収穫祭の魔女   作:れいてんし

114 / 338
Chapter 2 「プロトコル333」

 レルム君の即席電波受信機を使って電波の発信源を追った先。

 そこは分かりやすい城や神殿ではなく、民家が立ち並ぶ住宅地の一角にある小さな倉庫だった。

 

 外観は他の建造物との差異は見当たらない。

 これを人間の目で見極めるのは不可能だっただろう。

 

「普通は分かりやすいランドマークに設置すると思うが、裏をかかれた形か」

「そうですね。これはレルム君のお手柄です」

 

 まずは調査だ。

 俺は鳥を建物の内部へと潜入させながらレルム君を褒め称える。

 

「自分の能力をよくここまで応用させて成長させた。偉いぞ」

「ありがとうございます。師匠」

 

 流石にこれくらい褒めても罰は当たらないだろう。

 記憶がオリジナルと繋がりつつあるのも良いが、最初に会った時と比べて、頼もしく成長したのは嬉しい要素だ。

 

 ただ、頭を撫でられて嬉しそうにしているレルム君の様子を見ると、どうしても「わんこ」というイメージが消えない。

 

「建物内の様子はどうですか?」

「エリア51とほぼ同じ構造だな。地上部自体はほぼ何もなく、いきなり地下へ続く階段。階段を降りてすぐに金属製の扉。今はエアダクトからの侵入を試みている」

 

 モリ君に進捗を尋ねられたので、今の調査状況を伝える。

 

 やはり、それなりの防犯設備は有るようだ。

 仕方ないので、鳥を追加で投入。

 

 応援の鳥達を送り込み、エアダクトを塞いでいた蓋、ダクト内にあった換気扇、そして出口の蓋を破壊して通路を確保する。

 

 これでようやく施設内へ侵入が可能になった。

 今度は出口側のダクトの蓋を破り、2羽の鳥を内部へと送り込む。

 今のところは順調だ。

 

「ラビさんの鳥は段々器用になっていますね」

「この鳥のスキル自体、本来は攻撃用じゃなくて、こういう偵察やサポート用途なんじゃないかな。そりゃ攻撃に使っても弱いはずだよ」

「俺のプロテクションも、もしかしたら間違った使い方なのかも」

「モリ君のプロテクションは……何なんだろうな。何が正しい使い方なのか、さっぱりわからん」

 

 スキルで敵の攻撃を防ぐための防御壁が出るのは分かる。

 

 その防御壁を槍の先に出して殴ると、強度はそのままなので強かったというのも、まあ分かる。

 

 壁の形をある程度変形できるのを良いことに、剣やら斧やら、好き放題の武器に変形させ始めたのは、さすがにおかしい。

 

 今からでも伊原さんのところに押しかけて、件の攻略ページのキャラ紹介を見せてもらった方が良いかもしれない。

 流石にもう「エリス(バレンタイン) SSR」以上の精神攻撃はないだろう。そう信じたい。

 

「エリア51とは比べ物にならないくらい狭いですね。通路入ってすぐのところ左右に部屋が1つずつ。一番奥に1部屋。合計3部屋だけの狭い施設です。通路内に敵の姿はありませんでした」

 

 一通りの探索を終えたので使い魔を解放(リリース)した後に、ハセベさんへ状況を報告する。

 

「部屋の中はどうだね?」

「すみません、鳥ではドアを開けられないので、ここから先は人間の手が必要です」

「さすがにそこまで都合良くはいかないか。では、防御スキルを使えるモーリス君、先陣を頼めるか?」

「はい、任せてください」

 

 一応は敵の拠点である。念には念を入れた方が良いだろう。

 モリ君を戦闘に、ハセベさん、カーターが中堅に入り、俺が殿(しんがり)を務める。

 

 階段を降りた先の扉は施錠されていなかった。

 それでも一応モリ君が警戒しながら開く。

 

 センサー式なのか、扉が開くと同時に天井に埋め込まれた照明が点いた。

 

 廊下は光沢のある樹脂系の床材が隙間なく張られており、どこか病院のようにも見える。

 そこはエリア51と同じだ。

 

