はい、少し遅れました……
ちょっと最後の描写に手間取りましたね。
さて、今回もFallout要素とオリジナル要素をマシマシで行きます。
ちなみにまだ明かしてないだけでちゃんとこの辺に関しての理由付けの設定はどっさり積まれてます。
というわけで、本編をどうぞ。
「"……防衛プログラム?"」
突然流れてきた自動音声に対し、先生は何が起こったのかと疑問符を浮かべていた。
今、この基地の全ての機能は自分が持つシッテムの箱……
より明確に言えば、アロナのハッキングによって掌握されている。
その彼女が掌握した基地のシステムの中に防衛プログラムという項目はなかった。
というより、先程の何かを認証したらしい内容からしてカイザーのものでは無かった。
ということは、これはカイザーが基地を建てたこの土地に存在する廃墟……
アビドスの旧本校舎の物と思われる。
そして、その旧本校舎には……
『みんな、遅れてごめ〜ん!』
自動音声が聞こえた方向から、聞き覚えのある少女の声が響いてきた。
その声はセイジの指示で一人旧本校舎へと潜入したアビドス廃校対策委員会委員長にして、アビドス生徒会副会長の三年生……小鳥遊ホシノのものだった。
『防衛システムの書き換えとか登録の仕方とかで手間取っちゃったぁ~!
でも……これ以上はやらせないよ』
最初こそいつも通りのふにゃりとした声だったが、最後の一言だけは気の引き締まるような低い声が通信機越しに流れてきた。
――ビーッ!ビーッ!ビーッ!
『システムチェック正常。ダメージスキャン異常ナシ。
FCS、IFF、共ニ正常。ウェポンシステム、ロック解錠』
「うへぇ……やっぱりちょっと座りづらいかなぁ……?」
鋼鉄の兵士たちが搭乗して上昇していくリフトの中。
ホシノはその内の一体の肩に乗りつつ、起動シークエンスを読み上げながら戦闘モードに移行していく彼らの様子を眺めていた。
『忠告:ユーザー•ホシノ、当機ノ腕部へノ搭乗ナラビニ前線へノ同伴ハ推奨サレテイマセン。
当機ヨリ離レ、後方ノ司令部へノ後退ヲ推奨シマス』
「う〜ん?いやぁ、それは問題ないよ。
私も前線にいきたいだけだし、あっちに着いたら私も降りるからそれまでお願いね?」
『……命令ヲ受諾』
ホシノからの命令に渋々といった様子で従う鋼鉄の兵士……
ロブコが生み出した軍用ロボット兵器「セントリーボット」は背中の少女を気にかけるように細心の注意をはらいつつ、ガコンと音を立てて開かれたハッチの向こう側へと脚部のホイールを全開で回して飛び出した。
飛び出した先にあるのは一帯の砂漠。
しかしそう遠くない位置で砂煙が巻き上がり、ビナーの白い巨躯がアビドス生達とB.O.Sに襲いかかろうとする姿がホシノの目に写った。
「目標あの白くてバカでかい機械のヘビ!
セントリーボット、オールウェポンフリー!」
『認証完了。全機、オールウェポンフリー』
ホシノの張り上げたその声に、彼女と共に出撃したセントリーボット達が応える。
三グルーブに分かれるようにセントリーボット達は行動し始め、射程に入ると同時にそれぞれのグループの隊長機であるアニヒレーターたちが先陣を切るように迫撃砲やミサイルランチャーを発射した。
――ドゴゴゴゴォォォンッ!!!!
――ギシャァァァァッ!?!?
浴びるように大量の爆発をモロに喰らい、ビナーは悲鳴のようにも聞こえる音を放ちながら大きく怯んだ。
突然発生した無数の爆発におどろいたアビドス生たちが振り向くと、そこには砂漠をとてつもない勢いで爆走しながらガトリングやミサイル等の重火器の弾幕をビナーに叩き込む鋼鉄の兵士たちがいた。
「アレって……ロボット?」
『アレは確か……いや、だとしたらなんでこんなところに試作機のはずのアレがこんな沢山……?』
シロコは見慣れない見た目のロボットに首をかしげるが、ナイト•Mumは彼らの姿に見覚えがあった故に困惑を隠すことができなかった。
そう、彼女はリコンストラクション•ウェイストランドで開発途中のセントリーボットを見たことがあるのだ。
だが、彼女の記憶が正しければソレはまだ試作機の動作テストも行われていないはずであり、そのうえで目の前にいる小〜中隊規模の数の機体が量産されてはいなかったはずなのだ。
しかし現実として、セントリーボットはデモ用のシミュレーション映像よりも俊敏な動きでビナーへと襲いかかっている。
これは一体どういう事だとナイト•Mumが思案していると、後ろの方からザクザクと砂を踏みしめる音と共にホシノが彼女達の下へと駆け寄ってきた。
「いやぁ〜遅れてごめんね〜?
