和泉さんからの電話を確認したのは新坂君の自宅へと向かう途中に道すがらだった。
通話内容から新坂君の自宅から逃走した犯人が居るということまでは理解出来たが、流石に情報がそれだけはどうにも捜しようがない。
メインのバス通りはそれなりの交通量も歩いている人も多い。
最大の理由は18時台という今の時間だ。
帰宅ラッシュでそれなりの人数歩いている時間であり、その人達の中から正体不明の不審人物を捜せを言われても困る。
あえて言うと、この周辺にいる1番の不審人物は俺だ。
「何か追加情報はないですか? 流石にこの帰宅ラッシュ時に周辺を歩いている人となると絞り込み出来ません。近くに食品スーパーも有るんですよ」
『乗り物には乗っていないはずだ。車やバイク、自転車などが近くに停めてあれば流石に侵入前に気付いている』
「バスに乗る可能性は? バス通りなのであちこちにバス停がありますけど?」
『申し訳ない。それも分からない。ただ、私達……能力者から逃げるような動きをしていると予測される』
「他に何かありませんか? それだけだと捜しようがありません」
『無理を言っているのは分かるが、それでもあえて頼みたい。そいつの正体を突き止めることで調査は一気に進むはずだ』
「まあ……なんとかやってみます」
状況からして、おそらくその逃走者は俺達のような能力者が追跡してくることを警戒している。
ならば、それを利用して揺さぶりをかけるのが良いだろう。
少しの間、この町に都市伝説が流れることになるかもしれないが、人の噂は75日。
そこは必要経費として諦めて貰いたい。
使い魔の鳥を喚び出し、増幅魔法陣を形成。
鳥が超高速で飛翔することでつむじ風が巻き起こり、台風さながらの風切り音が普段は夕食の支度の音くらいしか聞こえない静かな住宅街の空気を震わせた。
高速で飛翔する鳥の使い魔の速度はスマホのカメラで捉えることは困難だろう。
もし捉えられたとしても、20mほどの高さを飛び回るバレーボールより少し小さい程度の青白く光る鳥なんてまともに写らないだろう。
それでも街行く人々は一斉に空を見上げ、その音の発生源を突き止めようとしていた。
……ただ1名を除いては。
ロングコートを首元まで締めて顔の半分を隠した男は、風音が鳴り始めたのと同時に右往左往した後に裏路地からバス通りへと駆け出した。
そして、バス停に順番待ちをしていた親子連れを見つけると、その後ろに並んでバスへと飛び乗った。
行き先を確認していたとは思えない。
本当にたまたま走っていたらバスが停まっていたので乗ったというだけに見える。
他の一般人と比べて全ての挙動が不自然だ。
能力者による追跡を警戒しての行動にしか見えない。
もし無反応を貫かれたら、発見は困難だったかもしれないが、相手がこちらの行動の過剰反応してくれる三流工作員で助かった。
使い魔の1羽をバスの屋根に止まらせる。
増幅で飛び回らせていた鳥は
あまり都市伝説を増やしても仕方がない。
続いて和泉さんに電話で不審者発見の報告と確認を行う。
「土地勘がないので教えてください。容疑者は地元のバスに乗ったようですが、どのルートを通りますか? 和泉さんが分からなければ、その場にいる他の高校生にも聞いてみてください」
ややあって、小森君の声が聞こえて来た。
『この辺りを走ってるのは巡回バスです。近所の住宅地を一周りしてからJRの駅へ向かいます』
「つまり、駅から電車に乗られたら詰みか」
流石に使い魔の追跡は電車に乗った相手を何十キロと追跡出来るほどの距離には対応していない。
もちろん駅前に着けば別のバスやタクシーに乗ったり、待ち合わせておいた自家用車と合流などの移動手段も無数にあり、どこへどうやって逃走するのか見当もつかない。
完全逃走までに何とか決着をつけるための策を考える必要がある。
時間制限、能力制限がある中で考えないといけないのはなかなか骨だ。
