アビドスユメモドキ 作:泡沫のユメ
ホシノ誕生日おめでとう!
ちょっとモドキちゃんのテンションがおかしいかもしれない。ホシノが好きすぎるせいです
入学式を終えた日から私は絶好調だった。
ホシノが入学してくれたという安心感、生でホシノを見れたという幸福感に包まれた私はキヴォトス最強の存在になっていた。今なら一人でカイザーPMCを壊滅させられるだろう。それは流石に嘘なのだが、間違いなくキヴォトスでの人生の中で一番幸せだったのだ。
ホシノがいればなんだってできるし、どこへだって行ける。そんな確信があった。
だが一週間が過ぎた頃····
「そういえばホシノって、最初から生徒会に入ってた訳じゃなかったような····?」
恐るべき事実に気づいてしまった。これからの私の行動次第で、もしかしたらホシノがアビドス生徒会に入ってこない可能性があるのだ。そんなことになってしまえば私の人生は終わってしまう。
「まずいまずい····メモを見なきゃ····」
既にキヴォトスに転生して一七年も経っていたし、かなり濃い人生だったこともあってか原作知識、というより前世の記憶が少し薄れてきていたのだ。流石にメインストーリーの大まかな流れや大きな出来事は覚えているのだが、今回のような細かい内容は忘れてきている。
「アビドスの環境改善のための署名集めや、アビドス治安維持強化方針の説明会のプリントを配ってればホシノに出会える····?」
意味がわからなかった。なんでこれでホシノに出会えるんだろう····大体治安維持強化に関しては常日頃からパトロールをしているし、私以外の人達が協力してくれる気もしないのであまり必要性を感じないのだが····
「でもこれでホシノに会えなかったら終わりだしやるしかないかな」
そうだホシノに会うためのものだと思ってがんばろう。
◇◇◇
「お願いします! どうか署名を!」
次の日、私は町の少しでも人が残ってる区域で署名を募っていた。
「アビドスの環境を改善するために、署名を集めています! 皆さんの協力が必要なんです!」
だが、すれ違う市民達は全く興味を持ってくれない。これホントにやる意味があるんだろうか····
「今さら何かしたところでな····」
「あ、あの! すみません、よければこちらに署名をお願いします····」
「いよいよネフティスまで自治区を去るっていうのに、署名がなんの役に立つんだよ!」
ごめん正直私もそう思ってるけどホシノに会うためには仕方がないの。そういえばネフティスと言えばノノミの実家だったっけな。
そんな事を考えていると視界の端の方に揺れ動くアホ毛とピンクの髪が映った。ホントにホシノに会えちゃった····って、どっか行こうとしてるし! 声掛けなきゃ!
「ちょ、ちょっと待って!」
「?」
「よかった····最近入学してくれた子だよね····? たしか名前は····」
「ホシノちゃん! だよね?」
「·······」
「え、あれ? 違った?」
え、ホシノだよね? 何か間違えてる? もしかしてホシノって双子だったの? ってまたどっか行こうとしてるし!
「ま、待ってよホシノちゃーん!」
うーん····追いかけてもいいんだけど初対面でストーキングする勇気はないし、何か用事があるのかもしれないしここまでにしておこう。また会える機会もあるはずだし。
またまた次の日、私は治安維持強化方針の説明会のプリントを配っていた。
「アビドス治安維持強化方針の説明会を開催します! 皆さんどうかご参加ください!」
「説明会のプリントです! 目を通していただくだけでも····」
だがやはり治安維持強化なんてものにみんな興味は無いのかプリントは1枚も減ってなかったのだが····
「あっホシノちゃん!!」
そう、ホシノには出会えたのだ。やっぱりこれを続けるべきなのかな? そんなことを考えてたらホシノはどこかに走って行ってしまった。え、足早すぎない? これがキヴォトス最高の神秘ってこと?
