個人の青春に寄り添い、救うのも医者としての務めだよ。   作:橆諳髃

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私が執筆している今作が初めての方は初めまして!橆諳髃と申します!!
また、他の作品を既にご覧いただいている読者の方については改めましての挨拶になります。

そんなことより今執筆している作品はほったらかしか?と思われるでしょうが、こちらの作品については、あらすじにも書きました通り、思い付きの見切り発車で書いておりますので、現在集中して書いている作品をほったらかしにしているわけではございません。

ただ羽休め程度で、他の方々の作品を見て私もたまにはこういった作品を書きたいと思うのみで、現在執筆中の「陰の復讐者となりて」は最後まで執筆します!
※最近どう話に切り込んでいいか迷っているのは事実です。

というわけで何卒温かい目で見て頂ければと思います。

それでは、どうぞ本編をご覧くださいませ。



Prologue(ブルーアーカイブ転生前)

 

 

 

 

 

 

 

 

(あぁ……覚悟はしていたけど、僕もここまでみたいだ)

 

 きれいな砂浜に、医者としての道を進んだ男が倒れていた。

天城雪彦……彼は世界的にも困難な心臓手術である「ダイレクトアナストモーシス」と呼ばれる術式を行使できるたった一人の心臓外科医だ。

 

 だが彼も心臓を患っていた。

それも本人自身にも「ダイレクトアナストモーシス」が必要な大病を……。

 

 彼が倒れる1年ほど前……心臓外科医で「佐伯式」と呼ばれる、心臓弁に対しての術式を編み出した「佐伯 清剛」、そして自分の双子の弟である「渡海 征司郎」による合同手術により何とか一命を取り留めた。

 

 しかしそれも不完全であったためか、今彼の命は尽きようとしていた。

 

(心残りがあるとするなら……ジュノ、君とまた会って、同じ手術台で患者さんのオペをしたかった) 

 

 雪彦がそう思いながら瞳を閉じようとした瞬間……

 

「やぁ”兄さん”、こんなところで死んでしまうなんて、まだ早いよ?」

 

 耳に、まるで自分の声に似た声が響いた。

閉じかけていた目を再び開けると、そこには自分と同じ顔と体格をした男がこちらをのぞき込んでいた。

 

 否、瓜二つと言っても過言ではなく、違う点があるとすれば弟の征司郎と同じく黒髪であるということぐらいだろう。

 

「兄さんは確かに、佐伯先生ともう一人の兄さんである征司郎兄さんの手術をしてもらったと思うけど、心臓の血管がまた破れかけてる。だから今すぐに雪彦兄さんがやってた「ダイレクトアナストモーシス」をやらないといけない状況なんだ。そして僕は、そんな状態である兄さんを助けたい」

 

 何を馬鹿なことを、と雪彦は思ったが、次の瞬間には自分が見慣れた光景が広がっていた。

 

「どう、兄さん! 驚いたでしょ! ここは僕と僕が許可した者だけが唯一使えるオペ室だよ! オペ看やら麻酔師もいらない、記録も全てこのオペ室が自動的に行ってくれるし、僕がこうしたいと思ったらなんでもかなえてくれるんだ!!」

 

 まぁ外部的要因だけだけどね! という自分と瓜二つの人物が言ったことに対して、雪彦は全く理解ができなかった。

だがそれも関係がないとでもいうように、雪彦は突然の睡魔に襲われる。

 

「さぁ兄さん、今はゆっくり休んで。次に目を開けた時は、これまで自分を襲ってきた絶望とは違う、素晴らしいことが必ず起こるから」

 

 その言葉を最後に、雪彦の意識は麻酔によって奪われる。

ただそこには先ほどまで感じていた苦しさはなく、穏やかな波の音を聞いて温かい日差しを浴びながら、昼寝をしている感覚、そんな気持ちのいい感覚を覚えながら、雪彦は夢の中へと旅立った。

 