少なくとも容疑者の男の特徴くらいは共有しておきたいので、使い魔にバスの中を覗かせる。
「体形は瘦せ型だけど肩幅は広い。これは若い時は筋肉質だったけど歳を取って瘦せたのか? 黒縁眼鏡、年齢は40代から50代くらい。髪は茶色に白髪が混じってる。眼は青い……顔の彫りも日本人と少し違うのでハーフかもしれない」
使い魔の視覚で確認出来た特徴を口頭で伝えていく。
『ハーフというので分かりました。そいつは議員秘書の大城戸です』
「こいつが!?」
和泉さんから思わぬ大物の名前が挙がった。
先日調査で知ったばかりの、神父と通じているであろう東議員の秘書だ。
『普段は多忙でこんな平日に議員事務所から離れることはないはずです。何の用事もなくこんなごく平凡の住宅地に来ていたと思えません』
「なら、立ち寄りそうな拠点みたいな場所も分からないと」
『教団の拠点へ向かう可能性は考えられなくもないですが、能力者に追われているという状況で、そんなあからさまな場所へ逃げ込むかとなると……』
つまるところ、どこに行こうとしているかわからんということだ。
このまま追跡するしかない。
ひたすら体力の限界と戦ってランニングしていると、何とか信号待ちで停まっているバスの後ろ姿が見えて来た。
どうやらバスが帰宅ラッシュ中の渋滞に巻き込まれたおかげで、通常のダイヤよりも大幅に遅れて運行しているようだ。
そんなに早くない俺の足でも何とか走行中のバスに追いつけるくらいなので余程の渋滞だ。
5分近く同じ信号で引っかかっている。
流石、外れとはいえ大都市横浜だ。
再度信号で停車している間になんとかバスを追い抜いて、バス停の前まで来ることが出来た。
「な、なんとか間に合っった」
ぜいぜいと荒く息を吐いた後に大きく深呼吸をして何とか呼吸を安定させる。
これだけ必死に走ったのは久々だ。
周りを見ると10人ほどがバス停の前でバス待ちをしていた。
状況としては悪くない。
これだけの乗客が一斉にバスに乗るのだから、俺という追跡者が紛れ込んで接近したとしても、ほぼ気付かれることはないだろう。
「あれ、加古川さん?」
不意に声をかけられた。
声の主を見ると、俺を結依さんの幽霊と間違えた数寄屋さんだった。
「数寄屋さん、何故こんなところに?」
「何故って……今から帰るところだけど」
「でも、ここは学校の最寄り駅じゃないですよね」
「そこにマックがあるっしょ。知り合いとダベってたけど、もう暗いし駅までバスに乗ろうかと?」
数寄屋さんが指差した先にはすき家……ではなくてマクドがあった。
うんそうだね、ここは関東だね。
こういう些細な話で身バレする可能性は高いので色々と気を付けないといけない。
冷静に考えると、ここでリアル女子高生と合流出来たのは地味に大きい。
一緒にバスに乗った友達の体裁ならば、より自然にターゲットへ近付けるだろう。
到着したバスに乗り込み、奥の方の席……推定大城戸秘書のすぐ後ろの席に座った。
何故か横に数寄屋さんが座ったが、特に行動に支障はない。
何か話しかけてくるが適当に相槌を売って誤魔化す。
それまでガラガラで空席が目立っていたバス内は数寄屋さんと同じくマクドから駅へ向かうであろう学生達が乗り込んできたことで、座席は埋め尽くされて騒然とした雰囲気になった。
大城戸秘書は無言でスマホの操作を行っている。
両手の親指を使って高速でかなりの長文を打っているようだが、流石に今の座席位置からは文面や何のアプリかまでは分からない。
では、まずは軽いジャブから仕掛けてみるか。
小銭入れから500円玉を2枚取り出して、わざとらしく床に落としてみた。
チャリーンとバスの床に2枚の硬貨が転がると同時に前の席にいた大城戸秘書が急に席から立ち上がり、コートのポケットを何度も叩き始めた。
なるほど、回収したメダルはそこか。
こんなことであっさり動揺したことから、政治家の裏でうまく立ち回る頭脳明晰な悪のボスというイメージが少し崩れた。
