収穫祭の魔女   作:れいてんし

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第八話 「神保町古書店」

「みなさん、ご迷惑をおかけしました。本当にすみませんでした」

 

 写真部の部室から救出した写真部部員の少女は意識を取り戻すや否や、僕達に涙を流しながら頭を何度も下げて謝罪を始めた。

 こちらが何を言おうとしても先にペコペコと頭を下げ続けるのでなんとも対応しがたい。

 

「私が至らないせいでアル君が暴れてしまい、皆さんに多大なご迷惑をおかけしました。すみません」

「アル君?」

 

 それはもしや先程まで戦っていたあの赤い孔雀のことだろうか?

 

「確認したいんだけど暴れたって?」

「はい、ずみません。私が悪いんです」

 

 ついには涙だけではなく鼻水まで流し始めた。

 流石にこれは気まずい。

 

 ポケットの中にポケットティッシュを入れていたことを思い出して少女に差し出すと「優しくしてくれてありがとうございます」と言葉の全てに濁点が付けながら思春期の女子が出してはいけないような音を立てて鼻をかみ始めた。

 

「外は元に戻っているだろうし、小森は食堂の自販機でお茶を買ってきて。ちょっと落ち着かせないと話も出来ない」

「そうみたいだけど大丈夫か? また暴走したら」

「だから小森に頼んでんの。異世界チートの俊足を生かして一瞬で買って戻って来て。出来るでしょ」

「買いには行くけど一瞬は無理だぞ。お茶は一本でいいんだな」

「全員分に決まってるでしょ。私は紅茶ね。無糖のやつ」

「お金は?」

「ゴチになります」

 

 また綾乃が無理難題を言い始めた。

 小森君と少し打ち解けられたと思った途端にこれだ。

 

 綾乃は他人との距離の詰め方がおかしいんだよ。

 

「まあいいか。矢上君は何がいい?」

「僕もお茶で」

「お茶4本と」

「私は紅茶って言ったよね。どうせ異世界からお宝とか持ち帰って金持ちなんでしょ」

「あっちから持って帰ってきたのは装備品を除けば写真一枚だけだよ。他の持ち物は全部処分してきた」

「写真? 異世界なのに?」

「カメラが有る世界だったんだよ。あと向こうは普通のファンタジー世界じゃなかったから」

 

 それだけ言うと小森君は部室を飛び出していった。

 

 戦闘時の常人を越えた速度ほどではないが、かなりの速さだ。

 あれならばすぐに飲み物を買って戻ってくるだろう。

 

「カメラ? 写真!?」

 

 少女が綾乃と小森君の話題に出た「カメラ」と「写真」のワードに食いついた。

 

 座っていた椅子から立ち上がり、興味津々とばかりに目をキラキラとさせている。

 いつの間にか涙も止まっていた。

 

「って、急に元気になったわね」

「すみません。私は写真が好きなので、そういう話題が出るとつい……」

 

 少女が恥ずかしそうに椅子に座り直した。

 

「じゃあちょっと落ち着いたところでさて、アル君とか名前を付けてるくらいだから、召喚能力を持っていることは自覚しているんだろうけど」

 

 綾乃は腕を組みながら少女の周囲をグルグルと周り始めた後に、まるで刑事ドラマの尋問シーンのように机の上に片手を突いた。

 少女がビクっと身体を震わせる。

 

「私達を攻撃したのは誰かに頼まれたから?」

 

 女子にしては高身長の綾乃が机越しにゆっくりと身を乗り出し、少女の顔に影を落とすようにして静かに言葉を投げかけた。

 声もいつもより低くしており、より圧を強めている。

 

「アル君を使おうと思ったら、急に言うことを聞かなくなって、そうしたら私も意識がいつの間にかなくなって……」

「使おうと思ったということは能力が使えたのは初じゃないの? 能力が使えたのはいつ頃から?」

「金曜の夜からです」

 

