「さあ、罰ゲームの衣装を選べ。メイドとナースのどちらがいい?」
「パーティー衣装なら、このティラノサウルスが良いんだが。どういう仕組みで膨らんでいるのか気になる」
「それだとお前が面白いだけで罰ゲームにはならない。却下だ」
謝罪のために小森くんとカーターに合流したところ、問答無用で連れてこられたのはディスカウントストアのパーティーグッズのコーナー。
ここで罰ゲームのコスプレ用衣装を選べという、捕虜に対して酷い拷問が早くも始まっている。
「小森はどう思う?」
「素材がペラペラであんまり面白くないですね」
小森くんがナース服の衣装を手に取って生地を揉んだ。
カーターはスマホを取り出して、その写真を撮った。
「ガチ衣装を着せるとセクハラ感が出るからダメだぞ。嘘くさい衣装だからこそ、おふざけのネタで済むんじゃないか、このムッツリスケベめ」
「違う、そんなつもりじゃ」
「
「やめて、それは絶対やめて」
「ナース服に興味津々な医学部志望学生です、と」
「
「残念、もうメールを送信しました」
「あああああ」
「大丈夫。メールの送り先は柿原だから」
「それならいいか」
急に真顔に戻る小森くん。
2人が突然に漫才を始めたのだが、俺はどう反応すれば良いのか困る。
今のところ笑えそうな要素は、柿原さんがどう反応するかしかない。
「よく見れば、今のラビさんの服装もたいがいコスプレですよね」
「白い外套に着物みたいな上着に赤いスカート。腰には金色に光る剣。どこからどう見てもコスプレだな」
カーターの言うとおりだ。
限界超越の時に生えてきた衣装だが、これが一番防御力が高いのだから仕方ない。
実際、高野の自爆を至近距離から受けてもほぼ無傷なくらい防御性能は高い。
最初は恥ずかしいこともあったが、慣れるとどうということはない。
「コスプレさせても罰ゲームにならないなら、こっちの馬のラバーマスクにしよう。滑ってる感が出るぞ」
「それよりも、こっちの売れ残り在庫処分コーナーにあったハロウィンと書いてあるタスキの方が滑っていて良い感じだと思います」
小森くんが取り出したのは、処分セールのワゴンに投げ込まれている、クシャクシャのビニール袋に入った金のラメが入ったタスキ。
目立つ場所にハッピーハロウィンと書いてある。
ハロウィン当日ならばともかく、そんなのを普段から付けている頭ハロウィンはただの変な人である。
宇宙の悪魔ですらそんな変な服装はしていない。
「それだ!」
それだじゃない。
「カボチャの飾りもアホっぽいので投入しましょう」
「やめて、それは絶対やめて」
だが、抵抗もむなしく、小森くんにタスキを掛けられてしまった。
しかも、カーターはスマホを取り出して、その写真を撮った。
「年中頭がハロウィンな巫女剣士魔女です、と」
「それはシャレで済まないのでやめてくれ」
「残念、もうメールを送信しました」
「あああああ……誰に?」
「
「マジでシャレになってないメンツなのやめろ」
「だからこそ罰ゲームだろ。オレたちに心配をかけさせた罪を反省しろ!」
◆ ◆ ◆
一通りの仕事を終えて市ヶ谷議員宅に戻ってきた。
何故かナース服で駆け付けた柿原さんに「年中頭ハロウィンだ」と爆笑された。
その後に俺と柿原さんが端島たちに「この世界の人間は変態しかいない」と爆笑されるという罰ゲームが発生したが、そこは気にしたら負けだ。
何故に柿原さんはわざわざ罰ゲームを受けに来たのか?
