アビドスユメモドキ 作:泡沫のユメ
思ったよりも見てくれている方がいて嬉しいので連日投稿
皆様あけましておめでとうございます。大晦日に始まった拙作ですが、今年もよろしくお願いいたします
転生してから高校三年生になるまで色々なことがあった。本当に色々あったのだ。
まず強くなるために私は小さい頃から筋トレと走り込みをがんばった。筋肉は裏切らないし体力もなければ過酷なアビドスの環境では生きていけないし戦闘もこなせないだろうという考えたのといくらキヴォトスと言えど3歳の子どもが銃を手に入れることはできないと思ったからだ。私は三歳の頃からトレーニングに勤しむ変な人間だった。
六歳になり、小学生になった頃にそろそろだろうと言うことで銃を買いに行った。この年齢で銃を手に入れられるのか不安だったがガンショップで普通に買えたし店員に何かを言われることもなかった。それどころかその年齢なのに礼儀正しくて凄い、と普通に褒められた。銃に対する認識の差を思い知らされた。そしてその後入学した小学校の同年代の子たちも七、八割の人は銃を持っていたことでキヴォトスの異常性を再認識した。
四年生になる頃にはハンドガンでの射撃精度もすこし上がってきたので本格的に使う武器を決めることにした。流石にハンドガンでは強くなるのにも限界があるだろうし。というかなぜ原作ユメ先輩の立ち絵は銃を持っていないのだ。原作知識から決められないじゃないか。
驚くことに小学校では銃の扱いの授業もあったため、銃の知識なんて全くない元日本人の私でも銃についての知識を付けることができていた。冷静に考えるとここまでの銃社会なんだから自衛のためにも銃の扱いを教える、というのは当然のことだったのだが。
使う銃を決める上で考えることだが1つ目はどのタイミングなのかはわからないがビナーの熱線すら防げるキヴォトス最強の盾、"IRON HORUS"を近い将来手に入れられるはずなので盾を活かしやすいものにすること。2つ目はおそらくホシノが入学してくるまで1人で戦う必要があること。3つ目はアビドスは財政難で弾薬を買うお金も渋ることになるから1発1発を大切に使った方がいいということ。確かに射撃精度も上がってはいるのだが実践の中で動く相手に的確に弾を当て続けられる気はあまりしなかった。
一つ目と二つ目の理由からとりあえずスナイパーライフルは却下した。将来のアビドス廃校対策委員会には狙撃手はいないし、狙撃手がいれば将来戦闘でかなり役に立つと思うので正直使いたかったのだが泣く泣く断念。3つ目の理由からアサルトライフルも断念した。
それから原作のことも考慮しながら悩んでいたのだが、一つ気づいたことがあった。ユメ先輩は盾を持っていたこと、立ち絵からして常に絆創膏を貼っていたこと、それとホシノが超攻撃的な戦法を得意としていたことから考えるに彼女は囮となるタンクだったはずだ。そして盾を持っていたから、というのもあるのかもしれないが曲がりなりにもタンクをやっていたのだから体も他の生徒たちより頑丈だったのかもしれない、と思ったのだ。実際同級生の子たちと撃ち合いの授業をした時も私だけ明らかに被弾した時のダメージが少なかった気がするし。
それと小さい頃からトレーニングを積み重ねていたおかげで身体能力もかなり高かった。いやほんとにキヴォトスの住民パワーは凄い。動けば動くだけちゃんと力になってくれるからモチベが続きやすいのだ。少し話が逸れたが、言いたかったのは私は身体能力がかなり高いということ。これは戦闘においては機動力に優れていることと同義だ。
