仮暮らしの成田さん   作:ぽぽんぽん

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49.魔法レベル1

 翌朝、各々起き出してくる。俺は朝の習慣で清掃しちゃったけど、他は水だしてうがいや歯磨きしたり、布を浸して顔を洗ったりしている。不便そうだ。

 

 俺もボディバッグにタオルと着換えくらいは入ってきているので、合わせて顔を拭うフリくらいはした。知らん習慣に合わせるのってなかなか大変。

 着替えるタイミングはいつだ?とうかがってみたが着替えないらしい。そうか…。まあ仕方ない、合わせよう。清掃は朝イチだけにしておくか。

 すでに銭湯が恋しい2日目。

 

 2日目もやることとしては特に何も変わらない。ゴブ出る鑑定する。スライム出る潰す。俺の仕事といったらそのくらい。

 MP消費の必要があるので、ときどき棒に付与をかけているくらいだ。

 

「MP余裕あるならヨシカワに命中アップかけてやってくれんか」

「レベル低いんでただのエンチャントしかないっす」

「あー。成田、魔法から入ったわけじゃないんか」

 

 なんの話?

 わからなかったので曖昧にうなずいておくと、ヤマモトにはわかったようなわからないような顔をされた。

 俺もわからん。

 

「いや、魔法から入って棒術ラーニングしたんかなって」

「そっすよ」

「それでエンチャントのレベルが上がらんこともあるんだ……」

 

 うっせえわ!

 途中から棒さばきがうまくなりすぎて付与いらなくなっちゃったんですぅ!

 

 というのは心のなかだけにしておく。

 

「MP低いんすよね」

「あー。まあ武器ラーニング出来てるならもうすぐ上がるだろ。3種類くらい一気に増えるって話だぞ」

 

 防御アップ、命中アップ、魔力アップを覚える、という噂は聞いている。ぜんぜんそんな気配はないが…。

 まあ覚えたとして使いどころがかなり微妙そうなので、別にいいんだけども。

 

 ゴブメイジ来た。伝えると先に倒されてしまうので、未だにメイジの魔法を見たことがない。事故がなくていいことではあるが、ちょっと気になるところではある。

 

「鑑定いいよなー!」

「早まるなよー」

 

 ヤマモトはかなり鑑定に執心なようで、周りからしっかり釘刺されている。

 もうすぐ冒険者になって10年らしいので、今取ったらもったいないのは本人もわかっているはずだ。でもだからこそ気になるものなんだろう。

 

 午前中に8層を越え、午後に9層へ入っている。階段へたどり着く度に少々の休憩をしてはいるが、なかなかハードスケジュール。

 マッピングしてあるとはいえ、同じような迷路をぐるぐる行くのは気が滅入ってくる。

 

 9層まで来ると無手メイジだけでなく杖持ちも混ざり始める。そして杖と棍棒の区別がつきにくいので、余計ややこしいことになる。

 

「右棒持ち、左無手メイジ、あと奥のもメイジ」

「ニシノ、奥」

「りょ」

 

 メイジ担当となってるニシノが奥のメイジに止めを刺し、ヨシカワが手前の剣ゴブと剣を合わせた隙にシノノメが右の棒メイジに止めを刺す。その間に左のメイジは別の剣メイジの後ろに隠れてしまい、ヤマモトはやむなく剣メイジを貫く。

 

 メイジの魔法が見れる!とか言ってる場合じゃないな。

 俺はヤマモトの後ろから無手メイジを棒でどついた。

 

「おっ、ナイス」

 

 人の隙間からつつくのなんて初めてだったので位置取りが悪く、無手メイジは倒せてなかった。ヤマモトが止めを刺す。

 

「あの位置からでも当てられるのか」

「棒、便利だな」

「っす」

 

 伊達に長い棒ではないのよ。

 ヨシカワが剣ゴブを片付け、ゴブの群れから魔石を取り出す。

 ちょいちょい怪我をしているようにも見えるが、大怪我でなければいちいち癒すものでもないんだろうな。近接職は大変そうだ。

 

 しかし疲労は蓄積されていたんだろう。ヨシカワが負傷、すぐにシノノメがカバーに入って大事には至らなかったが、ちょっと混戦になった。

 俺もやむなく無手ゴブをどつき回すことになった。人が多いと敵にかける魔法は使いにくいのだと知る。弱化出来ないとゴブなかなか倒せんな! 俺、弱い!

 

 ゴブを片付けて治療。

 シノノメが何度もヒールをかけている。

 

 レベル1のヒールはMP15消費して5+魔力値の回復だ。もっとも低いヒールで6、疲労軽減には効果があっても、怪我の治療としてはなかなか厳しい。スキルレベルが上がるまでがヒーラーにとっては試練らしい。

 それでたまにロビーで無料ヒールしますって人を見る。

 自分がヒーラーだとばらすのはいろいろな意味で厄介なのでやらない方がいいらしいのだが、それでもスキル上げのためにやりたくなるんだろう。気持ちはわかる。

 エンチャントもショボいけど、ヒールもショボいんだよなあ。すげーわかるー。シノノメもたぶん魔力1仲間だろう。

 

 4回ほどヒールをかけて、シノノメが手を止めた。

 

「これ以上は無理だな」

「ありがとうございます」

「全快まであとどれくらいだ?」

「22です」

 

 ヨシカワは礼を言ったが、まだまだ痛そうだ。

 どうにか立ち上がるが、HP的には大した怪我じゃなくても痛いものは痛いだろう。戦闘継続は厳しそうに見える。

 他の3人もそう思うのか、難しそうな顔をしている。

 うーん。しかし俺の今回の役割は鑑定。であるならば。

 

「劣化ポーションでよければあるっすよ」

「劣化っておま………、鑑定か」

「っす」

 

 いや、自作なんだけどね。

 疲れたときに飲もうと思ってクラフトジンジャエール、冷やしてあるのだ。

 鑑定によって安全な炭酸水を入手できたので、ちゃんとジンジャエールになった。回復量は変わらなかったが、やはり炭酸の有無は大きい。

 

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