かのコロ助にかかってしまったらしく、地味に頭がふわふわとしている今日このごろ。
前日までブラッドイーグル共の首無し死体を量産していましたが、そのバチが当たったのでしょうか…?
いや、あいつらは死んでも誰も悲しまないし、むしろ駆除すべき対象か。
それでは本編をどうぞ
ある日のアビドス高校校庭。
セイジは特にやることもなくなったためにその辺を散歩していた。
この辺一帯の地形はすでに把握しており、特にこれといって調べることはない。
だが、こうして散歩することで何らかの異変を嗅ぎつけることができる。
何かないかとその辺を嗅ぎまわっていると、校庭の端の方に見慣れない植木鉢があることに気が付いた。
「これは……」
ふと気になり、その植木鉢へと近づく。
「……ふむ、サボテンか。」
その鉢植えに植わっていたのはまだ小さなサボテン。
現在のアビドスにおいて、サボテンは数少ない自生する植物だ。
だが、度重なる砂嵐の影響でその数は激減。
今ではほんの一部が砂嵐の被害が少ない場所に生えている程度だ。
「誰かが保護している株か…?」
しかし最近までここにはこんなものは無かったうえに、こういった感じの植木鉢を他の場所で見た覚えもない。
不審物がないか探るため、その植木鉢に近寄ろうとする。
そのとき……
「う、動かないでください!」
突然、背後を取られて銃を突きつけられた。
「ぶ、武器を捨ててこちらを向いてください!早く!」
聞き覚えのあるその声に従い、セイジは腰のウェスタンリボルバーを引き抜いてその場に転がした。
そのままハンズアップし、声の主の方を振り返る。
「せ、先生!?な、ななななぜここに……!?」
振り向いた先。
ショットガンをこちらに向けながら、オドオドとした様子を見せる便利屋の平社員「伊草ハルカ」がそこに居た。
「なに、ちょっとした見回りだ。……これはお前のか?」
「え、あっ、はい。それは私が拾ってきた子ですが……」
「なるほどな。」
セイジは合点がいったように頷き、転がしていた銃を拾い上げる。
「……悪くない趣味だが、あらかじめそういうのは伝えておけ。下手したら不審物と間違われて壊されていたぞ。」
「ひッ、あっ、うぅっ……す、すすすすみません!」
そんな慌てた様子を見せるハルカに対し、ひとまずは落ち着くようにセイジは手で制した。
「お前たちが依頼されたように、この学校は他所の組織から狙われている。不審物に見られかねない物は所有者の許可なく破壊されることもある。」
「……だがまぁ、ある程度こちらに伝えて確認するならあいつらも邪険には扱わんだろう。」
「………………。」
「どうした?なにか異論でも……」
「すみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみませんッ!!ここで死んでお詫びしますッ!」
そう言って口に銃口を突っ込もうとするハルカ。
しかし………
「待て!早まるな!」
この場にいるのは、高速で飛び回る巨大昆虫*1を手刀で一撃粉砕する男だ。
すぐにショットガンの銃身を掴まれ、誰もいない方向へとその矛先を向けた。
――ズダンッ!カラン、カラカラ……
撃ち込まれた銃弾は何もない場所を通過していき、砂漠の中へと消えていった。
セイジはそれを確認して銃を取り上げると、ハルカの胸ぐらを掴んで持ち上げた。
「……どういうつもりだ、馬鹿者!」
「ひッ!?」
「貴様のその行動が、どういう意味を持っているのか分かっているのか!!」
ハルカを詰めるセイジのその瞳には、怒りを宿した炎のようなものが映っているかのように見えた。
「貴様は便利屋の社員なのだろう!たかがこの程度のミスで自害して、お前は陸八魔にどう言い繕う気だ!」
「そ、それは……」
「この程度のミスならすぐに謝って、次を起こさないように気をつけろ!!自分の命を散らして許しを請うなどもってのほかだ!!」
怒りに満ちたその言葉に、ハルカは萎縮しながらも聞き入っていた。
「簡単に己の死を決めつけるな!!それで得する人間なんぞどこにもおらん!!いるのはその死に悲しむ身内だけだ!!」
どこか実感のこもるその怒声に、ハルカは便利屋の皆を思い浮かべる。
誰も、彼女に対して死のうとするのをよしとしていなかった。
なんなら、力付くで止められることもあった。
「過ちは繰り返してはいかんが、そこで新たな過ちを作ってどうする!!お前がやるべきことは死ぬことではなく、反省して次に活かすことだろうが!!」
「つ、次に……ですか……?」
「当たり前だろうが!!」
そこで一息区切るようにセイジは口を閉ざし、ハルカの胸ぐらをつかんでいた手を離す。
「「人は、過ちを繰り返す」……。俺の居た場所で言われていた、いわゆるスローガンのようなものだ。」
「だがな……その過ちを人は教訓にできる。教訓となれば、同じ過ちを繰り返しても対処もできる。」
「お前に必要なのは反省、教訓、あとは学習だ。」
「学習を怠り、何もかも終わらせる選択を取るのは愚者のやる事だ。お前の社長はそんな愚者を大切にする人間か?」
「……ッ!?」
「賢者になれとは言わんが、そんな愚行をする人間にはなるな。分かるな?」
「……………はい。」
「なら良い。間違っても、二度とそんな真似をするな。」
そう言い切り、植木鉢の方へと向かう。
「それに、だ。お前が死ねばこのサボテンはどうなる?誰の世話も受けられず、他の同族のように砂に埋もれるのを待つだけになるぞ。」
「……っ!!」
「保護した命には最後まで責任を持て。それすら捨てるような愚行は犯すんじゃない。」
「わ、分かり……ました。」
「…………。」
ハルカの返事を聞いたセイジは、胸元から何かの紙が挟まったファイルを取り出す。
「……?先生、それは……?」
「お前をこのままにしておくとまずそうだからな。俺が直々に鍛え直してやる。」
そう言いつつ、セイジはそのファイルから取り出した書類を一枚、ハルカに押し付けるように渡した。
「え……こ、これって……」
「少なくとも、お前には素質はある。鍛え直せば陸八魔の懐刀としてより磨きがかかるだろう。」
「アル様の……懐刀……」
セイジのその言葉に、ハルカは何か考え込む様子を見せた。
「無理にとは言わんが、前向きに考えておくことを勧める。」
それだけを伝え、セイジはその場を去った。
そして、その場に残ったのは紙を握りしめるハルカと植木鉢で少しづつ育ち始めたサボテンのみであった。
いかがでしたか?
時折打ち間違いも多かったので、どこかしらミスってるかもしれません。
ところで、個人的にハルカはなんか庇護欲を掻き立てるキャラだなぁと思いますが……
皆さんはどう思います?
それでは、また次の話をお楽しみに