 少女は声を震わせながら怯えを隠さずに答えた。

 

「綾乃、やりすぎだよ」

「この娘が敵の可能性は消えたわけじゃないでしょ。それに、私達が迷惑したのは確かだから、これだけはハッキリさせておかないと」

「ずみません、私が全部悪かったんです」

「ループしてる! ループしてるよ! 綾乃はもう少し優しく。君も……名前はなんだっけ?」

 

 流石に話が進まなさすぎるので介入することにした。

 ティッシュに加えてハンカチを少女に差し出す。

 

「優しいんですね。私の名前は友瀬映子(ともせえいこ)です」

「友瀬さん、知ってることを教えてくれるかな」

「はい。じゃあ私とアル君のなれそめから聞いてください」

 

 ようやく話を聞けそうだ。

 

   ◆ ◆ ◆

 

 小森君が飲み物を買って戻ってきたので、友瀬さんから話を聞くことにする。

 

 友瀬さんは話すのが少し苦手なのかポツポツと要領は悪かったが、それでも金曜に何が有ったのかを話してくれた。

 

 学校近くの展望台から富士山と夕焼けの写真を撮ろうとカメラを持って自宅を出たこと。

 展望台に向かう途中、アフリカ系と思われる神父に会ったこと。

 神父が突然に赤い宝石を掲げて祈りを捧げ始めたので、何かの宗教の勧誘かと思って慌てて逃げ出したことなどだ。

 

 冬場は空気が澄んでいるので富士山が綺麗に見える時があるのでよくチャレンジしているという今回のことにない話についてはとても饒舌だったと追加しておきたい。

 

「神父が『君が3人目だ』と言っていたのが気持ち悪くて」

 

 友瀬さんは自分で言っていて怖気を感じたのか自らの両肩を抱くように抱え込んだ。

 

「神父に会った場所は?」

「学校の前の坂を下ってすぐのところに神社があるでしょう。そこに行く途中です」

「なるほど、ありがとう。怖いことを思い出させちゃったね」

 

 綾乃が優しく声を掛けると、ようやく先程の刑事ドラマごっこで怯えていた友瀬さんも安心したようだ。

 

「神父の話だと私と恵太が1人目と2人目。それで友瀬さんが3人目か」

「違うよ綾乃。僕達が神父に会ったのは土曜日なんだから、僕達は4人目と5人目だよ」

 

 綾乃の言葉を訂正する。

 

「矢上君、柿原さんが神父に会うまでは半日以上開いているので、間には更に何人か挟まるかもしれない。最低5人だな」

 

 小森君が更に補足してくれた。

 そう考えると例の熊は1人目か2人目の能力の可能性が高い。

 

「アル君が出てきたのはそれから家に帰って寝る直前でした。頭の中に名前とか出来ることがどんどん入り込んできて」

「それは僕と同じだ。実際に見てもらうのが早いかな。ジャック・オー・ランタン!」

 

 これで3度目、少し慣れて来た。

 なるべく必要がない時以外は喚ぶなと言われているが、流石に今の状況は必要だと思うので勘弁してもらいたい。

 

 僕が念じて約20秒。

 カボチャ頭の怪人、ジャック・オー・ランタンが姿を現した。

 

 それを友瀬さんは口を開けてポカンと見つめていた。

 納得してもらえたようなのでカボチャ頭には帰ってもらう。

 

 カボチャ頭は何の命令もこなさず帰るのは不本意とばかりに僕の方へ訴えるように顔を向けてきたが、それでも大人しく帰ってくれた。

 

 カボチャ頭は何の感情も持たない人形ではなく、明らかに何かの意思を持って動いているようだ。

 

 暴走の危険があるというのはこういうことだろう。

 僕の命令に不満があればいずれ話を聞いてくれなくなる。

 確かに喚ぶのは必要最低限にした方が良さそうだ。

 

「私と同じような人がいたんですね。これからも相談に乗ってもらっていいですか?」

「それはまあ」

 

