「待って待って、なんでこんなことになってんの? 指名手配犯は本当にこんな町の中に入ってくんの?」
エヴァニアが宿の窓から外を見ながらぼやき始めた。
窓の外は酷いことになっている。
よりにもよってこの祭りの日に、例のトカゲ人間たちが襲撃を仕掛けてきたらしい。
町の通りは祭りを観に来た観光客、トカゲから逃げようとしている観光客、そして地元住民が右往左往して酷いことになっている。
この状況で私たちが宿から飛び出したところで、人の波に流されてまともに動けないだろう。
それに、私……アデレイドの武器は攻撃範囲も威力も大きいガトリングガンだ。
こんなものを町の中で使えるわけがない。
「あーあっ、せっかくのお祭りなのに宿から出られないなんて」
「こんな状態だと祭りなんてどの道、中止だろうけど」
「どうする? あたしたちもこのトカゲ人間を倒した方が良いかな?」
エヴァニアがそう言った時に思い出したのは、あのトカゲ人間の親子だった。
どうして平和に住んでいた彼らが、こんな凶行に及んでしまったのか?
そこまで追い込んでしまった人間が悪いのでは?
「そうは言っても通りは人だらけだよ。まず、この宿から出られないし、外に出てもまともに通りを歩けるとは思えない」
そもそも襲撃者がどこにいるのか、状況を把握できない。
偶然に見つけた単体を倒したところで別にどうなるものでもないだろう。
窓から街並みを見る限りは、建物が密集して狭い通りが入り組んでいる。
観光客を避けて路地を抜けても、どこにいるのか分からなくなるはずだ。
スキル3のアクティブレーダーを使用した。
敵の位置を把握するためのものだが、絞り込めば、目当ての対象だけを拾える。
周辺500メートル以内に、大量のトカゲ人間が出現していることを示すマーカーが表示されていた。
これほどの数のトカゲ人間がいたのかと改めて驚く。
私の愛用武器……ガトリングガンを担いで窓枠に飛び乗った。
「どこに行くのアディちゃん?」
「何もしないってわけにはいかないでしょ。屋根伝いであの町外れに見える領主の家まで走っていく」
私は宿の窓から見える、他の建物より一際大きな屋敷を指差した。
この混乱は、町の治安を守るためにいる領主が仕事をしていないことに責任があるはずだ。
町外れには、多くの兵士たちが何もしないで待機しているようだ。
彼らを適切に動かせば、町の人たちの交通整理や避難誘導をして、ここまで混乱させることはないはずなのに。
やっぱり政治家なんて仕事はダメな人間がやることだ。
自分の家族も守れない人間は、普段偉そうなことを言っても、実際に何か起きればこんな風に何もできない。
「この町の偉い人のところに行ってくるよ。少なくとも、この宿よりも高い場所にあるし、町で何が起こっているのか分かると思う」
「1人で行くの?」
「むしろ、なんでついてこないの?」
「あたしはパス! アディちゃんみたいに屋根の上を飛び回るなんてできないし」
エヴァニアはそう言うとベッドにもたれかかった。
「なら、せめて隣の部屋にいるジュウベイ君にも声かけといて。暇ならついて来てって」
「へーい」
エヴァニアは分かったのか分かっていないのか曖昧な返事を返してきた。
これは期待できないなと思いつつ、私は宿の窓から隣の建物の屋根に飛び移り、領主の館へと駆け出した。
◆ ◆ ◆
大理石で表面を覆った白く輝く城壁は、町の全周を囲むようにして建てられている。
もちろん、それは湖に面した側も例外ではない。
湖に面した側の壁が、特に分厚い構造になっている。
まるで湖から上がってくる「何か」から町を守る意図でもあるのかのようだ。
20メートル近い高さのツルツルとした引っかかりのない城壁をよじ登るのは困難で、破壊も難しいだろう。
