俺を捜しに来た3人とは泉の広場に戻る途中で合流できた。
単独行動の危険さと迷惑行為に対するお叱りの言葉をひたすら受け、それらについて言い訳はせずひたすら謝罪した。
その上で聞いてもらいたい話があると、さっき起こったことを説明した。
あの火力の必殺技は俺だけで済む話ではない。
報告連絡相談、俗に言う
無下にしてはいけないと実感している。
悲劇のヒーロー……ヒロイン?を気取って秘密にして1人で抱え込んでも、誰も得をしない。
むしろ迷惑をかける可能性があるのだから、情報は早いうちに共有した方が良いだろう。
俺の3番目のスキルである「極光」は単に速度が速いだけで威力そのものは低いレーザーを放つ技だと思っていた。
その認識は全く違っていた。
とりあえず
極光は、本来の性能を発揮するのにエネルギーが全く足りず、中途半端な発動で終わっていただけなのだ。
昔の格闘ゲームには必殺技を発動させる際に、パワーゲージをある程度貯めないと使えないものがあった。
ゲージを貯めなくてもコマンドさえ成立すれば一応必殺技は放てる。
だが、威力やエフェクトも小さく、本来と全く違う不完全な形でしか発動できない。
極光の性質はそれと同じだった。
あのレーザー光線は、本来の機能を発揮しない偽物でしかなかった。
パワーゲージに当たるのは「生け贄」
第1スキルの群鳥を「生け贄」=エネルギーとして消費させて、その後に第3スキルの極光を放つ。
使うためのルールはただそれだけである。
本来の性能で発動された極光は、鳥だけでは足りないとばかりに、周辺にある生命体から無差別に「収穫」を始める。
最初の発動時には、まず足元の草が黒い霧に溶けて消えた。
周辺に生えていた木と草と花、小さいトカゲのような小動物、ワイバーンの死体3体。
「収穫」の範囲はどんどん広がっていった。
そして――オウカちゃんの遺体。
安静を願って埋葬した彼女の遺体は、単なる好奇心からの実験の燃料として消費されて黒い霧状になって溶けて消えた。
エリちゃんが追悼のために捧げた花も。
周辺にあったすべて生命と、生命だったものが燃料となって消えた。
テスト試射という、やる必要などなかったどうでもいい目的のために消えた。
おそらく極光を全力で、鳥を10羽以上捧げて撃てば、生きている人間――
モリ君もエリちゃんもハセベさんも――
俺も含めた全ての生命が生け贄として捧げられるのだろう。
何も得られず、何も手に入れられない。
これが空虚の魔女が振りまく、魔女の呪い。
さすがにショックが大きすぎると考えてオウカちゃんの遺体が消えた件のみは伏せた。
「さっきまではその能力の反動だと思う――全身に紋様が浮き出ていた。痛みはないものの、明らかに正常と言える状態じゃなかった」
ローブの袖をまくり、ブラウスの袖のボタンを外して腕を見せた。
「今は消えているようだが」
「『魔女の呪い』を使えば、また浮き出てくると思う」
「念のため確認しておきたい」
ハセベさんが挙手した。
「その発動時に使用した鳥の数は?」
「スキル1回分……5羽です」
「それでは理論上の最高値は?」
「スキル4回分、20羽の鳥は同時に同じ場所に出せます。それを全て捧げた状態が最大火力ではないかと」
「では逆に最低値は?」
「1羽……いや2羽?」
検証してみたいところだが、あまり出したくない能力だ。
実際に試して何が起こるか分からないのも困るので、勘で答える。
ただそれほど外れてはいないだろうと思う。
1羽だとさすがに発動には足りない気がする。
ならば2羽か3羽。
根拠など一切なく、ただの勘ではあるが。
魔女はその後の呼びかけには一切応じない。
こうしている今も、おそらく俺やハセベさんの話も全部聞いているのだろうが、あえて無視をしているようだ。
都合の良い時だけ出てきて語りかける。
場合によっては俺の体を乗っ取りにかかる。
今のところ完全に俺を一方的に乗っ取ることはできないようだが、それはいつまで続くか分からない。
「では私たちの生命に危機が発生したときのみ、2羽の消費だけで使用してほしい」
