これが投稿されているとき、私はとある新作ゲームにはまっていることでしょう。
本来であれば拙作の別作品で言う話ですが、訳あって現在そっちが休載中なのでこちらで言います。
東方紅魔郷NewClassic、発売おめでとうございますからの待っていましたぁぁぁ!
元々私は東方側の人間でしたが、今ではブルアカも共に担いでますねぇ……
紅魔郷は長らくPC……それも円盤の現物がないと遊べないWindows版初期三部作の一作目故に、中々手が出せなかったんですよねぇ……
しかし、今回はその紅魔郷の実質的リメイクと移植版が24年の時を超えて叶ったのです!
諸々の都合さえなければ拙作の「東方死霊録」でお祝いしたかったですが……
次の話の予定的に今出すのは色々と不謹慎故仕方ないね()
とまぁそんな事情もありましたが、それはともかく本編をどうぞ。
『ぐぁッ!?』
ドシンと音を立て、地下の一角に作られた兵器の格納庫へと巨大なカイザー製人型兵器「ゴリアテ」が尻餅をついたような体勢で叩きつけられた。
『チィ……!やつめ……いったい何を……!』
なんとか衝撃から立ち直り、ゴリアテのコントロールパネルや計器類を見た理事は舌打ちをしながら機体のダメージを確認した。
どうやら先ほどの衝撃かあの武器に纏わられていた電気の影響かで一部の回路に回復不能なダメージが出ていた。
『ミサイルポッド、頭部主砲は生きているが……クソ、腕のFCS系が完全にダメになったか!
仕方ない、切り離して近接格闘モードにするしかない……!』
理事は正式なパイロットというわけではないが、いざというときは自らも前線へと出て直接指揮をとることも想定してこういった大型兵器類の操縦免許の取得や日々のシミュレーションを欠かしていなかった。
地道に重ねた努力のたまものか、一部武装がダメになったことを悟るとそれをすぐに捨てた。
ダメージ確認とシステムの応急的復帰を済ませると、機体を起こしつつ彼らが最初に掘り進めていた上へとつながる横穴へと視線を向ける。
――ガシャン、ガシャン、ガシャン
『ふむ、いい感じに吹き飛んだな。
オマケにここは無人……実に都合がいい』
横穴から足音を大きく立て、先ほどまで装備していたはずの白い大盾と鈍器をどこかにしまったらしいセイジが現れた。
……どこか愉快そうに笑うような声音で話しながら。
『はぁ……全く、演技じみたことを続けていると自分がわからなくなってくるな。
アンタもそうは思わんか?』
『貴様……貴様は、一体何なんだ!何がおかしい!
何が演技だというのだ!』
セイジのそんな態度に対し、理事は恐怖半分怒り半分程の感情を抱きながらそう彼へと吠えかかる。
しかし、そんな理事の叫びに対するセイジの答えは不気味な程に静かな嗤い声だった。
『くく……まだわからんのか?
まさか俺が本当にただお前をブチのめす為にここに叩き込んだと思っているのか?
いや、そもそも……何故、俺がお前達を潰そうとしているのかも理解すらできんか』
先ほどの指揮を執っていたときやこれまでに何度も相対したときとは打ってかわり、その薄い笑い声には嘲笑うかのような不気味さが含まれていた。
『あくまでアビドスを助けるのは俺にとってはオマケだ。
正直俺が助け舟を出さずとも、〇〇の奴が何とかしていただろうな?』
『なんだと……!?貴様、我々を侮辱しているつもりか!』
『そうだが?別に俺が手を出さずとも、最終的にお前らは間違いなく潰れていただろうさ』
セイジのあまりの言いように対し、理事はキレた。
彼にとってカイザーは戦略的に眼中にも入っていない木っ端らしく、〇〇先生だけであっても余裕を持って対応できるという侮辱にも似た発言。
あまりにも酷いその言いように理事は噛みつこうとしていたが、そこでふと彼の中に疑問が浮かんだ。
『ならば………ならばなぜ、貴様は我々にここまで手を下した!
貴様の目的は一体なんだと……『簡単な話だ』………何?』
『俺の目的はただ一つ………それはお前達カイザーグループだよ、カイザー理事?』
彼はそういい切ると同時に、アーマーの指をこすり合わせて指を鳴らすような動作をした。
すると………
――SYSTEMERROR――
『なぁッ!?ご、ゴリアテが……!?』
突然のエラーログとともにゴリアテの全システムがエラー警告を放ちだし、間もなくして機体がシャットダウンすると同時にコックピットがミシミシと音を立て始めた。
「な、何が……!?いったい、何が起きて……!?」
『残念だったな、カイザー理事。もうこのポンコツは動けんぞ?』
ガギャッという音とともにこじ開けられたゴリアテのコックピットハッチ。
そこから顔をのぞかせたのは無骨なT-51のヘルメットであった。
「ヒィ……!?き、ききき貴様!いったいゴリアテに何をした!」
『いや?俺は
その言葉に対し、理事のCPUは高速で答えを導かんと計算した末に一つの結論にたどり着いた。
「ま、まさか………整備士の奴らにスパイが!?」
『御名答だ。アンタらの違法スレスレなブラック環境に耐えかねたか、ちょっと勧誘しただけであっさり堕ちたぞ?』
その答えに対し、理事は自社の雇用条件を思い出す。
――アットホームと謳いながらも、実際は工程間で緻密な連携をしなければノルマも達成できずに減給が待つかなり過酷な生産体制。
――たった一つのミスで責任のなすりつけ合いか最悪連帯責任が発生する完璧主義。
――基本の給料は高く設定されているが、実情は細かな減給の積み重ねによって事実上の薄給と成りかねないグレーな給与体制。
――そして何より、一度入社すれば辞めたくても辞表が受理されず辞めることができない束縛気質な人事。
夜逃げは追われて始末され、残れど待つのは永遠の搾取。
表面的にはホワイト気取りだが、その実は完全な真っ黒。
隠蔽体質も合わさり福利厚生など応募要項の飾りにしかなっていない完全なブラック企業であった。
そして、そんな環境にしてしまったが故に現在理事は窮地に立たされてしまった。
『いくらお前たちがキヴォトスでも指折りの大企業とはいっても、人徳がなけりゃこの有様か。
ま、因果応報ってやつだな?』
「だ、黙れぇぇッ!
