収穫祭の魔女   作:れいてんし

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――Part4 「幽霊屋敷予報円」

「『さまよう幽霊屋敷』についてSNSを調べてみた結果がこれ。あとは小森、お願い」

 

 柿原が新聞部部室PCを操作して、横浜、横須賀の市境を中心にした白地図を表示させた。

 

「データは俺が集めて、白地図の上に点を打ってみた。その結果がこちら」

 

 今度は小森が柿原の使っていたキーボードを奪い、操作を行う。

 モニタ上には、横浜市の磯子区、金沢区、栄区、そして横須賀市、逗子市、葉山市に赤い点が表示される。

 

「金沢区が多いね」

「横須賀市の北部も。その二か所が本命で、栄区や磯子区、逗子葉山はオマケみたいなものなんだと思う」

 

 噂は横浜市金沢区に集中している。

 

 栄区や磯子区は、隣接した場所ばかりだ。

 

 エリアで出現しているわけではなく、どこかに発生の原因があり、そこから一定の距離内に現れると考えた方が良さそうだ。

 

「これに、探偵事務所がメモアプリに入れてくれた、この数年の報告された次元の歪みとかいうふわっとしたデータを重ねる」

 

 探偵が入力したという次元の歪みは青い点で表示された。

 

 観測報告は、神奈川だけではなく、日本全国に散らばっていた。

 

 ただし、東京、大阪、横浜、名古屋……大都市は多く、田舎は少ないという、それだけでは何もわからない情報だ。

 

 横須賀出身の議員が「人は多いと人口が多くなります」と言っているイメージが脳内に浮かぶ。

 もう国勢調査でも見た方が間違いない。

 

「今年に入ってからだけに絞るとどうなる?」

「20件かな」

 

 小森がマウスを操作すると、数が一気に減少する。

 

「ちなみに去年は?」

「35件」

 

 数は若干増えたが、これは一年分だ。あまり頼りにならない。

 

「うちの町は去年に1。都市は0。この数のデータで何が分析できるか……」

「探偵さんたちには悪いけど、このデータはさすがに使い道が見えないかな。幽霊屋敷の情報だけを追おう」

 

 柿原がそう言うと、小森がマウスを操作して探偵が入力したデータを非表示に変えた。

 

「目撃の噂は横浜南部と横須賀北部に集中ってところか。海に近付くほど多くなっている」

「SNSの目撃情報の日付順に並べたりできる? それで幽霊屋敷の移動の傾向が見えるかもしれない」

「無茶言ってくれるな」

 

 小森が文句を言いながらも、キーボードを叩いて表の並び替えを行う。

 

 それをプラグイン経由で地図に読み込ませると、目撃の日付順に自動的に線が結ばれていく。

 

 最初の起点は横浜市金沢区の山地部だった。

 

 そこから楕円を描くようなルートで西側の横浜市栄区に入る。

 南下して葉山町、逗子市を経由して、東の横須賀市へと入っていく。

 

 その後は北向きだ。

 横須賀、金沢区、磯子区と今度は縦向きの楕円を描き、また金沢区に戻ってくる。

 

 動きは左回り。

 移動間隔はだいたい1日。

 

「これだけ分かっていれば、一度でも幽霊屋敷を見付けたら、次の出現場所はある程度予想して動けると思う」

「『さまよう』ってのはランダムじゃなく、何かの法則に沿って動いているということか」

「何かの法則ということは、この横須賀と金沢区の境のところに、スタート地点があったりする?」

 

 柿原が金沢区と横須賀市の境界線近くのラインを指差した。

 

「ルートを考えると、ここの海沿いあたりにスタート地点があるんだと思う。ルートはそこから西向きの楕円、北向きの楕円になってる」

「中心点に何があるかというと……これかな?」

 

 小森はブラウザを起動させて、地図を表示させた。

 