なので、町の中に入るには城門か、貨物船の往来と、湖から町の用水路へと水を取り入れるための水門側から入るしかない。
俺たちは、その水門を目指して城壁沿いの道を走っていた。
湖側には防風林のような木々が多数植えられており、それを避けながら進むため、少し走りにくい。
「タルタロスさん、大丈夫ですか?」
「なんのこれしき」
タルタロスは巨漢で体重も相当重そうな上に今はドロシーを肩車で担いでいる。
それでいて、一般人の数倍の速度で飛ぶように走っているので十分速い。
だけど、俺とエリス――ランクアップで強化済みの俺たちの全速力には追いつけないようだ。
一度速度を落とすべきだろう。
「さっき湖の方が光って、もの凄い音がしたみたいだけど、あれって何?」
「ラビさんじゃないかな? 多分、何か大きな敵が出てきたので倒したんだと思う」
ラヴィは放置しておくと何をするか分からない。
見た目通り、子供のようなところが少しある。
頼もしい時と、手が掛かる妹のような時とのギャップがとても激しい。
まるで2人の人間が別人格として同居しているようだ。
ただ、ラヴィは決して悪人ではないし、頭が悪いわけでもない。
おそらく、先ほどの音と光も、何か厄介な相手を倒してくれたのだろう。
多分そのはずだ。
普段の奇行のことを忘れるならば、決めるべき時は決めてくれるという点で、本当に頼りがいがある。
エリスと立ち話をしていると、タルタロスが追いついてきた。
「ワシらは置いていってくれて構わんぞ」
「いえ、ここからは持久戦になるはずですので、全員の協力が必要です。それに、もう水門が近いので、ここからは速度を落として警戒しながら進みましょう」
「そう言ってもらえると助かる」
ドロシーはタルタロスの肩から降りた。
俺は槍を手に持っていつでも戦闘準備に入れる体勢を取る。
エリスとタルタロスは素手が基本なので武装は特に何もなしだ。
「ここから先は、いつ敵が出てくるか分からないので、慎重に進みたいと思います」
「了解」
歩みを進めて5分もしないうちに、俺たち以外の何者かの足音が聞こえてきた。
落ち葉を踏み締める音は確実に近づいてくる。
「3……いや、4かな?」
聴力に優れたエリスが足音から人数の推測を立てた。
それほど離れた数ではないだろう。
「イモリか?」
「分からない。足音だけじゃさすがに」
ドロシーはカウントしないとしても、敵の数が5ならば、俺とエリスで2匹、タルタロスに1匹任せれば十分対処はできる。
「全員静かに」
迫り来る敵に備えて身構える。
生唾を飲み込み、どこから敵が仕掛けてきてもいいように姿勢を低くして待機をする。
「そこにいるのは同業者か?」
その時、唐突に若い男の声が聞こえてきた。
どうやら、足音を立てていたのは、イモリ人間ではなく、普通の人間のようだ。
「偶然この騒ぎに巻き込まれた旅人だ。今から水門の方へ向かうところだ」
今の状況を伝えた。
「なら同業者で目的も同じか。待っていてくれ、僕たちも今すぐそちらに向かう」
声のトーンが柔らかくなった。
敵対的な人物ではなさそうだ。
ややあって、剣を持った若い男が姿を現した。
その後ろには斧を持った巨漢の若者。魔法使い風のローブを着た少女。法衣を着た男が続く。
全員、年齢は俺と同じ10代後半。
上に見たとしても20代前半だろう。
ファンタジーRPGのキャラのような風貌だが、元日本人なのだろうか?
それとも現地人の本物の冒険者なのだろうか?
「僕はフォルテ。君たちと同じ冒険者だ。以下はその愉快な仲間たちだ」
「オイオイ、初対面の相手に以下でまとめるなよ。俺はマルスだ。よろしく」
最初に剣を持った若い男、フォルテが名乗り、斧を持った巨漢、マルスがそれに続いた。
冒険者と呼ばれて少し固まってしまう。
以前はなんと答えたのだったか?
