ダンモン掲示板   作:睡眠不足野郎

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その他、その8

【とある異端児の出会い】

ファントムは混乱していた。

高い知性と理性を備えて生まれたが…。

夢で思い出すのは、前世の記憶。

冒険者と何度も戦っていた自分。

冒険者に強い情景を持った自分。

死んだはずの自分が、何故生まれ変わったのか?

分からなかったし、考える暇もなかった。

「倒せええええっ!」

冒険者に襲われるのは理解している。

自分はモンスターだから。

「ガルオオオオッ!」

しかし、同じモンスターに襲われるのは理解できなかった。

情景を持ち、冒険者と戦えなくなったせい?

裏切り者と思われているのだろうか。

逃げて、逃げて、逃げた。

安息の場所がなく、徐々に精神が摩耗していく。

「もう疲れタ、どうなってもいイ。」

楽になりたい。

そう思った時だった。

首から下をナニカ(・・・)に掴まれた。

「ッ!?ッ!?ッ!?」

必死にもがくが、とてつもない力で動けない。

「この17階層で、ファントムを見たのは本当か!?」

「間違いない。」

「新米共が危険だ。」

「早く見つけて倒すぞ!」

運が悪い事に、冒険者達がやってきた。

身体から力が抜ける。

動けない自分は、あっさり殺されるだろう。

「でもこれデ、楽になれル。」

ところが…。

冒険者達は、ファントムを素通りしていった。

まるで、見えていないように。

「一体何ガ、ひいッ!?」

動けなかった原因が判明する。

モンスターの巨大な手に、掴まれていたのだ。

ファントムは知らなかったが、階層主のゴライアスである。

「ぷはーーーっ!よう、大丈夫か?神の共犯者が、無事に発動してよかったぜ。」

「喋っタ!?」

自分以外の喋るモンスターと、初の邂逅。

おまけに、素っ裸の巨人だ。

驚かない方が難しい。

そして、大きな謎もあった。

巨人が見えなかった謎、突如見えるようになった謎、冒険者達が自分を素通りした謎。

「お前、異端児(ゼノス)だろ?仲間達と、はぐれたのか?フェルズは?」

「???」

聞いた事のない単語に、きょとんとするファントム。

「そのリアクション、生まれたてか。」

察したゴライアスは、彼女(・・)を肩に乗せ、歩き始める。

「貴方ハ、私を襲わないノ?」

「敵じゃないからな。」

「助けてくれるノ?」

「おうよ。」

「………ありがとウ。」

その後、黒衣骸骨(フェルズ)を紹介され、無事に同胞達(ゼノス)と合流。

ファントムは、安心できる居場所を見つけた。

落ち着くと、ある思いが強くなる。

「あの巨人さんニ、ちゃんとお礼が言いたイ。」

願いが叶うのは、遠い未来。

とある竜女と共に。

 

 

【頑張れヴィトーくん、その1】

やれやれ、リヴィラの街は駄目ですね。

水浴び出来る施設は、一応ありますが、環境は最悪そのもの。

しかも、金額が法外。

懐に余裕がある冒険者しか使わないでしょう。

大半の冒険者は、街近くの湖や泉を利用します。

ふふふ、素晴らしい!

覗きに適した最高の場所!

心が躍りますね。

さて、行動開始です。

二流の覗きと違い、私は座して待つなど、愚かな行為はしません。

覗く場所を、自分の手で作るのです。

作るのですよ!!

ふうー、大事なので2回言いました。

街から程良く離れた場所。

水が澄み、あまり深くなく、遮蔽物となる植物が茂っていること。

ふむふむ。

周囲を探索した結果、三ヶ所も発見。

迷宮の楽園に感謝しますうううううううううううぅっ!!

ふうー、いけませんね。

興奮し過ぎました。

次の作業に移りましょう。

水浴びの邪魔になる雑草・水草・小石の排除。

誰かが捨てたゴミも排除。

いくら冒険者とはいえ、女性は女性。

外見の悪い場所は嫌でしょう。

環境も然り。

少しでも水浴びする確率を、引き上げてみせましょう。

おっと、造林もしなれけば。

覗きを警戒するのは当たり前。

ならば警戒を下げる壁…もとい森林を増やすのは必然。

男冒険者共の薄汚い視線から、女冒険者達を守って見せますとも!

