陰キャダンジョン配信者の私でも恋していいですか?〜黒衣の剣士に助けられてバズっちゃった件〜   作:竜田揚げゆたか

14 / 24
第14話 憧れの人

 偽物事件から数日。私はいつもの様にギルドへ訪れて配信の準備を行っていた。

 

 そうそう、あの事件もまた切り抜きが大いに拡散されたのだ。しかし今回はDXのニュースアカウントにも記事が作られていた。

 

『黒衣の剣士が偽物を成敗!』

 11月16日、話題のクーデレ金色姫ことダンジョン配信者である『ゆい』氏、そしてこれまた噂に名高いハンター黒衣の剣士こと『黒崎勇吾』氏が配信を始めた所、冒頭から『黒崎勇吾』を名乗る不審者と遭遇。

 

 犯人は集まる人達からサインをねだられ引き受けたり、アイテムを譲られるなどしていた。

 

 それを見た『ゆい』氏憤慨。なんとその輪の中に飛び込んで行き、こちらの『黒崎』氏が本物だと主張したのだ。

 

 どちらも本物を主張するが、周りの人達は真贋を問われても判断できず平行線である。そんな時、『ゆい』氏が『黒崎』氏同士の決闘を提案するのだった。

 

 一騎打ちとなったが、以外にも決着は一瞬であった。『ゆい』氏と共に居た『黒崎』氏の刹那の居合が決まり見事に勝利したのだった。

 

 こうして偽物は暴かれ一件落着となった。この配信は視聴者10万人を超えており、多くの視聴者が2人の活躍に注目していると分かる。

 

 この記事を書いている私も1人のファンであり、2人の今後の活動にも注目していきたい。

 

 っと言った記事を書かれていた。

 

 諸々の影響でDX及びDtubeチャンネルのフォロワーは30万人ずつ増えて80万人になる。

 

 チャンネル始動から僅か3週間でこれである。Dtubeの伸び具合をグラフ化したサイトを見ると、大体が企業所属で埋まる所に私が居る。個人勢の私がだ。

 

 絶対場違いだよぉ……!

 

 日に日に増える数字にプレッシャーを感じつつも、私は今日も今日とてダンジョンへ向かうのであった。

 

 指輪をつけると茶髪は金髪に、瞳も紺碧に変化し魔力体へ変身完了だ。

 

 因みに今日は黒崎さんと約束している。どうやらもうダンジョンの入口の方に居るようだ。

 

 そうしてダンジョンの入口への門をくぐるのだった。するといつも通り活気溢れる空間が広がっている。

 

 黒崎さんは……どこか分かんないや。てか配信時間じゃん!取り敢えず始めちゃおう!

 

 いつものようにカメラを起動し配信モードへ以降、待機画面が流れ、配信がスタートする。

 

「こんゆいゆい〜。ゆいです。今日は黒崎さんと配信するよ」

 

〈こんゆいゆい〜!〉

〈今日も楽しみ!〉

〈黒崎さんはまだっぽい?〉

 

「うん、配信時間来たから先に始めちゃった。でも入口にいるらしいから直ぐに……あれ?」

 

 あれ?なんか人が集まってる?

 

 自然公園のような場所の一角。そこには人だかりができていた。しかもその中に黒崎さんの姿がある。

 

「黒崎さんいるし行ってみるね」

 

〈りょ!〉

〈何があるんだろ?〉

 

 視聴者と私は人だかりに疑問に思いながらそこに近づくのだった。

 

「黒崎さん。こんばんわ」

「ゆい。こんばんわ。配信始めたのか。遅れてごめんな」

「いえいえ、それよりこの人だかりってなんですか?」

「あの子だよ」

 

 そう言って黒崎さんは指を差す。その先には、金髪の毛先を桃色にしたポニーテールの少女が居た。

 

 軽装の鎧はヒラっとしたフリルやスカートで飾られている。機能性と華やかさを備えた一品。私はその姿に見覚えがあった。

 

「もしかして……ヒナちゃん!?」

「知り合いか?」

「いえ、そうではないんですけど……でもよく知ってます! あの子はダンジョン配信者の姫騎士ヒナちゃんです!」

 

 そう!あの子は特に有名な配信者なのだ!

