さて、どうやらこのビナーはまだ暴れるようです。
いやまぁ、今後の展開も考えるとこういう展開にしないと色々と繋がらないんですよねぇ……
もう一方のブルアカ作品はすでにアビドス編が終わってますが、本作はまだ少し残ってるという。
まぁこっちのほうがそもそもの風呂敷がデカかったというのもあるんでしょうけど……
早くアビドス編後に予定してるオリジナルイベントシナリオとか、色々と原作から大きく離れたパヴァーヌ編も早くやりたいのですよねぇ……
というわけでできるだけ急ぎはしつつ本編をどうぞ
P.S.:因みに私の脳内とメモ帳にはあまねく奇跡の始発点から先の展開までのプロットがすでに存在してる模様。
あとは文字に起こすだけなんだとか……
『ビナー、退却していきます!』
『やった、やったぞ!!あの化け物を撃退できたんだ』
うぉぉぉッ、と通信機から幾つもの歓声が巻き上がる。
セイジの放った砲撃が直撃した直後、ビナーは後ろに倒れるように吹き飛ばされたあとそのまま砂に潜っていった。
レーダー上の反応はそのまま基地の方から大きく離れ始めており、上空からAWACSのように戦場を管制していたB.O.Sの隊員が乗るベルチバードから勝利の報告が地上の部隊へと流れた。
そしてそれは、インカム越しに通信を聞いていたシロコたちアビドス廃校対策委員会にも伝わっていた。
「倒せた……の……?」
「……ん、あの化け物を追い返せた」
「ふふ、やりましたよ〜♪」
「わ、ノノミ先輩!?きゅ、急に抱きつかれると……あう……」
呆然としつつもシロコに肩を叩かれて正気を取り戻すセリカ。
ノノミに急に抱きつかれ、あたふたとしだすアヤネ。
それぞれが思い思いにビナーへの勝利に喜びを表していた。
先生もやっとカイザー基地の司令室から出つつ、肩から力を抜いていた。
しかし……
『……いや、まだだ』
「まだ……まだ終わってない……!」
『……全員、急いでベルチバードに乗るわよ!
スクライブ、こっちに何機か空いてるやつをよこして!
早く!』
セイジ、ホシノ、ナイト•Mumは未だ深刻そうな顔をしつつそれぞれ動き始めていた。
「せ、セイジ先生!?ホシノ先輩!?なんでそのロボットにまた乗り込んで……」
『お、おい!?急にどうしたMum!?』
そのただならない様子に驚きつつ、セリカとナイト•Lillyは彼と彼女らに問いかけた。
その通信から流れてきた地上の様子に、ハッとしたベルチバードのスクライブが改めてレーダーを確認すると……
『……マズい!?嘘でしょ、なんで……!?』
一気に青ざめさせ、通信越しでもわかるぐらいに動揺した声を漏らしていた。
『し、哨戒のベルチバードより各隊へ通達!
逃走したビナーがアビドス市街地方面へと向かっている!』
『なんだと!?』「……ッ!?」「ウソでしょ……!?まずいじゃない!?」
ナイト•Lillyを始めとして、シロコやセリカとB.O.Sやアビドス生たちの顔から血の気が引いていく。
やっとのことで追い払えたと思えば、よりにもよってあの化け物は市街地……
そこは今B.O.Sの対PMC用後方陣地が展開され、さらにその後ろには多くの避難民が身を寄せている。
後方陣地にも一応防衛設備はあるが、正直あの化け物に対しては豆鉄砲もいいところだろう。
事の重大さを再認識し、セイジ達に倣うようにそれぞれ動き出していた。
「ん!先生、そのロボットに乗せて!」
『すまんが乗るなら腕にしがみつくように乗れ!
こいつの中は一人用だ!』
「シロコちゃん、先生、おじさんもそっちに相乗りするよ!
セントリーボット、一号から六号まではその場で待機!
他はおじさんたちに追従して!」
『リョウカイ』
ガチャンと音を立て、セイジの乗るセントリーボットのような機体の背中のガウス兵器以外が機体内に収納される。
シロコとホシノがその機体の両腕に抱きつくように乗り込むと、再びガチャンという音と共に機体の一部が展開した。
開いたのは本来、セントリーボットの動力源となっているフュージョンコアが収められている筈の箇所。
しかしその中から外に晒されたのは、何かを吹き出す形状をしたノズルのようなものだった。
『プライド、ブースターを点火しろ!
高速走行モードだ!』
――メインシステム、ブーストモード二移行。主砲、オフライン
セイジの音声とは違う機械音声が響くと同時にガウス兵器が折り畳まれるように背部に固定され、キィィンと音を立ててノズルらしき物から青白い炎が鋭く吹き出していた。
『俺たちは市街地に先行する!
ナイト、お前達は〇〇の指揮下に入り後追いで合流しろ!』
『『Yes, sir!』』
『〇〇、そっちは任せるぞ!』
『"分かった!セイジさん達も気をつけて!"』
『ホシノ、砂狼!しっかり捕まってろ!』
一通り指示を出し切るとセイジはフットペダルをベタ踏みし、機体を急発進させた。
「うぐわッ!?うおぉぉぉぉッ!?!?」
「んんんッ!?!?」
あまりにも強烈な急制動だった為か、ホシノとシロコはそんな声をあげる。
しかしそんな二人に構うことなく機体は一気に加速し、まるでロケットが飛んでいったかのような煙を後ろにたなびかせて砂漠の向こうへと消えていった。
それを追うようにセントリーボットの部隊も一部を除いて走り出し、彼らもまたあっという間に遠くに消えていった。
――ヴーッ!ヴーッ!ヴーッ!
