ダンモン掲示板   作:睡眠不足野郎

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その他、その9

【人形姫と牛野郎、その3】

「強化種のミノタウロスと戦うな。」

団長であるフィンから、団員達に下された厳命。

特にアイズは、リヴェリアに何度も言われ、渋々戦わないと約束した。

他の団員と同じように、地下大迷宮(ダンジョン)で探索&修行。

本拠地(ホーム)では、ガレス達幹部との鍛錬。

主神ロキによるステイタスの更新。

初戦で戦った時より、アイズは強くなった。

「…足りない。」

叶えたい願いが、彼女にはある。

その為には力が必要不可欠。

強化種を倒す事が近道になるのでは?

そう1度考えると、もう我慢できなかった。

「…戦いたい。」

アイズは約束を破った。

地下大迷宮(ダンジョン)を疾走し、件の相手を捜す。

遭遇するモンスターは、全て切り伏せた。

返り血を浴び、全身を真っ赤に染めて。

「ひいいぃっ!」

「ロ、ロキファミリアの人形姫か。」

「こっわー。」

同じ冒険者達に怖がられるも、アイズの表情は変わらない。

なんと言われようが、気にしないから。

「うぜええええええええええええっ!」

「「「「「ブモオオオオオオオオオッ!」」」」」

「っ!?」

耳を打つ怒声と咆哮。

更に激しい戦闘音が聞こえてきた。

急いで向かうと、異様な光景が視界に入る。

50体以上のミノタウロスが、1体のミノタウロスを襲っているのだ。

「くそったれが!地下大迷宮(ダンジョン)の差し金かーっ!!」

「あの黒い腕…見つけた。」

孤軍奮闘していたのは、強化種のミノタウロス。

武器を使うミノタウロス達に対し、素手で応戦していた。

数の暴力という不利な状況。

しかし、異能力(チート)で覆す。

強化された身体は、武器の攻撃を一切通さない(ノーダメージ)

反撃とばかりに拳で殴り、肉を潰し骨を折り魔石を砕いた。

次々とミノタウロスが灰に変わっていく。

まさに無双。

そんな戦場に、血塗れの少女が参戦する。

牛野郎(そいつ)は…私の獲物…横取りは駄目。」

「「「「「ブモオオッ!?」」」」」

剣の一閃。

ミノタウロスの首が飛ぶ。

「げっ、アイズ。」

強化種のミノタウロス…長いので、牛野郎でいいだろう。

牛野郎は人間のように表情を変える。

厄介な女に見つかった!

そんな表情に。

「一先ず、ミノタウロス共が先だ。」

「…邪魔。」

「「「「「ブモオオオッ(たすけてーっ)!!」」」」」

アイズと牛野郎の攻撃は止まらない。

奇しくも2人の共闘。

僅か数分で、ミノタウロス達は全滅した。

 

 

【ロキファミリアのとある団員、その2】

おっぱいだ…いや、違う違う。

視線を戻せ!

目の前には、モンスターが1体。

川の中から上半身を出していた。

ここは地下大迷宮(ダンジョン)の25階層。

探索と修業を兼ねて、先輩冒険者達とパーティを組んで来た。

「ノアールさん、あれは…。」

「おうよ、マーメイドだ。しかも、とびっきりの巨乳だな。」

「ですね。」

真剣な表情で呟く先輩に、力強く頷く。

モンスターなので、当然服は着ていない。

彼女いない歴=年齢の俺には眼福…もとい目の毒だ。

無表情だが、芸術作品のような美顔。

リヴェリア様や女神様達に匹敵する。

本当にモンスターか?

いかんいかん、しっかりしろ俺!

川の流れで、マーメイドが揺れる。

それに合わせて、巨乳も揺れる。

「くっ、なんて恐ろしい罠だ。」

「まったくだ。若いの、心を奪われるな。」

「はいっ!」

手に持っていた武器を強く握りしめ、先輩の隣に立つ。

惑わされるな。

あれはモンスターだ!!

「真面目な顔で、まともな事を言っているが…。」

「2人とも目が釘付けじゃないか。あたしは情けないよ。」

す、すみません。

ダインさん、バーラさん。

おっぱいに勝てませんでした。

「冒険者の方々、敵対するつもりはありません。」

なっ!?

人語を話した!?

「噂の喋るモンスターか。」

ノアールさん!?

それって、強化種のミノタウロスじゃないんですか!?

「確認されているのは3体だったか?これで4体目だな。」

ダインさん!?

何体もいるって、初耳なんですけど!?

「どいつもこいつも、強化種の可能性ありだったわね。」

バーラさん!?

マジで言ってますか!?

今すぐ回れ右して、地上に帰りたい。

強化種の相手なんて勘弁だ。

でも、敵対しないと言っているし、様子をみるか。

「あれ?貴方達は…ああ、特攻の。」

俺達を知っている?

