アパラチア帰りの外道の先生生活日記   作:SCOPEWOLF

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ホロテープ:密会の記録

《靴の鳴る音が響く》

 

『……ほう、なんの用だ?』

 

《靴の鳴る音が止まる》

 

『……仲間を返してくれ!!』

 

《ゴンッ、と硬いものに何かがぶつかる音が響く》

 

『ふむ……』

 

『随分と身勝手なことだな。先に仕掛けてきたのはお前たちだろう?』

 

『確かに、私たちが悪かったッ!でも……アイツだけを連れて行くのは止めてくれ…!!』

 

《少女の涙まじりの懇願が辺りに響く》

 

『奴はお前たちの自由を願って俺のもとに来た。あの金と証書は受け取っただろう?』

 

『……あぁ。ニュースで私たちの指名手配が無効になったって流れてた。』

 

『俺はアイツと交わした約束は守った。お前たちはその残った金で好きに生きていけるだろう?』

 

『それじゃ意味がねぇんだよ…ッ!!』

 

《ダンッ、と硬い床が叩かれる音が少女の慟哭と共に響く》

 

『私たちだけ助かって……アイツだけ不自由な生活を強いられる……。そんなの……そんなの……!!』

 

『お前たちが選んだ道はそういうものだろう?』

 

《ため息混じりの男の声が響く》

 

『お前たちはまだ学生だが、それにしてもこれまでの行動は目に余る。』

 

『散々他人を困らせながら犯罪を犯し続け、挙句に仲間が捕まったら泣き落とし……』

 

『ずいぶんとまぁ自分勝手なことだなぁ?』

 

『グッ……うぅ……』

 

『いくら学生とは言え、犯罪は罪だ。取引でお前たちだけでも捕まらなかったのが温情というものだぞ?』

 

『それ、は……』

 

《少女の悔しげな震え声が聞こえる》

 

『罪にはそれ相応の償いが必要だ。』

 

『お前たちの場合、奴一人が背負うことでその償いに値した。』

 

『これ以上を求めるとなれば……ずいぶんと甘えたことを抜かすことだ。』

 

『グゥ……ゥゥ……ッ!!』

 

《少女の苦しむようなうめき声が聞こえる。》

 

『それに、対価として何を差し出すつもりだ?お前たちの罪が払拭されるほどのものをお前たち自身は持ち合わせては居ないのだろう?』

 

『金も俺がくれてやった物以外だとまともに無いお前たちが、いったいどうやって罪の清算をするつもりだ?』

 

『う……あ……』

 

《少女の絶望に染まった声が聞こえる》

 

『それで?お前たちはその要求に対して何を支払う?』

 

『わた……しは……わたし、は…………』

 

『……ふん。奴に比べてずいぶんと腑抜けたものだな。』

 

『お前のその姿を見て、奴はどう思うだろうなぁ?』

 

『……けるな……』

 

《ガバリ、と何かをつかむ音が聞こえる》

 

『ふざけるなァ…ッ!!テメェにアイツの……アイツの何が分かるって言うんだ…ッ!!』

 

『さぁな。俺はあくまで対面で交わしたやりとり以上のことは知らん。』

 

『なら……テメェがアイツを騙るんじゃねぇ!!』

 

『アイツは……虐められてた私を庇って……学校から追い出された時もこんな私についてきてくれて……!!』

 

『テメェみたいな……テメェみたいなクソ野郎がアイツを騙るなぁぁぁぁッッ!!』

 

《怒りに飲まれた少女の叫びが響く》

 

『……ずいぶんと気骨があるものだな。最初からそうしてれば良いものを。』

 

『へ……はぁ……?』

 

《落ち着きはらった男の声と困惑の交じった少女の声が聞こえる》

 

『そうだな……奴を解放することはまぁできんな。』

 

『……ッ!!この……』

 

『話は最後まで聞け。』

 

 

『奴を解放できないのは確かだが……それ以外でお前たちが奴と共に行動することはできる。』

 

 

『……どういう、ことだ……?』

 

『……とりあえず、この手を離せ。こんな体勢では話せるものも話せん。』

 

『……チッ。』

 

《靴音が少しだけ遠ざかるように響く》

 

『まず前提の話になるが……奴はヴァルキューレや矯正局に拘束されているわけではない。』

 

『………はぁ?それってどういう……』

 

『まぁ詰まる所は、だ。正確には奴は逮捕された訳では無い。』

 

『………はぁ!?』

 

《少女の驚愕する声が響く》

 

『じゃ、じゃあ……アイツは今どこに……!?』

 

『落ち着け、ここからが本題だ。』

 

『へ……ぁ……わ、分かった。続けてくれ。』

 

 

『簡単に言うと、奴は今俺のスカウトを受けて働く準備をしているところだ。』

 

『スカ……ウト……?働く……?』

 

『別に俺だけで雇っている訳じゃない。』

 

『だがまぁ、奴は磨けばそれなりに使えるということをあの時に見せたからな。俺の推薦ありきでアイツは今の仕事にありついたということだ。』

 

『……何が言いたい?その口ぶりだと、まるで私たちは……』

 

『奴と比べれば実力も根性も足りん。どうしようもなくな。』

 

『テメェ……好き放題いいやがって…!!』

 

『だがまぁ、そんなお前たちでも使えないことはない。』

 

《何か紙束のようなものをつかむ音が聞こえる》

 

《紙をめくって一枚だけ引き抜く音が聞こえる》

 

『……なんだ、これ?』

 

『それは契約書だ。そこの下のところにある氏名欄に名前を書いて提出すれば奴のもとまで案内しよう。』

 

『もちろん、契約は履行してもらうことになるがな。』

 

『……これって……』

 

《ペラリと紙が引き抜かれて強く広げられる》

 

『まぁそうだな。お前たち的には「鞍替え」とでも言うべきだろう。

 

『…………。』

 

『まぁ悩むといい。だが、結論は急ぐことを勧める。』

 

『……いや、大丈夫だ。私は決めた。』

 

《紙にペンが走る音が聞こえる》

 

『ほう…?』

 

『私は今日からでも構わない!だから……!』

 

『だから、アイツに会わせてくれ……!!』

 

『……いいだろう。我々はお前を……いや、お前たちを歓迎しよう。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『■■■へようこそ、■■■■■■』




再生終了。
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