「そんなの使ってラビちゃんの体は大丈夫なんですか?」
「そうですよ。そこまで強い攻撃がなくても、あの誘導弾があれば十分じゃないですか?」
モリ君とエリちゃんが会話に割り込んでくる。
「これから何が起こるのか分からない以上は、強力な武器はあるに越したことはない」
「武器って……」
「彼女にはそれなりの負担がかかるだろう。だが、それを使うことが安全の確保につながるならば、使用を躊躇わないで欲しい。私からの要望だ」
ハセベさんはなかなか現実的だ。
俺の身体や周囲への負荷についてはある程度は無視しろとは、なかなか厳しいことをおっしゃる。
ただ、もしかしたらメダル争奪のための殺し合いが始まる可能性について示唆したばかりだ。
どんな相手でも一撃で消し飛ばせる武器がこちらにあると相手に伝われば、抑止力として機能するだろう。
「ラビちゃんはそれでいいの?」
「別に納得してはいないが、俺は後衛だから、戦闘で直接傷を負わされる可能性は低い。そのリスクを別の形で負担することに異議はないよ」
俺の言葉を聞いたエリちゃんは納得しない様子だったが、それでも渋々と引いてくれた。
正直、気乗りはしないが、それで仲間が傷ついたり危険な目に遭うことを回避できるというならば、使うこと自体はやぶさかではない。
問題は「収穫」だ。
あれは俺の意思とは関係なく行われる上にターゲットを選べない。
仲間に対して影響が発生する可能性は十分ありうる。
ある程度の使用は躊躇わないとは言ったが、それは被害が俺だけに留まる場合の話だ。
仲間を守るために使った能力が、逆に仲間を苦しめる結果になることだけは避けなくてはならない。
これはさすがに迂闊には使えない。
翌朝は夜明けと共に出発するので、早く寝て備えるという方針だけが伝えられた。
なので、安全圏である泉の広場に戻ったらそのまま眠ることとなった。
女子部屋で。
◆ ◆ ◆
「ラビちゃんはこっちの女子部屋です」
「オッサンなんですけど」
俺はエリちゃんに女子部屋と設定された廃屋の一室に案内された。
廃墟の中で、比較的形を留めているマシな部屋を2つ確保して掃除を行い、それを男2人、女2人で使い分けるようにしただけである。
別に何か違いがあるわけではない。
元は全てが朽ちてしまった廃屋なので寝具など何もない。
部屋の中に転がっていたゴミを運び出して空いたスペースに寝転ぶだけだ。
今は、2つの部屋の間の廊下で枯れ草や朽ちた木屑などで焚火をしている。
ハセベさんが木を一生懸命擦って点けてくれた種火が役に立った。
そのおかげで、室温はそれなりに上がっている。
日が落ちてから一気に気温が下がってきたが、朝になったら凍死していたという事態だけは避けられるだろう。
「どうせ雑魚寝なんだから男子部屋でもいいんだが」
「絶対ダメ。中身はオッサンでも体は女の子なんだから、間違いがあっちゃダメでしょ」
「モリ君やハセベさんもそんなことしないだろ。2人とも真面目だよ」
「絶対ダメ。ハセベさんはよく分からないけど、裕和……モリ君は何をやるか分からないセクハラ魔神よ!」
エリちゃんはモリ君が他の女に手を出すことが気に入らないだけの気もするが、そこは何も言わないことにした。
「それはともかくとして。脱いで」
突然エリちゃんが俺に脱衣を要求してきた。
君自身がセクハラ魔神になるつもりなのか?
「さっき全身に紋様が出たって言ってましたよね。見せてください」
いやさすがにもう消えている……と言いたいところだが、目視では手の先くらいまでしか確認はしていない。
ローブを脱いでブラウスとハーフパンツだけの姿になる。
「それも脱いでください」
「いやこれ以上はさすがにまずいだろ……もうやめて、やめ、くぁwせdrftgyふじこl」
エリちゃんが俺の胸に手をかけて服のボタンを外していく。
完全に肩と下着が露出したところで手は止まった。
「はい大丈夫。変な傷跡みたいなのは残ってないですよ」
異性……いや、今は同性なのか。肌が露出しているのが妙に恥ずかしくなり、服の胸元を掴んで肩をすくめる。
頬が妙に火照っている。
もしかして俺は恥ずかしがっているのか?
