なんだかんだで今日が休みの最終日の狼です。
明日から仕事しながら二足三足のわらじ履いて執筆を頑張ることになりますね。
まぁ、月一投稿いけるか否かぐらいかなぁ…?
それでは、本編をどうぞ
「“ま、待ってくれ!!”」
○○がここから出すように要求する俺の言葉を妨げる。
「…どうした?お前もこの話を蹴るか?」
「“…そうじゃないよ。”」
「“君は……セイジさんはここから出てどうするつもりなの?”」
「……そんなことか。」
そんなことは決まってる。
「…俺には大した目的もない。使命なんてものにも縛られていないし、そんな約束を交わした覚えもない。」
「それなら俺がやることは一つ……金で雇われた代行業だ。」
「“代行…?”」
どうやらあまり聞き覚えはないらしい。
まあ、明らかに平和ボケした地域から来た良い育ちな人間のようでもあるしそれは当然だろう。
「そうだ。それなりの金を対価に俺は様々な仕事を代行した。ボランティア活動、害虫や害獣の駆除、失せ物探しに行方不明者の捜索……」
「中には賊や特定組織の要人の殺害の仕事もあったな。」
「「“……ッ⁉”」」
最後に挙げた殺しの仕事に対して、○○とアロナは身を固くしていた。
「まぁ、キヴォトスじゃあ殺しは難しいだろうがな。あのヘイローとかいうののせいで死ぬことがないなら、俺としてはお手上げだ。」
「“……でも、君は依頼なら子供達を……生徒を傷つけるつもりなの?”」
「あまり気持ちのいい物じゃないがな。仕事は仕事だ。」
そんな俺の言葉に対し、○○は俺の首元を掴んできた。
「“あんたは……そんなに金が欲しいのかッ!!人の命を、子供たちの未来をなんだと思っているッ!!”」
「知らんな。寝覚めは悪いかもしれんが、俺にとって対価分の仕事をこなすこの生き方が俺の生きる意味のようなものだ。」
「金が欲しいという話ではないが、俺はそんな生き方しか知らないし、この先もそうして生きていくつもりだ。対価も、目的も……俺を選んだ理由もわからない仕事を安請け合いするつもりはない。」
「“…ッ!?グッ……!!”」
俺は奴の掴む手を逆につかみ取り、その瞳へと視線を向けた。
「世の中はな、そう甘くはないんだよ青二才。人に何かを頼むんなら、それなりの筋っていうのを通してもらわないとな。」
「“うわぁッ⁉”」
「先生!?」
奴の腕を首から離させて突き飛ばすと、途端にバランスを崩して○○はしりもちをついた。
「所詮世の中は弱肉強食だ。強者は弱者から喰らい、弱者は相応の対価をもって強者の力を得る。筋を通すなら、それなりの物を差し出してみろ。」
俺の言葉に、○○は歯がゆそうな顔をする。
当たり前だ。
今の俺たちは何も持たずにここに連れてこられただけのただの人間だ。
このキヴォトスと……生徒たちと引き換えになるものなど、この男に差し出せるわけがない。
「わかったか?ならさっさと早くここから……」
「ま、待ってください!!」
「“アロナ!?”」
…どうやら、まだ諦めがつかないらしい。
「はぁ、さっき言ったことが聞こえなかったか?対価もなしに俺は……」
「……対価なら、あります!!」
そういいながら、アロナは鍵穴が付いた箱を渡してきた。
「……これは、連邦生徒会長がセイジ先生にと残していったものです。中身は分かりませんが、恐らく先生への対価……だと思われます。」
「ほう…?」
俺はアロナから箱を受け取る。
鍵は……ずいぶんと見慣れた形式のものだ
「……Level3、といったところか。机を借りるぞ。」
俺は箱を机の上に置き、懐からいつもの道具を取り出す。
「“え……えぇっと……いったい何を…?”」
「黙ってろ。」
俺は○○の視線と声をはねのけて、ヘアピンとドライバーを差し込んだ。
カチャカチャと音をたてること二分足らずで…