意外と小物なのか、普段は裏でどっしりと構えて人を動かすポジションで、自ら動くことに慣れていないかのどちらか……後者の可能性は高そうだ。
「すみません、財布の中身ぶちまけちゃいました」
「何やってんの、加古川さん?」
「いえ、ICのチャージを忘れていたので今日は現金でバス代を払おうかと」
「あるある。カードを当てたら変な音が鳴るの鬱陶しいよね」
笑って誤魔化しながら500円玉を回収して席に戻ると、周囲の学生達も「よくある」と笑い始めて、同じようなチャージ切れの失敗エピソードを話し始めた。
ただ1人、アホみたいに突っ立っていた秘書だけが「よくも恥をかかせてくれたな」とばかりに睨みつけるような視線を俺に向けて来たが、それだけで終わった。
すぐに無表情の仏頂面に戻って席についた。
「バカな学生に構う時間などない」とばかりの雰囲気だ。
今のわずかなやり取りで、だいたいこの秘書の崩し方のシミュレーションは出来た。
仕掛けるなら下車時だ。
「加古川さんも電車通学?」
「はい。ただ駅近くの本屋に寄ってから帰る予定ですのでお構いなく」
「じゃあ今日のところはこれで」
彼女は駅までまだ距離があるにもかかわらず、鞄を肩にかけて席を立ち、手すりに捕まりながらバスの前の方へ歩いていった。
他の学生達も次々と前の方へ歩いていく。
なるほど、早めにバスの料金箱の前で待機しておかないと、出口で混雑してなかなか出られないからか。
バスが渋滞で遅れ気味なので、そこでもたつくと電車に乗り遅れるのだろう。
では、俺も下車……そして秘書への工作を始めよう。
宣言通りに小銭入れから硬貨を取り出した。
バスは大きくカーブして駅前のバスロータリーへと入っていく。
バスが完全に停車した後に秘書が席から立ち上がったタイミングで同じく席を立ち、その前の下車行列へと並んだ。
流石今時あってみんな交通系ICカードの電子音を鳴らしながらテンポ良く降りていく。
ニコニコ現金払いは俺だけだ。
料金箱に硬貨を投げ入れるフリをして、わざと小銭入れの中身を全て床へとぶちまけた。
500円玉はもちろん、10円から100円玉まで何枚もの硬貨が音を立てて床の上に落ちた。
秘書もしっかり今の音を聞いただろう。
これで二度目だ。硬貨が落ちる音は全て俺のせいだと思いこんだに違いない。
「すみませんねぇ」
料金箱の前でしゃがみ込んで硬貨を拾いながら見上げて秘書の顔を見ると、青筋が浮かんでいた。
議員秘書なんて仕事をやっている割に意外と気が短いようだ。
小声で「早くしろウスノロが」と愚痴っているのも聞こえる。
俺が硬貨を落とすのはこの短期間で2回目だ。
硬貨が落ちる「3回目」の音が鳴ったとしても、それも俺のせいだと思って気に留めないだろう。
先入観、そして俺に対する苛立ちから冷静さを失ったことが、この秘書の敗因だ。
しゃがんで硬貨を拾う体勢から使い魔を喚び出し、最大速力で秘書のコートのポケットの端をこそぎ取らせた。
ランクアップと限界超越。
2段階の強化がされた俺の使い魔だ。
いくら物理的な火力が弱いと言っても、それは異世界のモンスター相手に対しての話だ。
たかだかコートの布地程度ならば容易に引き裂ける。
破れたポケットから秘書のポケットから2枚の銅色のメダルが落下してチャリーンという音が鳴ったが、秘書は俺だけに視線を向けて床を見ようともしない。
「どけっ!」
気が立っていたからなのか、秘書は俺を押し退け、コートのポケットが破れていることにも気づかずにそのまま交通系ICで支払いを済ませて降りて行った。
それを確認した後にこちらも余裕で交通系ICを当ててバスから降りて行った。
要らないならば貰っておこうとばかりに他に散らばった硬貨と一緒に財布の中へ入れた。
そのまま数寄屋さんに宣告した通り本屋の中に入り、新聞部の皆さんの期末試験対策に使えそうな参考書を適当に物色を始める。
5分頃経った頃だろうか?