「待って!」
急いで私も追いかけようとしたのだが····
「わぶっ!?」
変な姿勢で走り出そうとしたせいで転んでしまった。これじゃもう追いつけないな。仕方ない今日もここまでにして····
「はあ·····」
そんなことを考えていたのだがホシノが溜息をつきながら戻ってきてわざわざ起こしてくれた。え、優しすぎる好きです愛してる結婚してください。
「あ、ありがとうホシノちゃん」
えっ、というか····
「握手しちゃった····」
そう、ホシノは手を引っ張って起こしてくれたので図らずしも握手のような形になっていた。今日はもう手を洗うことができない。
「どうして私の事を知ってるんですか?」
変なことを考えていたのだがホシノが喋りかけたくれた。
「もちろん知ってるよ! すっごく強い新入生がいるって噂になってたよ?」
もちろん違う理由で知っているのだがこれは嘘でもない。この前他の一年生の子達が話していたのを聞いたのだ。それに
「この前、暴力集団の喧嘩を止めたのって、ホシノちゃんだよね?」
ホントは私が止めに行こうとしていたのだが、現場に着いた時には既に喧嘩は終わっていたのだ。こんなことができるのはアビドスにはホシノしかいないだろう。
「アビドスのためにありがとうね。生徒会長としてお礼がしたかったの!」
これも本音。普段ひとりでやっていたことだったので私以外でもがんばってくれる人がいる、というのを知れたのは心の支えになった。
「さっさと帰った方がいいですよ梔子ユメ会長。暗くなったらここは危険なので」
ほぼ初対面なのにわざわざ心配くれてるの? 優しすぎない?
「でも、まだやることが····」
なんだか続けてたらホシノにまた会えそうな気がするし夜までやっちゃおう。そんなことを考えていたらホシノはため息を吐いてどこかに行ってしまった。ん? そういえば····
「私、ホシノちゃんに名前教えたっけ?」
もしかして元々知っててくれたのかな。だとしたらとても嬉しい。ルンルン気分になった私はそのまま夜までプリントを配り続けた。
◇◇◇
「もうこんな時間になっちゃった····」
意外と夢中になってたみたいで周りもすっかり暗くなってしまった。流石にそろそろ帰らなきゃいけない。
「結局署名は全然集まらなかったし、プリントもいっぱい余っちゃったけど····」
でもホシノと会話できたし握手もできたからヨシ! 大満足の結果である。ホシノにも早く帰るよう言われてたし帰ろうとしていたのだが····
「なんだコイツ?」
チンピラに絡まれてしまった。
「説明会、だぁ? お前もしかしてアビドスの生徒だな?」
「おい、わかってんのか? お前達が金を払わないせいで、上からとばっちりを受けたんだぞ!」
しかもよく分からないことを言っている。
「どうやって責任取るつもりだよ! あぁん!?」
それは本当に私のせいなんだろうか····あっ署名用紙が····
「んだよ、この邪魔なゴミは」
ゴミ······ゴミ!?この用紙はホシノに出会わせてくれた最高の書類なのに······って破らないで! 準備するのに結構時間かかったんだから!
「や、やめてください!」
「知るかよ!」
「あーあ、気分わりーな。ちょっとツラ貸せや」
ふむ、そりゃ奇遇だね。私も似たような気分だよ。もうやっちゃっていいかな?
私も銃を構えようとしたその時、チンピラ達の後ろから現れた何者かが銃声を響かせながらチンピラ達をなぎ倒してしまった。ん? というかあれって····
「ほ、ホシノちゃん····?」
えっ。かっこよすぎる····惚れました。
「だから言ったじゃないですか! 早く帰ってください、って!」
「なんで帰らなかったんですか? バカなんですか!?」
「ひ、ひぃん。ごめんなさい」
流石にホシノに会えると思ったからなんてふざけた理由を言う訳にはいかなかったので素直に謝った。
「今のアビドスは無法地帯なんですよ!?」
いやほんとその通りだ。なんでこんなに治安悪いのアビドスって。ホシノと喋っていたのだが
「お、ウチらに逆らうつもりか?」
「その顔、覚えたからな!」
不良達が三流悪党の手本みたいなセリフを残して去って行ってしまった。さっきまでは署名用紙を破られたこともあってアイツらのことを最悪の存在だと思っていたのだが、ホシノと出会うためのキューピットになってくれたので好感度爆上がりである。ありがとう名も知らないチンピラ達。
「怪我してませんか? 梔子ユメ会長」
「あ、うん。ありがとうホシノちゃん」
「どうして戦わなかったんですか?」
ちょっと我慢はしてたけど戦う気満々だったから答えづらい。ここは今朝メモで見た原作ユメ先輩のセリフを借りよう。
