仮暮らしの成田さん   作:ぽぽんぽん

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61.物々交換

 それからこれまで使っていた10フィート青杖。

 耐久はまだあるが真ん中焦げてるし不安もある。これも卒業だ。捨てようかとも思ったが、せっかくなのでちょっと加工してみんとす。

 

 さっきも考えてた、まっぷたつにしたらどうだろうというやつ。真ん中切り取っても1m確保できるからな、結構な長さある。

 ノコギリで切って、切った先端をヤスリで整える。そして残った青色塗料とクリームを塗ったら完成。

 紋様のある方は青杖に、ない方はただの棒になった。

 なるほど、ちゃんと杖になるわけね。

 

 紋様のない方に+3の紋様を刻んで、杖にして完成。+3の紋様にしたのは、+5はめんどくさいからだ。他意はない。

 

 青杖をまとめて市場に出す。相場の200D。

 MP軽減杖だけは5000Dにしておいた。これだけ桁が違うが、本来ならオークメイジの杖を手に入れないといけない効果だ。こんなもんだろう。たぶん。効果を思えば破格……のはず。

 1万Dかけて手に入れた情報で作ってるので、高いのは許されたい!

 

 売れるといいなー。

 俺の杖職人としてのこれからがかかっている。そんなものがあるかどうかは別として。

 

 

 今日は1日杖作りで終わっていた。クラフトって時間かかるー。

 木屑食べたりしていたぷにもちに、クーラーボックスに入れておいたガラも与えた。ひえひえ~といいつつ食べていた。

 俺も飯食って、今日はもう上がろう。

 明日からはどうしようかな~~。

 

「あっ、やっと出てきた!」

 

 解体室を出たらヨシカワと会った。会ったというか、待たれていたらしい?

 

「ちょっと待ってもらえるか? シノノメさんが話あるらしくて」

「はあ…」

 

 シノノメ? なんだろ。

 というかヨシカワ、パシられてるんだな…。

 スマホで連絡を取ってる様子を手持ちぶさたに眺める。

 

 そう時間もかからず、シノノメたちがやってきた。

 

「ちょっと話が出来るか? そっちで」

「っす」

 

 そっち、と解体室を示されて逆戻り。

 一緒にいたヤマモトたちも入ってくるかと思いきや、シノノメだけだ。

 

「交渉になるから、多対一だと成田も断りにくいだろ」

「っすか」

 

 そういう配慮か。

 交渉ってことはオークメイジの杖かな?

 

「察していると思うが、オークメイジの杖を売ってはくれないだろうか」

「いいっすよ」

「いやいや、成田、価格を聞いてからにしろ」

 

 って言ってもなあ。

 

「俺の正当な取り分とは思えてないんで」

「いや、正当なんだけど……、まあ売ってほしいからそこは突っ込まないでおくわ」

 

 なんでも俺が市場で売りに出すだろうと思ってたから待ってたけど全然売りに出されないっぽいから直接交渉に来たらしい。

 オークメイジの魔力杖は、俺が予想していた通り人気であるらしい。

 

「特にヒーラーには重要な杖なんだよ。魔力杖じゃないと意味がない」

 

 ヒールの効果はレベルが上がっても魔力依存だ。他の属性魔法も魔力依存ではあるが、属性杖で使うとダメージ+5とかになるらしい。ヒールの属性杖はないので、効果があるのは魔力杖のみとなる。わかるー。

 ちなみにMP軽減杖もそれなりに重宝されるが、こちらはとにかくレア。俺が買えたのは、やはり耐久で避けられてた杖だったのだろう。運が良かった。

 

 俺はヒーラーを名乗るにはMP配分に難がありすぎるので、魔力+7杖は持て余すのが目に見えている。自作の青杖も出来たしね。問題ないっす。

 

 ところで、実は個人間でのDでの取引は大変めんどくさい。

 ひとつは冒険者パスを介す方法。これは一旦ダンジョン協会を通さないといけないため、税金が引かれるので嫌われている。

 ひとつは市場を通す方法。対面で「出品します」「買いました」とやる方法だ。出品する品目が珍しければ買い取れる確率は上がるが、横からかっさらわれてしまうこともよくある。そのため相場より上で取引されることが多い。

 

 この辺めんどいので、だいたい同金額になるもので物々交換されることも多い。

 シノノメも、この物々交換で考えてくれたらしい。

 

「まず、即金に変えられるものを用意してみた」

 

 解体室の机に並べられたのはなんとスキルオーブ。

 「魔法:ライト」。

 お前もか。

 

「……うん、その反応だろうとは思った。知ってるだろうが、これは今なら協会で7万Dで引き取ってもらえる」

「っすね」

 

 うん、そう聞いてる。

 そして俺は市場に一縷の望みをかけて30万で放置してる。……やはり無理そうだなあれ。

 

「オークメイジの杖の相場からすると5~6万といったところだ。しかし…」

「税金っすね」

「そうだ。だからあえて市場に6万くらいで流すという手もある。7万以下ならすぐ売れるだろう」

「なるほど」

 

 そういう抜け道もあるか。

 

「それからこっちはうちのクラフト部門の商品だ」

 

 そういって出されたのは俺も購入したシャツやパンツが色違いで3着ずつ、それから簡易アーマー、ブーツ、手袋、籠手。ベルト付きポーチがふたつ。ポーションとか入れておくやつだ。

 

「とりあえず一式、てとこだな。これでだいたい7万D分ってところだ」

「これがいいっす」

「いいのか?」

「はい」

 

 ヤマモトに教えてもらったショップには、簡易アーマーとか籠手は売ってなかった。ブーツやグローブも。あれこれ焦げたし、一式変更したかった。渡りに船だ。

 てことで装備一式と、オークメイジの魔力杖を物々交換。

 俺としては紋様を取ったら用済みの杖だったので、ちょうどいいタイミングだった。

 

 シノノメは嬉しそうに魔力杖を収納にしまい、帰っていった。

 魔力杖の相場は7万かー。

 MP軽減杖って、もしかして全然もっと高値だったりしたのかもしれない。

 

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