こんな………こんなことをしてただで済むと思っているのか!?
我々カイザーがいなくなればキヴォトスの経済は大きく傾くのだぞ!?」
『あぁ、そりゃ知ってるさ。
………それを含めて、お前達を狙ったのさ』
どういうことだ、と理事が口を開こうとした瞬間……
突然、セイジは理事の頭へと何かをくっつけた。
「……?………!?お、おい!?貴様、これは一体何を……!?」
『それか?大体三分ぐらいのタイマーでセットした時限式のパルスグレネードだ』
「ぱ、パルス!?」
理事はそれを聞き、人の身であれば顔が真っ青になっているかのような慌てようで驚愕していた。
パルスグレネードは爆発と共に強力な電磁パルスを発生させ、機械の内部にある回路パーツなどを焼くことで破壊……もしくは無力化する兵器だ。
人間に効かないわけではないが、基本的にこれは対ロボット用の特効兵器。
ウェイストランドにおいても、強力な火器を搭載しているロボットたちから身を守る為にレジデントどころか偶にそこらの入植者やレイダーたちですらも所持してることがある品である。
そしてセイジが理事の頭へと貼り付けたのはその時限起爆式の物。
元は一部のレジデントが「時限式のパルスグレネードをアイポッドに付けてロボットの群れに特攻させたら強くね?」と考えて自作したが、結局アイボットの確保の面で不可能となってそのまま現物ごと設計図を二束三文でセイジへと売りつけたという……
いわゆる不良在庫品であった。
もちろんセイジも使い道を考えたが得に使うこともなく、Pip-Boyのインベントリで眠り続けていたのを今更掘り出して理事へと使用したのだった。
「くッ……と、取れ……!?や、やめろ!」
理事は慌てて引き剥がそうとするが、何を使ったのかパルスグレネードは全く取れない。
そんな彼を嘲笑うかのごとくセイジのT-51の手が理事の頭へと伸ばされ、頭ごと掴み上げるように持ちながらパルスグレネードに付けられた時限装置のスイッチへと指をかけた。
『さて……今からお前には選択肢を与える。
それと同時にカウントダウンが始まるが、お前の選択次第ではこれを停止させることができる』
「な、なんだと……!?」
『もちろん待ったはない。可能な限り早くお前が決断するなら俺はそれを早いうちに止めて助けてやるさ。
だが……できないというのなら、お前はその場でGAME OVER。
だが、このゲームにコンテニューなんてものもないからな?』
まるでゲームのルールを語っているかのように、セイジは実に楽しそうな口調で理事へとそう言葉を続けていく。
もちろん、ゲームはゲームでもこれはデスゲーム。
それも、デスをするのはこの場においては理事ただ一人……
つまり、理事の命運は既にセイジの手の中にあった。
『さて、では聞くとしようか……
お前に与える選択肢は二つ。今ここで名誉ある殉職をするか、今までのお前をすべて捨てて俺に従うかだ。
じゃ、カウントスタートと行こうか』
セイジが理事の止める手を振り払って時限式パルスグレネードへと手を伸ばすと、ピッピッという音とともにカウントダウンが開始された。
「な……あッ……!?」
その瞬間、理事の頭にあるCPUにはものすごい負荷がかかった。
自身の命か、カイザーか。
目の前の悪魔に魂を売るか、忠誠を誓った企業のためにここで死ぬか。
保身か忠誠か、その板挟みになった理事は考える。
しかし、時間はあまりにも短い。
命か、企業か。
命か企業か。
命、企業、命、企業、命、企業、命、企業
命企業命企業命企業命企業命企業命企業命企業命企業命企業命企業命企業命企業命企業命企業命企業命企業命企業命企業命企業命企業命企業命企業命企業命企業命企業命企業命企業命企業命企業命企業命企業命企業命企業命企業命企業
そして、理事の理性と心は砕けた。
いかがでしたか?
最近中々出せてませんでしたが、久しぶりのセイジによる外道ムーブでございます。
因みにパルスグレネードの方について、最初はパルス地雷……もしくは普通にそういう爆弾として用意する予定だったのですが……
まぁ、色々と考えた結果グレネードの改造品ということになりました。
とまぁそんなわけで、また次の話をお楽しみに