「なんでも武力で解決するようになったら、いつか自分を見失っちゃうと思うの」
言葉を借りたがこれは一応本心でもある。なんでもかんでも武力で解決するのは流石によくないと、日本人としての良心が叫んでいる。武力行使前提で全ての物事を考えてしまうと本当に助けるべき人や、手を差し伸べてくれる人達を見逃してしまうし、無駄に敵を増やしすぎてしまう。そうなれば不信に囚われて味方をも失いかねない。
「····何を言っているのかわかりません。じゃあどうやって解決するんですか」
まあそうだよね。このアビドスで、というかキヴォトスでずっと育ってきたらこんなこと考えられないのも無理は無いし、私としてもこの考えを強制する気は無い。
「何も絶対に戦うなって言いたいわけじゃないよ。というか今のアビドスでそれは無理があるしね」
自己防衛のためにもキヴォトスでは戦闘が必要なのは変えようのない事実だが、それでも私は一応相手が攻撃してこないうちは絶対に戦わないと決めている。さっきは怒ってたせいで私もやらかしかけたけど。
「戦うのは解決するための手段のひとつであって、他にもとれる手段はあるって事を知ってもらいたかったんだよ。戦うだけじゃ解決できない物事だってあるし」
「·····」
「それに相手に攻撃されてからだと大義名分を得られて気持ちよく相手を撃てるからね!」
「え?」
「あ、ごめん最後のは忘れて」
まずい。ユメ先輩みたいなことを言おうとしたのに最後に口が滑ってしまった。
「は、はあ。とにかく····早く帰ってください。あいつらが仲間を連れてくるかもしれないですから」
「あ、待ってよホシノちゃん!」
うーん····ちょっと説教臭くなっちゃった上に変なことを言ってしまった。ホシノの態度を柔らかくできるのか少し不安だ。でも優しいのは元来の性格だろうし多分問題ないだろう。
◇◇◇
「住民の皆さん、署名をお願いします!」
次の日私はまた懲りることなく署名を集めていた。今日もホシノが来てくれたし効果は絶大だ。
「あれ、ホシノちゃん今日はどうしたの?」
「昨日の奴らが仕返しに来るかもしれないと思ったので」
え、それってもしかして
「私を守るために来てくれたの?」
「いえ、会長に釣られたところをまとめて倒した方が楽かなと」
「餌ってこと!?」
違った。私は囮だったのだ。
「····アビドス生徒会を狙う人は多いですから」
ん? ·····これってもしかしてもしかするのでは?
「なるほどね。そっかそっか〜」
「?」
「ホシノちゃんは素直じゃないんだね! 実は心配してくれてるんでしょ?」
「だ、誰が心配なんか·····」
少し照れているが隠すかのように顔をしかめている。ホシノのことをよく知っている私はそんなのでは誤魔化されないぞ。
「ホシノちゃん、いつも顔をしかめてるけど····こんなに可愛いんだからもったいないよ?」
「は、はあ!? な、何を言ってるんですか! 余計なことを言うならもう知りませんよ!」
ツンデレか? ツンデレなのか? やはり心配してくれていたのだ。優しいなホシノは。それに2年生の間ずっとひとりだったこともあって誰かと喋れるのがとても楽しい。久しぶりに柴大将以外の人と楽しく喋れてる。
「····ありがとうね、ホシノちゃん。こんなに頼もしくて可愛い後輩が力になってくれるなんて、心強いよ!」
「いいから、集中してください梔子ユメ会長。それと、生徒会の仕事を手伝うのはこれが最初で最後です」
こんなことを言っているが優しいホシノは私のことを見捨てられないのだろうな····
「ふふっありがとうホシノちゃん。でもね梔子ユメ会長じゃなくてユメ先輩って呼んでくれたらもっともっと嬉しいかも、みたいな?」
別にユメ先輩呼びじゃなくてもいいのだが梔子ユメ会長は流石に距離を感じてなんだか嫌なのだ。
「私の話聞いてましたか?」
これからも手伝ってくれる前提の話をしたせいで少し呆れられてしまったようだ。でも今日だって何も言ってないのにわざわざ生徒会の仕事を手伝ってくれるような優しい子なんだし、これからもなんだかんだ手伝ってくれるのだろう。さすがにこれを言ったら鬱陶しがられるかもしれないので言わないが。それでも私は最高の気分である。
「ちょっと! なにニコニコしてるんですか!」
「ふふっなんでもないよ〜」
その日はホシノと話しながら署名を募った。途中でホシノの懸念通り昨日の不良達が仲間を引連れて襲いかかってきたのだが、全てホシノが返り討ちにしてしまったため私の出番はなかった。私もそこそこは強いとは思うのだがもし仮にホシノと戦うことになったら勝てる気がしない。やはり才能の差なのだろうか。
◇ ◇ ◇