「同じエリアにあるのは、香住(かすみ)エレクトロニクスの追浜工場……ただの工場街で、特に目立ったものは見当たらないかな」

「カスエレか……あの会社って何作ってんの? CMは流れてるし、横浜スタジアムのスポンサーをやったりしてるのに、具体的に何をやってるんだか全然知らないんだけど」

 

 カスエレのCMは関東民なら誰でも知っている。

 

 広い宇宙を鳩サブレーらしき形のクッキーが飛んでいき「文明開化の港から世界、そして宇宙へ」というナレーションの後に大きくロゴが表示される。

 

 CMだけでは、具体的に何をやっている会社なのか不明だ。

 

 そのため、柿原が知っているのも「少なくとも鳩サブレーの製造会社ではない」というだけだ。

 

「進路ガイダンスでやってただろ。半導体? を使った何かの部品を作ってる。昔は横須賀の軍艦に積むレーダーや無線機なんかを作ってたって」

 

 矢上が柿原へ既知のカスエレの情報を説明した。

 

「うちの高校からも就職組が何人か行ってるはずだよ。進路指導室の前に内定者の名前が出てた。国内だと村田製作所なんかが同業」

「村田製作所って町工場じゃなかったんだ」

「町工場はTVでCMをやらないと思う」

「あとは第3海堡(かいほう)か」

 

 横須賀と横浜の市境には、海底地下遺跡があったという東京湾第3海堡から引き揚げられた遺構があるようだ。

 

 第3海堡は東京湾に設置された砲台だったが、完成後すぐの関東大震災で海中に沈没。

 

 長い間、海中に沈んでいたが、近年にカスエレが海運の邪魔になると自ら許可を取り、予算や機材も出して自前で引き上げ工事を行った。

 

 その砲台跡は今では敷地にある公園で一般公開しているようだ。

 

 もちろん、そこにあるのはただの石の塊でしかない。

 海底遺跡は今も東京湾の海底に眠っている……はずである。

 

 もちろん、第4世界の海底遺跡が、第3世界と同じ位置にあればの話ではあるが。

 

「一応この第3海堡ってのは見に行ってもいいかな。他にはこのエリアに何か怪しいものはない?」

 

 他に地図から何か関係が見つからないかを考えてみたが、収穫は0だ。

 

「パソコンを見ていても何も解決しない。ここからは、足で稼ごう」

 

 ずっと話を聞いてた新坂が作戦の提案を行った。

 

「まず、調査方針を分けよう。過去と現在の2つで攻めていく」

「どういう意味? 分からないんだけど」

「この目撃情報を元に、幽霊屋敷を探すチームと、杭を探すチームに分けようってことだよ。小森君、印刷を頼む。とりあえず2枚」

「ああ、分かった」

 

 小森が操作すると、部室PC横のプリンタが振動して、横浜横須賀周辺の白地図の上に目撃情報の軌跡が重なったものが2枚印刷された。

 

 新坂はそのうちの1枚を手に取る。

 

「この目撃情報の近くに杭が残っている可能性がある」

「でも、それを見つけるのは大変じゃない?」

「その通りだ。俺たちがこの杭を今まで見つけることが出来なかったのは、そんなものがあると知らなかったからだ。友瀬さんのスキャンにも引っかからないし余計にだ」

「すみません、私がもう少ししっかりしていれば」

「能力の問題なんだから仕方ないさ。ただ、東京組の……合田さん? の能力ならば、隠された杭を見付けられる」

 

 新坂の作戦には説得力があった。

 あてもなく歩くよりは間違いないだろう。

 

「ただし、逆に言うと杭はいつでも探せる。だけど、幽霊屋敷の現在位置を突き止める方法が現状はない」

 

 一連の話を総合すると、まずは、なんとしても幽霊屋敷の現在位置を突き止める必要がある。

 一度でも場所を見つけることが出来れば、あとは過去の目撃情報から、ある程度は予想進路を絞り込むことが出来るはずだ。

 

 だが、最初にどうやって見つけるかについてはノープランだ。

 

「待ってくれ、たった今、最新のデータが届いた。和泉さんからみたいだ」

 

