アビドスユメモドキ   作:泡沫のユメ

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気が付いたらお気に入り3000件突破してました。皆様本当にありがとうございます。

お待たせしました……スランプとリアルの忙しさが重なったせいで執筆できていませんでした。申し訳ない。

ようやく一段落着いたので少しずつ投稿を再開していきます。期間が空いたので文章の書き方が変わっているかもしれません。



29:ブラックマーケットへ

 

 便利屋のみんなを撃退した翌日。借金の返済日を乗り越えた私達は、手がかりを探しにブラックマーケットへ来ていた。

 

 ………私は誰が裏にいるのか知っちゃってるけど……

 

「ここがブラックマーケット……」

 

「わあ☆すっごい賑わってますね?」

 

 ノノミちゃんの言う通りで、もはや一つの自治区と言っても過言ではないほどの規模を誇っている。

 

 飲食店や銃火器を取り扱う店に始まり、服や雑貨、キャラクターのグッズなんかを売っている場所まで。

 

 ブラックマーケットらしく、値段が法外だったり、違法な銃器が店先に並べられていたりはするけど……

 

「私達はアビドスに目を向けてばかりで、学区外にあまり目を向けてこなかったのかも。連邦生徒会の手が届いてない場所がこんなに大きくなってるなんて」

 

「おじさん達は普段アビドスにばかりいるからねー。学区外にはへんちくりんなものもたくさんあるんだよ。アクアリウムっていう大きい水族館なんかも…………うへ」

 

「! 昔一緒に行ったもんね!!」

 

 今思うとあれが最初で最後のデートだったような気がする。またホシノちゃんとどこかへ行きたい。

 

 2人でパトロールに行ったりするのもデートと呼べるのかもしれないけれど、やっぱり遠出をするのとはわけが違う。

 

「ユメ先輩。これ……」

 

 そんなことを考えているとホシノちゃんに話しかけられる。その手にはアクアリウムのペアチケットが握りしめられていた。

 

 

 

 

 ……………? 

 

 えっ………………へ? 

 

「あの時、言ったじゃないですか。次は私が招待するって。だから……プレゼントです」

 

 あまりの情報量にフリーズしているとホシノちゃんにそう言われる。

 

 ハッとなって周りを見てみると、後輩達と先生は少し先にあるお店の前で話し合っていて距離ができていた。

 

 ちょうど水族館の話題が出てきたこと。それから、2人きりで行くために、みんなの注目がブラックマーケットへ向いている今の内に渡したかった……みたいな? 

 

 …………???? 

 

 自分で思い至った可能性にまたもやフリーズしそうになりながら、なんとかチケットを受け取る。

 

 きっと、都合良く考えすぎているだけなのだ。私はエスパーじゃないんだから、ホシノちゃんの気持ちが全てわかるわけじゃない。

 

 ………そう思っていないと理性を保てない。もしも私の予想が合っていた場合、ホシノちゃんに抱きつきに行ってしまう身体を止められる自信が微塵もなかった。

 

 というか、後輩達に悟られるリスクを考慮しなかった場合間違いなく飛び込んでいる。

 

「今度、絶対一緒に行こうね! 約束だよ!」

 

「はい………うへへ、約束です」

 

 ホシノちゃんもなんだか嬉しそうな顔をしていた。最近は色々あって悩んでいるみたいだったから、元気そうな顔を見れて私まで嬉しくなる。

 

 水族館へ行く約束をしたことも相まって、全ての悩みが吹き飛んでしまうほどに私の気分が良くなっていた。

 

 今の私は無敵だ。普段の2倍……いや、3倍は強い。プラナちゃんを超えてしまった。これぞまさに制約解除、ってね。

 

 

 

 

 

 ……流石にちょっと落ち着こう……

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 その後、何とか落ち着いてからみんなに追いついた。そうして、いざブラックマーケットで調査を始めよう。そういう雰囲気になったその瞬間、銃声が響いた。

 

 みんなで周囲を警戒していると、トリニティの校章がついた制服に身を包む少女が、2人組のスケバンに追いかけられながらこちらに向かって走ってきている姿が見えた。特徴的な鳥のバッグを背負っている。