それから1ヶ月程の時が経った。ホシノは未だに生徒会には入っていないが、予想通りと言うべきか何かと理由をつけては手伝ってくれる。アビドスのツンデレ枠はセリカではなくホシノだった。
そういえば原作で宝探ししてたよな、とホシノと過ごしているとふと思い出した。お宝があるとは思わないが2人で色々なことをしたいしホシノは宝探しが好きだった記憶があるので宝探しに行くことに決めた。だが宝探しと言っても、原作でやっていた砂漠での希少鉱物が入った花火を掘り出す方はホシノが生徒会に入ってくれてから提案したい。それにもう少し仲良くならないとスク水を着てくれる気がしないのだ。スク水ホシノを拝める機会を逃す訳にはいかなかった。こんな時はメモを見よう。
「色んな駅を巡ってお宝を探す?」
こんなことがメモに書かれていた。まあ何かしら価値のある展示品とかがあるかもしれないしホシノに提案してみよう。
「ホシノちゃん! お宝探しに興味はない?」
「はい?」
「昔のアビドス生徒会はお金持ちだったからさ! アビドスの色んな駅に高価な展示品を置いてたと思うんだよ。だからそれを探しに行くの!」
今更だが今の真面目なホシノはこんな誘い文句でついてきてくれるのだろうか。もう少しなにか捻った言葉を考えるべきだったかもしれない。これでお宝探しデートができなかったら最悪である。
「ユメ先輩····」
「?」
ちなみにしつこくお願いし続けたおかげでユメ先輩、と呼んでくれるようになった。初めて呼ばれた時は喜びすぎたせいで少し呆れられてしまった。
「そんなのがあるんだったら早く言ってくださいよ! 今すぐ行きますよ!」
なんだか目がキラッキラしているしテンションが高い。好きだとは思ってたけどここまでとは。かわいい。
「よし、今すぐいこう!!」
◇ ◇ ◇
そのままお宝を探し続けてもう夜になっていたのだが····
「ユメ先輩、何も見つかりませんよ」
「うーんこっちも外れみたい」
やっぱりお宝は見つからなかった。でも最高に楽しかったので何も問題はない。この時間こそがお宝だったのだ。
「もう帰りましょうユメ先輩。宝探しなんて時間の無駄ですよ」
「えぇっ!? ホシノちゃんも最初すっごくノリノリだったじゃん!」
「そ、それは····」
ホシノもこんなことを言っているが、なんだかんだ楽しかったのかもしれない。なんだかいつもより表情が柔らかい気がする。
「って先輩。手帳落としましたよ」
「えっ! どこどこ!?」
まずい、ちょっと気を抜きすぎていた。しかも日記の方じゃなくて原作知識を書いてる方のメモだし。こんな所に落としていったら色々と不味すぎる。
「ユメ先輩の足元ですよ。というかそんなに焦るなんてよっぽど大切な手帳なんですか?」
「大事なんてレベルじゃないよ! この手帳無くしちゃったら死んじゃうかもしれないし····」
····焦り過ぎていたせいで余計なことを言ってしまった気がする。
「え、えぇ? そんなに大切ならちゃんと管理しといてくださいよ」
「うん、ごめんね。そしてありがとうホシノちゃん! ホシノちゃんは命の恩人だよぉ〜」
「いや、大袈裟すぎませんか?」
私視点では冗談抜きで命の恩人なのだ。これを失くすだけならまだしも、カイザーやらゲマトリアに見つかってたらほんとうにやばかったし。
この後も色々と探したが結局お宝を見つけることはできなかった。
◇ ◇ ◇
ホシノちゃんと2人で買い物をしていたある日のこと。
「あ、これはもしかして····」
リュックサック型の水筒。おそらくホシノがテラー化した原因のあれだ。このフラグはへし折っとかないとまずいかな。
「ユメ先輩何を見てるんですか?」
「んー? このリュックサック型の水筒ってやつだよ〜」
「動くとき邪魔になりそうじゃないですか? しかも高い割にクオリティ微妙そうですし····」
これだ。このセリフがトラウマの要因の一つだった気がするし、ここはしっかり同意しておいてホシノのせいで買わなかったと、そう思わないようにしておこう。
「珍しいものだから見てただけで買う気はないよ〜。それに高すぎるし、これを買うくらいなら弾薬を補充した方がよさそうだね」
「そうですね。これひとつ買うお金でかなりの数買えますし」
よし、これが最善なのかはわからないが少なくともホシノのせいってことにはならないだろう。ひと安心だ。
「ひとつ気になったんですが····」
「どうしたの?」
「先輩ってどうやって生徒会長になったんですか? ひとりしかいない生徒会なんて聞いたことがありませんよ」
当然の疑問だった。よく考えなくてもひとりしかいない生徒会なんて異常だし気になるだろう。