 ただし、事前調査で分かった通り、明らかに狭い。

 部屋以外のスペースに何か埋め込まれているのか、それとも未知の出入り口があるのかまでは不明だが、それはこれから調査する。

 

「じゃあ手前の部屋から調べていこうぜ」

「おい、慎重に行こうって話だろ」

 

 止める間もなくカーターが躊躇なく右の部屋の扉を開いた。

 

「なんだこりゃ?」

「だから迂闊に開けるなって言っただろ」

 

 中は小さい机が1つだけ置かれており、その上に小さい石で作られた祠のようなものが鎮座していた。

 

 小さい祠にレルム君がバケツを向けると、検知音がより大きくなった。

 電波の発信源はその祠である証拠だ。

 

 祠の内部を覗き込むと、小さい石像が納められており、手前には魔法陣が薄く光を放っていた。

 魔法陣の形には見覚えがある。

 ケルベロスの巣が有った洞窟内ににあったものと同じタイプの魔法陣だ。

 モンスターを召喚することが出来る機能が備わっているのだろうか?

 

「ここはカーターに魔法の専門家としての意見を聞きたい」

「ふむ」

 

 カーターは祠の中を覗き込んだ。

 指の先で軽く魔法陣を弾くと、キンと金属音に近い音が鳴る。

 

「召喚系じゃねえの。ベーシックな四元素じゃないし、星辰で……と言っても分からんか」

「俺はコスプレ魔法使いなんだから、説明されんと分からんぞ」

「オレも分からんよ。召喚系の何かと分かるだけ。運営が撤退して、計画ごとポシャったから、もう正常動作はしないだろうけどな」

 

 分かるような分からないような答えではあるが、この謎のオブジェクトを捨て置くのも良くないだろう。

 

「一応、魔法陣だけは潰しておこう」

 

 俺はバルザイの偃月刀を抜いて魔法陣をガリガリと引っ掻いた。

 すると、魔法陣は消滅し、祠からうっすらと放たれていた薄い光が消えた。

 

「師匠、電波はまだ発信されてるみたいですけど」

 

 レルム君の言葉通り、構えたバケツからはまだ音が鳴っており、静かな部屋に反響していた。

 

「祠の魔法陣は発信源と別口か」

「こっちの石像の方じゃないんですか?」

 

 モリ君が槍を祠の中に突き入れて、中に入っていた石像を掻き出した。

 

 レルム君がその石像にバケツを向けると音が大きくなった。

 石像の中に発信機が埋まっているようだ。

 

「オブザーバー、説明お願い」

「多分、祠と石像はセットだな。両方揃って機能するタイプだから、こっちもそのうち止まると思うが」

「壊しても大丈夫か? いきなりドカンはない?」

「それは大丈夫だな。では、先生、お願いします」

「承知」

 

 カーターから破壊OKの確認が撮れたので、俺が石像を机の上に立てた。

 そこへハセベさんが目にも留まらぬ速度で刀が一閃させた。

 刀を納刀すると同時に、人形は真っ二つに分断されて、机の上に転がった。

 

 同時にレルム君が抱えたバケツからの振動音も停止した。

 これで一安心である。

 

「じゃあ反対側の部屋も念のために見とくか」

「気をつけろよ。何が仕掛けられているか分からない」

「大丈夫だって」

 

 カーターはまたも無警戒で左側の扉を開けた。

 部屋の間取りや広さなどはほぼ同一だが、こちらの部屋にはが何一つとして物が置かれていない。

 

「お前って本当に集団行動が出来ないんだな」

「電波も止まっているんだから、これ以上何もないのは確定してるだろ。全てに気を払っていちゃ、肝心な時に集中力が持たないぞ」

「それでも警戒はしておくべきだろ」

「敵さんの立場で物事を考えるんだよ。ここは倉庫だ。頻繁に人や物が出し入れするから利便性を考えると鍵もセキュリティも付けたくない。セキュリティは、外の入口で担保されている」

 

 そう説明されると理屈は分かる。効率優先なのは分かる。それでも行動前にまずは言って欲しいところだ。

 理屈は通っているのだから、説明さえあれば特に反論するつもりもないのだから。

 