『避難民の退避を急げ!
スクライブ、榴弾砲の配置はどうなっている!』
「さっき最後のが調整終わったばっかだ!
今配置につかせてる!」
「クソッ、このポンコツがッ!
動けッ、動けよT-54!」
「おい、アーマーの予備はどこにある!?
使えるもんは全部使えって命令だろう!?」
「今こっちに運んでる途中だっつってるでしょうが!
んな喚いてる暇あったらさっさとミニガンの準備をしろ!」
アビドス市街地とアビドス高校校舎にけたたましいサイレン音が鳴り響く。
何台もの輸送ヘリが離陸しては着陸してと忙しなく避難民を運んていく中、B.O.Sの隊員たちは防衛陣地等に残されていた兵器という兵器をありったけかき集めて防衛ラインを構築していた。
担当者のナイトが一人だけ故に若干所々で混乱は起きているものの、それでもなんとかビナーの到達に間に合うように急ピッチで作業が進められている。
そんな中、アビドスで留守を預かっていた便利屋68達も忙しなく動いていた。
『アル様!指示された場所の爆弾のセットができました!』
「よくやったわハルカ!カヨコ、そっちは問題なさそう?」
『大丈夫。色々と配線とか機材の設置に手間取ったけど、なんとか準備はできたよ』
『はいは〜い!こっちも準備オッケーだよ〜!
アルちゃんの指示通り、時間稼ぎに丁度良い感じの間隔でトラップを仕掛けたからね〜♪』
アビドス市街地でホットゾーンに最も近い高台の建物の屋上。
数人のB.O.Sの狙撃部隊と共に待機しつつ、アルは便利屋の社員たちに矢継ぎ早に指示を出していた。
ハルカはビナーの足止めの為に進路上への爆弾の設置を。
カヨコは後方の指揮所兼防衛兵器の管制陣地の構築の手伝いを。
ムツキはB.O.Sのスクライブ達とカイザーが残した戦車の残骸をかき集めつつ、それを使った囮やトラップの設置を。
待機中のアルも含め、便利屋達はそれぞれができることを必死にやっていた。
それはセイジからアビドスの留守中の防衛を依頼という形で引き受けたのもあるが……
「……こんな大変な時に自分たちだけノコノコ逃げるなんて、そんなのアウトローじゃないわ。
ビナーだかなんだか知らないけれど……
たとえ相手がどんな化け物でも、返り討ちにしてあげるわ!」
この土壇場に近い状況でアルは燃え上がっていた。
相手はセイジ達が手を焼いてなんとか追い払えた程の怪物。
手負いとはいえ、先生二人に精鋭ぞろいのアビドス生たちやB.O.Sの主力部隊をまとめて相手取っても倒しきれなかった化け物だ。
正直勝ち目がないことは彼女も理解はしているが……
だからこそ、こんな逆境でもそれをひっくり返してみせると強く意気込んでいた。
とはいえ、もちろん自分たちで仕留められるとは思っていない。
あくまでアルやB.O.Sの防衛部隊の勝利条件は「主力部隊が合流して引き継ぐまでの時間稼ぎ」だ。
しかし、それだけでもできれば勝ちの目はこちらの方へと向く。
討伐ないし最低でも撃退だけでもするとして、そのためにはどうしてもセイジ達の力が必要だ。
ならば、自分たちは無理に倒そうとせずにビナーの足を止めて市街地やその後ろにあるアビドス高校への被害を最小限まで抑える。
それが、今の彼女たちのできる精一杯のビナーに対する対抗策だった。
『……ッ!!こちら空中管制、二時の方向より市街地へと接近するバンディットを確認!
総員、戦闘態勢用意!』
B.O.Sの通信機に上空のベルチバードからの通信が届いた。
バンディット……つまり、接近中のソレは間違いなく敵である。
アルはスコープを覗き込み、その敵影を確認する。
ソレは、セイジから渡された資料の中にあった正体不明の巨大な機械。
資料の画像とは違って口と思われる部分が煤けていたり所々の装甲がベコベコと小さく凹んでいるものの、間違いなくその巨大な機械は資料に書かれていたビナーそのものであった。
『第一防衛ラインにターゲット接近!
起爆まで、あと5、4、3、2、1………』
――ドゴォォォォォォンッ!!!!
『起爆成功!ターゲット、第一防衛ラインで一時停止!』
『よし、早速出番だ!砲撃部隊、撃ち方始め!』
『ラジャー!撃ち〜方始め!』
市街地へと侵攻しようとするビナーの頭部を突然襲った無数の爆発。
それを皮切りに、対ビナー防衛戦が幕を開けた。
いかがでしたか?
さて、ここからはビナー対B.O.S×便利屋68の攻防戦です。
当然のごとくですが、損傷やらなんやらが激しくてもビナーの優位は変わってないです。
そりゃまぁ……質量だけでも市街地をあっという間にペシャンコに潰せる化け物ですし。
というわけで、また次の話をお楽しみに