「あーやっぱり気になっちゃうよね? 実はさ、ちゃんとした選挙が開催されたわけじゃないの」
「え、そうなんですか?」
「挙手投票で私を会長に選任して、ほかの役員とか先輩達は全員いなくなっちゃったんだよね」
「そ、そんなやり方で····!?」
「あの時のアビドスはもうまともな状態じゃなかったし、1番やる気のあった私に押し付けたって感じだったんだと思う」
「ユメ先輩は面倒事を押し付けられたんですね····」
私のために怒ってくれるのはとっても嬉しい。嬉しいのだがこれは否定しておこうかな。
「それは違うよホシノちゃん」
「?」
「私は望んで受け入れたの」
「どうしてですか?」
「生徒会長としての権限があればアビドスを守りやすくなると思ったからだよ。それに私はひとりになったとしてもアビドスを諦めたくなかったんだ」
「········」
「まあ実際はそれだけじゃどうにもならないこともあったんだけどね····」
当時は本当に辛かったし、こんなことを言えるのはホシノが来てくれて少し未来が明るくなってきたのと柴大将がいてくれたおかげなのだ。そういえば最近柴関ラーメンに行けてないし今度ホシノと一緒に行こうかな。
「でも今はホシノちゃんもいるし····それにこれがあるからもう大丈夫!」
「····これって?」
「じゃじゃーん! 生徒会長手帳だよ!」
なんだかホシノが可哀想なものを見るような目で見てくる。こんなデザインの手帳をまともに書いてると思われていないのかもしれない
「そんな目で見ないで! これでも毎日ちゃんと書いてるんだからね!」
「どこにでも売ってる学習帳じゃないですか」
「学習帳じゃなくて生徒会長手帳だよ! まあ中身はほとんど私の日記なんだけどね····」
「それにいつかホシノちゃんに受け継いで貰うんだからね!」
「そんな未来は訪れませんよ」
「えぇっ!? ってそっか。ホシノちゃんは生徒会じゃないし····もう何回も断られてるのに、いつも一緒にいてくれるから勘違いしちゃった····」
そういえばそうだった。いつか入ってくれると嬉しいな····少ししょんぼりした私を見たからかホシノちゃんが少し慌てている。
「い、いや、そのそうじゃなくって!」
「····あまりにもダサいのがちょっと」
「えぇーそうかな? なんだか可愛くない?」
「どこがですか!?」
そこそこは可愛いと思うんだけどな。いや違うかこれは多分····
「そっか。ホシノちゃんはお魚が好きだもんね」
「な、なんのことですか?」
お魚が大好きだからホシノには刺さらなかったのだろう。驚きながらも誤魔化しているが無駄な抵抗だ。そもそも前世の知識から好きなのを知っているし、それに何より
「この前一緒に買い物した時、クジラのノートをずっと見てたでしょ? あの時のホシノちゃんの目、すっごいキラキラしてたよ?」
「き、気のせいです! あとクジラは魚じゃないですから!」
「ふふっ墓穴を掘ったねホシノちゃん。やっぱり好きなんだ」
あ、ホシノの顔がすっごく赤くなってる。
「ふっふっふ、そんなお魚が好きなホシノちゃんのためにひとつプレゼントを用意したの!」
「ぷ、プレゼントですか?」
「そうだよ、じゃじゃーん!」
「なっ!? こ、これもしかしてアクアリウムの入場チケットですか!?」
そうアクアリウムの入場券だ。ホシノがお魚や水族館が好きなのは知ってたし、ずっと手伝ってくれてるホシノに恩返しをしたかったのだ。あと先生よりも先に水族館デートをしたかった。
「そうだよ! 今はちょっと忙しいから先の方の日程で2人分チケットを取っといたんだよ!」
さっきまで真っ赤な顔でプルプル震えていたホシノだったが、今は羞恥心など忘れて笑顔で目をキラキラさせている。
「す、すごいじゃないですか! 絶対今度一緒に行きましょう!」
好きなのは知っていたが、ここまで喜んでくれるとは。用意した甲斐があるというものだ。それに水族館デートができることが確定した。最高の気分である。
「うん、絶対行こうね!」
その日は幸せな気分になりながら2人で帰路に就いたのであった。
前話を投稿してから感想や評価をいただけた上に、お気に入りもかなり増えていて驚きました。皆様今後もどうかよろしくお願いします
話の展開上ホシノ視点になる場面もあるのですが、そういうのではなく日常パートでのホシノ視点って需要ありますか?あったら投稿します(多分話はあまり進まない)
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ある
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ない