、人間ではあり得ない、ピンクの髪の女の子が唐突に大画面で宣戦布告していた。
慌ててURLをメモした。そして、簡単に応募できる事を知った。
ずっと自分に自信がなくて、引きこもって、同人誌ばかり描いてきた。
そんな自分も、もしかしたら変われるかもしれない。
だから僕は、筆を取った。
書くのは完全なオリジナル。
ワクテカ出版の漫画を読む。大丈夫。僕の方が面白い!
会心の出来だった。
投票がどんどん入ってくる。
ドキドキする。
このまま、いけ。いけ。いけーーーーーー!!!
『3位、おめでとうございます! つきましては、二週間後、指定の場所においでください』
「え!? やった! やったー!!!!」
「うるさい、お兄ちゃん! 今24時だよ!?」
「3位! エイリアンの漫画コンテストで3位になった!!」
「えっ 応募してたの!? 凄ーい!!! 私も行く!!!」
早速、同人誌仲間に一緒に行かないかと連絡をする。
皆、祝福してくれた。
実際の日程は15日間らしい。
宇宙へ行くための準備が五日間。僕も虫歯あるしね。治療は大事である。
空港まで行くと、順番に治療ポッドに入る。
憧れの漫画家先生達に会えて、もうそれだけで大興奮だ。
その場で編集者にスカウトもされた。もちろん喜んで受けた。
そして全員がポッドで治療を受けると、宇宙船に乗る。フライトは一時間も掛からなかった。
「ようこそ、宇宙ステーション月光へ。観光組はあちらの女性、愛菜の所へ。交渉組は私と一緒にどうぞ、艦長室へ。私は副艦長のエルです」
「ようこそ、歓迎します! まずは端末を配りますね。財布と同じなので無くさないように」
いわゆるドリアッド、木と一体化したような少女に、僕達は配られた端末の使い方を教えてもらう。
その後、宇宙ステーションを簡単に案内をしてもらい、部屋へ。
部屋では、棒のようなカートリッジを調理器に突っ込んで料理する方法を習った。
備え付けのカートリッジを使う分にはお金は掛からないらしい。
後は売店や娯楽室、バーなども教えてもらった。
娯楽室も使用料タダにしてもらったので、頑張れば10万月石はそのままお土産代に出来そうだ。嬉しい事に物価も安い。
ワクテカ出版は月光の唯一の出版社らしい。
比較的出来たばかりの宇宙ステーションで、まだ発展途上だったのだそうだ。
入居スペースにもまだまだ空きがあるらしい。
更に、艦長はまだ他に宇宙ステーションを保有しているとか。
愛菜さんは同人誌の販売とバイトをしていて、それで暮らしていけているみたい。
愛菜さんからワクテカ出版以外の、本星……並行世界日本の作品を見せてもらう。素直に面白い。
夕飯はパーティで、それ以降は自由。ただし、頼めば艦長が考えてくれた観光コースが楽しめるのだとか。観光コースを頼むと係員がボーナスをもらえるので是非、とプッシュしていた。
そういう事ならお願いしようかな。
一覧を見ると、ロボットとの触れ合いもできるようだった。楽しみである。
僕らが平和に楽しんでいる間、外交官達は大変だったようだが。
なんとその日のうちに帰されたらしい。何があったんだ……。
「魔王と侵略者のエイリアンの詳細を教えていただきたい」
「全然情報ないのよね。責めてきたらその時流れで対応するつもり」
「エイリアン襲撃までに、少しでも技術を!」
「今まさに内輪揉めでドンパチやってる所に兵器なんて渡せるわけないでしょ。戦争やめてから言えと。こっちはワザとお祭り騒ぎで準備期間を2ヶ月と二週間あげたんだからさぁ。少なくとも、30人もの枠の中に日本人だけならまだしも、各国の代表者入れといて最低限の大国を入れてないのがふざけてんのよ。それだけ余裕なら助力もいらないでしょ。それとも知らないって舐めてる?」
「……それは」
「あなた達だけでは地球の代表たりえない。でも日本の代表でもない。つまり交渉する価値はないわ。どうぞお帰りくださいな。仲良くするか、仲間割れしたまま、助力なしでエイリアンや魔王と戦うのか。よく考えてね。準備が整ったと判断したら、改めて招待状を出します」
横暴を言っている自覚はある。
色々と争う理由はあるのだろう。でも、一般人である私にはそんなの関係ない。
戦争は嫌だ。仲良くして欲しい。それだけだ。
大体、地球内の争いでリソース使うから、私の世界では宇宙に飛び出せずに地球が滅びたのだ。この地球はどうやら私の地球と同じ道を辿りそう、というか、なんだか私の地球の過去っぽくて。なおさら争いを容認できるはずがなかった。