 

 この情報だけで彼女が誰なのかはすぐにわかった。

 

「う、うわああ! まずっ、まずいですー!! つ、ついてこないでくださいー!!! ──わっ!?」

 

 その子……ヒフミちゃんは、後ろばかり警戒していたせいかシロコちゃんにぶつかってしまう。

 

「い、いたた……ご、ごめんなさい!」

 

「大丈夫……? じゃ、ないよね。追いかけられてたし」

 

 そんなやり取りをしているとスケバン達が追いついてきた。

 

「なんだお前らは! アタシらはそこのトリニティ生に用があるんだ! 邪魔をするな!」

 

『……!! そうです! どこかで見たことがあると思ったら三大校の一つ、トリニティの制服です!』

 

 通信越しのアヤネちゃんがそう告げる。その言葉にスケバン達は気をよくしたようで、目的を話し始めた。

 

「その通りだ! そして、トリニティといえばキヴォトスで一番金を持っているお嬢様学校だろ? だから、拉致って身代金をたんまり頂こうって訳さ!」

 

「拉致って交渉! 中々の財テクだろう? どうだ、お前らも興味があるなら計画に乗るか? 身代金の分け前は……ん? な、なんだ?」

 

「悪人は懲らしめないとですね☆えいっ」

 

「ふん」

 

「うっ!?」

 

 スケバン達は喋っている最中にも拘わらず、シロコちゃんとノノミちゃんの手によって気絶してしまう。

 

 あまりにも手が早かった。そんな子に育てた覚えは………少しだけある気がして、何も言えなくなる。

 

 おかしい……こんなはずじゃ……

 

「あ、ありがとうございました。もし皆さんが居なかったら学園に迷惑をかけるところでした……」

 

 そう言った彼女は、阿慈谷ヒフミだと自分の名前を名乗る。

 

 自己紹介をされる前から名前を知っていることに今更ながら変な感覚を覚えた。本当に今更な話ではあるけど。

 

「いやー災難だったね。それにしても、ヒフミちゃん、だっけ? なんでトリニティのお嬢様がこんな所にいるの?」

 

「実は、探している物がありまして……もう正規の販売は終了しているんですが、ブラックマーケットでは密かに取引がされているという情報を聞いたんです」

 

「そんな情報、どこで知ったのよ······?」

 

「あ、あはは………実は、この前ここに来た時に聞いちゃって……それで、居ても立ってもいられなくなって学校を抜け出して来ちゃいました」

 

「えぇ……」

 

 ヒフミちゃんは誤魔化すように笑っているが、私達は戦慄していた。なんせ、常習的にブラックマーケットへと足を運んでいることが判明してしまったのだから。

 

 そんな彼女が何を探しているのか興味津々なようで、様々な質問をしていた。

 

「もしかして、戦車を探しに来たの?」

「もしくは……違法な火器とか?」

「化学兵器とかですか?」

 

 様々な………様々? 

 

「ちょっと待ってよみんな! 物騒すぎるよ!!」

 

「そ、そうですよ! 私は普通の学生なんです! そんな危ないものは買いません! えっと……これ! これです! この限定コラボグッズを探しに来たんです!」

 

 "…普通って、なんだっけ……"

 

 物騒すぎる後輩達はともかくとして、学校をサボってブラックマーケットに入り浸っている生徒を普通の学生と呼ぶのかはかなり議論の余地があるような気がする。先生も首を傾げていた。

 

 もしかするとヒフミちゃんと私達との間には普通、という言葉に対する解釈の違いがあるのかもしれない。

 

 そんな私達の視線を気にせずに、ヒフミちゃんは鳥のぬいぐるみをバッグから取り出す。目の焦点が合っておらず、口の中にアイスを突っ込まれているぬいぐるみだった。

 

 これは──

 

「ペロロ様……」

 

「ご存知なんですか!?」

 

「ひぃん!?」

 

 く、首が……首がグリンって……す、すごい勢いで……小声で零しただけなのに……

 

「も、モモフレンズのキャラクターだよね? ウェーブキャットさんとか、スカルマンとか······」

 