「…お前も…同じ穴の貉…だろう…が…。」

はて?

聞こえなくなったはずの雑音が、また聞こえたような?

まあ気のせいでしょう。

最後は、絶好の覗きポイントを作ること。

女冒険者から見えず、私からは見えるポイント!

ふふふ、ふふふふっ!

 

 

【とある酒場の主人、その3】

男冒険者 「25階層で見たんだ、愛しのマーメイドを。」

酒場の主人「愛しの?」

男冒険者 「普通は醜悪な顔しているんだけど、彼女は違ったんだ。」

酒場の主人「でも、モンスターですよね?」

男冒険者 「すげえ美人で、巨乳だったんだ!その辺の有象無象共(ペチャパイ)と違う!」

酒場の主人「店での大声は駄目ですよ。それに女性陣(まわり)の視線が…。」

男冒険者 「無表情だけど、食事の時は笑顔で、可愛かったなー。」

酒場の主人「モンスターの食事は興味深いですね。何を食べていたのですか?」

男冒険者 「他のモンスターを食べてた。」

酒場の主人「はい?」

男冒険者 「骨を噛み砕いて、血の滴る内臓を生で。可愛いのにワイルドだろ?」

酒場の主人「そ、そうですね。」

男冒険者 「また見たいな…いや、見に行くぞ!」

酒場の主人「あの、良い診療所を紹介しましょうか?」

男冒険者 「おいおい、俺は怪我1つしてない元気な身だぞ。」

酒場の主人「………精神を病むとは、地下大迷宮(ダンジョン)探索は過酷なんですね。」

 

 

【クレイオーファミリアの野望、その1】

俺はガンゼ。

クレイオーファミリアの団長様だ。

探索メインの中堅ファミリア。

知名度は、まあそこそこ。

最近の迷宮都市(オラリオ)は物騒で、逃げようかと思っていた。

自由に楽しみ、自由に稼ぐ。

それが俺のモットーだ。

命を賭けてまで闇派閥と戦い、迷宮都市(オラリオ)を守りたいと思わない。

主神様も同じ考えだぜ。

そんな時に、地下大迷宮(ダンジョン)壁画事件が起きた。

興味本位で見に行ったら、圧巻の一言。

脳と心をハンマーで、ぶん殴られた気分だった。

普通の絵2割、エロい絵8割ってところか。

勿体ねえな。

何で地下大迷宮(ダンジョン)で描くんだよ!

この絵は絶対に売れるし、人を感動させる。

モデルにされた奴らは…どんまいだ!

団員共を緊急招集した。

「お前ら!壁画事件の犯人…もとい画家を勧誘するぞ!」

「へっ?捕まえるじゃなくて、勧誘ですかい?」

馬鹿野郎!

捕まえてどうする!

画家は金のなる木だぞ。

冒険者やギルドに渡してたまるか。

何より、もっと絵を見たいし、誰かに見てほしい。

出来るなら迷宮都市(オラリオ)の外壁や建物に描かせたい。

「勧誘する際の報酬は、いくらに設定しやすか?」

「勧誘を断られた場合は、どうするんですかい?」

報酬の上限は、うちのファミリアで払える額だ。

場合によっては借金してでも、報酬を上げてみせる。

断られた場合は、しょうがねえ。

拉致監禁して、最高の環境を準備して、絵を描かせるぜ。

「でも、大将よ。」

「団長と呼べやがれ!」

「団長、迷宮都市(オラリオ)は大丈夫ですかい?」

「闇派閥に押されて、危ないですぜ。」

「分かっている、心配するな。」

画家を確保したら最悪、迷宮都市(オラリオ)を捨てて逃げる。

安全な場所で描いてもらうだけの話だ。

「よし、準備で来たな。野郎共、行くぞーっ!」

「「「「「おおおおおおおっ!」」」」」





※投稿が遅れて、申し訳ないです。
 土曜日の出勤が多く、しばらくは投稿が遅れます(;´・ω・)

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