わたしにとって、目標、夢というものは別れと不可分なものだった。
ウォルターの目標であったコーラルの焼却、それはエアとの別れとなるもので。
人とコーラルの共生を成すという夢を語るエアの手を取るならば、ウォルターとの決別が必要だった。
なので、というわけではないが。
今生にて「出会い」を「目標」としてアイドルをやる、ということに、
実はちょっと、いやかなり、わくわくしている。
が。
とあるプロデューサー科の方に声をかけられ。
「トップアイドルを目指している」と自己紹介をし。
トップアイドルを目指す理由を聞かれて、
「前世からの知り合いに会うため」
とバカ正直に答えてしまった。
これは間違った。「前世からの」の部分でけっこうヒかれ、それでなくても「出会いのためにアイドルをやるのはよくないよ」とやんわり諭された。
プロデュースしてくれる、という話にはならなかった。
でも
とりあえず、入学式の日は一人から話しかけられておしまい。
そんなもんだよね。
そんなもんだよね、と思っていたのだが、
同じクラスの広ちゃんには早くも
仮契約、という謎の契約形態だそうだけど。
その手腕が気になるので、早速聞き取り調査だ。
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「倒れて、保健室に連れて行ってもらって、プロデュースをお願いした、よ」
「なにひとつ参考にならない」
広ちゃんは神秘的な外見をしているところが目を引くが、身体能力がない。ひどいとかじゃなくて、ない。
立てばふらつき歩けば倒れ、座る姿は保健室でよく見る。そう、貧弱すぎてよくベッドの上にいる。
生きているのが不思議なくらいの体力のなさに、ちょっとどころではなく驚かされることもしばしば。
そんな広ちゃん、繰り返しになるが、その神秘的外見はとても目を引く。たとえ実態が筋肉/zeroの歩く(歩くのもやっと)のおもしれー女だったとしても、プロデューサーともあればそのデメリットを上回る何かを見出してもおかしくはないのだ。
「つまり一目惚れされたと言うことだね」
「そんな直球に言われると、ちょっと照れる、ね」
私の一目惚れ発言に、広ちゃんは満更でもないと言う雰囲気だ。おやおや、これはアイドルとしても成長しつつ男と女の関係の進展も期待できてしまうのでは?
「ふふふ、騙して悪いが仕事なんでな。広ちゃんのファン2号にならせてもらうー。」
「1号はプロデューサーだから。うん、嬉しい。何も騙されてない気がするけど、ありがとう。」
わいわいきゃーきゃーと、保健室の午後はすぎた。
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なお、午後の座学を忘れてて怒られた。
あれ。落ちこぼれ人生真っ逆様では?