「変な必殺技を使うと、体に変な傷跡みたいなのが出るんですよね」
「うんまあ」
「女の子の体にそんな傷みたいなのが残るのってダメだと思うんですよね」
「オッサンなんですけど」
「なので、その魔女の呪いってのは使わないでください。約束ですよ」
「聞いて人の話」
この娘も悪い子ではないだろうが、行動には危なっかしいところが多い。
それに、俺に心を開いてくれたのは良いが、中身はオッサンだ。
あまりベタベタしてはいけないだろう。
惚れちゃうだろ。
明かりを調達する方法もないので、その日は早めに就寝をした。
◆ ◆ ◆
翌朝は誰よりも早く起きた。
「はじめてのトイレ」というグレーどころではない、完全にアウトでしかないアウトなイベントを乗り切るためだ。
誰も起きてこないうちに無心となることで乗り切った。やりきった。
正直、魔女の呪いを使った時より精神的に疲れた。
もうそれだけで今日活動する気力の全てを使い切った気がするが、とにかく乗り越えた。乗り切った。
泉の冷たい水で顔を洗っていると元気が戻ってきた……気がする。
前日にエリちゃんに臭いと言われたことを思い出して、ついでに服の隙間からハンカチを突っ込んで体を拭いていく。
こうして汗や垢などを拭き取るために体のあちこちを触ったりしても、自分の身体だなという感想しか湧いてこなかった。
ハンカチの汚れは泉の水で軽く洗濯をして落としておく。
しかし、最初から持っていた汚れたハンカチがこれほど重要アイテムになるとは思わなかった。
水洗いさえできれば、タオルやティッシュペーパーやトイレットペーパーの代わりにもなる。
石鹸や洗剤の類いはないので体やハンカチもそこまで綺麗にはならないが、少なくとも汚れたままよりはマシだろう。
「石鹸の作り方はなんだっけ? 貝とか海藻とか焼いて何かと混ぜたら石鹸ができるのは覚えてる」
漫画から得た知識でしか石鹸の製法を知らない上に、曖昧な箇所が多すぎて覚えているうちに入らない。
素人が雑な製法で適当に試したところでゴミが生産されて終わりだろう。
大学生時代には金を使わない貧乏旅に何度も出たが、その時もいかに現代日本の科学文明に頼っていたかを思い知る。
「お客様の中に石鹸のレシピをご存じの方はおられませんか」
「石鹸くらい買えばいいだろう」
その時、突然背後から羽交い締めをされた。
聞いたことがない男の声が耳元で囁かれる。
俺の身体を締め上げている男の腕はタイツ地のような薄くて黒い布で包まれていた。
視線を動かすと、男は腕だけではなく全身が黒いタイツ地の服を着ているようだった。
ただの変態ではない。
突然姿を現したことからして、忍者や暗殺者などのキャラクターである可能性が高い。
羽交い締めに拘束されたままグイっと体を持ち上げられる。
一瞬だけ異様な高身長だと思ったが、冷静に考えると
まだこの小さい少女の身体は俺のものであるというイコールが繋がらない。
どう見ても友好的な接触とは思えない。
少しでも抵抗する意思を見せれば、そのまま首を絞めるなり骨を折るなどして殺しにかかってくるだろう。
「こいつはどうする?」
「SRのようなので殺しましょう」
俺を拘束している男が暗がりの向こうに呼びかけると、今度は眼鏡をかけた魔法使い風の男が現れた。
朝っぱらからご苦労なことだ。
眼鏡の男はゲームなどで見掛けるコートタイプの魔術師のローブを着ている。
艶のある高級そうな素材の上に、ポケットやボタン、ベルトなどの装飾も凝ったものだ。
ローブの下には黒いシャツを着ているようだが、そちらも精緻な作りだ。
一言で説明するとオシャレだ。
なお、俺のローブは何の装飾もついていない真っ黒な貫頭衣。
ファッションブランドのショップで買った服と、しまむらの特売品くらいのクオリティの差がある。
その眼鏡の魔法使いの横には全身鎧を着込んだ長髪細身の男がいる。
ゲームなどでよく見るが、現実には存在しない細かい文様が意匠として彫り込まれた赤い光沢の金属鎧。
右手に持った剣の鍔にも同様の精巧な装飾が施されている。
オシャレだ。オシャレ集団だ。
ただ、顔も装備もオシャレな騎士のはずなのだが、その表情は下卑て安っぽい。
中の人の人格が貫通して外の人にまではみ出しているのだろうか。
問題はこいつらの目的だ。
まず第一に「SRなので殺す」などという物騒な物言いだ。
カードも確認せずに俺のレアリティを言い当てたのも気になる。
何かのスキルを使用したのか?
