仮暮らしの成田さん   作:ぽぽんぽん

44 / 67
44.スキルオーブ

 無手ゴブリンの魔石を手に入れた。……いや、未解体なので正確に言うと手に入れたのはゴブリンの死体なんだけど。

 これでクーラーボックスを買えるぞ!

 

 クーラーボックスについてはあのあと詳細を調べたところ、マジックバッグほどではないけど時間経過が遅くなるらしい。

 そしてクーラーボックスというアイテムがある、というよりも、収納の中にクーラーボックスという枠が出来る、という形なんだそうな。その方が便利なので構わん。

 ちなみに10枠分。この枠は収納の枠を圧迫しないので、実質10枠の収納拡張として購入する人も多いのだとか。へえ~。

 そんなわけでクーラーボックスは職業冒険者の多くがいずれ所持するアイテムであり、珍しいものではない。

 なおホットバッグという暖かいまま保存できるアイテムもあり、こちらも収納拡張として使えるが、人気が全然ないそうだ。まあだいたいのものは温かくなると困るよな。

 

 マッピングしつつ直感で進んでいたら行き止まり。

 ついでなのでちょっと休憩、麦茶を飲む。やはり手ぶらでダンジョン潜れる手軽さはありがたい。

 

 一旦戻って、進んでマッピングして、とやっている内に7層の階段にたどり着いてしまった。

 休憩中の人が結構多くいる。

 

 7層かー。

 調べてみると、引き続き洞窟迷路であるらしい。どうするかな。そろそろ昼を回りそうだ。一旦戻ると中途半端な時間になるな。いや、解体を含めるならちょうどいいか。……ゴブリンの解体やだなー。

 

 帰るか。

 目的はゴブリンの魔石だったわけだし、達成した。無茶して怪我したら意味がない。一応ポーションの用意はあるけど、それも完璧ではないしな。

 ヒール軟膏はあるけど、ポーションは別途また買ってある。やはりすぐ使える・飲める方が安全だ。俺は安全を取る男。

 

 そんなわけで戻る。

 マッピングした道をそのまま戻ろうかとも思ったが、それもつまらないので別の道で戻ってみることにする。

 

 転ばぬ先の杖~、と棒を立てて倒れそうになった方向、よし、右から二番目。

 この道から行こう。

 

 しばし進むとスライム湧きポイントと苔を発見。

 スライムを潰しつつ周囲を観察。ゴブリンなし、怪我人なし。こうして何かしながら何かを気にする、ということが出来るようになったのも、複数のパッシブスキルが生えたからだろうか。

 冒険者ってのはだんだん異次元になっていくっていうけど、こういうのが積もり積もってそうなっていくのかもしれんな。

 まあ俺などペーペーのペーなのでまだまだ全然なわけだが。

 

 道なりに進んでいくと、無手ゴブリンが現れた。

 

 ……ん?

 ゴブリンってこっちに気づくと向かってくるもんなんだけど、気づいてそうなのに向かってこないな?

 まあいいか、弱化。そしてドスッと。

 あっけなく倒した。

 

 と思ったら後ろにもう1匹。これも弱化して倒す。連続で出てくるのも珍しいな。

 

 死体を収納して進むと、どんと鎮座する宝箱。

 宝箱。

 

 おお……、初めて見たなこういうの。

 ダンジョンにはまれに宝箱が出現する。出現率については諸説ある。人が多く入るダンジョンの方が多く現れると言われている。出現しても時間経過で消えるらしいので、必ずしも開けられるとは限らない。見つけたけど魔物に対処してて開けられなかったというパターンも多々あるらしい。

 開けると箱は跡形もなく消え、開けたものの収納の中にアイテムは入る。

 そういう仕様ゆえ、しばしばクランクラッシャーとなるのがダンジョン宝箱であるらしい。

 その点、俺はソロなので気楽なものだ。

 

 お約束的に、宝箱に化けるミミックという魔物もいるが、これは魔法で倒せる。ので、宝箱には魔法を一発当てるのがお作法らしい。

 まあ、動かないので、魔法がなくても投擲とか槍でタコ殴りして倒す手の方が一般的らしいが。

 ちなみに倒すとぶっ壊れて魔石くらいしか手に入らないので、大変不評な魔物である。

 

 うんうん、どうせ宝箱じゃないんだよな。

 そんなわけで俺も宝箱を付与棒でボグッと殴ってみんとす。

 

 あ、開いた。

 これでも開いちゃうのか。そして中身が収納へイン。

 「スキルオーブ」、宝箱の中身としては一般的なやつ。

 

 ……。

 冷静を装ってますけどかなりブルってますわよ!

 宝箱じゃねーか!!

 

 ていうかこんなん手に入るなんて思ってなかったから動揺が激しい!!

 

 スキルオーブ、売ったら300万D。市場でまれに出ている。

 

 え、えええ?

 億万長者チャンス、来ちゃった…?

 

 いやいやいや、詳細鑑定してからだな。

 

 スキルオーブは、使用すると記載されているスキルが覚えられる魔法のアイテムだ。スキルポイントは必要ないが、ラーニングと同じくスキルメモリは消費される難点がある。

 そのため、いわゆるハズレオーブというものも存在する。それが魔法のスキルオーブだ。

 

 特に珍しい属性のものは、とんでもなくメモリを消費する。そればかりか、メモリを消費しておいて〈習得出来ませんでした〉というパターンまであるらしい。

 やり直しの効かない冒険者人生において、なかなか大博打なのが魔法のスキルオーブなのである。

 

 そんなわけで俺の入手したスキルオーブはこちら!

 

 『魔法:ライト』のスキルオーブ。

 

 はい。

 人生そう上手くはいかないよな。

 

 大ハズレじゃねえか!!

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。