「で、最後は奥の部屋だ。おそらく敵さんとしては、そこだけ守りぬけたらOKだと考えているんだと思う」

「本命は電波の発信源だったから、もう何もないとは思うけどな……ただ、次は慎重に頼むぞ」

「分かってるよ」

 

 頼みを聞いてくれたのか、今度こそカーターは慎重に歩みを進めた。

 スキルで防御出来るモリ君が前面に立ち、ハセベさんとカーターが扉の真横に回り込む。

 

 だが、3人の動きがドアの前で止まった。

 

「どうかされましたか?」

「ドアノブも取っ手もない。こいつは自動ドアだ」

「でもドアの前に立っても開かないということは……」

「ロックされているな。電源が切れているのかも」

 

 重量検知の可能性も考えてドアの前で何度か飛び跳ねてみるが、やはりドアは開かない。

 そんな俺の様子をカーターは真剣な表情で見ていた。

 

「何か気付いたことでもあるのか?」

「いや、本当に飛び跳ねても揺れないんだなと」

 

 電光石火のカラテ・チョップをカーターの脳天へ叩き込んだ後に改めてドアを見る。

 よく観察すると、扉の横の壁には黒く四角いモニタが2つ埋め込まれていることに気付いた。

 

 うまく壁に溶け込むデザインであるために、よく観察しないと気付かなかった。

 

 俺の目線の高さの位置に1つ。

 胸の高さに1つ。

 

 これが扉をロックしているものの正体だろう。

 

 目線の高さにあるモニタを軽く手の甲で弾いてみると「retina authentication」の文字と十字のマークが浮かび上がってくる。

 下部のモニタにはやはり手を置けとばかりの人間の手のひらの絵が表示されている。

 

「網膜認証と指紋認証ですね。パスワードとかカードキーとかそういうのを予想していましたが」

「それは、関係者がいないと入れないということか」

「関係者か……」

 

 俺はカーターを手招きして、手の平を下のモニタに押し付けた。

 

「はい、次はここを見て」

「いきなり何だよ?」

 

 カーターに上のモニタを見るように促すと、それで網膜と指紋認証が完了したのか、小気味良い電子音と共に重厚な金属の扉がスライドして開いた。

 

「お前はシステム上では、ゲームマスターってことになってるんだと思う」

「そんなガバガバで大丈夫なのか、ここのセキュリティ」

「色々と雑な運営だぞ。セキュリティも雑に決まってるだろ」

 

 今回はその雑さがありがたい。

 自分の生活と関係ない場所ならば、雑なのが一番だ。

 

 室内へと足を踏み入れると、まるで近未来のSF映画に迷い込んだかのような光景が広がっていた。

 

 まず目を引くのは、部屋の中央に鎮座する大型モニタだ。

 

 画面は9つのセクションに分割され、それぞれが町のあちこちに設置されているであろう防犯カメラからの映像を次々と映し出している。

 

 サイドに設置された他のモニタには、複雑な数値やグラフが踊る監視制御システムの画面が表示されている。

 

 インジケータの横には次々と規則正しくログの文字列がスクロールして流れている。

 

「監視ルームか。でもこんな無人の町の何を監視しているんだ?」

「運営がいた頃は何かをやっていたんだと思いますよ。誰もいない今は何のために動いているのかすら不明ですが」

 

 ログの文字が読めれば何か分かるかもしれないが、表示されているのはエリア51の地下で見た観客どもがチャットに流していた謎の文字だ。

 

 点や棒が並んでいるだけの文字であり、何かの象形文字だと予想は出来るが、だからと言って別に解読には繋がらない。

 

「ハセベさんはこの文字を読めますか?」

「私にも分からない。アラビア文字に似てはいるが」

 

 ハセベさんでもダメとなると頼りの綱はカーターだ。

 期待を込めて視線を向ける。

 

「一応読めることは読めるぞ。スラスラとはいかんが」

「すごいなお前」

 

 カーターは眉を顰めながらモニタを高速で流れるログを目で追い始めた。

 

「個体番号か? 何番かのアイテムでエラーが発生してるから、それをリセットしろ。その繰り返しが延々と出ている。このログを見てみろ、後半部分はほぼ共通だろう」

 

 カーターの説明を聞いてから改めてモニタを見ると、確かに文字の大半は共通した絵柄……文字に見える。

 異なる部分というのが、シリアル番号的なもので、意味のない文字ということだろうか?