そういう楽しいイベントは学校の中だけで済ませて欲しい。
それはともかくとして、市ヶ谷議員宅を借りているのはこの日までなので、掃除をして撤収しないといけない。
ただ、その前に一仕事だ。
「船木さん、木野さん、若林さん、キクさんは世田谷の保護施設の方に移ってもらいます。端島さんたちも住んでいるアパートです」
「キクじゃなくて――」
「――いつまでそこにいればいいわけ?」
「皆さんを元の世界に戻す予定は12月13日です。あと2週間ですね」
「2週間か」
今のところ、帰還のためのゲート作成は、伊原さんが急ピッチで進めている。
「決着は人間で付ける。神様に頼らない」宣言は出したものの、さすがに異世界から迷い込んだ人間を時間補正をかけた上で元の世界に戻すなんて神業は人類に成しえない。
ここだけは、神様の力を頼るしかない。
神様は酒で動くので、何か用意しておいた方が良いかもしれない。
「じゃあ、みんなで帰るか。仮住まいに」
「その前に、船木さんと松葉さんにはお仕事があります」
「例の『尖塔』だな」
松葉の言う通りだ。
関東圏にばら撒かれて、いずれ裏東京と表の東京をひっくり返す術を停止させるためには、「尖塔」の制御権を奪うしかない。
これには未知の魔術的技術が多量に使用されており、本来ならば人類には手も足も出せない。
だが、運営がその制御用に用意した東京タワー頂上階に設置されていた機器と、船木、松葉のモンスターの制御権を得るスキルの併用によって、制御権を奪える……見込みだ。
一応は、それで制御権を得られるはずなのだが、そこはやってみないと分からない。
「一度、警視庁に寄り、そこでトラックと立ち会いの警官2人を借りて機器を保土ヶ谷の公園まで運ぶ」
「俺と柿原はそこから電車で帰宅します」
小森くんと柿原さんとはここでお別れだ。
今回も色々と助かった。
「一応、顛末は見てから帰りたいんだけど」
柿原さんは、一度事件に関わったこともあり、どう解決するのかを見届けたいようだ。
「でも、お前はあの塔を見ると気分が悪くなるぞ」
「そこは何とか我慢して」
「倒れそうになったら、俺が支えますよ。見させてやってください」
小森くんがここでフォロー。
さすが、柿原さんの考えも扱いもよく分かっている。
「ナースプレイは他所でやってくれないかな」
そこにカーターのみ無粋なツッコミが入る。
やめて差し上げろ。
「だから違いますって。そもそも、なんで柿原はそんなナース服なんて着てきたんだ」
「だって、小森がナースが好きだって聞いたから……」
「カーターさん!」
「すまん、オレが悪かった。謝る」
本当にこれはカーターが悪い。
何を考えてそんなことをしたのか、本当に分からない。
「でもなぁ、そんな冗談を真に受けてコスプレでやってくるお前は何なんだよ」
「分からない。気が動転していたとしか」
「脱線はいいので続きを頼む」
端島からもっともなツッコミが入った。
おふざけはここまでだ。
話を再開しよう。
「起動には、オレが自宅から持ってきた魔力結晶を使う。多分、これ1回分で起動できるはずだ」
カーターが取り出したのは、紫色の魔力が詰まった宝石だ。
春の事件の時には、能力者にされた高校生から能力を停止させるのにも役に立った。
「でも、エネルギー残量って残っているのか?」
「実はもう残りがない。だから、使えるのはこれ1回限りだ」
「1回だけ……」
つまり失敗は出来ないということだ。
これでダメならば、他の動力を見つけ出さないといけない。
「そこで頼みの綱は、ラビ助が八王子で見たという金属製の蜘蛛のような機械だ。それさえ見つかれば、おそらく起動のためのエネルギーは供給できる」
「でも、どこにそんなものが?」
「これだけ人数がいるんだ。裏東京をくまなく探せば、どこかにあるかもしれない」
カーターはそう言うと端島たちを見回し、そして呼び掛けた。
「やるだろう、ラストミッション。今日からずっと帰還の日までじっとしてるよりもやることがある方が良いだろ」
