仮暮らしの成田さん 作:ぽぽんぽん
〈レベルが4に上がりました〉
土日休んで在原ダンジョンに来ている。6層でぐるぐるしていたら来ました。
3に上がるまではスライムばかりだったから長かったが、ゴブリン倒しはじめてからはやっぱり早かった。
初心者冒険者が背伸びしてゴブリンへ行きたがるわけだわ。
ゴブリンの死体をつつきながら収納する。
俺の場合、魔石をその場で取り出すスタイルは合わなかった。というか棒をいちいちしまって解体ナイフ出して座って魔石出して、という作業がね、単純に危ないんですわ。それならしまっちゃって後で解体でいいやーってなった。
魔石抜いたあとの死体も引き取ってもらえるし、俺はこのスタイルでいいや。
6層は無手ゴブリンしかいない代わりに、ゴブリンの生息数そのものが少ない。だんだんマッピングも埋まってきてしまった。罠とかも今のところなさそうだしなー。
おっと、苔発見。
ついでにスライムの沸きも発見。ツンツンと潰していく。
さて…。7層行くか悩んでる。
7層は弓ゴブが出るんだが、わりとノーコンということが前回のバイトでわかっている。ヤマモトも、7層の弓ゴブは当たらないから気にするなと言っていた。レベルが低いんだろうって。
しかし出てくる数はもちろん多い。だいたい3ずつ出てくる。となると、俺のMPが持たないんだよな。
しばらくは安全圏で、弱化なし付与棒のみでゴブリンが倒せるように頑張るか。それを終えたら次は付与なしでゴブリンが倒せるようになるはずだ。
そうと決まれば6層のマッピングを埋めよう。
こっちの道はまだ行ったことがないな。
行き止まり、苔、そしてスライムの沸き。
……この苔n48、スライムが好きなのか? 後でぷにもちに与えてみるか。
名称未設定アイテム、鑑定があればいろいろわかるかと思ったがそんなことはなかった。相変わらず名前はないし、仕様も不明のままだ。レベルが上がればなにかしらわかるかもしれないが。
うろうろしていたら階段に戻ってきたので、今日の部は終了。
6層来るとロビーまで戻るのに数時間かかるからか、階段で泊まる準備をしてる人もわりとよく見るようになってきた。2泊3日くらいは職業冒険者には当たり前なのかもしれんな。
俺もそういう世界に慣れなきゃならんのかね。やだー。
帰ってきたらもう18時過ぎてたので今日は帰還。解体はまたまとめてでいいや。風呂入って寝る!
在原のいいところは銭湯が近いところだ。あー。でもそろそろ円が心許なくなってきたので換金しないと。
うーん、財布持つのやっぱりめんどくさい。
翌朝、在原ダンジョンのロビーに来ると突然話しかけられた。
「あっ、あの」
坊主頭の中学生と思われる少年。……あ。
「この前の」
「はい! ありがとうございました!」
いつぞやの怪我してた少年。そかー、ポーションでも髪は戻らないってやつか。いや、まあ怪我は治ってるからこれから伸びる。顔や頭に火傷痕も残っていないので、きれいなものだ。
「うん。よかった」
「はい!」
ぺこりと大きく頭を下げて少年は去っていった。簡潔でいい子だな。幸あれ。
こういうの見ると、助けてよかったな、とちょっと思い直す。いや毎回うまく行くとは限らないから、俺も気が大きくなったらダメなんだけどね。
「成田、救援とかやるタイプだったんだ、意外」
「……ヤマモトサン」
「おう、おはよう」
「はよっす」
どこにでも出るなこの人。
「そうだ、ようやく俺にも鑑定が出たよ、ありがとな!」
「よかったっすね」
俺はなにもしてないが、横で正解がすぐわかると鑑定早まる説でもあるんだろうか?
「でも美味いポーションを当てることは出来ない…」
「味は鑑定に出ないっすからね…」
俺がなんだかんだと料理を市場で買わない理由がそれだ。価格や仕様で選んでも不味い料理は不味い。バフ強い飯は美味いと思ってたのにそんなことなかった。
そういった失敗をちょいちょいやらかして、購入をあきらめたのである…。
「なんかコツはないのか!?」
「ないっすねえ」
あったら俺も教えてほしいわ。コーラとか飲みたい。
「まあ市場見るのも楽しくなったわ。なんかおすすめのアイテムあったら教えてな」
「っす」
おすすめのアイテムってなんだよ?
まあいいか。ヤマモトは去っていった。これからまたダンジョン泊なんだろうか。ご苦労様である。
そろそろ1層は開拓され尽くしたようで、素通りする人が増えてきた。全然過疎っている。今日は1層巡りにするかな。6層行くとヤマモトに会いそうな気がするし。いや会ってもいいけど、なんか気まずいじゃん。
1層巡りは緊張感がないぶん、逆に落ち着く。いや油断大敵とは思うんだけど、スライムしか出ないしな。
それに入場者数が多いからか、スライムも多い。そしてやわらかい。ぷにょぷにょ。
そしてやわらかスライムは心なしか吐く酸の量が多い気がする。危険よー。気のせいかもだが。
つんつんしてるうちに3周して午前中を終えた。俺、たぶん足が速くなってるな。レベルアップの恩恵だろうか。それに疲れにくくなったよなあ。やはりこうして、世界が変わっていくもんなのか。