違う、視線は先輩達に向けられている。

何故だ。

特攻という言葉も気になる。

「どんな状況であれ、自殺の類は嫌いなんです。だから…。」

「「「「っ!?」」」」

マーメイドの雰囲気が一変する。

静かだった川の流れが、激流となった感じに。

全員が臨戦態勢に入る。

敵対しないと言ったくせに、結局戦闘になるのかよ!

緊張していると、マーメイドが言葉を放つ。

「命じます、生きて下さい。」

同時に目が赤くり、不思議なシンボルが浮かび上がった。

見ては駄目だ!

そう思ったが、時すでに遅し。

俺も先輩達も見てしまった。

身体が硬直して動かない。

何かが繋がったような…強制されそうな…あああああああああっ!?

 

「おい!若いの!しっかりせんか!」

「はっ!?」

気がつくと、ノアールさんに肩を掴まれ、揺さぶられていた。

え、えーと。

25階層に到着してから、何をしていたっけ?

思い出せない。

「まいったな、記憶があやふやだぞ。」

「25階層に入った辺りからね。」

ダインさんとバーラさんが、辺りを警戒しつつ、会話している。

どうやら俺と同じらしい。

必死に思い出そうとするけど…駄目だった。

一体俺達の身に何が?

 

 

【人形姫と牛野郎、その4】

大量の灰が散乱する中で、人形姫と牛野郎が対峙した。

片方は殺る気満々で、片方は頭を抱えていた。

「殺す…違った…灰になって。」

「言い直しても同じ!殺意が怖い!」

先手はアイズ。

牛野郎が鋼鉄化する前に斬るべく、最初から全力である。

正確には硬化。

この世界には無い異質の力だ。

耳をつんざく激突音と共に、激しい火花が飛び散る。

「防がれた!?」

「うおっ、危ねえええっ!」

双方驚いた。

初戦よりも成長した相手に。

「なら…手数で。」

重く速い斬撃の暴風が、牛野郎に襲いかかる。

しかし、硬化した拳で、全て受け流された。

「どうして、反撃しないの?」

「戦う理由ないし。そろそろ、お開きにしないか。」

「…そう。」

「ちょっ!?」

斬撃の暴風が、嵐に変わった。

舐められていると思ったアイズは、激怒ぷんぷん。

そんなつもりのない牛野郎にとっては、実に理不尽である。

受け流せなかった斬撃が、容赦なく身体を…斬れなかった。

全身硬化の完全防御。

傍から見れば、黒肌のミノタウロス。

「…まだ勝てない。」

今度こそ斬れると思っていたアイズ。

しかし、結果は前回と同じ。

意気消沈するも、自分の超えるべき壁と認識した。

だからこそ、本当の実力を知りたかった。

「本気が見たい。」

「ええー。」

少女は牛野郎を見つめている。

「本気と言われても困る。」

少女は牛野郎を見続けている。

「見つめるの、やめてほしいのだが。」

少女は牛野郎を凝視している。

「だあああぁーっ!分かったよ!やってやるよ!」

溜息と共に腰を下げ、前屈みの姿勢になる。

ミノタウロスの最終攻撃、猛牛突進(タックル)だ。

「俺様の攻撃で死亡はないし、行くぞ。怠惰。

次の瞬間ナニカ(・・・)が、アイズの真横を通り抜けた気がした。

そして、背後から聞こえる轟音。

「…えっ?」

目の前から牛野郎が消えていた。

何が起きたか理解できない。

恐る恐る後ろを振り返れば、地下大迷宮(ダンジョン)の壁が大きく破壊されていた。

「うがあああぁ!抜けねえーっ!」

壁にめり込み、もがいている牛野郎。

間抜けな姿だが、アイズは戦慄した。

猛牛突進(タックル)が、まったく見えなかった。

ワザと外したのか、失敗しただけなのか。

どちらかは分からない。

ただ命中すれば、自分は確実に死んでいた。

それだけは分かった。

冷や汗が止まらない。

「アイズ!!」

「予感的中じゃ!強化種と戦っておるぞ!」

「リヴェリアはアイズを!僕とガレスで、強化種を倒す!」

通路の奥から駆けつけて来る人物達が見えた。

九魔姫、重傑、勇者。

ロキファミリアの幹部達だ。

「やべえええええええええええええええっ!」

牛野郎は大慌てである。

なんとか壁から脱出し、全力で逃げた。

重傑の投げた斧が頬を掠め、勇者の投げた槍が脇腹を掠めるも、逃げ切ってみせた。

一方アイズは、本拠地(ホーム)に連行された。

約束を破った罪は重い。

地下大迷宮(ダンジョン)の探索を1週間禁止。

その間鍛錬も禁止で、リヴェリアとみっちりお勉強。

更に夜は、心配したロキと添い寝する罰も下された。

「ご、ごめんなさーい!」

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