仮暮らしの成田さん   作:ぽぽんぽん

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41.スキル構成

 「魔法:エンチャント」「魔法:ヒール」「魔法:ディザーム」。

 「長棒術」。

 「料理」「調合」「採取」「解体」「テイム」。

 「収納上限解放」「地形把握」「気配察知」「鑑定」。

 

 今の俺のスキル構成こんな感じ。

 まあまあバランス型、というか武器に魔法に生産に、と見事に器用貧乏型をひた走っているな。しかしソロ冒険者なんてみんなこんなもんなんじゃないの、どうなんだろ。

 

 と思って調べてみたら全然違った。武器系冒険者なら「筋力強化」とか「命中率補正」などを入れるし、魔法系冒険者は「精神強化」「術式短縮」「魔力強化」などを入れるらしい。

 そんなパッシブスキルがあったのか…。

 

 命中にしても術式待機時間にしても、器用度が関わっているらしい。俺は貧弱な筋力と魔力の代わりにそこは多いから、今のところ無しでも不便は感じてない。まあいうて無手ゴブリンまでしか相手にしてないしな。

 

 逆に『筋力強化』『魔力強化』なんかのステータスアップ系は元ステータスの%上昇だから、俺には役に立たない。

 

 そうなるとやっぱり、中級が限界、て感じなんだよな。

 うん、器用貧乏になるしかないステータスなのだ。

 

 そんな悲しい現実を知ったところで、今日はシャワー。西坂ダンジョンは銭湯が近くにないのが残念だ。

 

 

 翌日、バイトの日である。

 3人の欠員を1人で補うのかと戦々恐々としていたが、他にもバイトの人がいるようで安心した。

 

 ひとりは20代半ばと見える爽やか系、ヤマモト。クラン所属の職業冒険者をしているが、土日は暇なのでバイトに来たらしい。そこは休めよ。

 もうひとりは同じクランの新人さんで20代前半のヨシカワ。レベル上げを兼ねてヤマモトに引っ張られて来たらしい。先輩命令の休日出勤とはたいへん御愁傷様である。

 

 両方とも野郎である。スライム退治バイトにくる女なんていない、知ってた。

 

 バイトは前回と同じくひたすらスライムを潰すだけ、ドロップは自分の取り分。怪我人は無視。怪我人は無視、大事なことなので二回言いました。はい。

 

 同じバイトと言えど固まっていては意味がないので、挨拶自己紹介したあとは解散して、それぞれでスライム掃除だ。

 

 いつも通りのことなので特に変わったことはなく、ツンツンしては潰して拾って、地味な作業である。

 ダンジョン協会のブルゾンを着ているので、たまに進路はどっちか聞かれたりすることもあるが、まあそのくらい。

 それにしてもやはり西坂の土日の入りはえぐい。

 

 1時間回ったら、時間差で休憩に入る。ダンジョンバイトは概ね集中力のいる作業になるので、休憩多めが当たり前だ。当たり前だけど、ありがたい話。

 

「人? いや少ない方だよ。在原が新ダンジョンになったでしょ? あれでかなり減ってる」

「そうなんすか」

「やっぱり新発見!とか憧れる人、多いんじゃない? すごい混んでるって聞くよ」

「混んでたっす」

「あ、成田さんもいったんだ」

「っす」

 

 相手がコミュ障でも話を繋いでくれるのは職員のイノウエさん。俺をバイトに誘ってくれた人だ。

 2名ずつ休憩、6人体制、あとふたり職員がいるけど名前が覚えきれない。まあいいか。

 

 休憩を終えたらまたスライム潰し。ツクツク沸きを潰しているとたまに人に観察されたりしていて気まずい。沸きが終わると拍手されたりもして更に気まずい。

 見てないでさっさと順路進んで!

 

 沸き終えた後の魔石拾いがまためんどくさい。ちょっとホウキとチリトリ出そうか考えてしまうくらいだ。いや、あれは封印したんだけども。また変なもの取れても困るしな。

 

 ちなみに付与は使っていない。使わなくても問題なく倒せるし。

 前回バイト中に、経験値稼ぎも兼ねて付与使ってたら、「付与かけてくれませんか?」て見知らぬ人に声かけられて困ったのでそのせいでもある。まあバイト中はダンジョン協会員てことになるので、それを理由にお断りしたんだけども。

 

 ときどきどうしても怪我人は出るけど、仕方ない。ダンジョンだからな。

 これだけ人数が多いと毎日20D回復出てるんだろうし、西坂でのレベル上げは案外、安泰なんだろう。

 たまに自力でスライムを倒してる人も見かける。短剣とかで戦ってる人を見るとめちゃくちゃハラハラしてしまう。その距離感なのか…その距離でやるのか……。

 俺、10フィート棒以外でスライムと渡り合える気全然しないわ。酸こわい。

 

「いやそんな長い棒で戦ってる方がすげえわ」

「っすか」

 

 20代半ば冒険者ヤマモトとの休憩中、流れでスライムと短剣で戦えるのすごい、という話をしたらそう返された。

 

「スキルあるんだよな? 棒術」

「っす」

「やっぱ槍とは別か」

 

 喉が乾いたので水筒から麦茶を飲む。さすがに魔法瓶には劣るのであつあつではないが、自販機のあったか~いくらいの温度でちょうどいい。

 

「成田、変わってるよな」

「そっすか?」

「ポーション入れる以外で水筒使ってる冒険者って滅多にいねえよ」

「あー…」

 

 俺も麦茶入れる前は、ペットボトル持ち込んでた。でも収納に入れられないから、かさ張って不便でさ。もう今はこのスタイルに慣れきってしまった。

 

「若いのに鑑定持ちなのも珍しいし」

「えっ」

 

 なんでそんなのわかんの!?

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