次々に現れる情報の数々に考えがまとまらないが、はっきりと言えることは一つある。
こいつらは、いずれ出現すると予想していたメダル狙いだ。
「マニアックな体型でオレの好みじゃないな。あれはオタクくんのジャンルだろ」
「僕も子供体型なんてお断りですが」
「オタクくんのタイプでもないなら要らんな」
鎧男と眼鏡が何やら人を勝手に値踏みして無茶苦茶なことを言い始めた。
「方針を早く決めてくれ。殺すのか? 骨を折って無力化させるのか?」
俺を拘束しているタイツマンが2人に話しかけた。
「殺す方向で。近くに仲間がいるはずです。まずはどこか離れた場所へ移動させましょう」
「俺が一人で運べと?」
「あなたが拘束を緩めたら、そいつが何をするか分からないでしょう。拘束したまま運んでもらうのがベストです」
「俺の労力が大きすぎるんだが」
タイツマンが不満を漏らして、眼鏡と口論を始めた。
俺をどこか目立たない場所に運んで殺害するつもりの算段のようだが、タイツマンの意識が会話に向いたおかげで、少しだけ拘束が緩んだ。
仕掛けるならばこのタイミングしかない。
「誰がロリでマニアックだーっ!」
至近距離で鳥を生み出し、そのうち3羽を俺を拘束している黒ずくめの男の脇腹へと叩き付けた。
残る2羽は念のため上空に移動させて待機させる。
スキルは念じた場所で発動できる。
普段はわかりやすく箒の先から出しているが、出そうと思えば別にどんな体勢からだって好きな場所に出せる。
至近距離から鳥の直撃を受けた全身タイツマンが悶絶してうずくまり、拘束が解かれた。
いくら攻撃力が弱いと言っても、骨で守られていない脇腹などの急所に至近距離から直撃を受ければ無傷とはいかないだろう。
逃走を兼ねた動きで、両膝を付いてうめいているタイツマンの顔面を踏みつけるように蹴りを入れた。
勢いを殺さずに、そのまま男たちとの距離を取る。
エリちゃんのように体操選手のような宙返りをイメージしてはみた。
だが、俺の身体能力が低いだけに、おゆうぎかいの前転にしかならなかったのはご愛嬌だ。
武器になるようなものはないかと、召喚された時から持っていた箒を探す。
箒は武器になるわけではないが、素手よりはマシだろう。
箒の所在を探してキョロキョロしていると、箒が「ここにいるぞ」と言わんばかりに勢いよく廃屋の窓から飛び出してきた。
空中で掴んで胸元に箒を両手で握り直す。
よし、これで武器は大丈夫――
「――お前、呼んだだけで勝手に飛んでくるのかよーっ!」
箒に向かって怒鳴るように声をかけた。
箒は確かに宙に浮かせることができるのは確認できた。
だが、呼べば勝手に飛んでくる機能まで搭載しているというのは完全に予想外だ。
おい超越者! この際、魔女でもいい!
俺に何かをやらせたいなら、せめてできることとやるべきことの説明をしろ!
ハロウィンでクッキー以外の説明が何もないぞ!
