仮暮らしの成田さん   作:ぽぽんぽん

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26.アルバイト

〈これまでの経験により、料理を習得しました〉

 

 無事習得できました。

 ダンジョン飯のおかげです。

 しかし草とウサギでも米と醤油があれば幸せな食卓。日ノ本人の遺伝子を感じる。

 麦茶をおかわりして、ごちそうさまでした…。

 

 まったりついでに明日以降どうするかの予定を立てたい。

 

 ひとまず、採取が取れるまでは西坂ダンジョンにいよう。人は多いけど、採取出来ないほどじゃなかったし。

 そんなに広くないし2層ぐるっとしてキノコ採って、3層で野草刈りでいいか。つまり今日と同じルートだ。

 採取まではそれで行こう。

 

 肉も久々の菜飯おにぎりも美味しかったしこのダンジョンに住んでもいいかもしれない……。

 と一瞬思ったけど解体部屋を出たあとの混雑を見たらスンッてなりましたね。

 

 とりあえず受付に並び直して、解体したあれこれを売る。解体あきらめたカラスは処分箱へ。

 魔物の処分については何も言われないのでありがたい。これが普通の生き物だったら「食べもしないのに狩って!」という話になるが、魔物はとにかく狩るのが第一だからね。

 魔石も全部その場で売る。

 

 そしてダンジョンへ。1層でやっぱりスライムにちょっと足止めされたけど移動して、2層ぐるっとキノコ採り、3層で野草。今日は主にヨモギをプチプチ。

 

〈これまでの経験により「採取」を習得しました〉

 

 きました。

 早いなー。これもしかして高校の頃に地元で迷子になってサバイバルしたときの経験も含んでる? あの頃はエンチャントも道具もなかったのでスキルなんて見る影もなかったから、ちょっとしんみり。大人って汚い。

 採取のメモリは2だった。ふむ。わかるようなわからんような。

 

 採取が取れた段階で切り上げて、16時。解体部屋を2時間借りてご飯作って、ついでに解体。魔石とウサギ肉を取った。

 

 ウサギ肉は全部焼いておけば明日まで持つだろ、冬だし。てことで全部焼いて、食べて、残りは収納へ。

 臭いが残るので部屋に「清掃」。

 

 今日は上がり!

 カプホに戻ってステータスを開いて考える。採取で50SP達成したから魔法が取れるのだ。

 取るなら下手にMPを必要とする攻撃魔法より、万一のときに保険になる「魔法:ディザーム」だよなあ。ディザーム(弱化)は俺が戦う範囲では持て余しそう。いや、それをいったら何もいらなくなってしまう。

 

 しかし俺にはぷにもちという扶養家族がいるわけで、やはり保険は必要かなあ、などとも思うわけだ。

 あー、でも悩むな。

 今後魔法を取れるほどSPが余るときなんてないだろうしなー。

 

 あー。

 明日はどこのダンジョンへ行こうかね。西坂は銭湯もスーパー銭湯も近所にないから体が冷え冷えだよ…。

 

 

 明けて翌日。

 ダンジョン七草粥を配ってるのにつられてまんまと西坂ダンジョンに留まってしまった。お粥うまぁ…。

 おせちとか雑煮とか縁がなかったから別に胃腸弱ってないけどお粥はうまい。お粥は作れなくもないがぜんぶ一人で食べるの大変だから(糊になるよな)ちょうどよかった。

 

 ハフハフと食べていたら、見覚えのある人に声をかけられた。あれだ、1層の管理してる人。

 

「やあ、君、冒険者、だよね?」

「っす」

 

 冒険者免許持ってるかという意味だろう、と判断してうなずくと、ほっとした顔をする。

 

「もし暇だったらバイトしていかないか、1層で」

 

 話は簡単、今日は七草粥フェアー最終日とあって、ダンジョン観光の人数がいっそう多い。人が多いと魔物が増えるが、人手が足りない。特に5層までいく観光なので下層の応援に取られて、1層はすごく少ないんだそう。

 

「知っての通り、スライムは雑魚とはいえ例年、山のように大ケガを出している」

「酸ヤバイっすよね」

「そうなんだよ!」

 

 どうやら昨日一昨日のスライム湧きの発見から退治までの手際のよさを買われたらしい。さすが俺。スライム専門冒険者(2年目)だからな…。

 

 バイト代は現金だが、倒した分のスライム魔石やゼリーは自分の物にしていい、とのこと。

 バイトは今日1日と拘束時間も短いので受けることに。たまには善行も積んでおくべきかと…。

 

 軽く講習というか、口頭で注意事項をつらつらと受ける。基本は移動しつつ湧き潰し、つまりいつも通りで問題ないらしい。

 もし観光客がスライムに襲われていれば救出。その際、怪我をしていれば医務室へいくよう案内する。案内のみで、移動させたりはしなくていいらしい。よほど大ケガで自力移動が困難と思われる場合は、周囲に応援を呼び掛ける必要がある。なかなかめんどくさい。

 

「ないと思うけどポーション渡したり、ヒールで癒したりはしないようにお願いします」

「了解っす」

 

 癒してしまうと「以前はダンジョンの職員が癒してくれた!」という話になってしまうので、原則不可だそうだ。ダンジョンはいついかなるときも自己責任。怪我を負うのも了承済なはず、というわけだ。

 まあ他のダンジョンだったら助けてくれる人とかいないわけだしね。むしろ助けを呼んでくれる人員がいるなんてすごいな?て話だ。

 

 軽く説明を受けたら1層スライム狩りへ。

 そして特に何事もなく終了。あっさり過ぎる? でもいつもとやること同じだもんよ。

 エンチャントしてはつんつんして、ときどき危ないやつをぺいっと投げたりはしたけど、目新しいことは何もなかった。

 昼飯つきで200匹近く狩れた上にバイト代も入ったので収入としては上々。現金ありがたい。

 ただ人に見られたり、延々と人を見ていないとならんのはなかなか疲れたな。

 

 ちょっと遅くなったけど今日のうちにダンジョンを移動してしまおう。あー、でも銭湯入りたいし、在原戻っちゃおうかな。一層回って解体室借りるだけだしな。そうしよ。

 てことで夜のうちに移動。

 さっむ!! 夜風が身に染みるわ~。

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