「ああ。ラスボス戦もなくてイマイチ終わった感がなかったところだ」
「端島さん、ラスボス戦は元の世界に帰ってからですよ」
「ああ、そうだった。俺たちの世界を壊すやつを阻止するんだよな」
合田が端島のフォローに入った。
端島たち3人は割とデコボコ感はあるが、これはこれで良いトリオだったと思う。
「船木もやるだろ、電池探し。そっちのキクさんたちも」
「まあね。2週間も何もしないでゴロゴロってのは論外。せっかく異世界に来たのに、元の世界と変わらない暮らしをして終わりってのも何だし」
船木は乗り気なようだ。
なんだかんだで、端島たちとも打ち解けているように見える。
「それよりも、逢坂たちはどうなったんだ?」
キクさんが尋ねてきた。
木野、若林たちも不安そうに俺たちからの回答を待っている。
「逢坂さんたちは迂闊に外へ出すと、黒幕に口封じで消される可能性があるため、別の場所で保護されています。安全のために場所は公表できません」
「ということは無事なんですね?」
「傷一つないですよ。安心してください」
松葉が操るムカデに噛みつかれたりしていたが、その程度ならば負傷なしと言っても良いだろう。
「もうあんなやつに頼る必要はないぞ。『尖塔』を制御すれば、オレがリーダーだ」
「はいはい、あんた一人で制御できたらね」
松葉は相変わらず「尖塔」を制御して、リーダーになる予定は崩さず。
それについては、こちらから何か言うことではない。
少なくとも逢坂=運営の言いなりというラインは潰えたので、そこからのリーダー権の争いについては、端島たちと話し合って決めてくれたらいい。
「じゃあ決まりだな。ここの掃除と後片付けを済ませたら、それぞれ出発だ」
◆ ◆ ◆
「尖塔」は横浜市、保土ヶ谷の公園にある運動広場の奥に、防災無線のアンテナに偽装して建っている。
遠目には、鉄骨の支柱の先に箱型の機器が規則正しく並ぶだけの、どこにでもある設備に見える。
だが、鳥の使い魔の「眼」を通すと話が違う。
不健康そうな青白い皮膚のような表面部からは血管のような部位が脈動しているのが見て取れる。
白化したサンゴのように白く細長い「尖塔」の頂点には「眼」のような部位が見える。
その正体に気付いたものは、その表面から剥離したヒトデのような部位が手裏剣のように襲い掛かってくる。
構造を考えると、手裏剣のような子機は、ヒトデではなくクラゲなのだろう。
クラゲは成長すると、細長いウミユリのようなストロビラといった形態に変わる。
そこから剥がれた部位がそれぞれクラゲとして独立して動き出す。
この得体のしれない生物を、機器の力。
そして、船木、松葉のモンスターを操る能力で制御しようという考えだ。
普段なら運動公園に車は入れない。
園路の入口には、車止めと低いゲートがあり、休日にはランナーや親子連れが行き交う。
だが今回は許可を取ってある。
公園の管理人が鍵を開け、ゲートが開いた。
トラックが低い唸りを上げて運動公園端の工事現場手前まで侵入する。
同行した警官が、一般人が近くに立ち入らないよう警備を実施。
その間に、カーターがトラックに積んでいた小型のフォークリフトを操り、機器を荷台から下ろして並べていく。
フォークが僅かに上下し、荷重が移るたびサスペンションが沈む。
カーターはそれを気にも留めず、手際よく機器をトラックから降ろし、所定の位置へ並べていく。
「手慣れたもんだな。フォークの運転はどこで覚えたんだ?」
「今日初めて触った」
「オイオイ、大丈夫か?」
「だいたいユンボみたいなもんだから問題ない。田舎の役所の土木課務めだと、ユンボに軽トラ、小型クレーンくらいは運転できないと色々と不便だからな」
カーターが自慢気に、趣味の悪いド派手な刺繍が入った革財布から取り出した免許には確かに「小特」……小型特殊車両免許の表記がある。
「これだけ近寄れば、塔が攻撃を仕掛けてくるんじゃ」
「まあ、それは大丈夫。私が同行しているので」