店の外……駅前のバスターミナルのあたりから「バスの中までは有ったんだよ!」と秘書が怒鳴り散らす声が聞こえて来た。
使い魔の視線でチェックすると、先程の秘書が後からやって来た若いスーツ姿の男に何やら怒鳴りつけていた。
黒幕の議員の裏で暗躍する凄腕のイメージはもうコートのポケットと同じでもうボロボロだぞ。
なんでこんな現場仕事に向いていないやつがわざわざ出向いてきたんだ?
秘書に怒鳴られているスーツの男の特徴についても和泉さんに報告する。
『そいつなら、先日に旧校舎から速攻逃げ出した男ですよ。前から真桑のようなゴロツキの運転手をやってましたが、ついには議員秘書の運転手とは……出世したものだ』
「出世って言うんですかね?」
なんとなく見えて来た。
教団関係者の使える手駒は人手不足によりついに現場仕事に慣れない秘書が出張ってくることになったのだろう。
ただ、現場仕事に慣れていないことから、ヘルプとメダル回収と秘書の逃走サポートのために、この運転手がやってきたと。
運転手の方はせっかく助けに来たというのに、その相手に怒鳴りつけられてご愁傷さまと言わざるを得ない。
『近くに須磨が車で待機しているので車を追わせます。車種と車のナンバープレートは分かりますか?』
「車種はBMWのハイブリッド。色はホワイト。ガラスはスモーク……これで車検通るのか? ナンバーは横浜……」
『議員の公用車も兼ねてるからか、流石に良い車に乗ってますね。まあいつまで乗り続けられるかですが』
和泉さんが珍しく嬉しそうな声で俺に伝えて来た。
『一度合流しましょう。お互いの場所から中間地点となると……』
「途中にマクドがあるのを見かけたのでそこで」
それこそバス移動が良いかもしれない。
そう考えて動き出そうとすると、足元から何やら不気味な声が聞こえて来た。
「ミツケダゾ」
たどたどしい合成音声のような声を発した主は、泥沼のようなドロドロとした液状の何かから丸い頭を出している謎の存在だった。
綺麗に清掃が行き届いた書店の店内にこのような泥沼があること事態が異常だ。
なんだこいつは? 使い魔か?
「ミツケタゾ」
そいつは同じ言葉を繰り返して俺の方へ向かってくる。
運転手? 秘書? それともまだ不明の第三者による攻撃か?
「見付けた」と言っているのは、秘書を追跡してきた俺か、それとも俺の持っているメダルか?
ただ、この書店の中にいるのは他の客や店員を巻き込んでしまうのでまずい。
店を飛び出し、使い魔にメダルを持たせて空の彼方へと放った。
射程は2Km。
空を自由に飛び回る鳥はそう簡単には追跡出来ない。
「ミツケタゾ」
だが、その泥人形のような敵は同じ言葉を繰り返しながら俺の方へ向かってくる動きを止めない。
メダルではなく、どういう原理なのか俺を追跡しているようだ。
「見付けやした。能力者は駅の反対側、本屋の前あたりにいます!」
運転手の声が駅のバスターミナルの方から聞こえてきた。
となると、この泥人形は運転手の能力で、能力者を見付けて自動追跡させる能力か?
何にせよ一般人が巻き込まれるのはまずい。
本屋が入っているビルの横から裏路地に入り、人気のない場所を目指す。
直進するとブロック石垣が見えてきた。
その上に……少し高台に建っているのは小学校か?
