アビドスユメモドキ 作:泡沫のユメ
今回ちょっと短いです。
ついに、ついにこの日がやってきた。ホシノちゃんとの水族館デートの日だ。残念だったな先生よ! ホシノちゃんの水族館の初めては私のものだ! 地下生活者も言っていた。攻略法その1『既に起きた出来事は変えられない』のだ!
....さすがにちょっと落ち着こう。今日は朝からアクアリウムに現地集合なのだ。集合時間に遅刻するわけにも行かないしさっさといこう
約束の時間の30分前に着いたのだが....
「え、ホシノちゃん?」
なんと既にホシノちゃんは、入り口近くで待っていたのだ。
「あ、ユメ先輩おはようございます。早速行きましょう! パンフレットは貰って来ましたから!」
なんだかホシノちゃんの様子がおかしい。いや、これはテンションが高すぎるからなのかな? 目も今まで見たことないくらいにキラッキラしている。
「熱帯魚館に深海魚館、それにエサやりの体験館もあるみたいですよ! それに....イルカショーとかペンギン館もあります! ここはきっと寒いんですよね!?」
「これみてください先輩! 海のトンネルっていうのもあるみたいですよ!」
「うへへ、ジンベイザメもいるみたいですよ!」
私も大概テンションが上がってると思ってたのだが、ホシノちゃんは私以上に興奮しているようだった。ここまではしゃいでるホシノちゃんは珍しい、というか初めて見たからとても得した気分だ。これだけでチケット代のお釣りが来る。
「これ今日1日で全部見れるかわからないので早く行きましょう! 先輩!」
「うん! 早速行こっか!」
◇◇◇
「せんぱいせんぱい! 見てくださいあのお魚!」
「うん、とってもかわいいね」
ホシノちゃんが。
いやほんとお魚の説明をしてくれてるホシノちゃんには申し訳ないんだけど、はしゃいでるホシノちゃんが可愛すぎるんだよね。
熱帯魚館を堪能した私達は深海魚館へ向かった
「わっなんかすっごい見た目のお魚さんが多いね。」
「深海に住んでる魚は極限の環境に適応してるから普通のお魚とはだいぶ見た目が違うんです! 身体からひかりを放って身を守るようなのもいるらしいですよ?」
「やっぱりホシノちゃんは詳しいね〜」
想像以上に詳しい。ほんとうに大好きなんだろう。今日は借金のことなんて忘れてめいっぱい楽しんで欲しいな.....
そして私達は海のトンネルへ向かった。というかこれメモロビのシーンのやつでは?
「すごいですね先輩....こんなところ初めてです...」
「うん...すっごく綺麗...」
視界の全てが空の色ともまた違う透き通った青色に染まっている。とっても綺麗
「見てください先輩! お魚もいます! かわいい...」
「あ、1匹大きいのが! あれがジンベイザメなんでしょうか?」
正直に言うと私はお魚に対して特別好き、という感情は持っていなかった。前世でも水族館に行ったことはないし。だから今日のもお魚を見るホシノちゃんを見るのがメインになると、そう思っていた。でもこの光景を見ると考えを改めざるを得ない。すごく綺麗でなんだか見蕩れてしまう
「ホシノちゃん....お魚さんってかわいいね」
「当たり前ですよ!」
その後も
「うわっ、アンコウの口ってこんなに大きいの!?」
「次は私がエサやりします!」
エサやり体験をしたり。
「ペンギン達かわいいけど....ちょっと寒くない?」
「そうですね....アビドスの環境に慣れてる私達からするとちょっと慣れない寒さです...でもかわいいです」
ペンギン館の寒さに驚いたり。
「へー亀って水の中だとあんなに動くの早いんですね。ノロノロしてるってイメージだったから意外です...」
「かめー!」
「なんですかそのノリ?」
ウミガメ館に行ったりと一日中満喫することができたのだった。
◇◇◇
「楽しかったねホシノちゃん!」
「はい。でも全部まわりきれなかったのが残念です....こんなに広いとは」
「また次に来た時に見ればいいよ!」
「はい....そうですね。次は私が招待しますから楽しみに待っててください」
「ほんと? ありがとうねホシノちゃん」
やはりホシノちゃんは優しい。何も返せないのが申し訳ないって言ってたし、それも含めてのことなんだろうけどまた一緒に行ってくれる、という事実が何よりも嬉しいのだ。
「そんなホシノちゃんにはこれをあげちゃいます!」
私は袋に隠しておいたぬいぐるみを取り出した。
「これ...クジラのぬいぐるみですか?」
「そうだよ! ホシノちゃんすっごく買いたそうな目で見てたのに値札を確認して我慢しちゃってたからさ」
ホシノちゃんは多分借金のこととか、色んな事情を加味して諦めたんだと思う。でも今日だけは全部忘れて楽しんで欲しかったから。ホシノちゃんが少し離れてた間にこっそり購入したのだ
「ユメ先輩....ありがとうございます」
「どういたしまして!」
クジラのぬいぐるみをギュッと抱きしめるホシノちゃん。とってもかわいい
「先輩...その、今日はちゃんと楽しめましたか?」
「えっどうして?」
ホシノちゃんが申し訳なさそうな顔で聞いてくる。
「その...テンションが上がりすぎちゃって、先輩そっちのけで楽しんじゃった気がしまして...私と違って先輩はお魚が好きってわけじゃないでしょうし..」
あーなるほどね。まあ強ち間違ってもないんだけど...