いや、握手をしないのは失礼なので、肩書きは後回しにする。まずは挨拶からだ。
「モーリスです。こちらはエリス、タルタロス、ドロシー。立場は似たようなものだと思う。俺たちも偶然この町へ立ち寄っただけの旅人です」
職業については曖昧にした。
冒険者を名乗った後に、実はこの世界の冒険者は何か必須アイテムを持っているので、それを身分証として出せと言われたら困るからだ。
こういう時に、口で丸め込めるラヴィとカーターの2人が不在なのは痛いところだ。
今の装備品を見てこちらも冒険者だと錯覚してくれることを祈ろう。
「どうもイモリ人間のようなものが暴れているらしいけど、城門はあの通りなので、水門まで回り込めば町の中に入れるんじゃないかと思って」
「僕たちと全く同じ考えだな。どうだろう、少し人数は増えるが、しばらく共闘というのは」
この話は受けてもいいのだろうか?
エリスの方を見ると、目配せで「それはあんたが決めるべき」と訴えてきた。
なぜ、この場に即判断ができるラヴィはいないのか?
いや、いつまでもラヴィに頼ってはいられない。
彼女も、俺ならばリーダーとしての役割を果たせると信頼してくれているのだ。答えないわけにはいかない。
「お願いします。今は少しでも戦力が欲しいです」
「少しどころか、かなりの戦力なので大船に乗った気でいてくれ」
フォルテへ握手のために手を差し出すと力強く握り返してきた。
やや自意識過剰な発言だが、すぐにジョークだと分かるので、嫌みさは感じない。
「私の予想だと、敵は水門を全解放。水路の水量を増やして、そこから水路沿いに町の中へ侵入しているはず」
白いローブをまとった少女がぼそりと呟くように言った。
頭に被った白い帽子からは黒髪がこぼれている。
身長こそ低いが体型もラヴィと似通っている。配色はラヴィのモノクロ反転版のように見えた。
「だから、まずは水門を閉めて援軍を止めることから始めるべき。水路の水が減れば、トカゲ人間も姿を隠せなくなる」
「スーリア、その根拠は?」
「この町はあちこちに水路が流れてるけど幅は狭い。なので、たくさんのトカゲを通すために、水嵩を増して対応しているはず。水深が深くなれば、上下を使って送り込める」
「つまり、逆に水門を閉めて水量を減らしてやれば、トカゲたちの移動の妨げになると」
「多分」
理論的に分析するあたりもラヴィに似ている。
彼女がフォルテの参謀的なポジションなのだろうか?
「水門の閉め方って分かりますか?」
作戦としては、それが一番スマートそうだ。
フォルテに実際にどうやるのか、方法を聞いてみる。
「僕は全然分からない。マルスは?」
「知るわけないだろ。レフティは?」
「もちろん知りません」
どうやら誰も知らないようだった。
「とりあえず岩でも投げ込んで水路を塞いじゃえば良いんじゃない?」
エリスが雑な答えをすると、それに斧を担いだ男、マルスが飛びついた。
「それだそれ。ほらなフォルテ、俺たちに求められているのはこういう単純だけど効果がありそうな回答なんだよ」
「仲間が考えなしの答えをしてすまない……いや、そちらのお嬢さんが考えなしというわけではなく……」
「いえ、いつものことですので気にしないでください」
俺とフォルテは顔を見合わせて笑った。
「そちらも仲間には色々と苦労していそうで」
「いえいえ、俺の場合は今は別行動している仲間が色々と考えてくれているので」
少なくともフォルテたちは悪人ではなさそうだ。
協力関係を取ったことも間違いではないだろう。
◆ ◆ ◆
スーリアの推論は概ね合っていたようだ。
水門は全開しており、湖の水をどんどん町の中に取り入れるようになっていた。
こうしている今も、水中を泳いでイモリ人間が湖と町の間を出入りしている。
水門は水路入り口に取り付けられた巨大な金属製の扉を上げ下げして、その開閉度で水の流れを調整する仕組みのようだ。
その金属扉を動かすための装置を守っているのか、周辺を数体のイモリ人間が徘徊している。
「トカゲの数は1、2……全部で5か。スーリア、先制攻撃で何体倒せる?」
「トカゲはそれなりに堅そうだし2体かな? 詠唱が間に合わない」
「モーリス、君の方のパーティーはどうだい?」
俺はドロシーに尋ねた。
まとめて倒すならば、ドロシーのスキルが有用だ。
元々水が流れる施設なので、ドロシーが少々水をバラまいたところで、影響は少ないだろう。
「あのイモリは何体くらいまとめて倒せる?」
「ぜんぶ」
質問の仕方が悪かったようだ。
こめかみをトントンと叩いて冷静になってから、再度問いかける。
「横にある機械とか水門は壊しちゃいけないんだ」
「でもラビちゃんなら全部壊すよね。ドドドドドって」
ラヴィは普段どう見られているのだろう?
