結局あの後水着イロハだけ逃した今日この頃です。
いやぁ……まさかここまで運が悪くなるとは。
いやまぁ、そんなこともたまにはあるでしょう……きっと。
さて、それはそれとして今回から対カイザーの決戦です。
遂に待ってました大惨事大戦回。
果たしてどのような結末をカイザーは辿るのか……
というわけで早速、本編をどうぞ。
薄暗い夜明け前のアビドス砂漠。
その一角に存在するカイザーPMCの基地では急ごしらえの防衛陣地が張られていた。
いかにもな雰囲気で厳戒態勢に入っている基地の中ではPMC兵達が慌ただしく動き回っていたが、それは中央司令室を兼ねている通信室でも同じことが言えた。
「こちらカイザーPMCアビドス支部!
本部、応答せよ!」
――ジジ……ザーーッ
「クソが!」
ガタンと音を立てて通信用のヘッドギアを地面に叩きつけるカイザー理事。
彼の近くに待機していた護衛の兵士たちはその音に肩を震わせて驚き、怒り心頭と言わんばかりの様子の理事を遠巻きながら戦々恐々としつつ覗いていた。
現在、理事は本部へ応援部隊の要請をしようとしていた。
しかしどういうわけか本部との通信が途絶えており、チャンネルや通信方法を変えても全く繋がらない事態となっていた。
「り、理事!そろそろお休みになっては……」
「休んでなどいられるか!奴らがいつ攻めてくるかもわからんのだぞ!!」
通信機を操作していたエンジニアが理事にそう進言するも、怒り狂ったままの理事は叫びながらその提案を拒絶した。
現状、理事には余裕がない。
カイザーPMCの本部もそうだが、カイザー本社やその他傘下企業への連絡網も全て繋がらない。
辛うじて繋がるのはどこへ発信されるかもわからないアナログな無線機程度であり、一か八かで使おうとすれば敵に傍受される危険性しかない。
詰まるところ、理事たちアビドス支部のPMCは孤立無援状態となっている。
辛うじてまだデカグラマトン大隊や生き残りのオートマトン兵士達で兵力自体は賄えているが、これではここの陥落も時間の問題。
故に、理事は焦りと恐怖で一杯になりながら夜も寝れない時を過ごしていた。
「電波通信どころか、秘匿で張り巡らせていたケーブルや衛星からの通信も全て使えんだと!?
ふざけるなぁぁぁッ!!!
我々が……私がどれだけ投資したとぉぉッ!!!」
ガン、ガンと机を叩きながら理事は咆哮する。
あまりにも幼稚だが、それ故に自分達の置かれている状況がいかに絶望的なのかをその場の兵士達は察してしまった。
「おのれぇぇ……おのれおノれオのレオノレオノレェェェェッ!!!!!!
竜胆セイジぃぃぃぃッ!!!!
貴様が………貴様がいなければァァァァぁぁぁッ!!!!!」
理事は呪詛と共に叫ぶ。
この状況を作り出した怨敵の名を。
しかし、それ以上狂うことを状況は許さなかった。
『………ッッッ!?!?て、ててて敵襲!!敵襲ぅぅぅッッッ!!!!』
「「「「「ッ!!!」」」」」
その場にいる全員が声のした方へと振り返る。
開けられた窓の外、声を上げただろう歩哨がいる方へと理事は急いで駆け込んだ。
窓から身を乗り出すような体勢になりながら手元の双眼鏡を取り上げ、基地の向こうにある砂丘へと目を向けた。
そこには………
「……なん……だ……?」
昨日とは打ってかわり、オンボロのコートを着込んだ姿で生身のまま立つセイジ。
登る太陽を背にし、手に持つあまりにも大きな光の塊を基地へと向けていた。
「……よし、この辺でいいだろう。全隊、一旦停止」
時は少し遡り、理事が通信機を叩きつけて咆哮をあげる少し前。
カイザーPMC基地の直前にある砂丘の裏側に彼と彼女達の姿があった。
その場にいるのはセイジを除いて全員がパワーアーマーを着たB.O.S所属の少女達。
それよりも遥か後方にはジープやバイクに乗った〇〇先生率いるアビドス廃校対策委員とコンバットアーマー装備のB.O.S隊員の混成部隊が控えている。
『……パラディン、そろそろアーマーを装着したらどうだ?