ちょっとアレの起動に手間取っちゃってさ〜」
「ん、ホシノ先輩ナイスタイミング。
ところでだけど、あのロボットはどこから持ってきたの?」
いつも通りの態度ながらどこかひりつくような空気を感じるホシノに対し、シロコは真っ先にビナーと戦っているセントリーボットたちがなんなのかを尋ねた。
ホシノは特に隠す理由がないからなのか、ビナーを睨みつけながら正直に答えだした。
「旧本校舎の地下で見つけたんだよ〜。
どうにもここの地下には昔のアビドス高校の防衛関係の施設が埋まってたみたいでねぇ〜。
セイジ先生の指示でそこを制圧してきたついでに、すごく厳重に保管されてたあのロボット達を起動してここまで持ってきたんだ〜」
「あんなに大量にロボットを保管してたって……
しかも、しばらく放置してたとは思えないぐらい動き回ってるんだけどアレ?」
「……昔のアビドス高校って本当にすごかったんですね〜」
ホシノの説明にセリカとノノミは感心していたが、唯一ソレを傍で聞いていたナイト•Mumはますますこの状況への疑問が浮かび上がっていた。
今目の前で動いてるセントリーボットたちは間違いなく、リコンストラクション•ウェイストランド……
もとい、その企業の皮を被ったB.O.Sのスクライブたちがセイジの持っていた設計図と現物の残骸を元にリバースエンジニアリングと再設計を行なって試作中のはずだったのだ。
しかし、その現物が担当のスクライブ渡されたのはまだB.O.Sが立ち上がるよりも前の頃……
アビドスへとシャーレが接触する前の話なのだ。
だとすれば、目の間にいるセントリーボット達と試作中の機体の資料となったあの残骸は全く違う場所の物であるということになるのだが……
もちろんだが、キヴォトスにあんなロボットがあるなんて話を今まで彼女は聞いたことがない。
ますますナイト•Mumの頭の中では絶え間なく疑問が浮かんでくるが……
それより優先すべきことがあったとハッと意識を引き戻し、すぐにイニシエイトたちへと指示を飛ばし始めた。
『イニシエイト、あのロボット達に弾を当てないようにしつつビナーへと射撃を続行しなさい』
『『イエス、マム!』』
彼女の指示に従い、彼女が率いてきたイニシエイト二人はそれぞれの獲物で慎重に狙いつつビナーへの攻撃を再開した。
「ん、ホシノ先輩?」
「うへ、じゃあ私たちもやろっか。
……みんな、あの化け物を追い返すよ。
アビドス廃校対策委員会、攻撃開始!」
ホシノの宣言とともに、ついに全員が揃ったアビドス廃校対策委員会はビナーへと総攻撃を始めた。
……その頃、空に浮かぶ太陽は少しづつ傾くように沈み始めていた。
「……よっと。
さて、そろそろお目覚めの時間だぞ相棒」
ドサリと音を立てて"ソレ"のコックピットの座席へと座り、モニターへと語りかけるように喋りながら周囲のスイッチを慣れた手つきで入れていく。
機体のバッテリーが起動したのかほのかに明かりが灯り、セイジの座る座席横に設置されたハッチが開いて三つの何か筒状のものを差し込むらしい丸い穴が姿を現した。
そこで彼がPip-Boyを操作して呼び出したのはフュージョン•コア。
しかしそのフュージョンコアは通常の物とは違う物なのか、専用のケースに入れられた状態で彼の手元に現れていた。
セイジはケースの中から三本のフュージョン•コアを取り出すとソレらを丸い穴……フュージョン•コアのスロットへと差し込んだ。
しっかりと差し込んでハッチを閉じると、モニターやその他の計器類が起動し始めた。
正面にある小さなモニターに「RobCo」と表示され、彼がいくつかのボタンや手元のコンソールを操作すると何らかのパスワードの入力画面が現れた。
「ふっ……あいつのセンスも大概なもんだな。
わざわざラテン語の辞典をどっからか持ってきてまでこれを起動コードに差し込ませていたしな」
入力画面を見ながら何かを思い出したかのように薄く笑いつつ、セイジはその単語を入力した。
S.U.P.E.R.B.I.A
――…………。
――……………………。
――……目覚メテ早々、コキ使ウ気カ?
コックピットに響く無機質な機械音声。
しかし、その言葉には人間のような"感情"が含まれていた。
「いやぁ、すまんな。
だが、現状アレを潰せそうな火力がお前ぐらいしかいなかったもんでな」
――アイツラハ……ヤハリ死ンダカ?
「まぁ……な。生憎あいつらの死体は骨すら残さず全部灰になっちまって、墓には何も入れてやれなかった」
――ダガ、奴ラノ物ハオ前ガ持ッテイルハズダ
「お前ならわかってるだろ。あいつらのアレは俺でも満足に扱えない。
他でもない、お前も俺以外には扱えないようにな」
――……クク、相変ワラズ傲慢ダナ?
「お前が言えたことか、"プライド"」
セイジと機械音声との軽口交じりのやり取り。
それは幾多もの地獄を共に潜り抜けた"戦友"の物であり……
同時に、その運命を何度も共にした"相棒"の物でもあった。
――……フム?ココハガキガ多イナ?
「生憎ここはウェイストランドのどこでもなくてな……
学園都市……要は都市規模のハイスクールだ」
――……人間ハ常々オカシナモノヲ作ルガ、コレハ飛ビ切リダナ?
「笑えるのはここのトップ様は俺ともう一人にキヴォトスの最高権力をそんままぶん投げて、何をトチ狂ったか教師なんて役職に勝手につけやがった」
――ソレハ、中々笑える
「で、その一環としてあそこにいる生徒たちを助けるってわけだ。
……やれるな、相棒?」
――ヤルサ、相棒
その一言と共に、セイジが座るコックピットの席へとゴーグル式のヘッドセットが降りてきた。
それをセイジが装着したその瞬間、一人と一機は一心同体となる。
「行くぞ、プライド……愉快な地獄の幕開けと行こうか!」
彼の声に呼応するように脚部のモーターが凶悪な音をたてて回転し、一人と一機は勢いよく戦場へと飛び出した。
いかがでしたか?
いやぁほんとに……ドウシテコンナトコロニセントリーボットガイルンダロウナー(棒)
まぁその辺の設定は追々で。
というわけで、また次の話をお楽しみに