 

「ヒナちゃんはDドライブっていう企業所属のハンターで、チャンネル登録者200万人の有名配信者なんです! 私も実はファンで、ずっと彼女の配信を見て……私もいつかダンジョン行ってみたいって思ったんです」

「なるほど、憧れの人なんだな」

「はい……!」

 

 まさかこの目で見れるなんて……!ダンジョン来て良かった!

 

 憧れの人を間近で見れた悦びを噛み締める。

 

 いやもっと!目に焼き付けないと!

 

 頭からつま先まで舐めまわすように眺め、後ろを向いた時にもまた頭からかかとまでジックリ視線を動かす。動くとなびく金髪と桃色の髪は優雅で……。

 

 ああ〜!可愛すぎる!それでいて凛々しい……!最高!

 

 また振り返り、こちらを見るヒナちゃん。すると、私と視線がぶつかった……ように感じた。

 

「あっ!」

 

 そして大きく『あ』の形に口を開ける彼女。

 

 えっ?えっ?しかもこ、こっち来る……!?

 

 私の動揺を知ってか知らずか、間違いなくこちらに向かって歩いてくる。

 

 どうしようどうしよう!待って!心の準備が……!

 

「ゆいちゃんと黒崎さんだよね!」

「は、はいぃ……!」

「おう、あってるよ」

 

 今私の名前言った!会話しちゃった!やばい!

 

「やっぱり!目が合った時にビビって来たの!初めまして!ヒナです!」

「は、初めまして……ゆい、です!」

「初めまして。黒崎勇吾です」

 

 震える声で挨拶をする。平静な黒崎さんすごいな……!

 

「クーデレ金色姫と黒衣の剣士!」

「マジ!?しかもヒナちゃんと初邂逅!?」

「歴史的瞬間すぎる!」

 

 周りにいた人も私達に気が付き興奮した声を上げる。やっぱりコメントでも慣れないのにリアルで大勢に反応されると心臓がバクバクする……!

 

 1体1ではなんとかなるが、こうして囲まれたり憧れの人と対面すると陰キャ感マシマシチョモランマしてしまう……。

 

「そうだ!2人は今日何するの?デート?それとも配信?」

「で、デデデ、デートぉ!?」

「配信して一緒にダンジョン行く予定だ」

 

 だから黒崎さん平静過ぎない!?い、いや……私が動揺しすぎなのか……!冗談が上手いなぁヒナちゃんは!

 

〈めっちゃ動揺してて草〉

〈可愛い〉

〈黒崎さんの方がクールでは?〉

 

「別にクール名乗った事無いけど!?」

 

〈草〉

〈またまた〜〉

〈クール(ピュア)〉

 

「もうなんでもいいよ……」

 

 なんだかんだこういうやり取りも楽しい。

 

「フフッ♪リスナーと楽しんでるみたいだね!」

「はい……!あっ!配信中って言うの遅れてすみません!」

「いいよいいよ!あたしから話しかけちゃったしね。ゆいちゃんとこのリスナーさんもごめんね?お邪魔してます」

 

〈いえいえ〉

〈ヒナちゃんこんヒーナ!〉

〈うちのヒナがお世話になっております〉

 

 親かアンタは!いや、そんな事よりヒナちゃんフォローも上手……配信者としての技量が違う……!

 

「そうだ、あたし今日コラボで第5層行く予定だったからさ?コラボ配信しない?」

「え、ええ!?ひ、ヒナちゃんと……ですか!?」

「もちろん!」

 

 え、えええ!?あの、あのあのチャンネル登録者200万人の!歌って踊れる、憧れの姫騎士ヒナちゃんと!?コラボ!?私が!?いいんですか!? 

 

「えっと……!く、黒崎さんは……」

「全然構わねぇよ」

 

 ですよね。最早全肯定黒崎さんだ。

 

 こんな機会滅多に無いし……!コラボするしかない!

 

「じゃ、じゃあ……お願い、します」

「決まりだね!私の方の配信準備するからちょっとまってて!」

 

 こうして、憧れのダンジョン配信者とコラボする事になるのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。