 

「これって何語なんだ?」

「ヘブライ文字」

 

 カーターがさも当然のようにとんでもないことを言ってのけた。

 古代から伝わる文字で、現在だとイスラエルくらいでしか使われていないはずだ。

 

「なんでそんなのが読めるんだよ」

「オレの親戚の本家筋ってさ、明治からの貿易商で横浜には結構デカい家がある名家だったんだけどさ」

「その話長くなるか?」

 

 自分語りは長くなりそうなので一応念のために聞いておく。

 

 カーターの過去が気にならないと言えば嘘だが、今、重要なのはここで何を行われているか、何が発生しているのかを確認することだ。

 

「大丈夫すぐ終わるから。何年か前の話。本家の頭首がくたばったが跡継ぎはなし。なので邸宅を解体するってので、分家筋のオレ達が呼ばれて、遺品の整理をしていたんだ。そうしたら、先祖が明治時代に海外から仕入れた本が蔵の奥から大量に出てきてだな」

「その本の一部がヘブライ文字で書かれていたと?」

「本自体は英語だったんだが、その中に原典である粘土板の写しが大量に引用されていてだな。そこで使われていたのがヘブライ文字だ」

「それを読んだのか」

「ああ。最初はネットオークションで高く売れないかなと思って本の内容をチェックしてたんだが……ってその話は今度でいいか」

 

 動機は酷かったが、だいたいの経緯は分かった。

 

「それで具体的にはここは何の施設か分かりそうか?」

「それは今から調べてみる」

 

 カーターはそう言うと監視制御システムが表示されている前の椅子に腰かけた。

 キーボードを叩いて何やら操作を始める。

 

 基本的な操作はWindowsと同じように見える。

 だが、文字を読めないので何をやっているのかが理解できない。

 

 俺達全員が無言でカーターが操作をする画面を覗き込むという変な絵になった。

 

 カーターがしばらく無言で操作を続けていると、突然に画面に表示されている文字、流れているログの全てが日本語に変わった。

 

「OSのランゲージ設定の候補に日本語があったので変更してみた。これで全員読みやすくなるはずだ」

「でかした! というか全言語対応してるのかよ」

「超科学万歳ってやつだな」

 

 日本語変換されてからは早かった。

 コンソールを操作して、このシステム内に保存されている、それらしいドキュメント類を漁っていくだけの簡単な作業だ。

 

「ようやくわかったぞ。ここはテストプリントの町だ」

「テストプリント?」

 

 カーターの言葉に意味が分からず問い返す。

 

「3Dプリンタみたいな感じだな。運営が、町も人も……完全人工製で自分達の思う通りに動く映画のセットみたいなものを作ろうとしていた」

「ここはそのプロトタイプだと」

「テストプリントはデュプリケートに7日……神気取りなのか、あいつらは」

「神が世界を作ったのは6日で残りは安息日なので7日はおかしいだろ。休み無しのブラック労働になるぞ」

「そういう抜けてるところがあいつららしい」

 

 ようやく運営の意図が理解出来た。

 

 要するに「現地人と組んで文明発展なんてされるとゲームの進行に支障が発生するから、全部こちらで管理する」ということだろう。

 

 召喚者は基本的に運営が用意したNPCとしか関わらせないし、町からも出さない。

 すおすれば、もしゲームが終了した後も、その生活の全てを運営側で制御出来ると。

 

「ゲームが終わって解き放たれた召喚者も、こんな感じの人工の町から出さずに、出来るだけ手元で監視したかったんだろう」

「じゃあこうやってエラーを吐いているのは?」

「本来住民は自律稼働するNPCとして作るはずが、この町は、壁なんかと同じ素材で作ってしまった……ようは失敗だ。ただの人形になったせいで、こいつら動かないぞとエラーを吐いている」

「相変わらず雑な仕事だな」

「しかも作ったまま放棄だ」

 

 本当に面倒なことをしてくれる。

 

 この内容ならばこのまま放置していても特に害は出そうにないし、時間経過で朽ちていくだろう。

 廃園になった遊園地のようなものなので、大きな影響はなさそうではあるが。

 

