仮暮らしの成田さん 作:ぽぽんぽん
青証の試験はごく普通のダンジョンに関する一般常識をおさらいするだけなので、まともに冒険者してればまず受かる。俺も大丈夫なはずだ。
緑証とるときに頭に叩き込んだし、日常的に使う知識がほとんどだから、ちょっと読み直せば問題ないはず。
〈レベルが5に上がりました〉
お、早い。やはりオークメイジの分の経験値、入ってたんだな。
いや、あれほらスライム投げてたじゃん? スライムの酸による攻撃なわけだから、俺じゃなくてスライムの経験値になった疑惑があったんだよね。ちゃんと俺に入ってたようだ。よかった。
レベルアップで増えたのは収納1枠、市場1枠。メモリ30。HP100。ステータスが器用7に精神5、筋力1体力1。レベルは5刻みでアップしたときに結構、大幅に上昇する。
精神増えたの嬉しい。MPがかなり増えた。
レベルアップで上がるステータスはスキルに依存すると言われている。武器スキルを持ってる人は筋力や体力が上がりやすいし、魔法スキル持ちは精神が上がりやすい。
3、4レベルと共に器用しか上がってなかったのでもうレベルアップでは器用しか上がらんのかと思ってきたが、そういうわけでもないらしい。
魔力はめちゃくちゃ上がりにくいステータスだ。元々の資質が物をいう世界。魔力3あったら勝ち組といわれるだけある。
魔力1から動かないなーと思ってたけど、シノノメもたぶん魔力1だろうから、ほんとに全然動かないステータスなんだろう。
魔力杖が人気になるわけである。
あとはスキルポイントが10手に入ったのも嬉しい。ライトニングに近づいた……取るとはまだ決めてないんだけども!
今から帰るのはしんどいので、今日はダンジョン泊することに決めた。階段には結構人が集まっていた。挨拶だけして輪に加わる。特に決め事はないようで、挨拶だけで終わったのでよかった。
清掃は階段にくる前にしてきたし、ぷにもちに飯(MP)も与えてきたのでので問題ない。飯だけ食って、あとは情報収集、飽きたら寝る。
そういや調べたけど「魔法:ライトニング」の情報は見つからなかった。魔法4つ取った後の出現では、そう知られていない情報だろう。
いざ取ってみてMP50使用とかだったら困るから、情報があるとよかったんだけどな。
しかし他に気になるスキルが今のところない。俺は中層冒険者として完成するつもりなので、もっと力が欲しいとかないし。オーソドックスな型とは外れている分、モデルケースもない。
器用魔力型の最適解があるなら教えてほしいくらいだ。うそ。大幅に外れてたら困るから知りたくない。
あと調べるといえば魔物の弱点系。これはかなり情報がまとまってるので助かる。獣型とヒト型と、その他(スライムとかトレントとかいろいろ)と。
基本的に魔物は核となる部分に魔石があり、そこが急所となっている。まあ大本の生き物の殺し方と変わらない。ゴブリンの殺し方は人の殺し方だ。殺伐。
中層までの魔物は変な特性がついてたりしないので、倒しやすいらしい。上級冒険者いわく。
とはいえ上級冒険者なんて限られた数しかいないのはわかりきっているわけで、情報サイトに出てくる上級冒険者なんて大半が騙りだろう。
初心者層の情報はともかく、中級からは情報もあんまり宛にならないと考えておいた方がいいのかもなー。
なんてことを調べているうちに寝た。
そして翌朝、再びゴブリンでレベル上げを行う。
すでに昨日、レベル5まで上がっちゃったからモチベが大幅にダウンしている。
レベル6まで遠いんだろうなー。このところ一気にレベルアップしたから、余計にその遠さを思うとモチベが上がらない。
それでも午前中はレベル上げを行い、午後からはもう降りることにした。
両日合わせて20体ほどは倒しただろうか。多い気もするが、2日分と思うと少ない気もする。ゴブリンでレベル上げってなかなか地道なもんなんだな。
解体を思うと気が重いぜ。
そんなこんなでレベル上げしたり、ゴブリン解体したり、板材から丸棒を作ったり、飯を作りためたり、と過ごしているうちに2月になった。
トレントの板材はようやくトレントの丸棒というアイテムになった。鑑定が角材から丸棒になるまでがなかなか厳しくてかなり仕上げの時間がかかってしまった。
まだ杖には仕立てていない。やっぱりこれは時間がかかりすぎる!
まああとは紋様を刻んで色塗って磨くだけなのでのんびりいく予定。
さて、冒険者試験である。
どこのダンジョン協会でも受けられるので、そのまま木下ダンジョンの試験を受けた。
そして特筆すべきことはなにもなく、当日のうちに青証を獲得することが出来た。
これで俺も名実ともに、立派な職業冒険者というわけだ。
あー…。なんだか一山越えた感がある。いろいろあったもんな。
ひとまずの目標を叶えたので、次の目標を考えたいところではある。確定申告? やめて現実を見せないで…。
つ、次の目標かー。
やはり仮暮らしを卒業すること、か?
しかしホテル暮らし楽なんだよね。特に今の生活で困っていない。強いていえば作業小屋とか欲しいけど、都内でそんなもん望むべくもないし。
解体室で間に合っているといえばそう。
まあ、しばらくはこのまま、中層冒険者としての安定を目指しましょうかね。
週休2日。
朝9時から夕方5時まで。昼休憩あり。
ただし、危険手当無し。フリーランス。
住所不定冒険者、まだまだその日暮らし。
これにて完結です。
同日投稿で別視点番外編を2編更新します。
現代ダンジョンのある日常が読みたい、主人公があまり強くならなくて、ヒロインとか陰謀とかに邪魔されない、本当にただただダンジョン潜ってるだけのやつ!!という欲望で自分用に書き始めた話でした。
地味な話ゆえひっそり静かに終わる予定が、思いの外多くの方に読んでもらえて驚きました。もっと長く続くと思われていたら、申し訳ない……。
あたたかい感想や評価、捜索掲示板への紹介、ここすき他いろいろ、ありがとうございました。