 僕が適当に答えると、友瀬さんが僕の手を握って「よろしくお願いします」と笑顔で微笑みかけてきた。

 柔らかい――あまりに、柔らかい。

 

 今では兄妹としか感じられない綾乃と受ける印象が全く違う。

 

 単純と馬鹿にされるかもしれないけど、僕だって男だ。

 男と言うのはそういうものなんだ。

 

 鼻水が付いたのは気にしないことにした。

 さりげなくティッシュで拭き取っておく。

 

「それで使い魔が出てから何があったの?」

「アル君の消し方が分からなくて、昨日は抱いて寝て、昨日と今日はみんなに見つからないように鞄に詰め込んできました」

「詰め込めるってことは普段は小さいの?」

「肩に乗るくらいです。なので最初は孔雀じゃなくて文鳥の仲間かと思ってました」

「あのレーザーをバラ撒くやつが文鳥?」

 

 綾乃は思うことがあったのか目を閉じて目頭を摘んで何やら思いにふけり始めた。

 

「それで、誰もいない休みの学校なら迷惑がかからないから、何が出来るのか試そうとして……」

「暴走したと」

 

 僕にもなんとなく暴走原因がなんとなく見えてきた。

 

 金曜の夜から使い魔を喚び出したままで、命令はペットとしてのもののみ。

 その状態でストレスをかけ続けた結果、ついに友瀬さんも使い魔も限界に達したのだろう。

 

「うん、まあそれは仕方ない。幸い被害も出てないので無罪! 恵太と小森もそれでいいよね!」

 

 綾乃は友瀬さんに心配をかけさせないためか、明るく振る舞ったようだ。

 

「まあ敵対意思がないなら」

「今後もちゃんと使ってもらえるなら、僕達の仲間になってもらって良いんじゃないかな? この使い魔を消すって目的は同じわけだし」

 

 小森君も僕も反対するつもりはない。

 

 むしろ友瀬さんも神父がやったおかしな儀式の被害者だ。

 同じ境遇の仲間として放置は出来ない。

 

「一応次の土曜日に魔法? について詳しい人が来てくれることになってるんだ。それまではこれを暴走させないよう協力しよう」

「はい!」

 

 そして綾乃と映子は握手をした。

 僕と小森君も自己紹介をしながら握手を交わす。

 

「これで一件落着かな? 状況は上戸さんや片倉さんに報告しておくよ」

 

 小森君がメールを送信すると、すぐに返事が返ってきたようだ。

 

「何か分かったことはあった?」

「片倉さんからだけど、みんなの両親ってタバコを吸う? オイルライターを用意しろって言ってるんだけど」

 

   ◆ ◆ ◆

 

 僕達の両親はみんなタバコを吸わず、家にはライターがないので、仕方なく小森君が近所のホームセンターでオイルライターを1つ買ってきた。

 

 小森君が「これで来月まで小遣いなしなんだけど」とぼやいていたけど、本当に悪いことをしたと思う。

 

 綾乃は「今度埋め合わせをするから」と言っているが、綾乃が何かを返してくれたことなど一度もないのは幼馴染の僕が一番知っている。

 その癖、お返しがないと、自分の好意がないがしろにされたと怒るのだ。

 昔にバレンタインのチョコを……いや、これはもう終わったことなのでいいや。

 

 小森くんが説明書を読みながらオイルを注油。

 ライターの端に付いている金属製のフリントダイヤルを回して点火する。

 

「でも、ライターで火を点けることで何が変わるの?」

「片倉さんの話だと、召喚能力をうまく扱えないのは心の中にオン・オフのスイッチがないからじゃないかって」

「スイッチ?」

「人間は常識から外れた能力をどう扱えば良いのかなんて知らない。だから、自分達が分かる形での制御装置を頭の中に作っちゃえってことらしい」

 