「このシステムから、遠隔で町を破壊出来そうかね?」

 

 ハセベさんがカーターに尋ねた。

 

「自壊機能はなさそうだな。まあ、メンテ機能は停止してるし、エネルギー供給も時期に止まる。海が近いこの町は、塩分を含んだ潮風が物をどんどん劣化させるから、数年で劣化して全部崩壊すると思うが」

「では、もう一つ確認して欲しい……この作られた人間に人格はあるのか?」

 

 確かに俺も作られた人間?に意識があるのかどうかは気になる。

 

 たとえ、誰かに造られた人造人間だとしても、もしも人格があるとしたら流石に「壊れろ」とは言いにくい。

 

 造られた人間がどうのと言い出すと、レルム君達もその範疇に含まれるからだ。

 

「少なくともこの町にあるのは人形だから何もない。ただ、どこかに本番稼働に成功した町が有ると、その人造人間達には人格は有るはずだ」

 

 カーターは意味ありげにレルム君へ視線を向けた。

 

「自分達の勝手な都合で人間を作って、後は知らんとかどうなんだ」

「幸か不幸か、すぐに滅びるってことはなさそうだから、後は自分達で生き方を探してくださいとしか言えんな」

 

 カーターが表示させたドキュメントにはNPCのスペックシートが記載されていた。

 

 身体の構造は基本的には人間。

 ただし繁殖力はない。

 エネルギーの供給が続く限り、身体は無限に再生するため、老化はない。

 

 それは、もはや人間ではないのだが、放置しても本当に大丈夫なものだろうか?

 

 それを世界に解き放っても良いのだろうか?

 

 そして最大の問題はここだ。

 

「エネルギー供給が途切れた際には飢餓感から暴走する可能性が高い。十分に注意すること」

「運営が撤退した今となってはエネルギーなんてすぐに切れるだろう。大丈夫なのか、これ?」

「大丈夫だろ。エネルギーが切れたら不死も切れるみたいなんだし」

 

 雑な対応ではあるが、本当に本番稼働している施設があるのかどうかすら不明だ。

 今の段階で気にしても仕方がない。

 

「この施設で分かることはもうないな」

「この町でやるべきこともな。危険がないと分かった以上は、後は自然消滅待ちでいいだろう。旅を再開しよう」

 

 ここが人間の住んでいる町ならば、食事を摂ることも考えたのだが、この偽物の町の中に食べ物など有るはずもない。

 引き上げようとした時に、突然にそれは起こった。

 

 突然室内に大音量でサイレンのような大きな音が鳴り響いたのだ。

 

「何だ? 時間差で侵入者がいると気付かれたのか?」

「ラヴィ君は鳥で施設内と外に監視を頼む。モーリス君は私と一緒に出口の警戒を」

 

 ハセベさんとモリ君の2人が素早く出入り口の警戒にあたる。

 

 俺はハセベさんの指示通りに鳥を召喚して通路、そして一度地上へと出して町の警戒に向かわせる。

 

 全員で次のアクションに対して身構えてると、今度はサイレンに続いて機械的なアナウンスの音声が読み上げられた。

 

『この警告は12時間ごとに定期再生されます』

 

 日本語の音声だった。

 俺達に向けてのものか、それとも、先程システムを日本語に変えたことで、このアナウンスも日本語に切り替わったのか?

 後者の気がする。

 

「何の警告だ?」

『本部との通信が確認出来ないため自動的にプロトコル333が実行されます。キャンセルする場合はあと21日以内に本部の通信機器を回復するかカナベラル基地の装置を操作して直接リセットしてください。繰り返します――』

 

 アナウンスが流れ終わったと同時にカーターが座っている前のモニターに13日と12時間を示すカウントダウンが表示された。

 

 アナウンスは3回読み上げられ、その後には静寂が戻ってきた。

 

「ラヴィ君、外の状況は?」

「それが、全く異常なしです。この警告は部屋だけに流れたようですね」

 

 鳥による警戒は続けているが、町の中、および施設内には特に何も動くものは見当たらない。

 

 カーターがコンソールを操作して何とかプロトコル333について何か情報がないか調べてみたが、成果はないようだ。

 

「一体何が起こるって言うんだ?」

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。