仮暮らしの成田さん   作:ぽぽんぽん

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48.鑑定

「そういや成田、ダンジョンでトイレ経験ある?」

「ないっす」

「てことは宿泊経験もなしか」

「っす」

 

 ヤマモトから説明を受けるが、ダンジョンのトイレ事情についてはさすがに知っている。

 

「ちなみに魔法は」

「使えるっす」

「ならオッケー」

 

 ダンジョンのトイレ事情。実はダンジョンではMP使ってると尿意及び便意が消える。自分の食ったものから先にMPって消費されるらしいよ?

 そういうわけでダンジョン滞在時間が長くMP消費も激しい高レベル冒険者は、排泄能力が異様に衰えるのだ。ダンジョン外で暮らしにくくなる。完全に出なくなるわけじゃないから厄介とかなんとか。

 

 ちなみに魔法使えなくてもMPは使える。武器系スキルを鍛えていくと、MPを込めた攻撃が出来るようになるのだ。

 俺はまだ長棒術とりたてだからわからんけど、MP攻撃使えるようになるのは結構早いらしい。

 

 もちろん魔力ない冒険者もいるけど、レベル上げていくと魔力って生えるんだと。夢のある話よな。

 ダンジョンからの贈り物で魔力なかった人も、MP使うためにレベル上げに励んだりするんだそうだ。険しい道のりなんだってさ。

 

 さておき俺は魔法を使えるので、ダンジョンでのトイレは気にしなくてもいい。

 適宜、適当にMPを消費していけばいいわけだ。ダンジョンの不思議。

 

 ヤマモトの「ならオッケー」は自分で適当に処理しろってことだろうから、まあ適当に付与とか清掃とか自分にかけていれば大丈夫だろう。

 

「無手2、剣1」

「成田、出番よ」

 

 無手ゴブリンがメイジか鑑定しろってことね。

 前3人の隙間から覗かせてもらうとすぐわかる。

 

「右メイジっす」

「お、初手から」

 

 鑑定するまでもなく片方明らかに痩せてるからわかるんだが、これは俺が鑑定持ちだからわかるって話なんだろうか?

 その辺が謎なんだよな、スキルって。

 

 俺の鑑定を聞いたニシノが右のメイジをまず射殺す。続いてヨシカワとシノノメが2匹の止めを刺した。

 

「こいつ本当にメイジだった? やけに柔らかかったけど」

 

 ニシノが首を傾げるのに、ヨシカワがゴブリンに剣を突き立てながら答える。

 

「D+ですね」

「おー、マジでわかるんだ!」

 

 あ、何やってるのかと思ったらこの場で魔石取ってるのか。てことは、ゴブ死体は置いていくのか! そうか、魔石は取ってるからまあオッケーなのか。

 そうか、解体室いつでも空いてるなーとか思ってたけど、基本的にその場解体なわけね。謎はすべて解けた。

 ゴブのいる階層のスライムの多さってもしかしてそういう…?

 いや、だって階層歩いててゴブの死体、見たことないんだよ。それってやはりスライムのせいなのかなとか…。

 と思っていたらゴブの死体はどろどろに溶けて地面に吸い込まれた。

 あっ。

 あっ、そういう……。

 俺がドブネズミの死体をあんなに心配したのはなんだったんだ……。

 まあそのおかげでぷにもちに会ってるのでいいですけどー!

 

 その後も出てきたゴブの鑑定をしつつ、スライムをつつく仕事を続ける。

 

「なんかだんだん俺にも見分けがついてきた気がする…!」

 

 ヤマモトがそう言って意気揚々とゴブの鑑定を始めたが、勝率は五分五分だった。

 ゴブだけに……ってもしかしてこのネタのために…!?と思ったが本気だったらしく、突っ込むに突っ込めない微妙な空気になった。

 

 ヤマモトいわく、俺を誘ったのは自分の鑑定が生えるのが早まるんじゃないかと思ったかららしい。

 

「鑑定できるやつがそばにいればすぐ答えがわかって、比べやすいだろ?」

「っすか」

 

 他の4人もそれに同意して、俺を連れていくことになったんだとか。まあ、鑑定してるだけでいいなら気楽だからいいんだけども。

 

 最短ルートを探すと言っただけあり、ヤマモトはマッピングとタイマーで計っており、7層は結局階段と階段を行ったり来たりするのを3周した。

 これを8、9、10と続けるらしい。地味な仕事だ。だがこれがあるかないかで、最下層アタックにかかる日数が減ると思えばやる価値もあるんだろう。

 

「それぞれ3周はしたいけど、この速度だと9層行って帰りかな」

「3泊になるとさすがに臭ってくるからな~」

 

 うへえ。

 俺は清掃あるけど、ないとそうなるか。

 まあ、清掃スキルの取得については例の砂が関わっているので秘匿する必要がある。黙っておこう…。

 

 8層へ続く階段手前で宿泊。

 一応階段近くは魔物が寄ってこないが、希に弓ゴブの矢やメイジの魔法が飛んでくることがあるので、座って休むらしい。なかなか過酷だな、オイ。

 

「物騒なンすね」

「ダンジョン中だからなー」

 

 それはそう。でもテントとはいわないまでも、寝袋とかで休むんだと思ってたので意外だ。

 

「テントはあるけどクソ高いんだよな。あれ買うならマジックバッグ買うだろ」

 

 100万くらいするのか、把握。そりゃ買わんわ。

 でも最下層アタックするような上級者になると必須装備らしい。まあ少しでも安全に過ごせる寝床が手に入るならそうなるよな。

 

 18時に晩飯を食べて、今日のダンジョンアタックは終わり。あとはミーティングとか、武器の手入れとか、各々自由に時間を過ごす。

 ダンジョンの宿泊ってこういう感じなんだな。

 

 とのんびり思ってたら矢が飛んできたりしてなかなかスリリングだった。当たるような攻撃じゃないんだけど、でも飛んでくるってだけでびっくりするよな。

 すぐにニシノが応戦して倒して帰ってくる。

 その後をヨシカワが追いかけていって、魔石を取ってくる。雑用係みたいな感じの下っ端なんだろうな、ヨシカワ…。

 

「成田、HP全快?」

「へ? いえ」

 

 突然シノノメに聞かれて、答える。

 結構歩いたこともあってHPは少しだけ減っている。このまま寝れば治る程度ではあるが。

 

「ほいじゃヒール」

 

 ほわっと温かい光が弾けて、HPが全快になる。おお。

 

「あざっす」

「明日も歩くからよろしくなー」

 

 シノノメはヒーラーでもあったのか。

 

 眠る前、俺は鞄の中のアイテムを確かめる素振りで手を突っ込み、ぷにもちを召喚してMPをそっと食わせてまた戻した。そんなー。を聞くとちょっと和む。

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