 小森がマウスを操作してそれを表示する。

 

 それは第3海堡から出発、金沢区北の住宅地、能見台を通って港南区方面に向かい、JR根岸線の手前で引き返し、楕円を描いてまた戻っていくルートだった。

 北方向に向かう2周目と似ているが、こちらはかなり西側に傾いている。

 

「なんだこれ?」

「普通の位置ログじゃないし、予想ルートかな? おそらく幽霊屋敷の」

「あの探偵さん、私たちのために、ちゃんと調べてくれたんだ」

 

 ルートを見ると、これならば手分けすれば、全範囲を1日で回れなくもない。

 

「なので、東京組にも連絡して、このルートを手分けして幽霊屋敷の場所を探すことにしよう。小森君、東京組に連絡を取ってくれないか?」

「分かったよ。どこから探してもらう?」

「俺たちは北側の港南区の方から回っていこう。洋光台駅のあたりから、南下で。東京組には南部の能見台の方から頼めないかな?」

「じゃあ、そのように連絡を送るよ」

 新坂の頼みに小森が答えてキーボードを叩いていく。

 

「横浜組は2チームに分けよう。敵が出る可能性を考えて、俺と矢上君、接近戦が出来る2人はバラした方が良いと思う」

「僕と友瀬さん、新坂君と綾乃の組み合わせかな」

「小森はどうすんの? もし、良ければ――」

「――俺は能力もないし、ここでパソコンの番をしてるよ。邪魔しちゃ悪いし、SNSの監視もしなきゃいけないし。こっちで最新情報が出たら、捜索範囲も絞れるし」

「そう……」

 

 柿原は小森を誘おうとするが、にべなく断られた。

 2人はそのままうつむく。

 

「なんで小森は能力が覚醒しなかったんだろう……」

 

 柿原は小声で呟いた。

 

 小森は、幼馴染が自殺したのを自分のせいだと思って、ずっとふさぎ込んでいる。

 

 幼馴染の柿原、矢上でなんとか励まして学校に出てくるようにはしたが、幽霊屋敷に入った新聞部4人のうち、1人だけ能力に覚醒しなかったことで、またも自虐気味になって塞ぎ込んでいる。

 

 何をどうすれば昔のような元気な姿を取り戻せるのか柿原には分らなかった。

 

「東京組から返信が来た。ローラー作戦に参加してくれるらしい」

「じゃあ決まりだ。今から出発。日が暮れるまで探索だ」

 

   ◆ ◆ ◆

 

「横浜組から連絡が来たんだろう。早く行こうぜ」

 

 端島が急かす中、合田だけは探偵たちが入力した座標と、横浜組が入力した座標をじっと見比べていた。

 

「待ってください。探偵さんたちが入力した座標ですけど、おかしくないですか?」

「おかしいって何が?」

 

 合田は画面の一点を指した。

 

「今年に入ってからの空間の歪みの情報です。私の考えが勘違いではないと確認するために、詳しくは説明しません。気付いたことがあったら手を挙げてください」

「はーい」

 

 分かっているのかいないのか、梨本が手を挙げた。

 

「まずは一つ目、現在地である私の家、品川の近くに青い点があります」

「うん」

「調布市は端島さんの自宅がある場所ですよね。次は赤羽。これは梨本さんの自宅周辺。どちらにも青い点があります」

「私の家は大田区。ここからも近いよ」

 

 今度は船木が合田が指さした場所の少し下を指した。

 やはり青い点がある。

 

「船木さん、他の方の所在地を聞いたことは?」

麻美(あさみ)は埼玉の大宮。木野(きの)は群馬、キクさんは長野のどこか」

 地図をスクロールさせて、船木が言った地名の場所を合田が表示させる。

「群馬はありません。人が少ないのかな? でも、大宮と長野は点があります。まあ、長野は2つくらいあって、偶然に被っただけなのか分からないんですけど」

「待ってくれ、もしかして、この空間の歪みを示す点って……」

 

 端島もさすがに気付いたようで、手を挙げながらモニタに近づいてきた。

 