ここで思い浮かべて欲しいのだが、体が頑丈でそして盾を持っている。更には機動力にも長けている。こんな特徴を持ちながらキヴォトス最強格である生徒が1人思い浮かんでくるはずだ。そう、小鳥遊ホシノその人である。なので彼女を参考にすることにした。
それに加えて幾ら射撃精度が悪かろうとも、ショットガンの有効射程ならばある程度は誤魔化しも効くだろうということからショットガンを使うことにしたのだった。ホシノとお揃いだやっほい、という気持ちも少しあったが。
中学二年生になった頃にはヘルメット団やスケバンにカツアゲされるようになってきた。流石の不良達も小学生相手にカツアゲをするのは気が引けていたのかもしれない。成長したせいで狙われだした、ということなのだろうか。この頃からアビドス自治区の治安は悪かったのだ。もちろん大人しくお金を払う訳もなく、喧嘩を買った。最初の方は身体能力でゴリ押ししているだけで、怪我も多かったため、勝ててはいたのだがとてもこの先やっていけるとは思えない結果に終わっていた。だがその後も運がいいのか悪いのか不良に絡まれることが多かったため、戦闘経験をたくさん積むことができた。それにそんな生活を暫く続けていると、銃撃戦に慣れてきたのか怪我をすることも少なくなってきて嬉しかった。着実に強くなれている。同時に日本人としての感覚や倫理観も失ったが。
もう中学校も卒業してアビドス高等学校に入学する、という頃になって少し困ったことが起きた。そう、原作ユメ先輩の特徴のひとつでもある胸部装甲が大きくなってきたのだ。これ、普通に生活する分には特に問題はないのだが戦闘中になるとめちゃくちゃ邪魔なのである。激しく動くと揺れまくってビッタンビッタン体に当たって戦闘に集中出来ないのだ。相手のヘルメット団も少し胸に視線が行っているような気もする。まあ同性とはいえここまで立派な胸部装甲を持っている生徒は少ないし、それに揺れまくってるからどうしたって見てしまうのだろう。その隙を突いて倒させてもらった。こんな胸を持ちながら邪魔だなんていったら持たざる者には怒られたりするのかもしれないが、大きくなり始めた頃は邪魔で邪魔で仕方がなかった。まあこれも少しすれば慣れてきて気にならなくなったのだが。
アビドス高等学校にはすんなり入学しアビドス生徒会にも入ったが、生徒会に入る人はおろかそもそも入学生が私しかいなかった。中学生の頃の友達もみんなアビドス以外の自治区に行ってしまったため、悲しかった。だが冷静に考えれば当然の判断だ。私は将来大切な後輩が来るし、ある程度アビドスが救われることを知っているから入学したが、こんなことみんなは当然知らない。そうなれば未来が見えない自治区に留まる理由はないだろう、という考えに至ってしまったためアビドスを去ることをみんなに謝られたが、彼女達を責めることなどできなかった。
そして、入学してから四ヶ月程経った頃三年の先輩に
「君は結構戦えるみたいだし、使っている武器もショットガンだから活かせる場面も多いだろうからこれをあげよう。アビドス生徒会で受け継がれてきた唯一の財産だ」
と、言われついに、原作ユメ先輩も使っていたであろう盾"IRON HORUS"を手に入れたのだった。
この盾を手に入れてからかなり戦闘が楽になった。今までは身体能力と動体視力を活かして相手の弾を避けながら無理やり相手の懐に入ってショットガンを撃ち込むというとんでもない脳筋戦法だったのが、盾を使っての射線切りや囮に使って別方向から攻める、という選択肢が増えた。これのおかげで戦術の幅も増えたし、単純に被弾が減ったことで怪我も減ったためとてもありがたかった。