そんな雑なことをやったことなど記憶にない……いや、いつもそんな感じだった気がする。
レルムはもう手遅れのようだが、ドロシーの情操教育にも良くない。
一度ラヴィ本人と話し合った方が良いかもしれない。
改めて敵の配置を見ると、ちょうど水門の近くにいるイモリたちが横並びに3体並んでいた。
スキルでまとめて吹き飛ばすならば、そこだ。
もし外しても、水門の設備を巻き込む可能性は低い。
「よし、ならあの水路の左側にいる3体を倒そう。それなら大丈夫だね」
「うん」
「というわけで、こちらは3体です」
「えっ、大丈夫? その子供で?」
やはりいくら強いとはいえ、子供にそれほど戦闘力があるとは思われていないのだろう。
「大丈夫です。信じてください」
そう言うとフォルテたちは納得してくれたようだ。
ただ、もしもドロシーが失敗したのならば、この信頼を裏切ることになってしまう。
そうならないためにも、俺たち……いや、俺がフォローせざるを得ない。
今更作戦変更はしていられない。
まずは奇襲を成功させねばならない。
スーリアが杖を片手に目を閉じて何やら呟き始めた。
「できるなドロシー。俺が指示したやつを狙って倒すんだ」
「分かった」
ドロシーが発射した水流がイモリ人間3体を薙ぎ倒した。
超圧力の水流を受けたイモリ人間は、あまりの勢いに吹き飛ばされるよりも先に、地面に押し付けられる形で潰されている。
どうやらドロシーはうまくやってくれたようだ。ほっと胸をなでおろす。
やや遅れて光るエネルギー弾のようなものが飛んでイモリ人間に突き刺さった。
こちらはスーリアが放った魔法だろうか?
十分なダメージは出ているようで、イモリ人間は苦しそうに呻きながら倒れ込んだ。
そこへ、間髪入れずにフォルテとマルスが飛び出した。
エネルギー弾の直撃を受けて弱ったイモリ人間へとどめを刺し、周囲を見回した。
「追加の敵はなし」
「なんとか見張りのイモリ人間は倒せましたね」
「ああ……しかし、その子供の使う魔術はすごいね。あんなの初めて見たんだけど何系統の魔術なんだい?」
「水のスキルです。えっと、これは……」
そこにスーリアが驚いた顔をしながら近寄ってきた。
「神の奇跡ですね。文献では読んだことがありますが、まさか実在しているとは」
「奇跡と言われても、別に何かを信仰しているわけではないんですけど」
「呼び名は奇跡ですが、どちらかといえば技術です。この世界の神から直接力を引き出すとか」
俺たちのスキルはMP的なものも消費せず、原理は不明のままだった。
スーリアの話が本当ならば、俺たちが使っている力の正体が少しだけ分かるかもしれない。
あとで時間がある時に話を聞きたいところだ。
「実在は疑っていたのですが、まさかこんな小さい子供が使いこなせるなんて」
「すごいでしょう」
「すごいね」
スーリアに褒められたドロシーは腕を腰に当てて胸を反らした。
どうやら褒められたことが誇らしげなようだ。
「それじゃあ、水門をどう閉めるかだけど」
「このハンドルを回せばいいのではないか?」
タルタロスが何か複雑な機械から突き出た金属製のハンドルを掴んだ。
よほど力を込めているのか、腕が膨らんで血管が浮き上がる。
「ぬうううううううん」
唸り声を上げながらそのハンドルをじりじりと回転させると、水路の上に浮かんでいた分厚い金属の扉が少しだけ下方向に動いた。
どうやらハンドルを回転させることで、機械内に設置されている歯車が回転。