「検証を続けましょう。第3世界から帰る前に、何人かと連絡先を交換しましたよね。そこの住所も書いてますか?」

「ああ、そうだった。住所も聞いている」

 

 端島がメモ帳を取り出して、それぞれの住所を読み上げていく。

 

逢坂(おうさか)はさいたま市、松葉(まつば)は新宿、笠取(かさどり)は滋賀の大津。他は……」

 

 端島が次々とメモ帳にペンで書かれた連絡先に記載された住所の町を読み上げていく。

 

 合田はマウスを動かして、それらを追っていく。

 

 そうしているうちに、地図上の点がリアルタイムで一つ追加された。

 

 探偵たちも常時データを編集している。

 新しく検知された次元の歪みの情報を、最新情報として追加してくれたようだ。

 

 位置は鳥取砂丘の近く。

 誰も召喚されておらず、首都圏から遠い場所そんな場所に突然出てきた理由は現状では不明だ。

 

 だが、調査を進めれば、それはわかるかもしれない。

 

「地方は人が少ない分だけ、目撃情報が少ないのは、この地図を見てのとおりです。ですが、それを差し引いても、能力者がいる場所に歪みが発生していると読み取ることができます」

「ということは、空間の歪みってのは俺たち召喚者の住んでいる場所と一致している?」

「去年のデータと見比べて見てみましょう。と言っても、上戸さんしか知らないんですが」

 

 昨年のデータを表示させて、上戸が出身地と言っていた兵庫県の加古川市を見る。

 

 だが、何も表示されていない。

 ここも人口の関係だろうか?

 

「もう少し西の岡山の山の中にはあるんですけどね」

「帰ってくる前に、もっと上戸さんから先輩たちの情報を聞いてりゃ良かったな」

 

 首都圏だと、他には横浜市栄区、西区、東京都港区、新宿区などに表示されている。

 おそらく誰かがいたのだろうとはわかるが、判別する手段がない。

 

「そういや、あの一晩泊まらせてもらったエビチャーハン議員の家ってどこだっけ? 確か娘がいるって」

「なんて名前でしたっけ? 市ヶ谷議員?」

「そうそう、そんな名前。板橋区だっけか……点があるな」

 

 市ヶ谷議員の自宅の場所は端島が覚えていた。

 その近くにも、誰が能力者がいたらしい。

 

「でも、俺たち召喚者と歪みの場所が被っているから何だって言うんだ?」

「横浜組のことを考えてください。あの人たちは、幽霊屋敷に入ったことで、能力を手に入れたんです。そして、異世界召喚されて、能力を得た私たちの近くにも歪みがあった」

「杭、幽霊屋敷、それに俺たちの異世界召喚。全てが一本のラインで繋がる可能性があるってことか」

「なので、幽霊屋敷を追えば、世界崩壊の原因に近付ける可能性が高いってことですよ」

 

 合田はこの気付きをメモアプリに記録した。

 アプリを見れば、離れた横浜組、東京組、探偵との間で瞬時に連絡を取り合える。

 

「でも、幽霊屋敷を探す手段は、結局地道にローラー作戦なんだよな」

「多分、何か法則を見つけたら、もっと効率良く探せるはずなんですけどね」

 

 横浜組は2人1組で横浜市の港南区から調べていくようだ。

 

「こっちも2人1組に分かれるか。山手の方と、海側の方だ」

「前衛が2人、後衛が2人なんだから、チーム分けは決まりでしょう」

「俺と梨本がまず分かれる。前衛だけ固めても仕方がないからな」

「じゃあ、船木は梨本と組んでくれ。俺は合田と組む」

 

 端島はてきぱきと2人1組のチーム分けを指示した。

 

「なんでよ!」

「だって、俺と船木だと召喚能力が被るだろう。敵が逃げた時に追跡するには召喚能力があって、そいつに追跡させられる方が有利だ」

 

 端島にしては理屈の通った正論だった。

 これには端島と組む気満々だった船木も何も言い返せない。

 