更に月日は流れ、三年の先輩が卒業し、二年生になって少し経った頃。私が他の誰よりも精力的に借金返済をがんばっていたのもあってか生徒会長になった。そして先輩達はアビドスからいなくなってしまった。これは原作でもあった流れだったのである程度予想はしていたのだがそれでもかなり辛かった。というかよく考えると未来を知らない原作のユメ先輩はよくこの辛い期間をよく1人で乗り越えたな。私は未来を知らなければ間違いなく諦めていた。ユメ先輩メンタルが強すぎるだろう。
あまりに辛かったのでこの日は既にこの時期には開店していた柴関ラーメンにやけ食いをしに行った。少しだけ泣きながらラーメンを食べていたのだが
「どうしたんだい。ユメちゃんが泣くなんて珍しい。初めて来た時以来だな」
他にお客さんがいなかったこともあり柴大将が話しかけてくれた。一年生の頃からの常連だったこともあって柴大将とは仲が良かったのだ。私は初めて柴関ラーメンに来た時原作キャラに出会えた嬉しさと、柴関ラーメンのあまりの美味しさから感動して泣いてしまい、柴大将を困惑させた上に心配させてしまったのだ。もちろん原作キャラなど言えるはずもないので当時はあまりの美味しさに感動して泣いてしまったと伝えた。嘘では無いし。すると柴大将は照れ臭そうに笑ったあとチャーシュー丼をサービスしてくれたのだ。
「いえ、その、私以外の生徒がみんないなくなっちゃって、それが辛くて····」
あまり心配させたくはないので誤魔化したかったのだが、誤魔化せないほど泣いていたし、取り繕う様な心の余裕もなかったので素直に伝えた。
「そうか····そりゃ辛いな。俺も古くからの知り合いの店も近々畳んじまうみたいだし気持ちもちょっとだけわかるさ」
「でも、私以外はってことはさユメちゃんはまだアビドスを諦めたくないんだろ?」
柴大将にそう聞かれる。そうだ。未来の後輩たちのためにも、ホシノのためにもこんな所で折れる訳にはいかないのだ。
「勿論です! 私は絶対アビドスを諦めません!」
涙ぐみながらもそう宣言する。
「はっはっはっは! やっぱユメちゃんはつええな。1年生の頃から他のアビドスの子達よりも全力で借金返済やら治安維持のパトロールやらがんばってくれてたしさ」
柴大将に知られていたのか。がんばりを褒められるのは先輩以外では初めてだったし嬉しいがなんだか照れ臭い。
「ユメちゃんが諦めない限りアビドスは終わらねえさ。俺は料理を作ることとこうやってちょっと話を聞いてやるくらいしかできることはないけどさ、応援してるぜ!」
笑顔でそう言いながら炒飯をくれる柴大将。私の涙は治まる所か勢いを増してしまった。だがこれは先程までの悲しさから溢れた冷たい涙ではない。喜びから溢れたあたたかいものだった。
柴大将は私の背中をさすってくれる。キヴォトスに来る前から彼が聖人なのは知っていたが、想像以上に人がいい。それにこうして少し話をするだけでこんなにも気持ちが楽になるとは思っていなかった。涙と鼻水でぐちゃぐちゃになりながらも何とか笑顔を作ってお礼と共に宣言する。
「あ、ありがどうございまず。わだじ、わだじ絶対にアビドスが復興するその時まで諦めません!!」
「おう! また腹減ったら来てくれよ! 歓迎するぜ」
そう言いながらテイッシュを渡してくれた。その後何とか泣き止んでから完食し退店した。ちなみに当然のように炒飯はサービスで無料だった。ふと思ったのだが彼もまた先生たる器なのではないだろうか?
