というわけで、本編をどうぞ。
「"キヴォトスの……大人……?"」
「一先ず、仕事の方はここでいったん休憩だ。休憩がてら話してやる。」
セイジに促され、〇〇は作業の手を止めて彼の向かい側のソファに腰掛ける。
ソファに座ると、セイジはどこからか取り出した缶コーヒーを〇〇に投げ渡した。
「……まず、前提の話からだ。」
「ここ、キヴォトスは学園都市というだけはあって人口の3/4以上が生徒……つまり子供ということだ。」
「対して、1/4程度の大人の殆どはアンドロイドや獣人種で人間……ヒューマノイドの大人は現時点では俺たち二人しか確認されていない。」
「つまる所、これから話す大人というのは基本的にアンドロイド、もしくは獣人種のことになる」
そう言いながらセイジは缶コーヒーの蓋を開けて、口をしめらせる。
「基本的に、このキヴォトスのアンドロイド達は人間の……それも、大人に近しい思考ルーチンのプログラムが組み込まれている。」
「その大人、というのは良くも悪くも手がきれいなやつから血みどろに汚れまくってるものまでピンキリだが、特に子供に対して害のある行動をとる個体が目立って多い。」
それを聞き、〇〇は思わず顔をしかめた。
それは自身にとって最も否定したい「悪い大人」という存在そのものだからだ。
「まぁ、全ての奴が悪いとは言わんが……少なくとも、お前が相手をすることになる大人の大半は悪意ある大人だと思っておけ。」
「"……なぜ、君は私にそんな警告を…?"」
〇〇の質問に対して、セイジはすぐに答えた。
「なに、簡単な話だ。」
「……俺はあくまで仕事をしてるにすぎない。」
「俺の受けた仕事……それを果たすためにはこのキヴォトスにいる生徒たちだけではなく、お前も守る必要があるからな。」
「"……?それはどういう……"」
「……おっと、ここから先はこちらの機密事項だ。すまないが俺の仕事に関してはここまでだ。」
そう言ってセイジはそこまでの話を打ち切った。
〇〇は聞き出してみようかとも考えたが、ここで下手を打てば取り返しのつかないことになりそうだと感じ取って質問の声を抑えた。
「ともかく、だ。」
「俺たちは不良生徒や生徒間の問題だけではなく、そういった悪意のある存在とも相手取ることになる。」
「……そして、そういう輩は何かしら姑息な手を使うものだ。」
そう言いながらセイジは懐から取り出したリボルバーの撃鉄を起こし、コンセントに向けて一発発砲した。
「"わっ!?な、なにをしてるの!?"」
「すまんな。どうやら、ネズミが何か仕掛けていたようでな。」
そう言いながら破壊したコンセントへと近づき、セイジは何かを拾い上げて〇〇の机の上に転がした。
「"……?これは、一体……?"」
転がったのは、何やら元は箱状の何かであったのだろう機械だった。
銃弾で大きく破損しているが、何やら折れたアンテナのようなものまで付いている。
「盗聴器だ。かなり粗製だが、これぐらいのサイズならコンセント裏ぐらいには隠せる。」
「"な、なんでこんなものが!?"」
「言っただろう、それだけ俺たちは何かしら狙われる対象だ。」
そう言いながら、セイジはPip-Boyを操作しだした。
「アロナ、何か分かったか?」
『すいません……回線がうまく隠されてて逆探知できませんでした…。』
「だろうな。流石にそれぐらいの対策はしていたか…」
「"えっ、アロナ…?セイジさん、なんでその腕のにアロナって……"」
〇〇は混乱していた。
アロナ……彼女は自身の持つシッテムの箱のメインOS。
つまり、シッテムの箱にしか存在しないはずのアロナが箱を介さずにセイジと会話できているのか理解できなかったのだ。
「……あぁ、言い忘れてたな。」
「俺のこのPip-Boyにはどういうわけかはしらんが、お前のシッテムの箱と同調できる機能が付いているようでな。その特別回線越しにこうして話せるというわけだ。」
『あはは……そういえば〇〇先生に伝え忘れてました……。』
まさかの事実に、〇〇の脳は混乱をさらに加速させていた。
もはや自分でも何を考えてあるのかわからないほど、あまりの情報量に〇〇の頭は明後日の方向へと思考を展開していた。
「一応、シッテムの箱から直接俺に連絡も入れられるようになっているらしい。何かしら用があるならそいつから連絡しろ。」
「"えーっと……モモトークとかは……?"」
「生憎と俺はスマホを持ってないんでな。それに、SNSはいつ内容を盗み見られるか分かったものじゃない。かなり高いセキュリティがついてるこれの回線を使ったほうがよっぽどマシだ。」
そう言ってセイジはコーヒーを飲み干し、また作業に手をつけ始めた。
どうやら、休憩はこれで終わりらしい。
〇〇も腑に落ちない表情をしながらも、再びデスクに向き合って仕事を再開するのだった。
「"……そういえば、生徒たちとの連絡はどうしてるの?"」
「備え付けの固定電話で済ませている。俺はあまり生徒と交流するわけでもないから、スマホが必要ないからな。」
このとき、〇〇先生は一つ思った。
――この人、スマホを連絡用の通信機器としか見ていない人だ、と。
同時にこっそりとユウカにモモトークを送り、仕事が終わり次第携帯ショップに連れて行こうと。
いかがでしたか?
この空いた時間の間に裏設定等も完成したのである程度安定して書けるようになるかもですね。
まぁ、アパラチアを放浪したりブルアカしたりマイクラしたりしてると執筆の時間が少なくなるんですがねハハッ
そんなわけで、また次の話をお楽しみに。