 そして次に目を覚ますと、雪彦は長年勤めていた病院のベットに寝ていた。

後日自身の検査を病院で行うと、これまでの検査結果とは真逆の、全ての項目が正常だったのだ。

そして自身の心臓を映し出したCT画像にも全く問題が検出されていない状態の、健康な心臓になっていたのである。

 

 数日後には無事に退院して、通常勤務も行える状態になった雪彦は、すぐに日本にいるジュノこと「世良 雅史」宛てに手紙を書き、自分を現地まで迎えに来るようにと指示を出した。

 

 それからまた数日後には世良が雪彦を迎えに現れる。

再会した際、世良は雪彦に泣きながら文句を言っていたが、雪彦はその様子の世良を邪険には扱わず、本人の気が済むまで世良の体を優しく抱きしめ、赤子をあやすように背中をリズムよくたたいていた。

 

 その後の二人はというと、しっかりと和解を果たし、日本へと舞い戻る。

数年後、当初計画として進められていた心臓外科専門の病院、「スリジエハートセンター」が開業すると、二人ともその病院へ勤務することになり、さらに雪彦の弟である征司郎も赴任。

ここに世界最高技術の医師が集う場所が誕生した、そんな歴史的瞬間でもあった。

 

 

 

 

 

 やぁ、初めまして。

僕の名前は……っと、そういえば決めていなかったことを今更ながら思い出した。

 

 そうなってしまった経緯としては、まず有名な医学大学に通い始めてから4年目のある日、急に意識をなくしてしまった僕は、天界と呼ばれる場所にいたんだ。

そこで優しい女性、女神様が出迎えてくれたんだけど、どうやら僕は時期を間違えて死んでしまったらしい。

 

 要約すれば神様転生をさせてくれるとのことで、現世ではないが現世と限りなく同じ環境の世界に行けると案内されたので、まぁ今の記憶とかも全部持っていけるから良いかなと思っていたから承諾した。

 

(それに向こうには親族なんていないし)

 

 僕は中学生の頃に両親を事故で失った。

それも急なことで、二人が出かけていた時に、信号無視をした車に撥ねられて……。

 

 両親は駆け落ち同然で結婚をしたと言っていたから、当然僕を迎えてくれる親族はおらず、若くして一人暮らしをすることになった。

友達もいたにはいたから、偶に友達の家に行って夕食を振舞われたこともあったけど、頼り過ぎもよくないと思った僕は、高校生の頃になると完全に自立をするようになった。

 

 それで猛勉強をして、念願の大学にも受かることができた。

 

(これで、僕も医者を目指せる)

 

 まだ両親が生前だったころ、とあるドラマを見ていた。

「ブラックペアン」と呼ばれる医療ドラマで、主人公が一癖も二癖もある性格だが、医術の知識と技術は神がかり的で、演じていた役者もそのキャラに合っていてカッコいいと感じたんだ。

そのドラマを見てからというもの、医者になろうと勉強を努力した。

まぁ高校生になってからはより一層励んだけど、受かった時はどんな内容の手術でもこなせる医者になると改めて心の中で、両親に誓ったんだ。

 

 それが道半ばで、しかも神様達に誤って殺されてしまって別の世界に行くってことになるとは想像もつかなかったけど、でもまた医者を目指せるならいいと思った僕は二つ返事で転生することに同意した。

 

 そして向こう側の準備も整ったのか、僕の意識が段々と薄れていく感覚がした。

意識が完全に途切れる前に、目の前にいる優しい女性、名前は聞けなかったから女神様と自分の中で呼称して、感謝を告げながら行った……はずなんだけど、知らぬ間にまた女神さまの前まで戻ってきてしまった。

目の前には疑問符を浮かべている女神様がいて……。

 

 それで原因を調査すると、どうやら女神さまの方で転生する時にミスがあったらしい。

転生の際に「転生特典」の欄に記入をする必要があるようなんだけど、そこが空白のまま転生作業をしたようで、結果として転生先として生まれるはずだった僕の体は、死産という内容で僕の魂が定着できず、自動的にここに戻ってきたと……。

 