流石に生身で突っ込むのはいくらパラディンでも……』
「まぁ待てナイト。
まずは連中のお粗末な前掛けを引き剥がしてやるのが先だ」
そう言いつつセイジはPip-Boyを操作し、巨大な銃と思われる独特な形状の機械とやたらと大きなクーラーボックスを取り出した。
『……パラディン?そのクーラーボックスは何だ?』
「これか?奴らにひっかけてやるシャンパンみたいなもんだ」
話しかけるナイトにそう返しつつ、セイジはクーラーボックスを開けた。
なかには大量の水と氷……そして青白く輝くコーラ瓶のようなナニカが十本ほど入っていた。
「そこのイニシエイト、確かお前はアーマー装着時でも爆弾解体ができるぐらいには手先が器用だったな?」
『え?あぁ、はい。そうっすけど……』
「丁度いい、これの栓抜きを手伝え」
『は、はい……?あ、いや了解!』
セイジに呼ばれたイニシエイトらしい隊員は頭に疑問符を浮かべつつも、セイジの指示に従ってクーラーボックスの中の瓶の開栓を手伝い始めた。
『……よっと。はい、パラディン』
「助かる」
瓶を受け取ったセイジは機械の注入口らしい部品の蓋を開け、瓶を逆さにするように突き刺して中の液体を注ぎ始めた。
――ドクドクドク………シュワーー……!
『……炭酸?パラディン、ほんとにこれ何を入れてるんだ?』
「言っただろう?シャンパンみたいなもんだってな」
そう言いつつ瓶一つ分の液体を注ぎ終わり、手に持った空の瓶をそこら辺に投げ捨てて次の瓶を受け取って中に流し込み始めた。
「ま、コイツの欠点は一発撃つごとに十本もそれを開けて入れなくちゃいかんぐらいには燃費が悪いことでな?
燃費が悪いのと弾薬みたいに使ってるそれのコストも含めて普通のやつは使えんかったのさ」
『いや、普通は飲み物を弾みたいに使うこと自体ありえないと思うんだが?
というか、それ結構もったいなくないか?』
「どうせ誰も飲みやしない殺人ドリンクみたいなものだったからな。
希少価値はあったが、こんなものを飲んでるのは一部の頭のおかしい化け物どもぐらいだ」
『なんでそんな飲み物作った?』
「知るか。生きてりゃブラッドバートンのカスにでも問い詰めて聞けるかもしれんがな」
『誰だよそいつ……』
ナイトとそんなやり取りをしつつも、セイジは次々に蓋の開いた瓶の中身を機械に注入していく。
三本、四本、五本と次々に瓶が彼の足元に転がっていき、十本まで注入してクーラーボックスが水と氷だけになったところで機械のフタを閉めた。
「……じゃあ、やるとするか」
『え……?ちょ、パラディン!?アーマーは!?』
機械を担ぎ上げ、生身のまま砂丘の上に上がり出すセイジに対しナイトが慌てて止めようと声をかける。
しかし、セイジはその足を止めない。
「生憎この武器はアーマーを着て使うのには向いてなくてなぁ……
コイツを使っていたやつも大体生身で撃ってたしな」
反動はシャレにならないんだがと最後にボソリと呟き、セイジは機械の電源を入れる。
独特な機械音が放たれると同時に、セイジはその機械についている接続用のソケットにPip-Boyのコネクタを接続する。
するとPip-Boyの画面が切り替わり、何やらメーターのようなものが表示された。
「内部圧力、正常。充填率100%」
その内容を確認するようにつぶやきつつ、セイジは砂丘の頂点へと登ったところで立ち止まった。
「撹拌機起動、発射準備よし」
機械からモーター音のようなものが発生し、Pip-Boyに表示されているメーターの一つがだんだんと上がり始めた。
「チャージ完了まで後3、2……」
カウントが読み上げられるとともに機械に取り付けられたタンクとおぼしきパーツから青白い光のようなものがうっすらと放たれ、銃口の方からもうっすらと光が漏れ出していた。
そして……
「……1。吹き飛びな、タコ野郎共」
最後のカウントと共に、セイジは機械の引き金を引いた。
――バシャーーーーンッ!ドゴォォォォォォンッ!!!!
機械の銃口から放たれた青白く輝く一本線。
それはカイザーPMC基地の正面口に到達すると同時に、着弾地点で大爆発を引き起こした。
いかがでしたか?
ちなみにですが、彼がぶっ放した兵器は本作オリジナルですけど使ってる弾薬は皆さん大好きクアンタムなヌカコーラです。
仕組みはほとんどサーストザッパーの強化版ですが、威力と反動はシャレになってないという設定ですね。
なお普通はパワーアーマー着てても反動制御できるか怪しいです。
というわけで、また次の話をお楽しみに。