カチャリ
「開いたな。」
「“ちょ!?セイジ、それは犯罪だよ!?”」
「……?ピッキングの何がおかしいんだ?」
これぐらい、ファウンデーションのところのガキンチョ達だって当然のようにやる常識的な行動だろう。
「……まあ、それは良い。中身は……ホロテープか?」
一つ目の箱を開けると、中には三つのホロテープが入っていた
「これは……アクセスコードタイプ二つと音声記録タイプか。」
アパラチアのいたるところに落ちていたホロテープ。
そのほとんどは音声記録で、内容もまちまちではあるが重要なものも数多く存在していた。
一方、そこまで数のないアクセスコードタイプのものは本当に少なかった。
規格が同じなだけの専用のホロテープに記録しないといけなかったし、それらは音声記録タイプに比べてあまり数が多くなかった。
戦後に残っていたのなんて、76の連中の中でもレイダーと仲が良かったあの人でなし共が持ってたらしいどっかの保管庫のキーだとか、自動化された政府の支給システムにアクセスできる補給申請用の物ぐらいしか聞いたことがない。
俺は音声記録タイプのホロテープをPip-Boyに差し込み、音声が脳内に直接流され始めた。
『…………えっと、これで良いのでしょうか?』
聞こえてきた音声は、どこか目の前でいまだあたふたしている少女のものと少し似たものだった。
『これを聞いていらっしゃるということは、掃除屋のセイジ様でしょうか?』
『私は、キヴォトスの連邦生徒会の生徒会長を務めさせていただいてる者です。』
『ご挨拶もそこそこですが、あなたに依頼したいことがあります。』
少女の声はどこか弱々しかったが、芯の通ったはっきりとした口調で語りかける。
『……セイジ様、お願いします。どうかこのキヴォトスを先生として導き、滅亡の危機から救ってください。』
その依頼内容に、俺は首を上に傾けた。
……滅亡の危機、ねえ…?
『もちろん、依頼料に加えてそれなりの報酬も用意させていただいております。このホロテープとともに同梱させていただいてる二つのホロテープに、それぞれこちらでご用意した依頼料の振り込まれた銀行の特別口座と、回数付きではありますがキヴォトスの行政に強制介入できる権限へのアクセスキーを付与しています。後ほどご確認ください。』
…ずいぶんとまあ、大盤振る舞いだな。
この世界に戸籍がない俺専用の口座に加えて行政への強制介入権限。
権限は回数付きとはいえ、それが依頼の報酬として前払いで入ってくるということはキヴォトスの心臓とでもいうべきものを金と共に俺に差し出すということだ。
『……私は、このキヴォトスを救おうとしました。繰り返される負の連鎖を止め、キヴォトスの生徒たちが正しく青春を謳歌する世界を作ろうとしました。』
『…ですが、私は選択を誤りました。いえ、誤らざるを得ませんでした。』
『私は……私たちは運命に縛られた駒でしかありませんでした。』
『…それでも、私はあきらめたくはありません!!』
『…ですからセイジ様……いえ、セイジ先生。どうかお願いします。』
『この世界にとってイレギュラーであるあなたの手で、キヴォトスを救ってください。』
『そのためなら……私のすべてをあなたに差し上げます。』
そこでプツッという音と共に音声記録は途切れた。
……ここまで、筋を通されたら仕方はあるまい。
どこまでできるかはわからないが、やれることはやるしかないだろう。
俺は残り二つのホロテープをストレージ送りにする。
「…依頼、承諾した。」
今この場にいない生徒会長に対し、俺はその一言を放った。
いかがでしたでしょうか?
ちょいと無理やり気味な書き方になってしまいましたが……
私の表現力の限界を感じましたね。
今後も精進したいものです。
それでは次の話をお楽しみに