彼が、柴大将がいなければ私の心は間違いなく折れていた。そんな中で彼は慰めるだけに留まらずやる気まで出させてくれたのだ。これは私だけでなくアビドスを、更にはキヴォトスを救ったも同然だ。生徒とキヴォトスを救った英雄なんだから先生との違いを見つける方が難しかった。連邦生徒会長も柴大将に目をつけるべきだったのだ。
そんなことを考えながら帰路に就いた。
そうして時は過ぎていく中で2つ思ったことがある。1つ目だが、原作のユメ先輩の事だ。ユメ先輩といえばキヴォトスの中でもかなり環境の悪いアビドスに生まれながらも心優しい日本人のような感性を持っているというとんでもない人間だ。もし私が前世の記憶を持たずにアビドスで過ごしていたら絶対に彼女の様な考えは持てなかったと確信できる。
これは2つ目の事にも少し関わる話だが、こちらを騙して来るような、所謂悪い大人が本当に多いのだ。更に治安も悪いためヘルメット団やスケバンとの戦闘も避けられない。そんな中で荒事だけではダメなことを理解し、更には精力的に人助けをしているのだから本当に凄い。彼女もまた聖人だ。モドキの私は騙された時は暴力で穏便に解決することしかできないし、ユメ先輩の言動を知らなかったら人助けをしなくなっていた可能性すらある。いや····寧ろ辛い思いをしてきたからこそ彼女は困っている人達を見捨てられないのかもしれない。いい子すぎる。やはり私では彼女にはなれない。
そして2つ目は、原作でホシノが語っていた
『大人は信用できない』
というセリフに大いに共感した事だ。本当に柴大将以外まともな大人は存在しないんじゃないか? と疑うレベルでまともな大人が居ない。来る大人来る大人皆が騙してくる。こんな環境で過ごしていのだからホシノが初めて会った時先生をそりゃ警戒するだろうなと、そう思ってしまった。悪い大人が多いのは原作知識で知っていたがここまで酷いとは思ってなかった。
そんなことを考えながら原作知識を書いたメモを読んでいたのだが1つ大切なことを忘れていることに気がついた。
「生徒会手帳···買ってないや」
そう、原作で完璧ではなかったホシノのテラー化を元に戻した立役者でありホシノを繋ぎ止めていた存在。たのしいバナナとりの手帳を買っていなかったのだ。私が生き残る以上別に買わなくてもいいような気はするのだが、万が一私に何かあった時にあれがないと詰んでしまう。それに日記を書くのも悪くないかなと思ったので買いに行くことに決めた。
まあ別にバナナとりの手帳じゃなくてもいいのだが、少しでも原作に寄せておこうという配慮だ。既に私が原作のユメ先輩とはかけ離れた人物になってしまっているため意味があるかは不明だが。この時の選択を後悔する時が来るのだがこの時の私はまだそれを知らない····
百貨店で探していると見つけたのだが
「いやこれ小学生用コーナーに売ってるじゃん····」
悲報 ユメ先輩センスが小学生レベルだった。まあ私もこれをかわいいと思ってしまうため同じようなセンスなのかもしれないが····。兎にも角にも無事購入することができたためこの日は家に帰った。
◇ ◇ ◇
そんなこともあったな····。私は今体育館の控え室で今までの人生を思い返していた。回想もここまでにして現実を見よう。
ついに私も3年生になり、入学式の時だ。なんでこんなにも昔を思い出していたのかと言うと緊張からの現実逃避である。緊張している理由はホシノがいないかもしれない、という恐怖からだ。ホシノの入学届はもちろん来ていたし生徒会長だから受理したのだが、入学届だけ出して学校には来なかった生徒が私が2年生の時にいたのだ。だからとても怖い。もしホシノがいない、入学してこない場合私の心は間違いなく折れてしまう。いくらあの柴大将でもこの心の傷は治せないだろう。体育館の控え室でホシノが居ることを祈っていざ生徒会長の挨拶をするため壇上へ。
そんなこんなでホシノが居ることを願いながらも壇上に立つ。体育館でパイプ椅子に座り、こちらを見ている新入生達を見つめる。そして彼女と目が合った。
ピンク色のショートヘアに特徴的なアホ毛。そして黄色と青色の綺麗なオッドアイを持つ新入生。
私はそこでついに、ついに希望のホシを見つけることができたのだった。
原作キャラとの会話(柴大将)
ちなみにユメモドキちゃんは嬉しさで胸がいっぱいのせいで全然気づいてませんが、嬉しさと安堵から少し泣きながら入学祝いの挨拶をしています。ホシノは目の前で挨拶をしていた人が急に泣き始めたのでギョッとしていました。無事入学式を終えたあと柴大将に新入生が来てくれたことをこれまた泣きながら報告した。
話の展開上ホシノ視点になる場面もあるのですが、そういうのではなく日常パートでのホシノ視点って需要ありますか?あったら投稿します(多分話はあまり進まない)
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