柿原さんが不安げな声を漏らすが、塔本体も、放たれる攻撃も、鳥の使い魔の「眼」で全て目視出来ている。
作業を開始したカーターを阻止すべく、塔の表面から剥離したヒトデのような物体が、鋭い回転音を立てて飛来した。
だが、それらは速やかに圧縮極光で撃墜しておく。
バカの一つ覚えのようにこればかり使っているが、速度と破壊力のバランスを考えると番効率が良い。
「オレに出来るのは配線工事までだ。あとは任せたぞ」
「ああ、祝勝会のビールでも用意しといてくれ」
冗談めいた会話が、逆に緊張を際立たせる。
松葉はよほどカーターと飲んだ酒が楽しかったのだろう。
妙な打ち解け方をしている。
ギスギスした関係よりは良いのだが、あまり仲良くされても困るぞ。
こいつは逢坂から全ての権限を奪って、自分が好き放題するつもりだったし、寄生虫を放って東京タワーにいた全員に攻撃を仕掛けてきたテロリストでもある。
今は共通の目標があるので協力しているだけの、どちらかといえば「敵」だ。
何をするかは油断は出来ないので、油断はしないでおきたい。
機器を並べた後はカーターが機器から伸びたケーブルをそれぞれ接続していく。
最後にキーボードらしき部品が付いた機器を接続。
電源ユニットに紫色の宝石を置くと、モニタに何らかの文字が映し出された。
エネルギーの供給は無事になされたらしい。
ただ、モニタに浮かぶ文字は全く不明の謎の文字だ。
「なんか謎の文字が表示されてるけど、操作方法とか分かるのか?」
「異世界で見た運営のものともまた違うな。ヘブライでもアラブでもなし」
カーターはスマホを向けるが、自動翻訳でも認識されないようだ。
地球外のテクノロジとしか言いようがない。
「全部は読めないが、異世界で触った『運営』の装置と基本的なシステムは同じみたいだ。まあ、何とかなるさ」
カーターがキーボードを叩き始める。
操作自体は概ね合っているようで、モニタの画面が次々と遷移する。
前にも聞いた覚えがある。
たとえ言語が違うとしても、人間が使うためのコンソールなのだから、理不尽な操作であるはずがないと。
最近のWindowsのことは忘れろ。
作業している間に、手裏剣ヒトデが再生を果たした。
再生が思ったよりも早い。
今回は何とか、味方へ到達する前に撃墜することが出来たが、次は間に合わないだろう。
スキルには
一度スキルを放つと、一定時間経つまでは、次弾を放つことが出来ない。
最初はそれでも十分間に合うと思っていたが、「尖塔」が手裏剣ヒトデを復活させる速度は、俺のスキルの
2度目で既にギリギリ。3度目は全く追いつかなくなる。
「小森くん、迎撃を頼む! 奴らはクラゲの変態過程にあるストロビラだ。次から次へと剥がれてくるぞ!」
「了解……その間、柿原を頼みます」
「頼まれた!」
ここで選手交代。
俺が柿原さんを支えて、小森くんが手裏剣ヒトデを迎撃する役目に代わる。
カーターがひたすらキーボードを打ち続け、勢い良く何かのキーを強く叩いた。
「システム起動。そこの怪物との
「行けるな、船木!」
「あんたが私に合わせんのよ!」
船木と松葉。2人が同時に能力を発動させた。
その動きに連動した機器が反応して、2人と機器から青白い光が立ち上る。
「これは……行けるのか?」
「わからん。わからんが……あまり調子は良くないみたいだぞ」
船木がスキルを発動させたままで膝をついた。
松葉はまだ立ってはいるものの、膝は既に少し折れている。
足を広げてガニ股で踏ん張りながら歯を食いしばるが、全身が激しく震えている 。
何とか転倒せず堪えてはいるようだが、姿勢も顔も、全く余裕があるようには見えない。
「そこのタバコ臭いオッサン!」
「オレか?」
船木がカーターに呼びかけた。
「全然エネルギーが足りてない。もう電池はないの?」
「残念ながら品切れだ! こいつの起動もギリギリだったんだ」
「それだ! 何か電池を充電する手段は?」