 何とか動揺を隠しつつそう答えると、ヒフミちゃんは目をキラキラさせ始めた。そして、ノノミちゃんも会話に混じってくる。

 

「ユメ先輩も知ってるんですか? 私もモモフレンズが大好きなんです!」

 

「そ、そんなに詳しいわけじゃないよ? あと私が知ってるのは、ペロロジラくらいで……」

 

「伝説のペロロジラもご存知なんですか!? やっぱり、ペロロジラはみんなの心の中にいるんですね!」

 

 さすがはペロロ様です! と続けるヒフミちゃん達の話について行くことは叶わなかった。ノノミちゃんとモモフレンズについて語り合っている。

 

 ホシノちゃんのことを褒めている時の私はこんな感じなのかもしれないと思った。

 

「そういえば、アビドスの皆さんはどうしてこちらに?」

 

「私達も似たような感じだよー。ちょっと探し物があって……あっ、そうだ」

 

 悪い笑顔を浮かべたホシノちゃんが、助けたお礼としてヒフミちゃんにブラックマーケットの案内をしてもらおうと言う。ノノミちゃんとシロコちゃんもノリノリで誘拐だなんだと言っていた。

 

「あ、あうう……」

 

 困っているヒフミちゃんを横目に少し考える。

 

 原作通りということも考慮すると、このままヒフミちゃんに案内を頼むべきなんだろう。

 

 けど……アビドスに無関係の子を無理やり巻き込むというのは、なんだか違うような気がしてしまう。ヒフミちゃんを利用するような形になってしまうのが嫌だという気持ちもあった。

 

 とはいえ、ヒフミちゃんの助けを借りたいのも事実。原作云々を抜きにしても、全く土地勘がない場所で案内があるというのはありがたい。

 

 それに、ヒフミちゃんのためという理由で彼女を帰してしまったら、世界が滅んでしまう可能性もあるのだ。

 

(これが誇張でもなんでもないのがキヴォトスの怖いところだよね……)

 

 そんなことを考えて、とりあえず思い付いた妥協案をヒフミちゃんに話してみることに決めた。

 

「ヒフミちゃん。私達を護衛だと思ってみるのはどうかな?」

 

「護衛…ですか?」

 

「うん。あそこにいるホシノちゃんも、他のみんなも結構強いから、ブラックマーケットでモモフレンズのグッズを集めることにも協力できると思うの。ほら、さっきみたいにスケバンや不良達からも守れると思うし……それの対価として私達は道案内をしてもらう……みたいな?」

 

「……なるほど、わかりました。そういうことなら喜んでお引き受けします」

 

「──巻き込んでおいて言うのは違う気もするけど、ほんとに大丈夫? 無理に言ってるなら……」

 

「いえ……ブラックマーケットは危険な場所なので、アビドスの皆さんがいるのは私としても心強いんです。それに、先程は助けていただきましたから」

 

 恩返しという意味でも任せてください、とヒフミちゃんは言う。

 

 なんというか、いい子すぎる。ここまで言ってくれたのに遠慮するというのは逆に失礼だろう。

 

「……そっか。なら、よろしくね! ヒフミちゃん!」

 

「はい。任せてください! こちらです!」

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 その後、私の考えをみんなに伝えながら、ブラックマーケットの散策を開始した。

 

 ヒフミちゃんは本当にこの場所に慣れているようで、普通に歩いていたら気が付かないような裏路地にあるお店にもすいすいと向かっていく。

 

 ブラックマーケットという危険な場所でモモフレンズのグッズを順調に集めつつ、戦車のパーツを取り扱っている店にまで案内をしてくれた彼女からは、ファウストの片鱗を垣間見たような気がした。

 

 しかし、予想通りというか原作通りというか、痕跡を徹底的に消されていたせいで、黒幕の手がかりを見つけることはできなかった。

 

 その後も何時間か探し続けたものの、特に成果はなく。

 

 そうやってブラックマーケットを彷徨い続けてみんなの顔に疲労が浮かんできた頃、ノノミちゃんの提案で休憩をとることになった。

 

 今はアビドスのおやつ担当でもあるノノミちゃんが買ってくれたたい焼きを受け取っている最中だ。

 