 それは分かる。

 僕もイマイチイメージが掴めないので、旧校舎で見た上戸さんが鳥を喚び出すイメージを重ねて再生しているだけだ。

 他にわかりやすいイメージがあれば、そちらに置き換えた方が効率が良いのは分かる。

 

「矢上君のカボチャ頭は火の印象が強いから、ライターが良いだろうと説明されたよ。火が点くと召喚。消えると送還というイメージを脳内にスイッチを作ればいいって」

「イメージか」

 

 小森君からライターを受け取り、ダイヤルを回しながらカボチャ頭を喚んでみる。

 

「来い、ジャッコ!」

 

 ライターに火が点いた途端にその炎は瞬時に高く上り、一瞬にしてカボチャ頭の怪人が姿を現した。

 先程、出てくるように呼びかけてから実際に出てくるまで20秒近くかかっていたのが嘘のような早さだ。

 

「蓋を閉じると消化」

 

 言われた通りにライターの蓋を閉じるとカボチャ頭の怪人は宙に溶けて姿を消した。

 

 カボチャ頭が不満を訴える暇を与えず消すことが出来る。

 

 これならば暴走を阻止する目的でも使えそうだ。

 

「今度は友瀬さん」

「や……やってみます」

 

 友瀬さんにライターを渡す。

 ただ、友瀬さんは力がないのか、なかなか指の力だけではダイヤルを回せないようだった。

 

「ダイヤルを擦り付けるようにしてみれば良いのでは」

「なるほど、それで行ってみます」

 

 友瀬さんは右手で持ったライターの端にあるダイヤルを左手に擦り付けるように動かした。

 すると今度は一瞬で火が灯った。

 

 その上でライターの蓋を閉じると、肩の上に乗っていたアル君……赤い孔雀が音もなく姿を消した。

 

「すごい。すぐに消えた」

「これがオンオフをはっきりさせるってことか」

「なんかすごいね。私もやってみていい?」

「綾乃はダメ。何か出てきたら困るだろ」

 

 僕が強く言うと「確かに出てきたら困るしね」と下がっていった。

 

「今日のところはこれで解散しよう。また変なやつがちょっかいをかけてくるか分からないし」

「そうだね。じゃあ小森君、また明日部室で」

「そうそう、色々聞きたい話もあるし」

 

 これで一段落だ。

 あとは無事に土曜日が来ることを祈って僕達は帰路についた。

 

   ◆ ◆ ◆

 

「裕和の方はどうだって?」

「一応は一段落ついたって」

 

 どうやら別の召喚能力者を仲間にして一件落着らしい。

 もしも未解決ならば俺達も横浜へ向かう必要があったかもしれないが、その必要はないので安心だ。

 

「高いオイルライターを買わされて財布がピンチって書いてあったんだけどどういう意味なんだろう」

「カーターさんから変な話を聞かされたとか?」

 

 それは有りそうだ。

 あいつはそれなりの知識はあるのは間違いないのだが、どこか抜けているところがある。

 

「まあ、詳しい話は後で聞こう」

 

 俺、上戸佑(うえとたすく)とエリちゃんはこのメールを東京で受けていた。

 

 これから自宅に帰るつもりではあるが、その前に東京でやっておかないといけないことがいくつかあるからだ。

 

 そのやるべきことの1つを達成するためにやって来たのが今いる場所。

 東京は神田神保町にある古本屋街だ。

 

 ここは多くの古書店が立ち並ぶ通りとして全国的に有名な場所だ。

 俺がここを訪れたのは、ネット検索でここの書店の1つに目当ての書籍があると知ったからだ。

 

 通販も出来るのだが、せっかく東京近郊にいるのだから実店舗に足を運んだ方が早いという理由がある。

 

 メールの情報を頼りに古本屋だらけの通りを歩いていき、事前に調べて連絡をしておいた古書店を見つけた。

 

 店内に足を踏み入れた瞬間、埃と古い紙の臭いが鼻をくすぐる。

 