 そんなわけで目の前で女神様が部下らしき人にこってり怒られていた。

まぁ自分としてはミスは誰にでもあるし、それで人生を左右されたらたまったものではないけど……起こってしまったものは仕方ないから、僕は目の前のやり取りに自分から入って、今回のことは気にしてないからそこらへんで許してほしいと部下らしき人に頼んだ。

 

 そうしたら今度は女神様が泣きながら僕に抱き着いてきてお礼を言われる状況に……そのままにするのもあれだから、泣き止むまで優しくなだめながら頭をなでていた。

 

 それにしてもこの場では魂だけの状態なのに、こうして感触が分かるってどういう原理なんだろうな? それとこの女神様……プロポーションがいいから身体にダイレクトに二つのやわっこい感触が……あれっ? なんか性欲も認識できるんですけど?

 

 そんな状態でも女神様を慰めていたら、さっきと変わらない状態にまで戻った。

気分もスッキリしたようで、僕としても無事に泣き止んでよかったって思ったよ。

 

(でも泣き止んだ時に顔が赤くなっていたなぁ~。やはりどこに行ったとしても役職関係なく激務なんだろうし、その疲れも出て顔があかくなってたんだろうな~)

 

 尚、本作のオリ主は女性に対しての免疫がとことんないため、勘違いをしている。

今後の成長性に期待をしよう。

 

 それで今度こそ転生するって話になって特典を決めることに。

本来ならルーレットで決めるらしいが……さっきそんなものなんて話にも出てきてなかったんだけどね。

まぁさっきそれが話に出てこなかったってことは、この女神様はよほどおっちょこちょいらしい。

何か神様でもそういった性格の人がいるのは親近感がわくな~。

 

(部下の人曰く、この女神様だけらしいけど)

 

 それで今回の特典を決める方法としては、ルーレットではなく僕の要望をそのまま叶えてくれるらしい。

本当にルーレットじゃなくても良いのかを聞いたんだけど、今回失敗したのでその分を取り戻させて欲しいと、ズズィッて効果音が鳴るんじゃないかと思ったくらい僕の近くに寄って懇願してきた。

 

 まぁ女神様の好意を無碍にするような罰当たりなことはできないから、僕は素直に特典内容を伝えた。

 

 特典内容としては、医者になれるだけの医療知識と技術がほしい。

そして僕が転生してからも医療についての知識と技術がアップデートされるように、と。

 

 理由については、さっき僕が医者を目指したきっかけをそのまま伝えた。

後は……限りなく0に近くても救える命があるのなら片っ端から救っていきたいと、ドラマのセリフそのままだけど女神様に伝えたんだ。

 

 そうしたら女神様はまた涙を流していて、さすがに無理難題だったかと思ったら、なんか僕の話で感激したとのことで。

というのも最近の転生者は僕の特典以上に無理難題を言っては、理由も全く熱意を感じないと、それ以降ルーレット制にしたら、今度は自分の思い描いたようなものが当たらず、罵詈雑言の嵐……

 

(あぁ……なんだかごめんなさい)

 

 僕が言った訳ではないけど、思わずそう思ったと同時に言葉にも出していたみたいで、女神様からも自分が謝る必要はないと言ってくれた。

 

 それで結論としてだが……どうやら僕が願った以上の特典を付与してくれるとのことで、悪いと思って断ろうとしたんだけど、女神様の目が本気で直接本人には言えず、部下の人に顔を向けたところ、こうなったら止まらないから諦めるしかないとのこと……。

 

 ということで、ここは女神様の顔を立てようと思って、お言葉に甘えて特典を受けっとったら……

 

特典内容

 

・医療にまつわる全ての知識と、それに対応できる技術

・どこでも展開可能な手術室(破壊不可)

・クレイジー・ダイヤモンド

・ゴールド・エクスペリエンス(レクイエム化は不可)

・パール・ジャム

・オペオペの実の能力(カナヅチも改善可)

・両面宿儺の術式と呪術センス……っ⁉

 

 正直過剰すぎるというより一部医療関係ない奴があるんですが……。

僕が思ったことはせいぜい一般的な医療に関する事なのに……

 

(これじゃあ医術必要ないじゃんっ⁉)

 

 やり過ぎなのではと、心の声が実際に出てきて女神様にも聞かれてしまったんだけど、女神様曰く、全然問題ない範疇だし、むしろこれから転生してもらう世界では必須になると言われてしまい……僕をどこに連れて行く気ですかね……?