「まあ正直に言うと最初だけはそう思ってたよ?」
「先輩...その、すみま「でもね?」..?」
ホシノちゃんがあやまりそうだったので遮らせてもらった。だってそんな気持ちになる必要は全くないのだから
「ホシノちゃんが色んなところに連れて行ってくれて、ホシノちゃんの説明を聞いて、お魚さん達を見てるとねなんというか....好きになっちゃったの」
「途中からはホシノちゃんと同じくらいか、寧ろホシノちゃんより楽しんでたよ? 私はお魚が好きじゃなかったわけじゃなくって、魅力を知らなかっただけだったの」
「だからホシノちゃんがそんな気持ちになる必要はないの。ホシノちゃんのおかげで好きなものが増えたからね。だからありがとう」
「そう....ですか。ならよかったです」
「まあお魚さんを見て興奮してるホシノちゃんがいちばんかわいかったけどね?」
「なんですぐそういうことを言っちゃうんですか!?」
そのまま私達はアビドス自治区まで電車で帰った。閉館時間ギリギリまで見てたせいで着いた頃にはすっかり夜になっていた。
「すっかり暗くなっちゃいましたねユメ先輩」
「·····」
「先輩?」
「ホシノちゃん...アビドスの夜空って星が綺麗だね」
なんだか見蕩れてしまう。今までも何度も見たことがある景色のはずなのに。
「まわりになにもありませんからね」
「それだけが理由、なのかな」
きっと違う。ほんとうの理由はホシノちゃんがいてくれるからだ。ホシノちゃんがいなかったら星空を見て楽しむような心の余裕なんて絶対になかった
「というか、アビドスの星空なんて見慣れてますよね? どうして今更....まあ、綺麗なのは否定しませんけど....」
「まあ、ホシノちゃんのおかげだよ。ホシノちゃんは私にとって希望の星だから」
「なんですかそれ...まあ、悪い気はしませんけど....」
「ふふっ、今日は一緒に水族館に行ってくれてありがとね? あんなに楽しいものだとは思ってなかったよ」
「チケット買ってくれたのは先輩じゃないですか。それにこんなものまで貰っちゃいましたし、お礼を言うのはこっちの方ですよ」
ホシノちゃんがクジラのぬいぐるみを掲げて見せてくる。
「抱き枕にも使えそうだねそのぬいぐるみ。ホシノちゃんは将来お昼寝を趣味にしてそうだし....大事に使ってね?」
「少なくとも先輩のまえで昼寝なんてした事ないですよね? なんでそう思ったんですか?」
「秘密だよー!」
余計なことを口走ってしまった。ただ昼寝をしてる理由がちょっと闇深すぎるからできることなら趣味にして欲しくない気もする。まあ、私がいれば大丈夫だろう。
「じゃあ、ホシノちゃんまた明日ね」
「はい、また」
そうして私達は自分の家に帰った。
誤字報告ありがとうございます。一応書き終えたあと読み返してるんですけど、細かい漢字の変換ミスとか1文字変な文字が混じってるとかだと気づけない時があるのでほんとうに助かってます。
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