「場所はどうします?」

「そうだな……俺と合田は金沢動物園の方から歩いていく。梨本、船木は京急線、駅の東側の方から調べて行ってくれ」

 

   ◆ ◆ ◆

 

「おかしいな」

「どうした? またパスワードを忘れたのか? だから附箋で貼れって言っただろ」

 

 元片倉は缶コーヒーを飲みながら、和泉が操作するパソコンの画面を背後から覗き込んだ。

 

「貼らないでください。セキュリティ的にダメですよ」

「世の中ズボラが一番だぞ」

「ダメですって。そうじゃなくて、入力した覚えがないデータが先に入力されていたんです」

 

 モニタにはカスエレの工場近くを出発して、横浜市金沢区、能見台周辺を通って北西方面+へと抜けてまた戻ってくる、楕円上の軌跡が表示されていた。

 

「お前が入れたサンプルじゃなくて?」

「タバコ臭いんですけど。あと五歩ほど下がってください」

「臭い消しはちゃんと使っているんだけどな」

「染みついているんですよ、その安いスーツに! ちゃんとクリーニングに出してください」

「ブランドのオーダースーツだぞ」

「洗えって言ってるんです!」

 

 元片倉はスーツの袖の臭いを嗅ぎながら一歩下がった。

 

「データはキッズたちと共有しているんだろう。向こうが勝手に予報円を入れたんじゃなくて?」

「台風みたいに言わないでくださいよ」

「それでこの予報円なんだけど、なんで南の進路を選ばなかったんだ?」

「おそらくこれですよ」

 

 和泉が指さしたのは自衛隊の基地だった。

 

「カスエレの追浜工場のすぐ南は海上自衛隊の基地。少し進むと今度は米軍基地です。さすがの幽霊屋敷も、この2つの組織に真正面から喧嘩を売る気はないという判断なのでしょう」

「それで、西か北かしかないと。誰の推理か知らないが、いい判断だ」

 

 元片倉はコーヒーを飲み干すと、空き缶を片手で握り潰……そうとしたが、握力がなくて潰れなかったのか、そのままテーブルの上に置きなおした。

 

「缶コーヒーは捨てる前に一度洗ってくださいね。少し残ったコーヒーが垂れると、あとで掃除が面倒なんですから」

「分かってるよ。道中のコンビニで捨ててくるから安心してくれ」

「そういう雑なところがダメなんですよ」

 

 そう言われた元片倉は、給湯室で空き缶を水洗いして、スーツのポケットに入れた。

 

 そして、事務所のホワイトボードに張られた「麻沼(片倉)」と名前が書かれたマグネットの横に「調査中」の札を張り付けて、そのまま事務所を出ていこうとする。

 

「どこに行くんですか?」

「この第3海堡だよ。モニタと睨めっこするより、土にまみれる方が好きなんだ。生まれ変わったら土木課に勤めちゃうくらい」

「そうやってサボる気なんでしょう。私も行きますよ」

 

 和泉はそう言うと、ハンガーにかけていた白い上着を引っ張った。

 緩めたネクタイを締めながら上着を羽織る。

 

「運転はどっちが?」

「私がです。車も私の方で出ます。あなたの無駄に図体が大きなアメリカ製の車だと、路地に入れないでしょう」

「大きく見えるだろうが、寸法はアルファードと変わらんぞ」

「それが大きいと言ってるんです」

 

 和泉もホワイトボードに「調査中」の札を張り付けた。

 

 2人は連れ立って事務所を出て、「外出中」の札を入り口にかけて、駐車場に停めていた軽自動車に乗り込む。

 

「それで、あなたの勘で、何かある可能性は?」

「50%。何事にも過剰な期待をしないのがオレの主義だ」

「本当に適当な人ですね。望美(のぞみ)も何が良くてこんな男を選んだんだか」

「オレの魅力をわかってないのはお前だけだよ」

 

 和泉の運転で車は出発した。

 目的地は第3海堡の遺構だ。

 

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