 

 ともかくとして、医療技術もそうだが、与えられてしまったものならもう仕方ない(付与したらリセットできないとも言われた)から、とにかく付与された特典を自分の手足のごとく使えるようにしたいと進言すると、それも想定内ですっ! と言っては僕の能力を訓練できる環境へと次々と送り出していった。

 

(その中で特に嫌だったのは両面宿儺関係だけど……)

 

 医療関係だけでいいと願ったのに、何故か両面宿儺と来る日も来る日も戦わされる始末で……おかげで両面宿儺の汚い言葉遣いが一部移ってしまうほどには、僕の元々の口調も悪くなってしまった……。

 

(まぁそれもブラックペアンに出てくる征司郎さんと同程度だけど……)

 

 それでなんやかんやあって両面宿儺は僕の内側に住むことになって……えっ? おかしい? うん、僕もそう思う。

だって気が付いたら僕の内側にいたし、最終的に彼から「お前と一緒に着いて(憑いて)いけば面白いものが見られそうだ」と……なんか着いて行くの意味がニュアンスが違うように感じ取れたよ?

 

 宿儺(本人からも長いし縮めて呼ぶことを許可された)との訓練もやっと終わったと思ったら、今度はスタンド能力を訓練することに、これについては既に宿儺と散々戦闘訓練をしまくったこともあって、割とすぐに使いこなすことができた。

 

 でにパール・ジャム……君だけは別物だったよ。

何せ料理として摂取させた相手しか効果を発揮しないし、それに加えて高品質の食材でなければダメという……確かに料理は元1人暮らしだから並大抵のことは出来るけど、高品質の食材の目利きとか全く自信がないし……

 

(高品質の食材……っ! もしかしたらこの問題は解決できるかもしれないっ!)

 

 解決策を思いついた僕は、とあることを試した。

作中では全くされなかった使い道だけど、もしかしたらと思ってやってみた結果……どうやらうまくいったようだ。

 

(それにしてもこんなところで医療知識が役に立つなんてね)

 

 僕でもまさかとは思ったが、もともとパール・ジャムは薬膳の効果を底上げして病を治すという能力だ。

そして医療知識には古今東西の薬膳知識が備わっている。

そこに今回の高品質の食材についての課題をどうやってクリアするかについてが難点だったが、やはり想像力というのはどこに行ったとしても重宝するものだと改めて気づかされたよ。

 

 あっ、ちなみに訓練する場所から違う場所へ行く時は、必ず能力をマスター、または作中よりも能力を強化したと判断されなければその場所から出ることはできない。

場所と言っても、行く先々の環境はバラバラで、どのタイミングで次の能力を鍛える段階になるのかも全く見当がつかない。

 

 ただ言えることがあるとすれば、次の段階に行くのなら、ここまで培ってきた経験をフルで生かすこと。

次の段階の基礎に今まで培ってきた能力を応用させる……言うは易しで実際にしてみるととても難しい。

 

(でも、ようやくここまでたどり着いた)

 

 そんなことが数年前のように思える現在は、訓練の最終段階としてとある患者の手術をしていた。

 

 その人物は”天城雪彦”という人物で、女神様の話では僕の”兄”になるかも知れない人物って話だった。

そう、僕は本来「ブラックペアン」という物語で本来生まれる設定ではない”渡海家の三つ子の末っ子”という形で転生をする予定だった。

 

 でも先にも言った通り、女神様のドジっ子能力によってそれも叶わなくなり、渡海家の子ども事情は原作と同じ内容になってしまったから、まぁ正直僕は原作通りで良かったんじゃないかなとも感じている。

 