金属の扉に取り付けられたシャフトが上下することで扉を水の中に沈めたり、逆に持ち上げて水の流れを調整する仕組みのようだ。
「さすがにワシ1人だと辛いな。誰か手伝ってくれんか?」
「俺に任せろ!」
「なら私も」
マルスとエリスの2人がハンドルを掴んだ。
3人でハンドルを回転させると、金属扉はどんどんシャフトに押し下げられ、水路の中へと沈んでいく。
ハンドルが動かなくなるまで回転させたところで、金属扉は完全に水中へと没した。
「これで終わりかの?」
「おそらくは。あとはこの水門をどうやって再度開けられないようにするかですが」
俺たちがこの場を去ると、またイモリ人間が現れて、ハンドルを回されて水門を開けられてしまうだろう。
それを阻止するためにはこの場に留まり、次々と現れるイモリ人間を倒し続ける必要がある。
だけど、それだといつまで経っても町の中へ行くことはできない。
「えい!」
どうすれば良いか悩んでいると、エリスが水門の開閉装置のハンドルを下から蹴り上げた。
何度か蹴っていくうちに、ハンドル部分だけがじりじりと上がっていき、やがてシャフトから抜けて外れた。
どうやら、ハンドル部分だけが脱着できる仕組みになっていたようだ。
ハンドルがなければ、しばらくは水門を動かせない。
とで兵士たちを指揮する人物に会う予定だ。
その時に渡せば大丈夫だろう。
「これでしばらくは時間稼ぎができるんじゃないかな?」
「エリスは、よくこんなの知っていたな」
「近所の田んぼの用水路にある水門も似たような感じの構造だったし、ハンドル部分だけ外れるんじゃないかなって」
軽くハンドルなしのシャフトだけを掴んでみたが、ピクリとも動かすことはできなかった。
この状態ならば、水門を開けることは困難だろう。
「エリスの家の近くには田んぼがあるのか? 神戸なんだろ」
「モリ君の住んでる横浜にはないの?」
「いや……あるけど、うちは横浜でも例外だから」
「じゃあ私の神戸も例外ってことで」
分からない。何か少し騙されている気がする。
「ところで、このハンドルって、たまたま外れる構造だから良かったけど、そうじゃなかったらどうしたんだ?」
「えっ知らない?」
エリスが当然のように言ったので頭を抱えた。
ラビさんから変な影響を受けているのはドロシーだけじゃなかった。
本当に注意しておきたい。
「すごいなその発想。俺も次から真似しよう」
「いや止めてくれ。今以上に酷くならないでくれ。考えただけでも頭が痛い」
エリスの発想に感心しているのはマルスだけのようだ。
フォルテの他の仲間たちはドン引きだ。
フォルテも頭を抱えている。
「……ま、まあ、これならば町の中に入ってイモリ狩りはできそうだ。一緒に戦ってくれるか?」
「あ、ああ……そういう約束だからな。トカゲ狩りを是非とも成功させよう」
俺たちは水門近くにある出入り口からサルナスの町の中へと入っていく。
「……ところで、なんで君たちはあの敵のことをイモリって言うんだい? トカゲだろ」
「両生類っぽいからイモリですよね」
「爬虫類だろ。トカゲじゃなくても、せめてヤモリだろう」
しばらくフォルテと口論は続いた。
そして、そもそも爬虫類だろうが両生類だろうが人間のように二足歩行をしたりはしないので、そういう生き物だという結論に至った。
「もうボクラグで呼ぼう。正式名称だ」
「それでいこう。ボクラグだ」