仮暮らしの成田さん 作:ぽぽんぽん
在原ダンジョン併設の冒険者カプホで一泊。
そういえば調合キット買っちゃったし、一度ポーション(ぽいもの)を作る実験をしたいと思っている。
ビジホに泊まっておけばホテル内で実験出来たよなー。しかしもう泊まってしまったものは仕方ない。心に染み付く貧乏はなかなか取れないものよな…。
「えっ貸切?」
「そうなのよ、よく来てくれる成田さんには申し訳ないんだけどね」
在原ダンジョン受付のおばちゃんがいうことにゃ、今日はどこぞの冒険者クランでの貸切攻略だってさ。
ちょっと前に浅倉ダンジョンでもそんな話、なかったっけ? 別のクランなの?へええ。羽振りがいいとこが多いもんだなあ。
入れないもんは仕方ない。
もう今日は休みということにして、飯買って銭湯行ってビジネスホテル入っちゃおうかな!
なんかちょっと嫌な予感はするけど気のせい、気のせい。……気のせいだよな!
かぽーんといいお湯でした。やはり銭湯は命の洗濯。暖まったわあ…。
近場の浅倉ダンジョンまで移動して、ビジホに入る。ほーらぷにもち、広い(狭い)ホテルだぞ、と。
わーいと動き回るぷにもちは放置して、俺は調合の準備へ取りかかる。
まずポーションの作り方については、調べてある。準備するものはゲンキノコ、または薬草。それから水、以上! これを煮たり混ぜたり潰したりして濾したものがポーションだ。
しかしここで問題がある。ゲンキノコ全部売っちゃったんだよな…。
もちろん市場で買うのはえらい高い。
金銭的には買えるけど、ポーションを予備に持っておく、という予防目的からすると、高い材料を使うのは現実的ではない。それならポーション買えばいいだけの話だ。
……いや、たしかにポーション買えばいいだけの話だな? 金はあるわけだし。
いやいや、せっかくだからポーションは作ってみるべきだ。金はいつなくなるかわからないわけだし。
せっかく調合キットもあるわけだし!
さて。
麦茶がポーションになるんだから、薬草やゲンキノコじゃなくてもポーション(らしきもの)はつくれるはずだ。
薬(らしきもの)を作ったらポーションになるんじゃないか?
まあ麦茶がポーションになるんだから、飲み物ならなんでもオッケーな気がする。
麦茶ポーション、1L5HP回復。俺のHPは350(たぶんかなり低い方)。というとどの程度しょぼいかわかりやすいだろうか。なおスライムの酸攻撃は50くらい。
LV1HP70くらいから始まったはずなので、これでもかなり伸びた方である。ちなみにレベルアップで伸びる分と、蓄積してステータスの伸びに比例して上がる分とある。
いっぱい歩くとHPが伸びるんですよ。地道にね。だから冒険者は健脚が多い。
ついでにダンジョンショップが販売するポーションは20mlで50回復、味はサイダー。200mlで販売されてるので、1本飲むと500回復。さすが高いだけのことはある。
なお1本200D。封をあけなければ1年もつ。冒険者なら必ず懐に1本忍ばせている必要がある。病気、ダンジョン外で負った怪我には無効。
残り1ヶ月を切ったポーションは受付で3割で買い取ってもらえる。これは緊急時に使われるという噂があるが、ダンジョン施設で怪我を負って治療を願った場合、300Dかかるのがお約束。
なおポーションはダンジョン外に持ち出すと効果を失うため、うっかりポケットにいれたままダンジョンを出てしまった冒険者の悲鳴が後を絶たない。
ポーションしまった?は冒険者の合言葉よ。
俺? 1年目はDがなくて買えず、2年目の今はスライムしか倒さないならいらないかなと思って今に至ります。
サイダー味か。
…ショウガパウダーが山ほどあるし、これに砂糖足したらもうジンジャエールじゃないか?
砂糖買うかー。砂糖は普通に出てるし、値段も高くない。はい購入。
手袋、調合キットのカップ、匙、混ぜ棒に付与していざ実験。
ショウガパウダーと砂糖を同量くらいカップに入れ、水を投入。混ぜる。
完成!
ジンジャー水ポーションになった。チョロいな?
効果は200mlで3HP回復。麦茶よりは全然優秀だが、効果としてはかなりしょっぱい。
レモン汁を足して、煮込むレシピもあるか…。試してみよう。
レモンはどこ産かわからないけどそこそこの価格のがあったので購入。果汁絞るやつがないので、付与したナイフでくし切りにしてギュッとする。1杯につき1/8くらいで足りるのでちょうどいい。
ジンジャーパウダーに砂糖とレモン汁を入れて軽く煮込み、砂糖が溶けてプクプク泡が立ってきた辺りで火から下ろす。
ジンジャーシロップポーション。一匙でHP5回復。
なかなか優秀な気はするが、これ原液だからな…。
シロップを水で割ると、200mlで7回復。あれ、増えた?
こうなってくると俄然、炭酸水を手に入れたくなってくるが、市場で水を買うのは悪手だ。果物もなんだけど、日ノ本人、腹壊す水が多すぎるからさ……。
そんなわけでジンジャーシロップポーションの実験はここで終わり……いや、スパイスがあるか。
お馴染みのシナモン、クローブ、カルダモン辺りを入れるらしい。スパイスは意外と安かったりする。
購入、あっパウダーじゃない! まあホールでもまあいいか。
ジンジャーパウダー、砂糖、スパイス。グツグツ煮て完成!
クラフトジンジャーシロップポーション。名前が長え!
20mlでHP10回復、水で割って15回復。まあこんなもんか。
砂糖が多めなので保存もかなりきく、ことを期待したい。収納に直接しまうと雑菌とかどうなるの…? 謎すぎるが信じてるぞ収納!
あと気になるのが薬のようなものを作ったらポーションになるのか?ということだ。
おばあちゃんの作っていた緑のネトネト。それとその元となっていた緑のドロドロ。
あのふたつの作り方なら知っている。時間がちょっとかかるんだけどな。