 だけど作中で救われなかった人物達はについては、僕は助けたいと思ったんだ。

医療過誤、手術が上手くいったとしてもそれは延命にしかならなくて、最終的に数年後には死んでしまう命……。

傲慢だと理解しているけど、それでも僕には見過ごせなかった。

 

 そんな思いが女神様にも見透かされていたのか、最後の訓練は、スタンド能力や呪術など関係ない、自分の中にある医療知識と技術で救えなかった運命の人達を救うというもの。

それも、本来の転生先である「ブラックペアン」の世界線で。

 

 そこで救われなかった人達を救ったら物語が捻じ曲がるのでは? と疑問に思う人がたくさんいるだろうけど、そこについてはご都合主義的何かが力を発揮するらしく、物語の大本からは反れないらしい。(ハッピーエンドはしっかり仕事をしてくれる)

 

 だけどこの世界線で僕が治した人達については、僕ではなく全くの赤の他人がやったこととして認識される。

 

(だからと言って、目の前で失われそうな命を放っておくという選択肢は僕にはない‼)

 

 例え自己満足でも、本来救えなかった命を救えたということが大事なんだ。

そして……

 

(僕が救えた命が、その人生の最後まで、悔いなく生きていくことが大事なんだから)

 

 そんな思いで僕は最後の患者である天城雪彦、兄さんを治療していく。

現在兄さんの心臓には、佐伯清剛さんがダーウィンを使って施した「ダイレクトアナストモーシス」の手術跡がある。

それは以前雪彦兄さんがとある患者をダーウィンを用いて、”片手”で「ダイレクトアナストモーシス」を施したことにより、本来その手術ができない佐伯さんでもなんとか「ダイレクトアナストモーシス」をやってのけた。

 

 でも兄さんの心臓にある血管で、他の部分も詰まっているカ所が後々出てきてしまった。

だから兄さんは亡くなってしまったんだけど、それを僕が治す。

この世界で兄さんしかできない、「ダイレクトアナストモーシス」の術式を用いて。

 

 「ダイレクトアナストモーシス」とは、心臓の血管が狭くなって血流が正常ではないカ所を切除し、代わりに他の血管にある大動脈の一部を用いて直接移植するといった術式だ。

その方法は、口だけで言うなら、論理としてだけで言うのであれば簡単に見えるかもしれない。

 

 でも実際は、どんなに高名な心臓外科医がやったとしても成功しなかった。

正に誰にもできない手術だけど、兄さんはこれをやってのけた。

そして僕も今日、身内になるかもしれなかった人に、「ダイレクトアナストモーシス」を施術する。

 

 ここまで来るのが、とても長かった。

最初は医療とは関係ない戦闘訓練。

次に医療だけど医療知識とかほぼ関係なく人を治すことが出来る能力の訓練。

そして今行っているのは、前世でも僕が渇望した医療のみ、他の作用など全く介在しない純粋に医療の知識と技術を訓練する世界線。

 

 特典として「医療にまつわる全ての知識と、それに対応できる技術」を選んだわけだけど、これについても自分で自ら学び実行しなければ自分の血肉には決してならない。

これから先に赴く転生先では、確かに医療知識が僕の中に自動的にアップデートされると女神様は言っていたけど、それも基礎があるからこその話。

 

(そもそも僕は、特典に頼らずとも元から医療の道に進みたかったんだから、例え医療関係の知識や技術を得たからと言って慢心する気は毛頭ない!)

 

 これから行く先では、僕が知り得た医療知識だけでは通用しないことはきっとある。

だからこそ、僕は立ち止まる訳にはいかない。

本当に助けを求めている人達が、”自分に知識や技術がなかったせいで失われてしまう”ってことが無いように、僕は生きていきたい。

 

 そんなことを思いながらも、いよいよ狭くなった心臓の血管を摘出する。

その狭くなった血管の代わりに他の部位にある大動脈を摘出する、というのが本来の術式だけど、ここでは僕が事前に用意した物を使わせてもらう。

 