流石に夜の小学校には誰も生徒はいないだろう。
そこでならばもし戦闘になっても周辺の被害を気にせず戦える。
「箒よ、来い!」
通りすがりの民家に立てかけてあった箒に向かって手のひらを向けると、高速で飛んできて俺の手のひらに収まった。
「すみません、後で返しに来ます」
そのまま箒にまたがって飛行。
石垣とフェンスを一気に乗り越えて学校の敷地内に侵入する。
「距離を開けたが、これなら追ってこれないだろう」
「ミツケタゾッ!」
その時、突然地面から巨大な腕が滞空中の俺に向かって伸びてきた。
慌てて空中で側転して回避する。
学校の校庭の一部が泥沼のように黒く変色して沸き立ったかと思うと、そこから巨大な腕を持った土人形が這い出してくるところだった。
しかも、その土人形は1体ではない。
校庭が変化した泥沼から次々と同じような土人形が生えてきている。
「こいつ……直接移動させなくとも、ある程度の距離ならば瞬間移動的に動くことが出来るのか?」
空中に浮かんでいる俺には関係ないが、泥の沼とかした地面も普通に立っているだけで足を取られるだろうし、この数相手に戦わないといけないのは骨だろう。
こいつを相手にするのが俺で良かったかもしれない。
軽く飛行して相手の動きを確認する。
やはり予想通りだ。
俺の動きに対してある程度は物理で移動してくるが、10m以上の距離が離れると、俺の現在位置で泥沼と土人形を再構成させる。
目標を延々と追い続ける追跡者というわけか。
「本当にこいつの相手をするのが俺で良かったよ……圧縮極光!」
生えてきて滞空中の俺に手を伸ばしている3体の土人形を威力を圧縮させた極光の熱と衝撃波を使い、一瞬でただの土塊へと変えた。
泥の沼と変化した校庭もその予熱で乾燥し、ただの土へと戻っている。
「さて、この能力が木島君と同じ群体タイプだとすぐに補充されるんだろうけどどうするか……モグラ叩きみたいに叩き続けるとそのうち尽きるのか、それとも――」
駅のターミナル方面に残した使い魔の視点を確認すると、秘書は自ら車に乗り込んでターミナルから出ていこうとしているところだった。
こちらの追跡は須磨さんに任せよう。
使い魔を移動させると、運転手の男は俺が通ったのと同じルートを辿って小学校の前まで来ていた。
ただ、運転手の男は俺と違って空を飛ぶことが出来ない。
ブロックの石垣を何とか乗り越えようと苦戦していたが、諦めて校門の方へ走ってくるようだ。
少し時間が出来たようなので、和泉さんに電話をかけて状況報告をする。
「すみません、敵の能力者が群体型で数体倒したところで無力化出来そうにありません」
『分かりました、すぐにヘルプに向かいます』
「いえ……能力者を拘束する準備の方をお願いします。あと、死なない程度に痛めつけますので、医療班の用意の方も」
さて……現代で対人戦をする気なんてしなかったが、面倒なことになった。
再度校庭の土が泥沼と化した。
今度は先程の泥人形とは違い、泥の中から巨大なミミズのようなものが這い出そうとしてきていた。
「
特に問題なく一撃で真っ二つに切断して撃退する。
やはり群体タイプは厄介だ。
少々使い魔を倒したところで、本体が疲労した様子もなく元気に向かってくる。
『何をされるつもりなんですか?』
「いえ、運動出来なさそうな不審者が、夜の小学校に忍び込もうと校門を乗り越えようとしたところに誤って転落……そういう筋書きで行こうと思います」
ミミズが完全に沈黙したのを確認した上で鳥の使い魔を5体喚び出した。
そして、ちょうど校門によじ登って校内に入ってこようとした運転手の身体で真下から体当たりを仕掛けて空高く吹き飛ばした。
「ふべっ」と間抜けな声を出しながら運転手は小学校の敷地内に落下。
倒れた状態で何やらもがいているが、ダメージが大きすぎてまともに動けないようだ。
小学校から派手な音が聞こえたことで、周辺の住民も集まりつつある。
不審者として確保されるのは運転手1人だけで十分だ。
俺は姿を隠した方が良いだろう。
先程空へと放った鳥を呼び戻して2枚のメダルを手元に回収した。
「あとは須磨さんの追跡次第か……うまく行き先を追えると良いんだけど」