仮暮らしの成田さん   作:ぽぽんぽん

36 / 67
36.黒歴史

 地図の通りに戻り、6層入り口に到着。結構人が集まっていて、おっさんの背負ってる少年を見るとざわざわしたが、やはり進み出てくるヒール持ちはいないようだった。

 少年は泣いていた。

 

「よければ上までご一緒します」

「助かるっす」

 

 少年を背負うおっさんを連れて階層を戻っていく。相変わらず人が多いので魔物は少ないし、すれ違う人も多いが、ヒールは得られない。残念。

 えぐえぐ泣いてる少年には悪いが、これが現実でもある。

 しかし少年を背負ってるおっさんを周りが気にしてくれるので、俺も暇になった。出来る範囲での助け合いって感じよな。

 

「もうすぐロビーつくからね」

「うっ、うぇっええ~」

 

 おっさんが慰めているが少年はずっと泣いている。まあ目が見えないし痛いしお先真っ暗って感じだろうな…。心が痛むのはみんな一緒なんよ。

 

 お守りされつつまっすぐ帰りついたロビーはなかなか混雑していた。やはり怪我人でごった返している。そりゃそうなるよね。この分なら少年も格安治療を受けられるだろう。

 少年を預けて、俺のお仕事は終わり!

 

「お疲れっした」

「お疲れさま。私も助けてもらってありがとう」

「こちらこそ。結局ずっと背負ってもらっちゃって」

「いやいや、守ってもらってたしね。私なんてほんと、運んだだけだよ」

 

 いや、いざロビーに戻るまでの道を振り返ると、かなり無謀なことをしたな、と思う。

 ちょっと……その、ゴブリン倒せて調子にのってました。ウワーッはずかしーッ!

 なにが覚悟を決められないだよ! それならさくっとポーション飲ませておけばよかったじゃん!

 あーはずかし。

 なにカッコつけてんだマジで…。黒歴史を更新してしまってつらい。

 

 おっさんがいて大変助かりました。

 いなかったら結構危なかったんじゃないか…?いや、道中、他の人が気を遣って守ってくれたかもだが、俺のような低レベルがやることじゃなかったよな。ほんと反省。

 

 おっさんと別れて、今日のところはカプホへ帰還。ぷにもちをぷにって癒された。

 わーやだやだ、レベル上がったり、新しい魔法使えたりする万能感やべえわほんと。呑まれないようにせんと。

 ぐああーー。

 あ、ポーションしまっておこ。

 

 なんとなく調べてみたところ、自家製ポーションは普通に市場《マーケット》で販売されている。もちろん収納にいれるまで鑑定されないからアイテムとしてはかなり微妙なのだが。

 品名が「ポーション(劣)」になってるのがそう。てか飲みものが市場では見つからないって前に嘆いたもんだけど、これって麦茶出品されても「ポーション(劣)」になっちゃうってことか! 納得。

 

 つまり「これは市場で購入した劣化ポーションだがそれでも飲む?」といって飲ませるのは全然ありだった模様。ぐ、ぐう…!

 でもポーション(劣)て、よほど切羽詰まらない限り買うなって冒険者講習で言われるんだよね。なにせほら、世の中には消費期限というものがあるもんだから…。

 劣化してるのが品質である以上、期限切れてても表示されないのが市場である。つまりロシアンルーレットが加速しているわけだ。

 

 うーん、しかし反省。次回からはその手でいこう。今回みたいな無謀は慎むべき。

 

 

 翌日、解体室へ。解体室が珍しく埋まっててびっくりしたが、ちょうど空きが出て入れた。

 あーはいはい、パーティーのミーティング室みたいな使われ方をしてるわけね。道理ですぐ順番がくるわけだ。

 俺はみっちり2時間使います。正規利用だもん!!

 

 さて。

 やりたくないナンバーワン、ゴブリンの解体である。

 えっ、マジで無理。

 でも魔石は取ったほうがいいんだよなー…。

 

 ゴブリン、まるごと納品で10D、魔石が20Dという解体しろという圧力を感じる魔物である。ちなみに換金可能部位は魔石だけです。

 他にあったとしてもやだよ!!

 

 というわけで魔石をとる。やはり心臓部だ。ピッと切ってギュッと。

 ……おええ。

 調子にのって結構倒してるのでたくさんある……。

 

 数えたら8匹もいた。おう……。改めて出してみると顔が微妙に違ってたりするのがね、かなり無理だった。

 ちなみにぷにもちは残り素材を食べなかった。まあこんなでかいの食わせたら大変なことになりそうなのでよし!

 

 全部収納して清掃、清掃。思わず2回かけてしまった。

 

 これから飯作るって感じでもないな…食欲が失せたわ。

 よし、緑のドロドロ仕込んどこ。

 

 ヨモギやエタノールにも付与したらいいのでは?と気づいたのでやってみることにした。

 結果、ヨモギは付与を受け入れるけど、エタノールは受け付けない。ダンジョン公式ショップ産だからだろうか?

 あと付与したヨモギを刻むのに苦労したので、付与は刻んでからする方がよい。

 付与した瓶にいれて振る。出来上がりは3日後かな。

 

 ちょうどいい時間になったので出て、受付でゴブリンの魔石を納品したらめちゃくちゃ喜ばれた。残りの死体も納品。なんとこれも買い取ってくれた。5D。

 ゴブ1体25Dかー。スライムが霞むわ。まあ遭遇率考えると、全然並べられる数字じゃないけども。

 今回遭遇率高かったのは、人口密度が高かったからだろう。

 

「それにしてもなっちゃん、昨日は大活躍だったじゃない!」

 

 ああーっ、俺の黒歴史を刺激しないで!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。