「ない。外から魔力供給を行うなんて、そんな方法なんてあるわけが……」
カーターが俺の顔を見た。
長い付き合いだ。
言葉を交わさずとも、何が言いたいのかはだいたい把握出来る。
「大丈夫か? 前にお前が言っただろう、俺の作る魔法陣は発電所の直流電流だって。変圧器で交流100Vに変換しないとまともに使えないって」
「やらなきゃ術の負荷でこの2人が死んで終わるぞ。やれ!」
そう言われたらやらないわけにはいかない。
使い魔を追加召喚。
6羽に命じると、青白い粒子で構成された鳥たちは虚空に溶け、エネルギーの塊へと変わり、増幅魔法陣が2つ生成される。
「機械にエネルギー供給すればいいのか?」
「違う、人間の方だ。機械は融通が利かないから、多分負荷でぶっ壊れて終わる」
「それを先に言え!」
増幅魔法陣を船木と松葉の方へ移動させて、通り抜けさせる。
二人の腕から放たれる光が爆発的に膨れ上がった。
「なに? これ?」
「
「ハッタリじゃないな。これならいくらでもスキルに力を送れるぞ」
それと並行して、機器の光もどんどんと増し、強く輝き始める。
2人と機器の光が安定した時、松葉が今まで見たことのないような笑顔で俺たちの方を見た。
「やったぞ、成功だ! 制御権を奪った」
「本当ですか?」
「嘘をついてどうする。こいつはオレの思うままに動かせる。この魔法陣の出力を安定させて供給しろ。この『尖塔』に命令を書き込む」
松葉はハイテンションのまま話し続けるが、ここで残念なお知らせを告げなければならない。
「残念ですが無理です。私の増幅魔法陣は30秒ほどしか維持できません。もうすぐ消えます」
「なんだと!? どうにか延長できないのか?」
それはどうにもならない。
そう言っている間にも、魔法陣の光はどんどんと薄らぎ、消えようとしている。
「無理です。だから、今は次回に備えて所有権変更手続きだけを行ってください。運営の命令を受け付けないようにしないと」
「クソッ、時間制限があるなら、早く言え。所有権の変更だな」
「あと、現在進行形のタスクがあるならば、それを中止。キャンセルを実行で」
「なんだそりゃ? 同時には無理だぞ」
「何かわからないけど、こっちで今やってる作業は止めさせた。ヒトデも再生させない!」
船木が俺に向かって叫んだ。
希望通りの動作はやってくれたようだ。
「所有権変更は間に合わねえ。今の所有者からの命令拒否だけ埋め込む!」
ここで2人の足元に展開させていた魔法陣が消えた。
同時に2人と機器から放たれていた光が消えた。
「尖塔」は頂上部に「眼」のような部位が付いており、その表面は不健康で青白い皮膚のようなものに覆われていたはずだが、そういった生体的な部位は見た目から完全に消えていた。
今や、ただの白いコンクリート製の塔が立つのみである。
「尖塔」の全権限を掌握や、裏東京を消すまでには至らなかった。
だが、機能停止させることで首都圏の壊滅を避けることは果たせた。
人間の手でも制御権を奪ってコントロール出来るということは分かったので、ファーストステップとしては十二分の成果だ。
「せめてもう少し時間があれば……」
松葉は悔しそうな顔をしているが、すぐに再開というわけにはいかない。
機器を再起動させるための電池が品切れだ。
足りないものも分かった。
エネルギーは、今回は俺の増幅魔法陣で無理矢理補ったが、魔法陣の持続時間を考えると、それを儀式の一部に組み込むのには無理がある。
今回は船木と松葉の2人が無理矢理に制御したが、ここは更に効率化出来るはずだ。
これは、より深い魔術知識を持ち、儀式にも造詣のある京都の組織に依頼しても良いだろう。
「今日のところは引き上げるぞ兄弟。欠点を潰した計画を練り直して再挑戦だ!」
「ああ。とりあえず所感としては悪くなかった」
カーターの呼びかけに松葉がすぐに答えた。
悔しさは残っているようだが、それよりも、次回の再挑戦に思いをはせている。
「では、機器を片付けて撤収しましょう」