 店内は狭く、天井まで届くほどに積み上げられた本の山が、壁という壁を覆い隠していた。

 この中から目当ての一冊を見つけるのは困難だろう。

 事前に連絡をしていて本当に良かった。

 

「すみません、事前連絡していた上戸と申しますが」

 

 店の奥にいた店主らしき老人へ呼びかけると、奥から出迎えてくれた。

 

「ああ、上戸さん……聞いてるよ。まさかこんなに若いお嬢さんだったとは」

「こう見えても私達は大学生なんです。今度レポートで必要な資料がありまして」

「なるほどね。奥に取り置きしてあるのを取ってくるからちょっとお待ちを」

 

 店主はそう言うと店の奥の方へ入っていった。

 

 店主も本の山の中から目当ての蔵書を探して、すぐに取り出せるように別の場所に保管してくれていたのだろう。

 細かな配慮に感謝したい。

 

「ラビちゃん、大学生って?」

「そう説明するのがややこしくなくて良いだろう。見た目通りだと中学生だし、これで社会人ですと名乗っても嘘付いてるだろうと言われるし」

「苦労してるんだね」

「本当に苦労してるんだよ」

 

 店主が戻ってくるまでの間、店の中に積まれている本の山へ目を向けた。

 

 相当な蔵書数だ。

 おそらく今入っていた店の奥にもまだまだ希少な本が眠っているのだろう。

 

「ラビちゃん、ここに来たのは?」

「矢上君が調べてくれただろう。折戸って人の書いた本がネットオークションに出品されてるって。ただ矢上君は1冊しか見つけられなかったけど、調べてみたら教授は本を3冊出していた」

「もしかして残り2冊はここにある?」

「その通り。まあ、時間があるから国会図書館に行ってそこで読んでも良かったんだけど」

「ふーん」

 

 エリちゃんはそれで興味をなくしたようで店内の本に視線を移した。

 

「ちょっとここの本屋にある本は私には難しいかな。本を読むのは好きな方なんだけど」

「こういう本屋はタイトルを眺めているだけでも面白いよ。『なんだこれ?』というタイトルの本があって読んでみたら意外と面白いってことも多いし。例えば……」

 

 適当に眺めていると「大正の洋食屋」というタイトルに目を惹かれた。

 本棚から抜き出してパラパラとめくってみる。

 

 洋食レストランの戦前、戦中の料理について、洋食店を経営していたシェフが書いたレシピ本のようだ。

 

 発行は昭和初期。

 物資不足の時代ということもあり、紹介されている料理も使われている素材も今のレストランと比べれば素朴なものばかりではあるが、それでも美味しく仕上げようとシェフが苦労した体験談などが色々と載っている。

 

「料理本?」

「レシピも載ってるけど、戦中という物のない時代にどうやって客の満足のいくものが出せるかという心意気が書いてある。闇市の食材に納得出来なくて東京から山梨まで歩いて買い出しに行った話とか」

「なにそれ、面白そう」

「だろ。こういう予想外の出会いがあるから古本屋はたまらないんだ」

 

 裏表紙の値段を見る。

 ……思わず唸るくらいのお値段が付けられてはいるが、内容には十分価値がある。

 買っても損はない。

 

「上戸、相変わらずそんな変な本に手を出しているんだな」

 

 店の外に視線をやると、1人の青年が手を振っていた。

 

 ダウンジャケットにスエードのパンツ。

 気取らない服装で、いかにも気だるい日曜日に近所へふらりと散歩に来た。

 そんな飄々とした立ち姿は高校時代からの友人、唯野(ただの)だった。

 

 大学に入ってすぐの成人式という早すぎる同窓会の時に再会し、今も薄く親交が続いている友人だ。

 唯野は笑いながら店の中まで小走りで来ると、俺が持っている本を覗き込んだ。

 

「どちら様? ラビちゃんの知り合い?」

「こいつは唯野。俺の高校時代の知り合いで。そして、今は文科省の新人官僚だよ」

 

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