仮暮らしの成田さん 作:ぽぽんぽん
『解体』な~。
前述通り、残念ながら魔物はドロップ品に変わってくれたりはしない。いや本当に…まことに残念ながら…。
しかしインベントリがあるので、死体ごと吸い込んで、死体ごと売却が出来る。これだと魔石も一緒に売却されてしまうので、魔石だけは取ったりするらしい。
市場《マーケット》だと「角ウサギの死体(魔石なし)ランクC」みたいな感じで販売される。ランクは素材の状態によってダンジョンが勝手につけてくれるのだ。状態Aがもっともよくて、最悪がG、ほぼゴミ。
そんなわけなので、ポーターという役割もあったりする。「運搬」とか「収納上限解放」とか、「解体」スキル持ちが重宝される。
マケボに出荷されたモンスター(死体)はいったん解体業者が買い取って分別して販売してるらしい。プロ「解体」集団がサポートしてるわけだ。
もちろん業者を通さず取引する方が儲かるってんで、ポーターとして「解体」持ちを雇う冒険者もいる。チームとかパーティーとか超えてクランというかギルドというか、そういう大所帯のもはや会社みたいな冒険者集団。
ちなみに会社ぐるみで冒険者すると税金がめんどくさいらしい。特に、今現在は法律上、素材採取や研究のためにダンジョンを探索する冒険者業は法人として企業出来ないらしくて、個人事業主になるから制約がいろいろあるとか、なんとか。
俺はパーティーとか組みたくないのでその辺、さっぱり。もはやノータッチ。俺は俺、人は人。ついでに冒険者やってる友だちもいない。ソロ万歳。ぼっち上等。俺は俺の面倒しか見られんぞ!
そんなわけなので、俺がスライム狩りを卒業する場合、「解体」は必須といえる。
何処のダンジョンでも1階層はスライムなんだけど、次の階層からはダンジョンによって生息モンスターが違う。だから今までのように今日はここ、明日はあっちのダンジョンのように東京中をフラフラする生活からは変わってくる、かもしれない。
そもそも狩り場変えようとかあんまり真面目に考えてなかったから、調べるとこからよな~。
動物系、虫系、鳥系、爬虫類系と選り取り見取りだった記憶。なんか不定系ってのもあったっけ? スライムの進化形がいるならそっちのがいいのかなあ。だとしたら解体はいらんか?
霊体系とかも溶けるって噂だったっけ。ホラー耐性?微妙だなあ。ゾンビはインベントリにいれたくない。
あれこれ考えつつも棒でペシペシ、ホウキでサーッと進めているけど、ネズミほんとどうしようかな…。
区役所での買取ってもうしてなかったっけ。あれは逆流してるときじゃないとダメなんだっけ?
収納の中の死体について考えたくない…!
あーでもたしかギルド内には解体用の貸出スペースがあったはず。ギルドとしても、モンスターは廃棄するよりどうにかして売りに出して欲しいしせめて魔石は取ってくれって方針だから。
なら死体買い取ってくれって話だがそれはそれ、これはこれらしい。量が多すぎるし損傷も激しいので民間委託も難しいとかなんとか。世知辛い。
スペース貸出は格安だったはずだからまあ一回、借りてみて試すかなー。解体は向き不向きがあるらしいしね。まあ向かってくるドブネズミを屠れる時点で大丈夫な気もしている。
そんなこんなで半周を終えて、砂は5枠半埋まった。ぐわー、昨日売れた分が心底惜しいわ。
まだ全然足りないのだが、ドブネズミが思ったより多かったし、死体分で1枠必要になったので計画は練り直しだ。もうちょい入るけどやめたのは棒とホウキとチリトリもしまって帰りたかったからです。手で持ってると邪魔になるんだもん。
「おかえりなさい」
「っす」
受付のおばちゃんに出迎えられて精算。
ネズミもスライムも多かった上に掃除もしてたので押しに押して現在14時。腹減った。
スライムの魔石は全部出してみると97個、やはりいつもより多すぎるなあ。
おばちゃんも眉をひそめていた。
「あとネズミがあるんすけど」
「逆流魔物は討伐証明部位を施設内の区役所支所窓口に出すと賞金が出ますよ。ネズミは尻尾。そんなに高くはないけど…今は2本1Dです」
ショッボ。
「死体そのままの買取はしてませんが、そこに回収ボックスがあるので、よろしければご利用ください」
ネズミ用とでかでかと赤ペンで書かれた箱が置いてある。たぶんダンジョンロッカーと同じアイテムボックスだろう。
「尻尾を取るんでしたら解体部屋のレンタルがオススメですよ」
聞いてみたら一人用個室なら1時間1Dと格安貸出だったので1回、借りてみて試すことに。
でもとりあえず先に昼休憩。腹が減っては戦は出来ぬってね。
15時、本日の午後の部の清掃はなしにして、早速解体部屋へ入ってみる。
どことなく血臭のする落ち着かない部屋だ。
1時間1Dならホテル代わりに寝るやつもいるのでは?とか思ったけどここで寝れるのは剛の者だけだろう。
用途通りの使用をしましょうねって話か。
まずは公式ショップでナイフを物色。いろいろ種類があるので説明を読まねばならん。
いやあまさか武器ではないナイフを物色することになろうとはね…。武器を買え武器を。自分でも思わなくはないけど10フィート棒が心の友過ぎて。