「ユメ先輩、どうぞ!」

 

「ノノミちゃん、いつもありがとね」

 

 そうして渡してくれた紙袋にはたい焼きが2つ入っていた。

 

 ブラックマーケットに来てから、どういうわけか私の傍を離れようとしないホシノちゃんと2人で分けるためだろう。

 

「ホシノちゃん。これ、ノノミちゃんが…………あっ、そうだ!」

 

「? ユメ先輩?」

 

 私の言葉に首を傾げるホシノちゃんを横目に、たい焼きを1つ紙袋から取り出す。

 

 そして……

 

「はい、あーん」

 

「うへ?」

 

 これは、ホシノちゃんが家に来てくれて一緒に晩御飯を食べていたのに、今の今まで忘れていたこと。

 

 普通に渡すよりホシノちゃんにあーんをしたいに決まっている。誰だってそーする。私もそーする。

 

「……いや、やりませんよ!?」

 

「えー! けち!!」

 

「け、けちって……先輩はもし私にされたら食べるんですか?」

 

「もちろんだよ! 寧ろホシノちゃんにあーんされたいくらいだもん!」

 

「そういえばユメ先輩はこういう人だった……」

 

 恥ずかしいだなんて感情は、ホシノちゃんにあーんをしてもらえるという喜びの前にはあまりにも無力だった。それは、私を止められる理由にはならない。

 

 そんなことよりも

 

「ほら、ホシノちゃん。たい焼き冷めちゃうよ?」

 

「わ、わかりましたよ……食べます。食べますから……」

 

「! はい、あーん!」

 

「あ、あーん……」

 

 少し恥ずかしそうにしながらも、私の手からたい焼きを食べるホシノちゃん。

 

 …………ちょっと、かわいすぎないかな? 

 

 もぐもぐと食べている姿を見ていると、愛おしさが込み上げてくる。

 

 これはよくない。非常によくない。

 

 こんな姿を見たらみんながホシノちゃんに惚れてしまう。

 

「……ホシノちゃん。それ、私以外にやっちゃダメだよ?」

 

「私以外も何も、こんなことをしてくる人はユメ先輩しかいませんよ」

 

 どこか呆れたように言葉を紡ぐホシノちゃんを前に、私は……

 

「…………えへへ。そっか。そっかあ……」

 

「?」

 

 ホシノちゃんからの疑問符を誤魔化すようにたい焼きを頬張る。

 

 正直、味は全くわからなかった。他の感情に塗りつぶされてしまっていたから。

 

「それにしても、ここまで情報が見つからないなんて妙ですね…」

 

 そうやって休憩をとっていると、ヒフミちゃんが言葉を零した。重要な話なのだろうと察して気を引き締め直す。

 

「販売ルート、保管記録……全てを何者かが意図的に隠しているような、そんな気がします」

 

「そんなに異常なことなの?」

 

「異常と言うよりは、普通、ここまでやりますか? という感じですね。あそこのビルにある闇銀行のように、ここに集まっている企業はある意味開き直って悪さをしていますから」

 

 闇銀行、という言葉に反応したセリカちゃんにヒフミちゃんが説明をしてくれる。

 

 なんでも、キヴォトスで行われる犯罪の15%の盗品があそこに流されているらしい。そして犯罪によって生まれた財貨がまた他の犯罪に使われ、その財貨もまた別の……と、そんな悪循環が続いているのだとか。

 

 そんなヒフミちゃんの説明に、ホシノちゃん以外の後輩達は、ショックを受けていた。現実は思った以上に汚れているのだと知って。

 

 みんなに何か声をかけようとした瞬間アヤネちゃんの声が響いた。

 

『そちらに武装した集団が接近中です! 気付かれた様子はありませんが……一度身を潜めた方が……』

 

 そんなアヤネちゃんの声に従いヒフミちゃんや先生共々身を隠す。ヒフミちゃんの説明によると彼らはマーケットガードといい、ブラックマーケットでも最上位に位置する治安機関なんだとか。

 

 そのマーケットガードが、現金輸送車を護衛しながら闇銀行へと向かっていく。

 