心の中で毒づくが、当然ながら、超越者はもちろん、箒からも魔女からも答えが返ってくることはない。
いや、箒の方は俺が怒鳴りつけたことで怯えるようにフルフルと小刻みに震えていた。
うん、なんというかゴメンと箒へ謝罪する。
「なんだあの箒? スキルか? それとも何かのアイテムか?」
「分かりませんが、とりあえず潰しておきます」
眼鏡が俺に向かって杖を向けたのを見て、何らかの攻撃かと箒を盾にするように胸元で斜めにして構え直す。
だが、いつまで経っても攻撃は来なかった。
ただ箒の重さが急に重くなったように感じる。
先程まで元気に飛んでいたというのに、今では何故かグッタリとして普通の箒のようである。
一体何が起こったのだろうか?
分かりやすい漫画だと、ここで敵が能力について一から十まで全て説明をしてくれた後に俺が、
「能力の開示……本気だねペロっ」
と返すという、初見の人にも分かりやすく優しい流れになるのだろうが、現実はそうはうまくいかない。
「すまない遅れた」
ここでようやく騒ぎに気付いたのかハセベさんが部屋から出てきてくれた。
既に刀は鞘から抜刀しており、いつでも戦える態勢は整っているようだ。
やや遅れてモリ君とエリちゃんも装備を整えて飛び出してきた。
「状況は?」
「いきなり羽交い締めにされて殺すとか、マニアックとか、オタク向けとか、洗濯板とか、千早は皆勤賞だな、などと言われました」
「……後半の意味はさっぱり分からないが、敵対の意思があると」
「間違いありません。敵です」
昨日話していた人間同士の戦闘があるかもしれないという仮定がいきなり現実になってしまった。
現代の日本人に倫理観のブレーキが吹き飛んだ連中はそうはいないと思っていた。
だが、見通しが甘かったらしい。
しかも、こいつらの口ぶりからして、俺への攻撃は初犯ではない。
既に何人かを殺害している。
「いきなり羽交い締めにして殺すと言ってくる連中に言葉が通じると?」
ハセベさんからの返事はない。
「あの侍もSRだ。あとから出てきた2人はどちらもRだからどうでもいい」
「SRが2人のパーティーとか厄介だな。逃げるか?」
「不利ではありますが、貴重なSR2枚を得る絶好のチャンス……逃したくはない」
眼鏡がハセベさんの方を向いて鎧男に何やら話をしているのが聞こえた。
ハセベさんのレアリティを瞬時に判別したことから考えて、眼鏡は何らかのスキルを使って俺達の情報を読み取っているようだ。
スキルか、それとも魔術師のかけている眼鏡が何らかのアイテムなのか。
敵対さえしていなければ貴重な情報源になったかもしれないが、それは叶わなさそうだ。
交渉も通じないのは分かる。
「逃げるのはやめだ。あの女の方は俺がもらう」
鎧男が下卑た笑みを浮かべている。
あの女というのは、文脈からしてエリちゃんのことだろう。
元のキャラクターの顔は整ったイケメンタイプのようだが、中の人がゲスだとそれが表面まであふれ出してくるらしい。
女を道具としてしか見ていない眼が気持ち悪い。悪寒が走る。
嫌悪感から昨日習得した魔女の呪いで消し炭にしてやりたい気持ちもあるが、さすがに自重する。
この狭い場所での乱戦では味方を誤射する可能性の方が高い。
それよりも魔法使いタイプの眼鏡が重要だ。
どこから情報を入手したのかは謎だが、俺たちの知らない情報を持っているようだ。
箒を無力化したり、レアリティを分析したりと未知の能力も持っており、野放しにしておくと危険だ。
真っ先に締め上げて無力化した後に情報源として活用したい。
「眼鏡の魔術師は何かしら俺たちの知らない情報を持っています。無力化して話を聞きたいです」
「他の2人は? かなり手強いぞ」
「まずは戦闘不能に追い込みます。処遇は後から考えましょう。もし死んだらごめんなさいということで」
「わかった。人間同士で戦闘など無駄な行為だとしか思えないが、話し合って分かり合えるタイプではなさそうだ」