仮暮らしの成田さん 作:ぽぽんぽん
んー、あとなになら作れるんだこれ。
野菜がぜんぜん知ってるのない。ていうか知ってるやつアホみたいに高い。日本はダンジョン特区農地が少ないからか?
そもそも食料自給率が低いのか。ダンジョン特区内で取れた野菜は地元スーパーで売られるのがほとんどで、ブランド野菜とかしかショップでは扱われないっぽい。そして市場《マーケット》に出る野菜は早い者勝ち。更に年末なので出荷されてない説。それな!
肉は魔物肉以外にも色々あるが、これ絶対パック肉ではないだろうから買うのが怖い。塊肉だ。いや、塊ならまだいいけど、下手したら足やら皮やら着いてる。
SNSでもグロ注意で肉を買ってみた動画が出回ってたもんなー。海外では普通でも日ノ本では普通じゃないことがたくさんあるよね。
魚は知ってるの全然ない。というか海はダンジョンにならないから淡水魚しかないはずだ。
塩が苦手なのか水が苦手なのか、ダンジョンが侵食できないっぽいんだよね。人類はいずれ海へ押しだされる説を唱える学者もいるらしい。ダンジョンに呑まれる方が先だと思うよ。
魚も肉もダメならタンパク質は卵か…。
鶏卵は絶対国産がいいなー、卵かけご飯するわけじゃないけどなんとなく。お腹弱い人類なのよ、やさしくして…。
値段マチマチだけど高ければ国産てわけでもないっぽいし、鶏卵ガチャしたくない。
となると豆か。
あっ、味噌がある、けど高っ!?醤油もアホみたいに高いな!?
味噌はともかく醤油の自家生産は難しいもんなぁ。
大豆は価格幅も凄いが量が多い。ばあちゃんから味噌の作り方は教わってるが、ホテル暮らしが味噌を仕込むのはなかなか難易度が高い…。麹菌もなあ。
……なんだろうこの…、日本にいながらにして異世界料理感…。
なんで調理勢が突然に野草料理に目覚めるのか不思議だったけど、こういうわけかー…。
食べられる野草かー。トーキョー砂漠にそんなものないですわー。
ダンジョンに野菜とりに潜れってか。
ダンジョン飯への道のりが険しい。
あ、塩あった。価格は普通、ほかの調味料に比べればまあ普通、高いけど!
これは岩塩なんかな? 採掘ダンジョンも塩取れるとこあるらしいし、それかな?
あとは沿岸部の砂浜ギリギリまでダンジョン特区になってるとこでは、塩を作ってる噂もきく。
藻塩もある。他のより高いけど。塩どれがいいかわからんし、藻塩買っておくか。
やったパッケージが国産!ガチャに勝利した。ガチャじゃないけど。
途中で付与を更新しつつ、大麦を15分ほどかき回し続けてたらそこそこ香ばしい香りがしてきたし、色も変わってきた。こんなもんだろうか?
深皿にざらざらとあけて、付与した鍋に今度はお湯を沸かす。なお水は普通にホテルの水道から出る。
沸騰したところで、煎った大麦をスプーンで2杯ほどいれる。量は適当。おー、麦茶の匂いする。10分ほど煮出す。
その間に水筒を買う。
水筒は公式ショップにもあるので迷わないで済む。水でかるくゆすぐだけでしっかり洗わなくても綺麗になるという、主婦には夢のような水筒らしい。たしかにかびたりさびたり匂わないのは重要。300D、道具として妥当な価格。
高レベル冒険者はこれにポーションを入れて持ち歩くらしい。水筒を装備しておけばポーション分、収納《インベントリ》を開けられるんだとか?
あとなんかフィルターと漏斗がほしい。コーヒー用とかお茶用とか、いろいろ種類はあるけどどれもクラフターショップ、趣味の品なのでお高い。これに3000Dとか出すなら調合キット買うわ、漏斗くらいついてるだろうし。
あー……。調合キット買っちゃった。
ちゃんと濾過用フィルターと漏斗ついてた。
これを使って麦茶を濾す。うーん、とっても科学室だけどすごく麦茶…。
とりあえず麦茶は水筒へ入れて、残りをカップに注いで、味見。うん、麦茶ですね。少し薄いけど、普通に麦茶。温かいお茶嬉しい…。
これまでダンジョン内には飲食物持ち込めなかったから、ホテル内でも基本飲まず食わずだったのだ。いや、水はあるけどね。
温かいお茶のある生活、これはQOL爆上がり。
となると俄然握り飯にも期待が高まりますなあ!
吸水完了した米を炊く。
いったん水を捨てて、新しい水を入れて蓋をしてIHを中火にする。これでよし。あとはグラグラしたら強火にして水を飛ばして、火を消して蒸らしたら出来上がり。始めコトコト中パッパ。なお途中、蓋を取っても実は問題ない。
20分もかからず米が炊けた。
この湯気、たまらんな!
まずは一杯、味見に…と食べ始めたら止まらず、半分くらいそのまま勢いよく食べてしまった。
うまい!
炊きたての飯はそれだけでほんとウマイ…。ダンジョン特区産でもコシヒカリはさすがだ。
残りの半分を手塩で握る。一応、手を洗った後、更に「清掃」を掛けて、付与(エンチャント)して塩したので完璧である。
おにぎりは少ない回数で握るのがコツと教わった。ぎゅっぎゅっぎゅっ、だ。これで終わり。何度も握りたくなるけど、握れば握るほど固くなるからダメ。ばあちゃんの教えである。
おあー。握り飯もうまそう。ていうかうまい…。塩握りさいこー。
あっという間に2合ペロリしてしまったので次の飯を炊く。やはり2合鍋じゃ少なすぎるな。
次の塩握りはためしにひとつ、収納へいれてみた。そのまま入れるの不安だが、皿に乗せても収納内で別枠にされてしまうらしいのでそのまま。どきどき。
普通に収納に「塩握り」として入った。よかった、料理としてカウントされてる。米粒単位じゃない。
塩握りのバフは10分間1%MP回復量上昇らしい。やはり一応はバフ飯になるのね。しょぼいバフだが、これはご飯なので気にならない。塩握りであることが重要なのだ。
しかしやはり、おかかとか、漬物とか、味噌汁とか、欲しいなあ。
世界的には小麦文化のが優勢なので、小麦は結構いろいろ出てるんだよね。ジャガイモとかイモ類も多い。トウモロコシも。
生芋の輸入はあかんのではと思わんでもないが法律が以下略。
砂糖も普通に出てる。価格もそこまで高くない。なんか甘いもの作ってもいいなー。
しかし甘いものに立ちはだかる壁、鶏卵。鶏卵はショップにもない。なんでだろうね…。