「……ご苦労様。早かったな。では、こちらの集金確認書類にサインを」

「はい。………では、失礼します」

 

 そのまま言葉を交わし、闇銀行に現金を運んでいく。そんな彼らの姿を見て、ノノミちゃんが言葉を零した。

 

「あれ、あの人は……」

 

「あいつは毎月うちに来て利息を受け取っていく銀行員じゃない! なんでこんなところに!?」

 

『ほ、本当ですね……車もカイザーローンのものです!』

 

「か、カイザーローンですか!?」

 

「ヒフミちゃん、知ってるの?」

 

「カイザーローンと言えば、かの有名なカイザーコーポレーションが運営する高利金融業者です」

 

「有名な……マズいところなの?」

 

「いえ、犯罪自体は起こしていないんですが……カイザーグループは、合法と違法の間のグレーゾーンでうまく振舞っている多角化企業なんです……トリニティの区域にもかなり進出しているんですが、生徒達への悪影響を考慮して、最近ではティーパーティーの方々も目を光らせているんです」

 

 ティーパーティー。その単語に、つい反応してしまった。

 

「ティーパーティー……セイアちゃんの……」

 

「ユメさんはセイア様をご存知なんですか?」

 

「知り合いというか、なんというか……」

 

 夢の中で知り合った友達……友達? なのかな? セイアちゃんもそう思ってくれてるといいけど。

 

 それはともかくとして、だ。夢の中で知り合いました! なんてことをみんなに言っても、信じてはくれないだろう。或いは、頭の心配をされてしまうかもしれない。自分でもそう思ってしまうくらいには現実味のない話なのだから。

 

「?」

 

 息を呑むような音が聞こえて振り返る。するとそこには、どこかショックを受けたような顔を浮かべるホシノちゃんがいた。

 

「ホシノちゃん、どうしたの? 大丈夫?」

 

「ぁ……い、いえ……」

 

 聞いてみても誤魔化されてしまう。ホシノちゃんのことが心配だったが、それ以上に後輩達の話し合いが白熱していた。

 

 必死に返してきた借金が犯罪に利用されていた、という事実に対して怒りが湧いているようで、シロコちゃんやセリカちゃんは鋭い目つきを向けている。

 

 しかし、その証拠を探ろうにも現金輸送車の経路は全てオフラインで管理されており、支払いも現金のみ。

 

 そんな詰みかけていた状況で、ヒフミちゃんが起死回生の一言を放った。

 

「……あ! さっきサインしてた集金確認の書類……それを見れば証拠になりませんか?」

 

「! さすがだよ、ヒフミ」

 

「あはは……でも、よく考えてみると書類はもう銀行の中ですし……無理ですね。ブラックマーケットで最も強固なセキュリティを誇る銀行となると……」

 

「……うん。他に方法はないよ。みんな」

 

 シロコちゃんのその言葉にヒフミちゃん以外は何かを察した様子だった。鞄を探って、目当てのものを取り出している。

 

「あ、あのう。全然話が見えてこないんですけど、何をするつもりで…?」

 

「残された手段はひとつ」

 

 手作りの覆面を被ったシロコちゃんがドヤ顔で告げる。

 

「銀行を襲う」

 

 そんな言葉に思わず苦笑い。正直、梔子ユメ的には止めるべきなんだろうとも思う。あのユメ先輩が、銀行強盗をなんの注意もなく許すというのは考えづらい。

 

 ………が、今回ばかりは許して貰おう。原作という意味でも、アビドスを守るためという意味でも、必要不可欠な行為なのだ。

 

「それじゃあ先生、号令を」

 

 "銀行を襲うよ!"

 

 そんな先生の声を聞きながら銀行へ突入した。




私に描写する能力が足りなかったので補足を

Q.家に泊まってて2人きりなんだからその時にアクアリウムのチケットを渡せばよかったのでは?

A.その状態のホシノがユメ先輩に対してそんなことを言う勇気と自信がないと私が嬉しくなるのでこうなりました。

本当はもっと詳しい理由と、私のユメホシに対する思想を書いていたんですが、後書きだけで1000文字を超える異常事態が発生しそうになったので途中でやめました。主に後者のせいです。
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