 それは、”僕の固まった血液で創り出した大動脈”だ。

先にも言ったけど、この世界では呪術やスタンド能力は一切使えない。

だけどどこにでも展開できる”手術室の中”で保管すれば、例えスタンド能力で創り出したものでも持ち運びは可能だ。

勿論そこには治療に関係するもののみといった制約は存在するけど、そもそも僕は神聖な手術室に治療に関係のないものは入れたくないし、むしろそれが普通だと感じている。

 

 後懸念されることは、他人の血管を使って手術が成功したとしても合併症などのリスクが伴わないのかって話だけど、そこもクリアしている。

 

(何せ今の僕は、この世界で生まれるかもしれなかった、渡海家の末っ子の身体で動いているんだから)

 

 転生後の身体としてはランダムって話を聞いていたけど、何の巡りあわせなのか、僕に本来与えられる筈だった、”渡海家の三男”の身体があてがわれた。

だからこそ、僕の体組織は天城雪彦とほぼ同じ遺伝子構造をしているといっても遜色はない。

 

 ってな訳で、僕の血液から創り出した血管を、摘出した血管のカ所に縫い合わせていく。

初めて行うはずなのに、リズムよく軽やかに手が動いていく。

それだけにとどまらず、頭の中に音楽さえ流れてきた。

 

(兄さんのようにクラシックとかじゃあなくてアニメソングだけどね)

 

 それから数分後……兄さんに対しての手術を終わらせてから手術室から出る。

そうすれば、さっきまでいた綺麗な砂浜に戻ってきた。

時間を確認すれば、さっきとは全く時間が進んでいないことも確認する。

後は適当に救急車を呼んで、兄さんが病院に無事に運ばれたなら、ここでの訓練も終わるだろう。

 

 そう思っていたら、僕の身体が透け始める。

どうやら兄さんが病院に運び込まれた場面を確認しなくても次に向かうみたいだ。

 

 同時に頭の中に女神様の声が響く。

内容としては、これにて付与された特典の全過程を終了し、このまま転生先へと送り出すとのことで、まるで学校の卒業式を思い出すような言い回しだなと思った。

 

(色々大変だったけど……今では感謝しかない)

 

 医療とは全く別の戦闘訓練とかやらされて、その結果大変な奴まで憑いてくる破目になったけど……どれも僕の中では大切な経験だ。

そのことに頭の中でだけど、女神様に感謝を伝える。

 

 すると女神様が嬉しそうな、それでいて綺麗な笑みを浮かべた気がした。

ただの僕の思い込みだけど……それでも雰囲気でそう感じ取った。

 

 最後に女神様から、僕の行く先で幸が多くあらんことを、と祝福を受けて、身体が完全に透けてなくなると同時に、意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 意識を失ってからそこまで時間が経っていないと思うけど、次に意識を覚醒させたときは深い微睡から目が覚めるような感覚だった。

 

(それとなんか暑い!?)

 

 なんか地面も空気も、挙句の果てに自分に降り注いでいるであろう太陽光ですら物凄く暑いと感じた、というより現在進行形で暑い!!

 

 そんな事態に、飛び起きるようにその場で目覚めて身体を起こせば……

 

「えぇ……辺り一面砂だらけなんですけど……」

 

 ひょっとして女神様……またドジっ子を発動させちゃったのかな……。

 

 そう思っていたオリ主だったが、オリ主の予想通り現在女神様は部下にまたしても怒られていた。

 

(とりあえず、生きるために動かないと……)

 

 まさか転生先で最初に直面したのが衣食住に関することという、波乱な展開からスタートしたオリ主の2……3度目の人生、果たしてこれから先どうなるのか!? そもそもまず現状をどうにかしないと医療行為すらままならないぞオリ主!! それはさておきこの物語でこの男はどんな物語を紡ぎだしていくのか! それは全て……この作品を書いている著者の匙加減である!!

 

 

 

 

 




普通にブルーアーカイブを書きたいのに何故こうもプロローグに凝ってしまうのか……。

簡潔に書ける方々の文才を羨ましく思う今日この頃です……。
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